窓・ドアのお悩み

20年前の網戸が外れないときの主な原因(歪み・戸車)と安全な外し方手順を解説!

2025年11月16日

20年前の網戸が外れないときの主な原因(歪み・戸車)と安全な外し方手順を解説!

「20年前の網戸が外れない」とお困りではありませんか。

いざ掃除や張り替えをしようにも、網戸が固くて動かないと本当に困ってしまいます。この記事では、20年前の網戸が外れないのはなぜ?という理由や原因を探りながら、網戸が外れない歪みの問題や、網戸の耐用年数や寿命は何年ですか?といった疑問にもお答えします。

また、20年前・30年前・40年前など古い網戸の正しい外し方や手順、特にトステム製品など古い網戸の外し方についても解説します。

網戸の外し方には種類があり、古い網戸の外れ止めはどこにあるのか、あるいは網戸の外れ止めがないタイプについても触れていきます。

さらに、二階の網戸の外し方における注意点、網戸が外れないけど張り替えできる?という疑問、そして網戸が外れない時はどうするべきか、具体的な網戸が外れないときの対処法5選まで、網羅的にご紹介します。

この記事のポイント

  • 20年前の網戸が外れない具体的な原因
  • 古い網戸や歪んだ網戸の外し方の手順
  • 外れ止めの位置や調整方法
  • 自力で外せない場合の対処法

20年前の網戸が外れない!主な原因と仕組み

20年前の網戸が外れない!主な原因と仕組み

  • 20年前の網戸が外れないのはなぜ?原因を解説
  • 網戸の耐用年数・寿命について
  • 網戸が外れないのは歪みが原因か確認
  • 古い網戸の外れ止めはどこにある?ない場合
  • 網戸の種類の見分け方と外し方
  • 古いトステム製の網戸の外し方

20年前の網戸が外れないのはなぜ?原因を解説

長年使用してきた網戸がビクともしない場合、複数の原因が複雑に絡み合っている可能性が高いです。

20年という歳月は、屋外の過酷な環境にさらされ続ける網戸にとって、各部品が限界を迎えるのに十分な期間と言えます。

主な原因は以下の4つに大別されます。

戸車の不具合(破損・固着)

網戸の滑らかな動きを支える「戸車(とぐるま)」は、最も劣化しやすい部品の一つです。

多くはプラスチック製であり、20年間の紫外線や風雨、温度変化にさらされることで、弾力性を失い、割れたり、欠けたり、変形したりします。戸車が正常に回転しないと、レールとの摩擦が激増し、最終的にはレールに食い込んで動かなくなります。

レールや戸車への汚れの蓄積

窓のサッシレールは、砂埃、土、排気ガスのスス、花粉、虫の死骸、落ち葉などが非常に溜まりやすい場所です。

これらの汚れが20年分蓄積し、雨水や結露によって練り固められると、コンクリートのように固着します。こうなると、戸車はこの固まった汚れの層に乗り上げたり、埋まったりしてしまい、網戸がレールに張り付いたように動かなくなります。

外れ止めの固着や位置のズレ

網戸が強風などで脱落するのを防ぐ「外れ止め(はずれどめ)」という部品が、外れない原因となっているケースも非常に多いです。多くはプラスチックや金属でできており、調整ネジで固定されています。

  • 位置のズレ:日々の開閉による振動で、外れ止めの位置が徐々にズレて上部のレールに接触し、ブレーキがかかったように食い込んでしまうことがあります。
  • 固着:調整ネジ自体がサビや汚れで固着し、プラスドライバーを差し込んでも回らなくなることがあります。

レールや窓枠(サッシ)の歪み

建物自体の経年劣化や、地震の繰り返しによるわずかな揺れ、地盤の変動などにより、窓枠(サッシ)やレール自体が微妙に歪んでしまうことがあります。

レールが曲がったり、窓枠が網戸を上下左右から圧迫する形に変形したりしていると、物理的に網戸を取り出す隙間(遊び)がなくなり、外すことが極めて困難になります。

網戸の耐用年数・寿命について

網戸の耐用年数・寿命について

一般的に、網戸の「網(ネット)」部分の寿命は、日当たりや使用環境によりますが約5年~10年で、破れやたるみが出てくると言われています。しかし、網戸の「枠(アルミサッシ)」自体の耐用年数は約20年~30年とされています。

ただし、これは枠(アルミ)の寿命です。前述の戸車や外れ止めといった樹脂製・金属製の可動部品は、枠よりもずっと早く寿命を迎えます。多くの場合、これらの部品のメーカーによる部品保持期間(製造終了後の供給期間)も終了しています。

