エコキュート・給湯器

エコキュートの給湯温度50度が電気代節約になるのは本当か?プロが解説

2025年9月15日

「エコキュートの給湯温度は50度の設定がいいと聞いたけれど、電気代は本当に安くなるの?」と疑問に思っていませんか。エコキュートの給湯温度を何℃に設定したらいいか迷う中で、電気代の節約になる温度は何度なのか、具体的な情報を探している方も多いでしょう。

特に、パナソニックやダイキンのエコキュートでおすすめの給湯温度や、コロナのエコキュートの給湯温度設定の仕方など、メーカーごとの違いも気になります。

この記事では、エコキュートの給湯温度を50度に設定するメリットとは何かを基本から解説します。

夏場の給湯温度の設定は50度がおすすめと言われる一方で、冬場の給湯温度の設定は50度よりやや高くするのがおすすめとされる理由や、45度やエコキュートの給湯温度60度での電気代の違いについても比較検証します。

さらに、エコキュートの温度設定50度で節約できる場合とできない場合の違いや、電気代節約のカギは運転モードにあるのか、給湯温度の設定以外のエコキュートの節約術まで、季節別のエコキュートの最適な設定温度を含めて網羅的にご紹介します。

ポイント

  • なぜエコキュートの給湯温度は50度が推奨されるのか
  • 季節やメーカーごとに最適な設定温度の目安
  • 50度設定で電気代が節約できる場合とできない場合の違い
  • 温度設定以外にも効果的な電気代の節約テクニック

エコキュートの給湯温度50度で電気代は変わるのか?

エコキュートの給湯温度50度で電気代は変わるのか?

  • エコキュート給湯温度何度に設定したらいい?
  • 給湯温度を50度に設定するメリットとは?
  • 60度の電気代と45度設定はどう違う?
  • 【季節別】エコキュートの最適な設定温度
  • 夏場の給湯温度の設定は50度がおすすめ
  • 冬場の給湯温度は50度より高くするのがおすすめ

エコキュートの給湯温度は何度に設定したらいい?

エコキュートの給湯温度を何度に設定するのが最も効率的か、という問いに対して、多くのメーカーや専門家が推奨しているのが「50℃〜60℃」の範囲です。一見すると、実際に使用する40℃前後のお湯よりも高い温度に設定するのは無駄に感じるかもしれません。

しかし、この高めの温度設定には、エコキュートの仕組みと私たちの生活スタイルに深く関わる合理的な理由があります。エコキュートは、貯湯タンクに貯めた高温のお湯と水道水を混ぜて、設定した温度のお湯を供給する仕組みです。そのため、タンク内のお湯の温度をある程度高く保っておくことが、結果的に快適性と省エネ性の両立につながるのです。

次の項目からは、なぜ50℃設定が推奨されるのか、その具体的なメリットについて詳しく解説していきます。

給湯温度を50度に設定するメリットとは?

エコキュートの給湯温度を50℃に設定することには、電気代の節約効果だけでなく、快適性や衛生面、さらには関連機器の保護といった複数のメリットが存在します。

混合水栓の性能を最大限に引き出す

浴室のシャワーなどで一般的に使われるサーモスタット混合水栓は、給湯器からのお湯と水道水を混ぜて設定温度を保ちます。給湯器の設定温度が使用したい温度に近すぎると(例:給湯器40℃、シャワー38℃)、水栓は非常に微妙な調整を強いられ、内部の部品に大きな負荷がかかります。50℃に設定しておくことで、水栓は十分な量の水を混ぜてスムーズに温度調整を行えるため、故障リスクの低減につながります。

水圧の向上が期待できる

エコキュートは貯湯式のため、水道直圧式のガス給湯器に比べてシャワーの水圧が弱いと感じることがあります。給湯温度を50℃に設定し、水栓で水を多めに混ぜることで、水道水の圧力が加わり、体感的な水圧が向上する効果が期待できます。

衛生面での安心感

レジオネラ菌などの雑菌は、20℃〜45℃のぬるい温度で最も繁殖しやすいとされています。給湯器の配管内を衛生的に保つ観点からも、菌が死滅し始める50℃以上に設定しておくことが推奨されます。家族の健康を守る上でも、この温度設定は理にかなっているのです。

結果的な光熱費の節約

40℃などの低温設定では、お湯がぬるく感じてシャワー時間が長くなったり、お風呂が冷めやすくて追い焚きの回数が増えたりしがちです。50℃設定であれば、短時間で快適な温度のお湯が使えるため、無駄なお湯の使用を防ぎ、トータルの電気代や水道代を抑えることにつながります。

60度の電気代と45度設定はどう違う?

