エコキュートの導入を検討している、あるいはすでにご利用中の方で、エコキュートで入浴剤は使えるのか?という疑問をお持ちではないでしょうか。
リラックスタイムに欠かせない入浴剤ですが、エコキュートで使うにはダメな理由と壊れる理由や原因があり、注意が必要です。特に、入浴剤のにごり湯タイプは故障につながる可能性があり、エコキュートに適さない入浴剤を知らずに使うと、入浴剤が原因で壊れたという事態になりかねません。
この記事では、追い炊きしない場合の使い方や、人気のバブはエコキュートで使えますか?といった具体的な疑問にお答えします。
さらに、三菱・パナソニック・ダイキンといった主要メーカーごとに、エコキュートに使える入浴剤はコレ、という形で具体的に紹介します。三菱エコキュートで追い焚きしない場合の注意点や、万が一エコキュートで使えない入浴剤を入れた時の対処法まで、詳しく解説していきます。
目次
エコキュートで入浴剤がダメな理由と仕組み
- そもそもエコキュートで入浴剤は使えるのか
- ダメな理由と壊れる理由や原因
- エコキュートに適さない入浴剤の種類
- にごり湯タイプの入浴剤がダメな訳
- エコキュートで使える入浴剤の特徴
そもそもエコキュートで入浴剤は使えるのか
エコキュートを設置していても、入浴剤の使用を諦める必要はありません。実際には、すべての入浴剤が使えないわけではなく、「使えるもの」と「使えないもの」が存在します。
この違いが生まれる最大の理由は、エコキュートの給湯タイプにあります。エコキュートには、主に「フルオートタイプ」「オートタイプ」「給湯専用タイプ」の3種類があります。このうち、入浴剤の使用に特に注意が必要なのは「フルオートタイプ」です。
フルオートタイプは浴槽のお湯を循環させて温め直す「追いだき機能」や「自動保温機能」が備わっています。このお湯を循環させる仕組みが、特定の入浴剤成分と相性が悪いのです。一方で、お湯の循環機能がない給湯専用タイプやオートタイプでは、浴槽や配管を傷めない成分のものであれば、基本的に問題なく使用できます。このように、お使いのエコキュートのタイプによって条件が異なる点をまず理解しておくことが大切です。
ダメな理由と壊れる理由や原因
フルオートタイプのエコキュートで入浴剤の使用が制限される根本的な理由は、その「追いだき」や「自動保温」の仕組みにあります。これらの機能は、浴槽のお湯を配管を通じてエコキュート本体(ヒートポンプユニット)に戻し、温め直してから再び浴槽へ送り返すことでお湯の温度を保ちます。
このとき、浴槽のお湯に入浴剤が溶けていると、その成分も一緒にお湯と循環することになります。入浴剤に含まれる特定の成分が、エコキュートの精密な部品や配管に悪影響を及ぼし、故障の原因となるのです。
例えば、硫黄や塩分といった成分は、配管や熱交換器などの金属部品を腐食させ、サビや水漏れを引き起こす可能性があります。また、にごり成分や溶け残った固形物は、フィルターや配管内部に付着・堆積し、お湯の流れを妨げる詰まりの原因となります。これが悪化すると、追いだきができなくなったり、センサーが誤作動を起こしたりと、様々な不具合につながります。
エコキュートに適さない入浴剤の種類
エコキュート、特にフルオートタイプでの使用を避けるべき入浴剤には、いくつかの共通した特徴があります。故障のリスクを避けるために、以下のような成分や種類を含む入浴剤は使用しないようにしましょう。
硫黄・酸・アルカリ・塩分を含むもの
温泉成分を模した入浴剤に多く含まれるこれらの成分は、エコキュート内部の金属部品を腐食させる大きな原因となります。バスソルトなども塩分を多く含むため、使用は避けるべきです。
白濁する「にごり湯」タイプ
お湯が白や乳白色に濁るタイプの入浴剤には、炭酸カルシウムや酸化チタンといった無機物が含まれていることが多いです。これらの成分は水に溶け切らず、配管内やフィルターに付着して蓄積し、頑固な詰まりを引き起こす可能性があります。
固形物が溶け残るタイプ
ゆず湯や菖蒲湯に使う植物そのものや、生薬、ハーブなど、お湯に溶けない固形物が含まれるタイプも注意が必要です。これらはフィルターの目詰まりを直接引き起こす原因となります。
発泡するタイプ
炭酸ガスによって発泡するタイプの入浴剤は、発生した泡がセンサーの誤作動を招くことがあります。また、製品によっては弱酸性となり、長期的な使用で配管に影響を与える可能性も考えられます。
にごり湯タイプの入浴剤がダメな訳
前述の通り、エコキュートに適さない入浴剤の中でも、特に注意喚起されることが多いのが「にごり湯」タイプです。なぜ、にごり湯はとりわけ故障のリスクが高いのでしょうか。