つまり、「20年前の網戸」は、枠はまだ大丈夫に見えても、動かすための部品はすでに限界を超えている状態である可能性が非常に高いと言えるでしょう。

網戸が外れないのは歪みが原因か確認

20年前の網戸が外れない重大な原因として、「歪み」が挙げられます。

この歪みは、網戸のフレーム本体に生じている場合と、建物側の窓枠(サッシ)に生じている場合の二通りがあり、後者の方がより深刻です。

網戸本体の歪み

網戸のフレームはアルミ製が多いですが、日々の開閉の衝撃や、掃除の際に力を入れすぎたことなどで、わずかに歪むことがあります。

枠が完全な長方形でなくなると、サッシレールとの間に余計な摩擦を生じさせます。これにより、開閉が重くなるだけでなく、特定の場所でガチッと固く動かなくなります。

窓枠(サッシ)やレールの歪み

一方で、より深刻なのは窓枠やレールの歪みです。建物は木材の収縮や、わずかな地盤沈下、繰り返す地震の揺れなどによって、20年という歳月で必ずと言っていいほど微妙に変形します。

その結果、窓枠が圧迫されて変形(例えば、上下のレールが平行でなくなる、左右の枠が内側に傾くなど)すると、網戸が上下左右から強く圧迫される状態になります。

こうなると、網戸を外すための基本動作である「網戸を上に持ち上げて、下のレールから外す」ために必要な「上部レールの隙間(遊び)」が失われてしまいます。

どれだけ上に持ち上げようとしても、窓枠に突っかえて持ち上がらないため、物理的に外すことができなくなるのです。

歪んでいるかどうかを簡易的に確認する方法があります。
まず、網戸を閉め切った状態で、室内側の窓枠(サッシの枠)と網戸のフレームとの隙間を上下左右でよく観察してみてください。

例えば、「上部の隙間は指が入るのに、下部はピッタリくっついている」あるいは「左側は隙間があるのに、右側は擦っている」という場合、網戸か窓枠、あるいはその両方が歪んでいる可能性が非常に高いです。

レールが目に見えて曲がっていたり、窓枠に明らかな歪みがあったりする場合は、歪みが複合的な原因の一つとなっていると考えるべきです。

歪みが原因の場合、絶対に無理に外そうとしないでください。
歪みによって圧迫されている網戸を、バールなどで力ずくでこじ開けようとすると、網戸のフレームが完全に変形するだけでなく、建物側の窓枠(サッシ)まで破損させてしまう恐れがあります。

窓枠を交換するとなると、壁を壊す大掛かりな工事になりかねません。
簡単な清掃や調整(後述)で動かない場合は、深刻な歪みを疑い、専門家への相談を強く推奨します。

古い網戸の外れ止めはどこにある?ない場合

古い網戸の外れ止めはどこにある?ない場合

網戸を外す作業において、最大の関門となるのが「外れ止め(はずれどめ)」の解除です。これは振れ止めとも呼ばれ、その名の通り、強風や地震などで網戸がレールから外れて脱落・落下するのを防ぐための安全装置です。

これが正しく解除されていない限り、網戸は絶対に外れません。

20年前の古い網戸を外すには、まずこの外れ止めの位置を特定し、解除(緩める)必要があります。

一般的な外れ止めの位置

外れ止めの位置は、網戸の種類やメーカー、建物の種類(戸建てかマンションか)によって異なりますが、多くは以下のパターンに分類されます。

  • 戸建て住宅:網戸の上部の左右両端(側面)に付いているケースが最も一般的です。室内側か外側の側面に、プラスドライバーで調整できるネジが見えることが多いです。
  • ビル・マンション:戸建てと同様に上部左右のほか、網戸の上部(室内側正面)に、スライド式のツマミやネジが配置されているケースも多く見られます。

外れ止めは、ネジを緩めることで上下にスライドできるプラスチックや金属の部品(L字型のフックなど)で構成されています。この部品を下に下げる(または解除する)ことで、上部レールとの間に隙間を作り、網戸全体を上に持ち上げられるようにします。

窓の種類別・外れ止めの一般的な位置(例)

網戸のタイプ外れ止めの主な位置
引き違い・片引き窓用網戸の上部、左右に1つずつ(側面または室内側正面)
上げ下げ窓用網戸の左下・左上など、製品により異なる(固定ツマミの場合も)
滑り出し窓用(室内側)網戸の上下部(固定枠を外すタイプが多い)
内倒し窓用網戸の上部(固定式が多い)