50℃を基準として、それより高い60℃や低い45℃に設定した場合はどうなるのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを理解することが大切です。

60℃設定が有効なケース

60℃の高い設定は、特にお湯の消費量が多いご家庭や、冬場の寒い時期に有効です。タンク内のお湯の温度が高いほど、より多くの水道水と混ぜることができるため、実質的に使えるお湯の量が増え、湯切れのリスクを減らせます。また、冬場は配管が冷えているため、60℃で送り出しても蛇口に着く頃にはちょうど良い温度になることがあります。ただし、常時60℃に設定すると、その分お湯を沸かすための電気代は高くなる傾向にあり、火傷のリスクにも注意が必要です。

45℃設定の考え方

45℃は、サーモスタット混合水栓への負荷を考えると、できれば避けたい40℃よりは望ましい設定です。しかし、衛生面(レジオネラ菌対策)や、冬場にぬるく感じやすい点を考慮すると、万全とは言えません。光熱費を少しでも抑えたい場合に選択肢となりますが、使用感や快適性が損なわれる可能性も考慮する必要があります。

【春夏秋冬|季節別】エコキュートの最適な設定温度

エコキュートの効率的な運用のためには、季節ごとの外気温や水道水の温度変化に合わせて、給湯温度をこまめに見直すことが非常に効果的です。年間を通して同じ設定のままにするのではなく、一手間加えることで、快適性を損なわずに無駄な電気代を削減できます。

季節推奨設定温度(目安)主な理由夏50℃・水道水の温度が高いため、お湯を沸かすエネルギーが少なくて済む

・外気温が高く、配管からの放熱ロスが少ない春・秋50℃~55℃・気候が安定しており、中間的な設定で快適性を保ちやすい

・朝晩の冷え込みに応じて微調整するのがおすすめ冬55℃~60℃・水道水の温度が低く、お湯を沸かすのにより多くのエネルギーが必要

・配管からの放熱ロスが大きいため、高めの設定でないとぬるく感じる

夏場の給湯温度の設定は50度がおすすめ

夏場は、エコキュートの電気代を最も節約しやすい季節です。給湯温度の設定は50℃が最適と考えられます。

その理由は、第一に水道水の温度が冬場に比べて15℃〜20℃も高くなるため、お湯を沸かすために必要なエネルギーが少なくて済むからです。また、外気温が高いため、給湯器から蛇口までの配管を通る間にお湯が冷めにくく、50℃の設定でも十分な温かさを感じられます。

シャワーを浴びる機会が増える季節ですが、低温設定にしなくても快適に使えるため、無駄な電力消費を抑えることができます。

冬場の給湯温度は50度より高くするのがおすすめ

冬場は夏場とは逆の理由で、給湯温度を55℃〜60℃と少し高めに設定することをおすすめします。

冬になると水道水の温度は5℃近くまで下がることがあり、これを温めるためには夏場よりはるかに多くのエネルギーが必要です。さらに、外気温が低いため、貯湯タンクからお風呂やキッチンまでの長い配管を通る間に、お湯の熱が奪われてしまいます(放熱ロス)。

この結果、給湯器を50℃に設定していても、実際に蛇口から出るお湯は45℃程度まで下がってしまうことも少なくありません。快適なバスタイムや効率的な食器洗いのために、あらかじめ温度低下分を見越して高めに設定しておくことが、結果的に満足度と節約につながるのです。

エコキュートの給湯温度を50度にして電気代を節約

エコキュートの給湯温度を50度にして電気代を節約

  • パナソニックとダイキンのおすすめ給湯温度
  • コロナエコキュートの給湯温度設定の仕方
  • 50度設定で節約できる場合とできない場合
  • 節約のカギは運転モード?設定以外の節約術

パナソニックとダイキンのおすすめ給湯温度

主要メーカーは、それぞれ独自の省エネ機能を搭載しており、それを活用することが賢い使い方につながります。

パナソニックのおすすめ給湯温度と機能

パナソニック製エコキュートは、「おまかせ節約モード」が特徴です。このモードに設定しておけば、過去7日分のお湯の使用量を学習し、ご家庭のライフスタイルに合わせて沸き上げ温度(約65℃〜90℃)と湯量を自動で最適化してくれます。そのため、基本的な給湯温度は50℃〜60℃の範囲で設定しつつ、運転モードを「おまかせ節約」にしておくのが最もおすすめです。

