寒い季節、冷え切ったお風呂場や脱衣所に入るのは辛いものがあります。しかし、この寒さは単に不快なだけでなく、寒いお風呂場を放置するリスクと危険性も潜んでいます。
特に注意したいのが、急な温度変化によって引き起こされるヒートショックです。この記事では、そんな危険から身を守るための風呂場ヒーターのおすすめ製品をご紹介します。安全な風呂場ヒーターの選び方から、お風呂場におけるヒーターや暖房器具の種類や特徴、そして風呂場・脱衣所・洗面所に暖房器具を置くメリットまで詳しく解説。
工事不要で設置できる置き型の浴室ヒーターや、防水性能を備えた浴室暖房、コードレスで使える便利な製品、さらには風呂場で活躍するセラミックファンヒーターなど、様々な選択肢を検討します。
お風呂で使えるヒーターをニトリで探している方や、具体的なおすすめ5選、よくあるご質問にもお答えしますので、ぜひ最適な一台を見つけるための参考にしてください。
目次
お風呂場にヒーターがおすすめな理由と選び方のポイント
- 寒いお風呂場を放置するリスクと危険性
- 風呂場・脱衣所に暖房器具を置くメリット
- お風呂場におけるヒーターや暖房器具の種類や特徴
- 安全性を重視した風呂場ヒーターの選び方
- 工事不要で置ける防水の浴室ヒーター
寒いお風呂場を放置するリスクと危険性
冬場の寒い浴室や脱衣所をそのままにしておくことは、単に不快なだけでなく、健康上の深刻なリスクを伴います。最も注意すべき危険が「ヒートショック」です。
ヒートショックとは、暖かいリビングなどから寒い脱衣所や浴室へ移動した際に、体が急激な温度変化にさらされることで血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中などを引き起こす現象を指します。失神してしまい、浴槽で溺れるといった二次的な事故につながるケースも少なくありません。
厚生労働省の統計によれば、高齢者の浴槽内での不慮の溺死者数は交通事故による死亡者数を上回る年もあり、その多くにヒートショックが関連していると考えられています。特に、10℃以上の温度差がある環境は非常に危険とされており、高齢者だけでなく、高血圧や糖尿病などの持病がある方、そして健康な若い世代でも起こりうる現象です。
このように、寒いお風呂場を放置することは、命に関わる危険性をはらんでいます。快適な入浴時間を確保するだけでなく、家族の安全を守るためにも、暖房器具による対策が不可欠です。
風呂場・脱衣所に暖房器具を置くメリット
風呂場や脱衣所に暖房器具を設置することは、前述のヒートショック対策として極めて有効です。暖かい部屋との温度差を小さくすることで、血圧の急激な変動を抑え、心臓や血管への負担を軽減できます。これが最大のメリットと言えるでしょう。
しかし、メリットはそれだけではありません。入浴後の湯冷めを防ぐ効果も期待できます。温まった体で寒い脱衣所に出ると、体温が一気に奪われてしまい、風邪をひく原因にもなりかねません。脱衣所が暖かければ、ゆっくりと体を拭き、着替えることができるため、快適さが大きく向上します。
また、小さなお子様がいるご家庭にとってもメリットは大きいです。赤ちゃんを入浴させた後、暖かい空間で体を拭いて服を着せてあげられるため、赤ちゃんの体への負担を減らせます。同時にお世話をする大人自身の湯冷めも防ぐことが可能です。
朝の支度で洗面所を使う際にも、足元から暖めることで、寒い冬の朝を快適にスタートできます。このように、暖房器具一台で、家族全員の健康と快適な生活を守ることに繋がります。
お風呂場におけるヒーターや暖房器具の種類や特徴
お風呂場や脱衣所で使用できる暖房器具にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。設置場所や目的に合わせて最適なものを選ぶために、まずは主な種類と特徴を理解しておきましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
セラミックヒーター | 電気でセラミックを発熱させ、ファンで温風を送る。 | ・速暖性が高い ・本体が熱くなりにくい ・コンパクトな製品が多い | ・温風で肌が乾燥しやすい ・ファンが動作音がする |