外れ止めがない(見当たらない)場合

「いくら探しても外れ止めが見当たらない」という場合、いくつかのパターンが考えられます。

  1. ビス隠し(フタ)で隠れている
    20年前の製品でも、デザイン性を考慮してネジ頭を隠すためのプラスチック製のフタ(キャップ)が付いている場合があります。網戸の角や側面に、不自然なフタやカバーがあれば、マイナスドライバーの先端などで慎重にこじ開けてみてください。その中に調整ネジが隠れていることがあります。
  2. 特殊なタイプ(ネジ式以外)
    メーカーによっては、一般的なネジ式ではない独自の機構を採用している場合があります。例えば、古いYKK AP製の一部には、網戸の下部両端に外れ止めがあり、中央部を押しながら内側にスライドさせて解除する、という特殊なタイプも存在しました。
  3. 固着して一体化している
    20年分のホコリや塗装の劣化で、外れ止め部品とネジがサッシ枠と一体化してしまい、見分けがつかなくなっている可能性もあります。
  4. 本当にない(古いタイプ)
    非常に古い網戸や、後付けの簡易的な網戸の場合、外れ止めが元々付いていないか、劣化して脱落してしまっている可能性もゼロではありません。その場合は、外れ止め以外の要因(戸車の固着や歪み)だけで外れない状態になっていると考えられます。

まずは網戸の側面、特に上部を懐中電灯などでよく照らしながら、ブラシでホコリを払い、調整できそうなネジやツマミがないか、徹底的に探すことが第一歩です。

網戸の種類の見分け方と外し方

「網戸」と一言で言っても、設置されている窓の形状によって、網戸の構造や外し方は全く異なります。

20年前に主流だった窓の種類と、それに付属する網戸のタイプを知ることで、外し方の見当がつきやすくなります。

引違い窓(最も一般的)

2枚以上の窓をレール上で水平にスライドさせて開閉する、日本の住宅で最もオーソドックスな窓です。

網戸のタイプ:同様にレール上を水平に動く「パネルタイプ」の網戸です。
外し方:この記事で主に解説している「外れ止めを解除し、上に持ち上げて下レールから外し、次に上レールから抜く」という方法が基本となります。

上げ下げ窓

2枚のガラス窓が上下に並び、下の窓が上(または上下両方)にスライドして開閉する窓です。
網戸のタイプ:専用の網戸が付属します。外側に固定されているタイプや、室内側に設置されている場合があります。

外し方:外れ止めが網戸の左側(上下)など特殊な位置にあることが多く、解除方法がメーカーによって異なります。固定ツマミやレバーで解除するタイプもあります。

滑り出し窓

窓枠の片辺(縦または横)を軸に、室外側へ滑り出すように開く窓です。
網戸のタイプ:窓が外に開くため、網戸は必ず室内側に設置されます。20年前の時期ですと、「ロール式(巻き取り式)」や「プリーツ式(折り畳み式、アコーディオン式)」が使われていることが多いです。

外し方:これらのタイプは、必ず窓を閉めた状態で行います。網戸はサッシとは独立しており、専用の枠ごと両面テープやビスで固定されています。そのため、枠自体を取り外す形になります。

内倒し窓

窓の上部を軸に、室内側に倒れて開く窓で、浴室やトイレ、キッチンなどの換気窓によく見られます。

網戸のタイプ:窓が室内側に開くため、多くの場合、屋外側に固定式の網戸がはめ込まれています。
外し方:屋外側からの作業となり、ビスで固定されていることが多いため、ドライバーなどが必要です。特に2階以上では、身を乗り出すことになり非常に危険なため、専門業者でなければ難しいケースが多いです。

ルーバー窓(ジャロジー窓)

細長いガラス板(ルーバー)が複数枚並び、ハンドルで角度を調整して開閉する窓です。古い浴室やトイレによく使われていました。
網戸のタイプ:多くの場合、室内側に設置されます。
外し方:滑り出し窓と同様、窓を閉めてから作業します。ロール式やプリーツ式、または室内側に固定されたパネルタイプの場合があります。