その理由は、にごりの元となる成分の性質にあります。にごり湯の多くは、「酸化チタン」や「炭酸カルシウム」といった、水に溶けない無機顔料や鉱物系の粉末を配合することであのお湯の色を作り出しています。これらは非常に細かい粒子ですが、完全には溶解しません。
追いだき機能を使うと、この溶けていない微粒子がお湯と一緒に配管内を循環します。そして、配管の接続部分やフィルター、熱交換器といった複雑な構造の箇所に少しずつ付着し、蓄積していきます。これが水垢などと結びつくと、セメントのように硬化してしまい、簡単には除去できない頑固な詰まりとなってしまうのです。
詰まりが発生すると、お湯の循環がうまくいかなくなり、追いだき効率の低下や、最悪の場合はポンプの故障につながります。一部の最新機種ではにごり湯に対応しているものもありますが、基本的には使用を避けるのが無難と言えます。
エコキュートで使える入浴剤の特徴
一方で、各メーカーが使用を認めている入浴剤には、共通する特徴があります。これらを把握しておけば、入浴剤選びで失敗するリスクを減らすことができます。
透明タイプであること
最も分かりやすい特徴は、お湯に溶かした際に透明であることです。前述の通り、白濁する成分は詰まりの原因になりやすいため、メーカー推奨品のほとんどは透明タイプとなっています。
固形物が含まれていないこと
生薬やハーブ、フルーツピールといった固形物が含まれていないことも大切なポイントです。フィルターの目詰まりを避けるため、お湯に完全に溶け切るタイプを選びましょう。
腐食性のある成分を含まないこと
硫黄、酸、アルカリ、塩分といった金属を腐食させる成分が含まれていないことが絶対条件です。成分表示を確認する習慣をつけると良いでしょう。
これらの特徴を持つ入浴剤であれば、エコキュートへの負担が少なく、安心して使用できる可能性が高まります。ただし、最終的な判断は各エコキュートメーカーの公式な案内に従うことが最も確実です。
エコキュートで入浴剤がダメな理由と対処法
- バブはエコキュートで使えますか?
- 三菱・パナソニック・ダイキン推奨品はコレ
- 入浴剤は追い炊きしないなら大丈夫?
- 三菱エコキュートで追い焚きしない場合
- 入浴剤が原因で壊れた時の対処法
バブはエコキュートで使えますか?
多くの方が愛用している花王の「バブ」は、エコキュートで使用できるか気になる代表的な入浴剤の一つです。
結論から言うと、主要なエコキュートメーカーの多くが、花王の「バブ」シリーズ(透明タイプ)の使用を認めています。炭酸ガスによる発泡はありますが、その成分がエコキュートに深刻なダメージを与える可能性は低いと判断されているためです。
ただし、注意点もいくつかあります。まず、同じ「バブ」シリーズであっても、「にごり湯」タイプは使用が推奨されていないメーカーがほとんどです。購入時にはパッケージをよく確認し、「透明タイプ」を選ぶようにしてください。
また、メーカーや機種の発売時期によっても対応状況は異なります。例えば、古い機種の場合は発泡タイプ自体を推奨していないことも考えられます。ご自宅のエコキュートの取扱説明書を確認するか、メーカーの公式サイトで最新の対応情報をチェックすることが最も確実な方法です。安心して楽しむためにも、事前の確認を忘れないようにしましょう。
三菱・パナソニック・ダイキン推奨品はコレ
エコキュートで安心して使える入浴剤は、メーカーによって推奨品が異なります。ここでは、主要なメーカーである三菱、パナソニック、ダイキンの対応状況をまとめました。
メーカー | 推奨されている主な入浴剤ブランド | 特徴・注意点 |
パナソニック | ・花王「バブ」シリーズ ・バスクリン「バスクリン」「きき湯」 ・アース製薬「バスロマン」 | にごりタイプ、パウダー配合タイプは使用できません。 |
三菱電機 | ・花王「バブ」シリーズ ・バスクリン「バスクリン」 ・アース製薬「バスロマン」 ・バンダイ「あわ入浴剤」など | 泡風呂に対応しているのが特徴です。ただし、同じブランドでもにごりタイプは使用不可の場合があります。 |
ダイキン | ・花王「バブ」シリーズ ・バスクリン「バスクリン」「きき湯」「日本の名湯」「ソフレ」 ・アース製薬「バスロマン」「温泡」 | 現行モデルではバスクリン製のにごり湯タイプに対応しているのが大きな特徴です。 |
このように、多くのメーカーで「バブ」や「バスクリン」の透明タイプは共通して使用できる傾向にあります。しかし、ダイキンがにごり湯に一部対応しているなど、メーカーごとの細かな違いも存在します。
上記はあくまで一例であり、お使いの機種や発売年度によって対応製品が異なる場合があります。ご使用の際は、必ずご自宅のエコキュートの取扱説明書やメーカーの公式サイトで最新の情報を確認してください。
入浴剤は追い炊きしないなら大丈夫?