ダイキンのおすすめ給湯温度と機能

ダイキン製エコキュートも同様に、過去の使用状況から学習して無駄なく沸き上げる「おまかせモード」を搭載しています。こちらも、基本的な給湯温度は50℃〜60℃に設定した上で、「おまかせモード」に任せるのが効率的です。ダイキンはパワフルな給湯にも定評があるため、冬場でも快適なお湯を供給する能力に長けています。

コロナエコキュートの給湯温度設定の仕方

コロナ製エコキュートにも、過去の使用湯量を学習して最適な湯量を沸かす「おまかせ省エネモード」が搭載されています。給湯温度の設定方法はリモコンで簡単に行えますが、基本的な考え方は他のメーカーと同じです。

  1. 季節やライフスタイルに合わせて、給湯温度を50℃〜60℃の間で設定します。
  2. 運転モードを「おまかせ省エネ」に設定します。

これにより、エコキュートが自動で使用状況を判断し、最も効率的な沸き上げを行ってくれます。来客などでお湯の使用量が一時的に増える場合は、手動で「湯増し」設定を行うことで、湯切れを防ぐことができます。

50度設定で節約できる場合とできない場合

エコキュートの給湯温度を50℃に設定することが、必ずしも全ての家庭で節約につながるわけではありません。効果が出る場合と、逆効果になる場合があることを理解しておく必要があります。

節約できる場合

  • お湯の使用量が比較的安定している家庭: 毎日の使用量が大きく変動しない場合、夜間に沸かしたお湯を無駄なく使い切れるため、最も効率的です。
  • 家族の入浴時間がまとまっている家庭: 追い焚きや保温の時間が短くて済むため、タンクの熱を有効活用できます。

節約できない(逆効果になる)場合

  • 日中にお湯を大量に使う家庭: 夜間に沸かしたお湯が足りなくなり、電気代が割高な日中に頻繁に「沸き増し」を行うと、かえって電気代が高くなります。
  • タンク容量が家族の人数に合っていない家庭: 小さすぎるタンクでは日常的に湯切れを起こし、日中の沸き増しが必須になってしまいます。

ご自身の家庭のライフスタイルを見直し、日中の沸き増しが頻繁に発生していないかを確認することが大切です.

節約のカギは運転モード?設定以外の節約術

給湯温度の設定に加えて、エコキュートの運転モードや使い方を少し工夫するだけで、電気代はさらに削減できます。

電気代節約のカギは運転モード

多くのエコキュートには、過去のお湯の使用量を学習して、無駄な沸き上げを自動で抑制する「おまかせモード」や「省エネモード」が搭載されています。特別な事情がない限り、これらのモードに設定しておくことが節約の基本です。逆に、常に満タンまで沸かす設定にしていると、お湯が余ってしまい無駄が生じます。

設定以外の節約術

  • 追い焚きより「高温足し湯」: お風呂のお湯がぬるくなった場合、追い焚きはタンクの熱を消費しますが、「高温足し湯」はタンクのお湯を直接加えるため、より効率的です。
  • 休止モードの活用: 旅行などで長期間家を空ける際は、必ず「沸き上げ休止設定」をしましょう。無駄な保温や沸き上げを完全に停止できます。
  • ピークカット設定: 電気料金プランに、特に料金が高い時間帯(ピークタイム)がある場合、その時間帯の沸き上げを停止する「ピークカット設定」を活用すると効果的です。

これらの小さな工夫を組み合わせることで、エコキュートの省エネ性能を最大限に引き出すことが可能になります。

まとめ:エコキュートの給湯温度50度と電気代の関係性

この記事で解説した、エコキュートの給湯温度と電気代に関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • エコキュートの推奨給湯温度は50℃〜60℃
  • 50℃設定は衛生面や混合水栓の保護に有効
  • 結果的に水道代や電気代の節約につながることが多い
  • 季節に合わせて設定温度を見直すのが賢い使い方
  • 夏は50℃、冬は55℃〜60℃が目安
  • パナソニックやダイキンは「おまかせモード」の活用がおすすめ
  • コロナも「おまかせ省エネモード」で自動最適化
  • 60℃設定は湯切れ防止に有効だが電気代は上がる傾向
  • 45℃設定は快適性や衛生面でやや懸念が残る
  • 日中の沸き増しが多い家庭では50℃設定が逆効果になることも
  • 節約のカギは「おまかせ」などの運転モード設定
  • 追い焚きよりも「高温足し湯」が効率的
  • 長期不在時は「沸き上げ休止」を忘れずに
  • ご家庭のライフスタイルに合わせた設定が最も大切
  • 温度設定と使い方を工夫して快適な節約を実現
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

-エコキュート・給湯器