ロール式・プリーツ式

ご自宅の網戸が引違い窓以外の「ロール式」や「プリーツ式」の場合、20年の経過で深刻な不具合が出ている可能性が非常に高いです。

ロール式は内部の巻き取りバネがサビや劣化で機能しなくなり、プリーツ式は網の折り目が固着したり、ガイドの糸が切れたりしがちです。

これらのタイプは枠ごと取り外すことになりますが、強力な両面テープで固定されている場合、剥がす際に壁紙や窓枠を傷めるリスクも伴います。

古いトステム製の網戸の外し方

「トステム(TOSTEM)」は、かつて日本のサッシ市場で非常に高いシェアを誇ったメーカーであり、現在は「LIXIL(リクシル)」ブランドの一部となっています。

そのため、20年前の住宅でトステム製の網戸が使われているケースは非常に多いです。

20年前の古いトステム製網戸の外し方も、それが「引違い窓」用のパネルタイプ網戸であれば、基本的な手順はこれまで説明してきた方法(外れ止めを解除し、持ち上げて外す)と大きくは変わりません。

ただし、製品の年代やシリーズによって、外れ止めの形状や位置が微妙に異なるため、注意が必要です。

LIXIL(トステム)の外し方の基本

LIXIL(旧トステム)の引違い窓用網戸の多くは、網戸の上部左右の側面(外側または室内側)に外れ止め(振れ止め)があります。そこにプラスドライバーで回せるネジが確認できるはずです。

  1. まず、そのネジを反時計回り(左回り)に回して緩めます。

    注意:このネジは、外れ止め部品を固定しているだけの場合がほとんどです。完全に抜き取ってしまうと、部品が脱落して元に戻せなくなる可能性があるため、緩めるだけにしてください。

  2. ネジが緩むと、外れ止めの部品(L字型のフックなど)が上下にスライドできるようになります。
  3. 部品を一番下までスライドさせ、上部レールとの間に隙間を作ります。これを左右両方とも行ってください。
  4. これで網戸を上に持ち上げる隙間(遊び)ができるため、外す準備が整います。

LIXIL公式サイトの情報を確認

製品の型番や時期によって、外し方の詳細は異なります。最も確実なのは、メーカーの取扱説明書や現在のサポート情報を確認することです。

LIXILの公式サイトでは、現行品や一部の旧製品について、窓・網戸の外し方に関する情報が図解入りで公開されています。

(参照:LIXIL公式サイト )

もし、古いトステム製品でネジが見当たらない場合、前述の「ビス隠し」のフタが付いている可能性が考えられます。

また、YKK AP製の古い網戸(下部にスライド式の外れ止めがあるタイプ)のように、トステム製品でも一部のシリーズ(特にマンション用など)で特殊な機構が採用されていた可能性もゼロではありません。

まずは網戸の上部側面、次いで下部側面、そして室内側正面の順に、調整ネジや特殊なロック部品がないか、先入観を持たずにくまなく観察してみてください。

20年前の網戸が外れない時の対処法と外し方と手順

20年前の網戸が外れない時の対処法と外し方と手順

  • 20年前・30年前・40年前など古い網戸の正しい外し方や手順
  • 二階の網戸の外し方と安全対策
  • 網戸が外れないけど張り替えできる?
  • 網戸が外れない時はどうするべき?対処法5選

20年前・30年前・40年前など古い網戸の正しい外し方や手順

20年、30年、あるいは40年と経過した古い網戸を外す際、「力を入れたら壊してしまうのではないか」という不安が先に立つかもしれません。確かにその通りで、新品の網戸を外すときとは比較にならないほどの慎重さが求められます。

しかし、基本的な構造が「引違い窓」のパネルタイプであれば、外し方の手順自体は現在の網戸と大きくは変わりません。問題は、手順の複雑さではなく、各部品が経年劣化(固着・破損・歪み)している点にあります。

ここでは、トラブルを避け、安全に外すための正しい手順と、古い網戸特有の注意点をステップバイステップで詳しく解説します。

準備するもの

作業を始める前に、以下の道具を揃えておくと、固着したネジや部品に対応しやすくなり、作業がスムーズに進みます。

【推奨する道具リスト】

  • サイズの合うプラスドライバー:必須です。20年前のネジ山を潰さない(なめない)ために最も重要です。「2号」サイズ(PH2)が一般的ですが、ネジ頭に当ててみてガタつきのないものを選んでください。
  • 作業用手袋(滑り止め付き):必須です。サッシの角や劣化した部品での怪我を防ぎます。
  • 浸透潤滑剤(シリコンスプレー):ネジや戸車が固着している場合に使います。油系(CRC 5-56など)はホコリを呼んで固まり、逆効果になるため、必ずシリコン系を選んでください。
  • 使い古しの歯ブラシやブラシ:レールや部品周りに詰まった土埃やサビをかき出すために使います。
  • 懐中電灯:暗い上レールの中や、外れ止めの部品の状態を正確に確認するために役立ちます。
  • (あれば)保護メガネ:固着した汚れやサビ、劣化したプラスチック片が作業中に飛んでくることがあるため、安全のために推奨します。