「入浴剤がダメな理由は追いだき機能にあるなら、追いだきをしなければどんな入浴剤を使っても大丈夫?」と考える方もいるかもしれません。
この考え方は、半分正しく、半分注意が必要です。確かに、入浴剤の成分がエコキュート本体に影響を与えるのは、お湯が配管を循環する「追いだき」や「自動保温」が主な原因です。したがって、これらの機能を一切使わないのであれば、故障の直接的なリスクは大幅に低減します。
入浴後に毎回お湯を抜き、自動配管洗浄機能なども含めてお湯が循環しないように徹底できるのであれば、理論上は非推奨の入浴剤も使用できる可能性はあります。
しかし、この使い方には注意が必要です。うっかり追いだきボタンを押してしまったり、自動保温機能がオンになっていることに気づかなかったりする可能性があります。たった一度でも循環させてしまうと、配管内に成分が入り込んでしまうかもしれません。また、メーカーの保証対象外の行為となるため、もし故障した際に修理費用が自己負担になるリスクも伴います。安全性を最優先するならば、追いだき機能を使わない場合であっても、メーカーが推奨する入浴剤を使用するのが賢明な選択です。
三菱エコキュートで追い焚きしない場合は?
三菱電機製のエコキュートをお使いで、入浴剤を楽しみたい場合、「追いだき機能を使わない」という選択肢は有効な場合があります。三菱エコキュートの機能の一つに「ホットあわー」という、循環追いだきとは別の仕組みで泡を発生させる機能があります。これと入浴剤を組み合わせたいと考える方もいるでしょう。
追いだきや自動保温機能を使用しなければ、前述の通り、入浴剤の成分がエコキュートの循環回路に入るリスクは避けられます。このため、その日限りの「ため湯」として入浴剤を楽しむことは可能です。
ただし、三菱電機も公式にはメーカー推奨品以外の入浴剤の使用を認めていません。万が一、推奨品以外の入浴剤が原因で浴槽のジェット噴射口や配管に問題が発生した場合、保証の対象外となる可能性が高いです。
もし追いだきをせずに非推奨の入浴剤を使用する場合は、あくまで自己責任となります。入浴後は速やかにお湯を抜き、浴槽やフィルターの清掃を念入りに行うことが不可欠です。リスクを理解した上で、慎重に判断することが求められます。
入浴剤が原因で壊れた時の対処法
もし誤ってエコキュートに適さない入浴剤を使用してしまった場合、あるいはそれが原因で不具合が起きたと感じた場合は、迅速かつ適切な対処が大切です。慌てず以下の手順で対応しましょう。
追いだき・自動保温機能をすぐに停止する
まず、これ以上入浴剤の成分がお湯と共に循環しないように、追いだきや自動保温の機能を直ちに停止してください。
浴槽のお湯をすべて排水する
次に、浴槽内のお湯を速やかにすべて抜きます。成分が配管内に長時間留まることを防ぐためです。
フィルターを清掃する
浴槽にある循環口のフィルターを取り外し、歯ブラシなどを使って付着したにごり成分や固形物を丁寧に取り除きます。
配管を洗浄する
新しいお湯を張り、メーカーが推奨する配管洗浄剤(例:ジャバなど)を使用して、配管洗浄運転を行ってください。これにより、配管内部に入り込んだ成分を洗い流す効果が期待できます。
一度や二度の使用で直ちに壊れることは稀ですが、何度も繰り返すと確実に故障のリスクは高まります。もし、これらの対処を行ってもお湯の出が悪い、追いだきができないといった異常が続く場合は、配管の内部で深刻な詰まりや腐食が起きている可能性があります。その際は、専門の修理業者に点検と修理を依頼しましょう。
総括:エコキュートで入浴剤がダメな理由
この記事で解説した、エコキュートで入浴剤の使用に注意が必要な理由とポイントを最後にまとめます。
- 入浴剤の使用に制限があるのは主に「フルオートタイプ」のエコキュート
- 理由は追いだき機能がお湯を循環させるため
- 入浴剤の成分が配管の腐食や詰まりを引き起こす
- 硫黄、塩分、にごり成分、固形物を含む入浴剤は避ける
- 使えるのは基本的に「透明タイプ」で腐食性成分を含まないもの
- 花王の「バブ」透明タイプは多くのメーカーで推奨されている
- ダイキンのように一部にごり湯対応のメーカーもある
- メーカーや機種によって推奨品が異なるため必ず確認が必要
- 追いだき機能を使わなければリスクは減るが自己責任となる
- 非推奨の入浴剤を使った場合はすぐに排水と配管洗浄を行う
- メーカー推奨品でも定期的な配管洗浄を心がけることが大切
- 給湯専用やオートタイプでは入浴剤の制限はほぼない
- 正しい知識でエコキュートでもバスタイムを楽しめる
- 不明な点はメーカーの公式サイトや取扱説明書で確認する
- 最終的には安全を最優先しメーカーの指示に従うのが賢明