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室外機から大量の水漏れ!原因と放置リスクや修理費用をプロが解説

2025年9月15日

エアコンやエコキュートの室外機から水漏れが大量に発生すると、「故障かもしれない」と不安になりますよね。特に、エアコンの室外機の水漏れだけでなく、エコキュートの室外機からの水漏れも同様に心配の種となりがちです。

そもそも室外機からの水漏れは正常動作なのか、それとも異常なのか、その判断は難しいものです。冷房時だけでなく、暖房を使っている際の大量の水漏れに驚くこともあるでしょう。室外機の水漏れ原因は、多くの場合ドレンホースの詰まりですが、水漏れがホース以外から発生しているケースも考えられます。

この記事では、室外機から大量に水漏れする原因の特定方法から、正常な水漏れでもどうにかしたい場合の対処法、エアコンとエコキュートはどっちを選ぶべきかという比較、さらには修理を依頼する際に業者を選ぶときのポイントや活用できる可能性のある補助金、よくある質問(FAQ)に至るまで、網羅的に解説します。

この記事のポイント

  • 室外機からの水漏れが正常か異常かを見分ける方法
  • ドレンホースの詰まりなど、水漏れの主な原因と対処法
  • 修理を依頼する場合の費用相場と信頼できる業者の選び方
  • エアコンやエコキュートの交換で利用できる補助金の情報

室外機から水漏れが大量の!その原因と異常や故障との見分け方

室外機から水漏れが大量の!その原因と異常や故障との見分け方

  • 室外機からの水漏れは正常動作?
  • エアコン室外機の主な水漏れ原因
  • ドレンホースの異常をチェックしよう
  • 水漏れがホース以外から発生する場合
  • 暖房時に室外機から大量に水漏れする理由
  • エコキュート室外機の水漏れについて

室外機からの水漏れは正常動作?

多くの場合、エアコンの室外機から水が出ること自体は、正常な動作の証です。したがって、水漏れを発見してもすぐに故障だと判断する必要はありません。

これは、エアコンが室内の空気と熱交換を行う過程で、結露水が発生するためです。特に冷房運転中は、室内の暖かい空気を冷却する際に空気中の水分が結露し、その水がドレンホースを通じて外部に排出されます。湿度が高い日には排出される水の量も多くなる傾向があります。

ただし、注意すべき点も存在します。排出される水の量が明らかに多すぎる、水の色が濁っている、または異臭がするといった場合は、何らかの異常が発生している可能性が考えられます。正常な動作による排水なのか、故障のサインなのかを見極めることが大切です。

エアコン室外機の主な水漏れ原因

エアコンの室外機から水が漏れる原因は多岐にわたりますが、その多くは特定の部分の不具合に起因します。原因を正しく理解することが、適切な対処への第一歩となります。

最も一般的な原因は、室内機で発生した結露水を排出するための「ドレンホース」のトラブルです。これについては次の見出しで詳しく解説します。その他にも、室内機や室外機内部の部品の汚れ、あるいは機器の設置不良が原因で水漏れが発生することもあります。

例えば、室内機の熱交換器にホコリやカビが蓄積すると、結露水の流れが滞り、正常に排出されずに予期せぬ場所から溢れ出すことがあります。また、エアコン本体の設置が傾いていると、結露水がうまくドレンパン(水の受け皿)に集まらず、水漏れを引き起こす一因となるのです。

ドレンホースの異常をチェックしよう

室外機の水漏れトラブルで、真っ先に確認すべきなのがドレンホースです。ドレンホースは、エアコン内部で発生した結露水を屋外に排出する重要な役割を担っています。

ドレンホースの詰まり

ドレンホースの先端からゴミ、虫、泥などが入り込み、内部で詰まってしまうと、水の排出が妨げられます。行き場を失った水は室内機側へ逆流し、室内での水漏れを引き起こすこともあります。ホースの先端が地面に着いていたり、植木鉢などで塞がれていたりしないか確認が必要です。

ドレンホースの破損や劣化

長期間の使用や紫外線により、ドレンホース自体が劣化してひび割れや破損を起こすことがあります。破損箇所から水が漏れ出し、室外機の周辺が濡れる原因となります。

勾配の問題

ドレンホースは、水をスムーズに排出するために、室内機から室外へ向かって下り勾配で設置される必要があります。何らかの理由でホースの途中が持ち上がっていたり、逆勾配になっていたりすると、水が正常に流れず、水漏れにつながります。