ステップ1:外れ止め(振れ止め)の確認と解除

まず、網戸が強風などで落下しないようにロックしている「外れ止め(振れ止め)」を解除します。前述の通り、多くは網戸の上部左右の側面(室内側か外側)にあります。

  1. プラスドライバーを使い、外れ止めの固定ビスを反時計回り(左回り)に回して緩めます。
  2. 外れ止め部品(L字型のフックやプラスチック片)が上下にスライドできるようになったら、一番下までスライドさせます。
  3. これを網戸の左右両方で必ず行ってください。片方だけでは外れません。

固着したネジの対処法

20年、30年と経過したビスは、サビや汚れで固着している場合がほとんどです。ここで失敗(ネジ山を潰す)すると、外すのが極めて困難になります。

  • ネジ山を潰さない(なめない):サイズの合わないドライバーは絶対に使わないでください。ドライバーをビスに強く押し付けながら、「回す力3割:押す力7割」の感覚で、体重を乗せてゆっくりと力を込めて回します。
  • 固くて回らない場合:絶対に無理に回さず、まずネジ山周辺の汚れをブラシで徹底的に落とします。その後、浸透潤滑剤(シリコンスプレー)をネジの隙間にごく少量スプレーし、数分待ってから再度試します。
  • ビスは完全に抜かない:ビスは、外れ止め部品が動く程度に緩めるだけで十分です。完全に抜き取ってしまうと、部品がレール内に脱落して元に戻せなくなる恐れがあるため注意してください。

ステップ2:網戸を上に持ち上げる

外れ止めを左右とも確実に解除(一番下までスライド)したら、網戸のフレーム部分(左右の縦框)を両手でしっかりと持ちます。

そして、網戸全体を「真上」に持ち上げ、上レールに押し付けます。成功すれば、網戸の下部(戸車)と下レールとの間に数ミリ~1cm程度の隙間(遊び)ができるはずです。

【注意】持ち上がらない場合

ここで持ち上がらないのが、古い網戸が外れない最大の原因です。絶対に力ずくで持ち上げないでください。フレームが歪み、外れるものも外れなくなります。以下の原因を確認してください。

  • 原因:外れ止めが解除されていない→ ステップ1に戻り、外れ止めが本当に一番下まで下がっているか、左右両方とも懐中電灯で照らして確認してください。固着して下がりきっていない場合があります。
  • 原因:上レールにゴミが詰まっている→ 網戸を少し動かし、懐中電灯で上レールを照らしてください。20年分の土埃や虫の死骸が圧縮されて詰まり、物理的に上がらなくなっていることがあります。可能な限りブラシなどで清掃してください。
  • 原因:戸車が固着・破損している→ 下部レールが汚れていると、戸車がスムーズに動かず、持ち上げる力も分散してしまいます。網戸を左右に少し(数cm)ガタガタと揺さぶりながら持ち上げると、固着が外れて持ち上がることがあります。
  • 原因:建物や窓枠が歪んでいる→ 経年劣化で窓枠自体が歪み、物理的な「遊び(隙間)」が完全になくなっている可能性があります。この場合は自力での対処が困難です。

ステップ3:下のレールから外す

網戸を真上に持ち上げ、上レールに押し付けた状態をキープしたまま、網戸の下部を手前に引いて、下レールから外します。

この時、20年ものの戸車は劣化して割れていたり、レールに引っかかる感覚があるかもしれません。ゆっくりと手前に引き出し、戸車をレールから完全に外します。

戸車がレールに引っかかる場合の裏ワザ

戸車が割れていたり、レールに深く食い込んでいたりして、うまく手前に引き出せないことがあります。その場合は、レールやサッシを傷つけないよう、戸車とレールの隙間に(テコの原理で)薄いヘラ(パテ用など)や、使わなくなった丈夫なカードなどをそっと差し込み、戸車を「持ち上げて」手前に誘導するようにすると外れやすいです。無理やりこじ開けないよう注意してください。

ステップ4:上のレールから外す

網戸の下部が下レールから完全に外れたら、あとは簡単です。持ち上げていた網戸全体を「斜め下」にずらしながら、上レールに引っかかっている網戸の上部を手前に引き抜くようにして外します。

【注意】落下の危険!

網戸がレールから解放される最後の瞬間です。古い網戸はアルミ枠だけでも意外な重さがあります。重さで手を滑らせて落とさないよう、最後までしっかりと両手でフレームを握っていてください。特に二階以上の場合は、絶対に落とさないよう細心の注意が必要です。

古い網戸を扱う際の注意事項

20年、30年と経過したアルミサッシは、見た目以上に劣化していることがあります。特に枠の切断面(角)は鋭利になっている場合があり、素手で触ると深く手を切る恐れがあります。必ず滑り止め付きの作業用手袋を着用してください。

また、全ての動作は「ゆっくりと、慎重に」行うことが鉄則です。固着しているからといって、絶対に力ずくで(バールでこじ開ける、金槌で叩くなど)行わないでください。網戸のフレームが「く」の字に変形したり、さらに悪いことに建物側のサッシレールを傷つけたりして、取り返しのつかないことになります。

これらの手順を踏んでも外れない場合は、建物の歪みや部品の完全な破損が考えられます。その場合は自力での作業を諦め、専門のサッシ業者に相談することを強く推奨します。

二階の網戸の外し方と安全対策

一階の窓とは異なり、二階(またはそれ以上の高所)の網戸を外す作業は、重大な人身事故に直結する危険を伴います。最優先すべきは網戸の修理ではなく、ご自身の安全確保です。

最大の危険:落下と転落

二階の網戸外しには、主に二つの大きなリスクが存在します。

網戸本体の落下:外す瞬間に手を滑らせたり、急に外れてバランスを崩したりして、網戸本体を階下へ落下させてしまう危険性。下に人がいれば重大な事故になりますし、物(車やエアコン室外機など)に当たれば深刻な物損事故につながります。

作業者自身の転落:これが最も致命的なリスクです。室内側から作業する場合でも、固着した網戸を外すためには、窓から身を乗り出すような無理な体勢になりがちです。その瞬間にバランスを崩して転落するリスクが常に伴います。

特に20年前の古い網戸は、前述の通り汚れや歪みで固着しているため、外す瞬間に「どれくらいの力で外れるか」の予測がつきません。予期せぬ力が必要になったり、逆に力を入れた瞬間に急に外れてしまったりして、バランスを崩しやすいのです。

高所作業の安全対策

一般家庭の作業であっても、高所からの転落事故は後を絶ちません。例えば、消費者庁は脚立からの転落事故などについて繰り返し注意喚起を行っており、不安定な足場での作業がいかに危険かを指摘しています。(参照:消費者庁「窓の掃除や電球の交換、庭木の手入れなどで...脚立等からの転落事故に御注意ください!」

二階の窓枠に身を乗り出す行為は、これらと同等、あるいはそれ以上に危険な行為です。

  • 絶対に一人で作業しない:万が一の事故に備え、必ず補助者をつけ、室内で体を支えてもらう、または状況を監視してもらう体制を取ってください。
  • 無理な体勢をとらない:窓から身を乗り出しすぎるのは厳禁です。足場を安定させ、手が届く範囲のみで作業します。
  • 天候の確認:雨や雪の日、または強風の日は、手が滑りやすく、網戸が風にあおられるため、絶対に作業を中止してください。

結論として、二階の網戸が外れない(=固着している)場合、自力での作業は強く推奨しません

網戸が外れない時点で、すでにレールや外れ止めの清掃、調整といった作業が必要になっており、それらは室内から安全に行うのが困難な場合が多いためです。

作業中に少しでも「危ない」「怖い」と感じたら、それは正しい危険信号です。

その場で作業を中断してください。網戸の張り替え費用や修理費用は、万が一の事故で被る損害とは比較になりません。無理をせず、専門のサッシ業者やリフォーム業者に依頼することを強くお勧めします。

網戸が外れないけど張り替えできる?

「網戸が外れないと、網の張り替えは絶対にできない」と考えるのが普通です。そして、自力(DIY)で行う場合は、その通りです。しかし、結論から言えば「専門業者であれば対応可能」です。

自力(DIY)での張り替えは困難

網戸の網を張り替える作業は、通常、網戸のフレームをサッシから取り外し、床などの広くて平らな場所に置いて行います。

サッシに固定されたままの垂直な状態で、古い網を固定しているゴム(ビート)を外し、新しい網をたわみなくピンと張り、再度ゴムをはめ込む作業は、物理的にほぼ不可能です。