水漏れがホース以外から発生する場合

ドレンホースに異常が見られないにもかかわらず水漏れが続く場合、原因はホース以外の場所にあると考えられます。

一つの可能性として、室外機の配管接続部からの水漏れが挙げられます。冷房運転中、冷媒ガスが流れる配管は非常に冷たくなり、空気中の水分が結露して水滴が付着します。通常であれば問題ない量の水分ですが、断熱材の劣化などがあると、結露水の量が増えてポタポタと滴り落ちることがあります。

また、室外機内部の部品、例えば熱交換器やコンプレッサー周辺の部品が腐食や損傷を起こしている場合も、そこから水漏れが発生する可能性があります。特に、長年使用しているエアコンでは経年劣化による部品の損傷も考慮に入れるべきでしょう。これらのケースは専門的な判断が必要になるため、速やかに専門業者に点検を依頼することが賢明です.

暖房時に室外機から大量に水漏れする理由

冬場に暖房を運転している際に、室外機から大量の水や湯気が出て驚くことがありますが、これも基本的にはエアコンの正常な機能の一部です。

これは「霜取り運転」によるものです。暖房運転時、室外機は屋外の空気から熱を取り込むため、熱交換器が非常に冷たくなります。外気温が低いと、この熱交換器に霜が付着してしまい、暖房効率が低下します。

この霜を溶かすために、エアコンは一時的に冷房運転に切り替わり、熱交換器を温めます。この時に溶けた霜が大量の水となって室外機の下部から排出されるのです。霜取り運転は1時間に1回程度、数分間行われることが多く、特に気温が低く湿度が高い日には排出される水の量も多くなる傾向があります。

エコキュート室外機の水漏れについて

エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)から水が漏れている場合も、その多くはエアコンと同様に正常な結露によるものです。

エコキュートは、大気中の熱を集めてお湯を沸かす仕組みであり、その過程でヒートポンプユニット内部の熱交換器が冷やされます。これにより、空気中の水分が結露し、ユニット下部から排水されます。特に冬場は外気温との差が大きくなるため、多くの水が排出されることがあります。

ただし、エコキュートの水漏れで注意が必要なのは、配管からの水漏れの可能性です。給水・給湯配管やヒートポンプ配管の接続部が劣化や凍結などで破損し、お湯や水が漏れ出しているケースも考えられます。もし、排出される水の量が異常に多い、水道メーターが回り続けている、エラーコードが表示されるといった症状があれば、単なる結露水ではない可能性が高いでしょう。その場合は、すぐに専門業者に連絡して点検を依頼してください。

室外機の水漏れが大量の時の対処法と業者選び

室外機の水漏れが大量の時の対処法と業者選び

  • 正常な水漏れでもどうにかしたい場合の対策
  • 交換や修理で使える補助金はあるか
  • エアコンとエコキュートどっちを選ぶ?
  • 依頼する業者を選ぶときのポイントとは
  • 室外機の水漏れに関するよくある質問

正常な水漏れでもどうにかしたい場合の対策

室外機からの排水が故障ではないと分かっても、ベランダが水浸しになったり、下の階に水が落ちてしまったりと、集合住宅などではトラブルの原因になることもあります。そのような場合は、いくつかの対策を講じることで状況を改善できます。

最も簡単な方法は、ドレンホースの排水位置を調整することです。ホームセンターなどで販売されている延長用のドレンホースや塩ビ管を使って、排水口まで水を導くように設置し直します。

また、ベランダの床に「排水レール」を設置する方法も有効です。これは、水を নির্দিষ্টの方向へ誘導するための部材で、床に貼り付けるだけで簡単に設置できます。これにより、ベランダが広範囲に濡れるのを防ぐことが可能です。これらの対策は比較的安価でご自身でも行えるため、排水によるお悩みがある場合には試してみる価値があるでしょう。

交換や修理で使える補助金はあるか

エアコンやエコキュートの修理自体に直接適用される補助金は多くありませんが、省エネ性能の高い新しい機種に買い替える場合には、国や自治体の補助金制度を利用できる可能性があります。

例えば、国が主導する「住宅省エネ2025キャンペーン」では、高効率な給湯器(エコキュートなど)の導入に対して補助金が支給される「給湯省エネ事業」が含まれています。エアコンも、特定の条件を満たす省エネ性能の高い機種であれば、リフォーム工事の一環として補助対象となる場合があります。

お住まいの自治体によっては、独自の省エネ家電買い替え促進補助金などを設けている場合もあります。これらの制度は予算や期間が限られているため、利用を検討する際は、自治体のホームページなどで最新の情報を確認することが不可欠です。

補助金制度の例 対象 概要
給湯省エネ2025事業(国) 高効率給湯器(エコキュート等) 省エネ性能の高い給湯器の導入費用の一部を補助
自治体の省エネ家電補助金 省エネ性能の高いエアコン等 自治体ごとに定められた基準を満たす家電への買い替えを補助

エアコンとエコキュートどっちを選ぶ?

室外機のトラブルを機に、給湯設備の見直しを検討する方もいるかもしれません。特に「エアコン(暖房機能)」と「エコキュート」は、どちらもヒートポンプ技術を利用している点で共通していますが、その役割と特性は大きく異なります。

エアコンは空気を暖めたり冷やしたりする「空調」が専門です。一方、エコキュートは空気の熱を利用して「お湯を沸かす」給湯専門の設備です。

どちらを選ぶかは、ご家庭のエネルギーの使い方やライフスタイルによって決まります。例えば、オール電化の家庭や夜間の電気料金が安いプランを契約している場合は、夜間電力を利用してお湯を沸かすエコキュートの経済的なメリットが大きくなります。一方で、給湯はガス給湯器で行い、空調の効率を最優先したい場合は、最新の省エネエアコンを選ぶのが合理的です。両方の特性を理解し、家庭全体のエネルギー効率を考えて選択することが重要です。

依頼する業者を選ぶときのポイントとは

室外機の水漏れ修理や機器の交換を業者に依頼する際には、慎重な業者選びが求められます。信頼できる業者を見つけるためのポイントをいくつか紹介します。

まず、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を必ず行いましょう。料金体系だけでなく、工事内容や保証内容を比較検討することで、適正な価格とサービスを見極めることができます。

次に、業者の実績や資格の有無を確認することも大切です。例えば、ガス機器の設置には専門の資格が必要な場合があります。また、過去の施工事例や利用者からの口コミを参考にすることで、その業者の技術力や対応の質を推測できます。

最後に、保証やアフターサービスの充実度も確認しておきましょう。工事後のトラブルにも迅速に対応してくれる、長期的な保証が付いているなど、安心して任せられる業者を選ぶことが、将来的な満足につながります。

室外機の水漏れに関するよくある質問

Q1: 室外機から出る水は触っても大丈夫ですか?

A1: はい、基本的には問題ありません。室外機から排出される水は、空気中の水分が結露したものであり、水道水とほぼ同じです。ただし、内部のホコリや汚れが混じっている可能性もあるため、飲用などには適していません。

Q2: 暖房シーズンだけ水漏れがひどいのですが、故障ですか?

A2: 冬場の暖房時に水漏れが増えるのは、多くの場合「霜取り運転」によるもので、故障ではありません。外気温が低い時に室外機の熱交換器に付いた霜を溶かすために発生するもので、正常な動作です。ただし、あまりにも頻繁であったり、異音が伴ったりする場合は点検をおすすめします。

Q3: 自分でドレンホースの詰まりを掃除しても直りません。

A3: ホースの入口付近の簡単な詰まりはご自身で解消できる場合もありますが、内部の頑固な詰まりや、ホース以外の部分に原因がある可能性も考えられます。無理に作業を行うと機器を傷つける恐れもあるため、改善しない場合は速やかに専門業者に相談してください。

室外機からの水漏れが大量の時の重要なポイント:総まとめ

  • 室外機からの水漏れの多くは冷房時の結露水や暖房時の霜取り運転による正常な現象
  • ただし、水の量が異常に多い、色が濁る、異音がするなどの場合は故障のサイン
  • エアコン室外機の水漏れの主な原因はドレンホースの詰まりや劣化
  • エコキュートの室外機も結露で水が出るが、配管からの水漏れには注意が必要
  • ドレンホース以外では、配管接続部や内部部品の劣化も水漏れの原因となりうる
  • 暖房時の大量の水は、熱交換器の霜を溶かす「霜取り運転」によるもの
  • 正常な排水でも、延長ホースや排水レールでベランダの水濡れ対策が可能
  • 省エネ性能の高い機種への買い替えには国や自治体の補助金が利用できる場合がある
  • エアコンは空調、エコキュートは給湯と役割が異なるため、目的に応じて選択する
  • 修理や交換を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取ることが大切
  • 業者の実績や資格、保証内容をしっかり確認して選ぶ
  • 自分で対処しても改善しない場合は、無理せず速やかに専門業者に相談する
  • 賃貸物件の場合は、まず大家さんや管理会社に連絡する
  • 室外機の水漏れを放置すると、建物の劣化や近隣トラブルにつながる可能性がある
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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