そのため、ご自身で張り替えたい場合は、まず「網戸を外す」という最初のハードルを越えることが必須条件となります。

専門業者への依頼という選択肢

網戸が外れない状態でも、プロの専門業者(サッシ屋、リフォーム会社、便利屋など)であれば、多くの場合対応可能です。

業者の対応は、単に「張り替える」だけではありません。

  1. 原因の診断:まず、なぜ網戸が外れないのか(戸車の破損か、レールの汚れか、歪みか)を診断します。
  2. 取り外し作業:長年の経験と専門知識、専用の工具(CRC、強力な吸盤、サッシ用の特殊なバールなど)を駆粋使して、サッシを傷つけないよう慎重に網戸を外すことを試みます。
  3. 張り替え・修理:無事に外すことができれば、網を張り替え、必要に応じて固着した戸車の交換や調整も行い、スムーズに動く状態にしてから元に戻します。

もし、専門業者の技術をもってしても外れないほど深刻な歪みや固着がある場合、または外すことでサッシ側を破損するリスクが高すぎると判断された場合は、網戸のフレームごと交換する提案がなされます。

20年前の網戸の場合、そもそも修理に必要な部品(特に専用設計の戸車や外れ止め)が手に入らないことがほとんどです。多くのメーカーでは、補修用部品の供給期間を「生産終了後10年程度」と定めていることが一般的です。

20年前の製品は、この期間を大幅に過ぎているため、修理(部品交換)は実質不可能であり、網戸一式の交換が唯一の選択肢となるケースも少なくありません。

つまり、「外れない網戸を(そのまま)張り替える」のではなく、「外れない網戸を外すプロに依頼して、張り替えてもらう(または、診断の結果、交換してもらう)」という選択肢になります。

網戸が外れない時はどうするべき?対処法5選

網戸が外れない時、すぐに諦めたり、力ずくで動かしたりする前に、試していただきたい基本的な対処法を5つ紹介します。

20年前の古い網戸でも、原因が「汚れ」や「簡単なズレ」であれば、これらのメンテナンスで動くようになる可能性があります。

レールと戸車周辺の徹底的な清掃

最も基本的かつ、非常に効果的な対処法です。20年分の砂埃やゴミが圧縮され、固着していることが、動かない最大の原因かもしれません。

  • 用意するもの:使い古しの歯ブラシ、先端の細いマイナスドライバー、掃除機(隙間ノズル)、雑巾
  • 手順:
    1. まず、掃除機の隙間ノズルで、レールに詰まった大きなゴミや乾いた砂埃をできるだけ吸い取ります。
    2. レールの溝の角や、戸車が乗る部分にこびり付いた固い汚れを、歯ブラシやマイナスドライバーの先端などで慎重にこそぎ落とすようにかき出します。(※レールを傷つけないよう注意)
    3. 再度、掃除機で浮いた汚れを吸い取ります。
    4. 最後に、水で濡らして固く絞った雑巾で、レール全体を拭き上げます。

これだけで戸車の可動域が確保され、網戸が動くようになる場合があります。

外れ止めの再確認と清掃

前述の通り、外れ止めが正しく解除されていない、または固着している可能性があります。

    • 確認:外れ止めのネジは本当に緩んでいますか? 部品は一番下まで下がっていますか?
    • 対処:ネジが回らない、または部品がスライドしない場合、その周辺に詰まったホコリをブラシでかき出し、水洗い(霧吹きなどで)してみてください。固まった汚れが落ちると、あっさり動くようになることがあります。

戸車の高さ調整

多くの網戸は、側面(下部)に戸車の高さを微調整するためのネジが付いています。網戸が傾いてレールに食い込んでいる場合、この調整で傾きを補正できることがあります。

対処:網戸の側面(主に室内側から見える下部)にある調整ネジを探します。

このネジをプラスドライバーで回すことで、戸車がわずかに上下します。回す方向(上げ/下げ)は製品によって異なりますので、少しずつ(例:90度ずつ)回しながら、網戸の動きが軽くなるか、または持ち上げられるようになるかを確認してください。

潤滑剤・シリコンスプレーの適切な使用

戸車やレールの滑りが悪い場合、潤滑剤が有効です。ただし、使用する種類を間違えると逆効果になります。

油(オイル)系潤滑剤は絶対NG!

CRC 5-56などの油(オイル)系の潤滑剤は、短期的には滑りが良くなりますが、絶対に使用しないでください。油分がベタベタするため、すぐに新しい砂埃やゴミを吸着し、以前よりもひどい固着(お団子状態)を引き起こします。また、樹脂(プラスチック)製の戸車を侵して劣化させる可能性もあります。

対処:必ずシリコンスプレー(滑走剤)を使用します。

シリコンスプレーはベタつかず、ホコリを呼び寄せにくいため、サッシレールや戸車に最適です。戸車の軸部分やレールに少量吹きかけると、滑りが劇的に改善することがあります。

最終手段は専門業者への依頼

上記の1~4を試しても網戸がビクともしない場合、あるいは「歪み」が明らかでどうしようもない場合は、それが自力での限界です。

対処:無理に作業を続けると、網戸のフレームや窓枠のサッシを確実に壊します。

そうなると、修理費用が数千円で済んだはずのものが、数万円~数十万円の交換費用にかさむことになります。プライドを捨て、地元のサッシ(鋼製建具)専門業者や、信頼できる工務店に「網戸が外れないので、診断と見積もりをお願いします」と相談しましょう。

20年前の網戸が外れない時の最終手段:まとめ

20年前の網戸が外れない場合、清掃や調整といった自力での対処法をすべて試しても、解決しないケースは多々あります。その原因は、もはや「汚れ」や「部品のズレ」といったメンテナンスのレベルではなく、「部品の物理的な破損」や「建物の構造的な歪み」といった、根本的な問題に達している可能性が極めて高いからです。

このような状況での合理的かつ唯一の最終手段は、「専門業者に依頼する」ことです。

「たかが網戸ごときに業者を呼ぶのは大げさだ」と感じるかもしれませんが、無理をして自力で外そうと試みた結果、網戸のフレームを無残に曲げてしまったり、窓枠のアルミレールを削ってしまったりすると、単なる網戸の張り替えでは済まなくなります。

最悪の場合、窓枠のサッシ一式の交換が必要になるなど、高額な修理費用が発生するリスクを常に伴います。

専門のサッシ業者やリフォーム業者であれば、状況を的確に診断し、最善の策を提案してくれます。

専門業者ができること

  • 原因の特定:固着の原因が戸車か、レールか、外れ止めか、あるいは建物の歪みかを正確に診断します。
  • 安全な取り外し:専門の道具(サッシ専用の工具や吸盤など)を使い、建物側を傷つけないよう最大限配慮しながら、固着した網戸を取り外します。
  • 部品の調達と交換:20年前の製品でも、代替可能な汎用戸車や部品の知識を持っており、修理可能な場合は適切な部品で対応します。
  • 交換の提案:修理が不可能な場合(専用部品が廃番、歪みが深刻など)は、窓を正確に採寸し、最適な交換用網戸(フレームごと)を製作・設置します。
  • 高所作業の安全な実施:二階以上の窓であっても、安全対策を講じた上で適切に作業を行います。

20年という節目は、多くの住宅設備がそうであるように、網戸が寿命を迎える時期でもあります。自力での作業に少しでも危険や困難を感じた場合は、決して無理をせず、速やかにプロの判断を仰ぐことが、結果的に最も安全かつ経済的な解決策となります。

最後に、この記事の要点をリストでまとめます。

  • 20年前の網戸が外れない原因は戸車の破損や歪み
  • レールや戸車に蓄積した20年分の汚れやゴミの固着
  • 外れ止めがズレてレールに食い込んでいる
  • 外れ止めが汚れやサビで固着して動かない
  • 建物や窓枠の歪みで網戸が圧迫されている
  • 網戸の網の寿命は約5~10年、枠(アルミサッシ)は約20~30年
  • 歪みは窓枠と網戸の隙間の均等性で確認できる
  • 歪みが原因の場合、無理に外そうとするとサッシを破損する恐れがある
  • 外れ止めは網戸の上部左右の側面にあることが多い
  • 外れ止めが見えない場合、ビス隠しのフタや特殊なロック機構の可能性がある
  • 網戸の種類(引違い、ロール式、プリーツ式)によって外し方は全く異なる
  • トステム(LIXIL)製も基本は上部側面のネジで外れ止めを調整する
  • 古い網戸の外し方は「外れ止め解除→上に持ち上げる→下レールから外す」
  • 作業時は必ず滑り止め付きの手袋を着用する
  • 二階の網戸外しは落下・転落の危険性が非常に高いため推奨しない
  • 網戸が外れない状態での自力張り替えはほぼ不可能
  • 専門業者は外れない網戸を外す技術を持っている
  • 対処法はレール清掃、外れ止め調整、戸車高さ調整、シリコンスプレー塗布
  • 油系潤滑剤(CRC 5-56など)はホコリを吸着するため絶対に使用しない
  • 自力で外せない場合は速やかに専門業者に依頼する
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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