遠赤外線ヒーター | カーボン管などを発熱させ、遠赤外線で体を直接暖める。 | ・体の芯から暖まる感覚 ・運転音が静か ・風が出ないのでホコリが舞わない | ・部屋全体を暖めるのには不向き ・表面が高温になることがある |
パネルヒーター | パネル内部の電熱線などから放熱し、じんわりと暖める。 | ・薄型で省スペース ・安全性が高い製品が多い ・空気が汚れにくい | ・暖まるまでに時間がかかる ・暖房能力は比較的弱い |
浴室暖房乾燥機 | 壁掛けや天井埋め込みで設置し、浴室全体を暖める。 | ・パワフルで浴室全体を暖められる ・乾燥や換気、涼風機能もある ・空間を有効活用できる | ・設置工事が必要 ・価格が高価 |
脱衣所全体を素早く暖めたい場合はセラミックヒーターが、入浴前後にピンポイントで体を暖めたい場合は遠赤外線ヒーターが適しています。スペースが限られているならパネルヒーター、リフォームなどを検討しているなら多機能な浴室暖房乾燥機も選択肢となるでしょう。
安全性を重視した風呂場ヒーターの選び方
脱衣所や浴室周りで暖房器具を使用する際は、何よりも安全性が大切です。火災や感電、やけどなどの事故を防ぐため、安全機能が充実したモデルを選びましょう。
転倒時自動OFF機能
まず確認したいのが「転倒時自動OFF機能」です。万が一、本体にぶつかったり地震などで倒れてしまったりした際に、自動で電源が切れる機能です。脱衣所のような狭い空間では特に起こりやすいため、必須の機能と考えられます。
切り忘れ防止機能
「切り忘れ防止機能」も安心材料の一つです。一定時間が経過すると自動で運転を停止してくれるため、万が一電源を切り忘れて外出しても、火災のリスクを低減できます。人感センサー付きのモデルも、人がいない間は自動でOFFになるため、節電と安全性の両面で効果的です。
チャイルドロック
小さなお子様がいるご家庭では、「チャイルドロック」機能があると安心です。子どもが誤ってボタンを操作してしまっても、運転が開始されたり設定が変わったりするのを防ぎます。
これらの機能に加えて、本体が熱くなりすぎない設計か、ガードがしっかりしているかなども確認し、家族全員が安心して使える製品を選ぶことが肝心です。
工事不要で置ける防水の浴室ヒーター
浴室や脱衣所で手軽に暖房を導入したい場合、工事不要で設置できる「置き型」のヒーターが最も現実的な選択肢となります。コンセントさえあればすぐに使えるため、賃貸住宅にお住まいの方や、壁に穴を開けたくない方にも最適です。
置き型を選ぶ際に特に重要なのが「防水性能」です。浴室やその周辺は湿気が多く、水しぶきがかかる可能性も十分に考えられます。感電や故障のリスクを避けるため、防水仕様の製品を選びましょう。
防水性能は「IPコード」という規格で示されることが多く、「IPX5」のように表記されます。「X」の後の数字が防水性能のレベルを示し、数字が大きいほど高い防水性を持ちます。「IPX5」であれば「あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない」レベルなので、浴室近くでも安心して使用できる一つの目安となります。
ただし、置き型は床のスペースを取るため、動線の邪魔にならないコンパクトなサイズを選ぶことも大切です。また、前述の通り、転倒のリスクがあるため、安定感のある形状か、転倒時自動OFF機能が付いているかは必ず確認してください。
お風呂場でのヒーターのおすすめ5選とQ&A
- 浴室・脱衣所におすすめのヒーター5選
- 風呂場で使えるセラミックファンヒーター
- コードレスで便利な風呂場ヒーター
- お風呂で使えるヒーターはニトリにある?
- 風呂場ヒーターに関するよくあるご質問
浴室・脱衣所におすすめのヒーター5選
ここでは、脱衣所や浴室周りでの使用に適した、具体的な暖房器具のおすすめを5つご紹介します。安全性や機能性、設置のしやすさなどを考慮して選びました。
- 壁掛け・吊り下げ兼用 防水ハロゲンヒーター工事不要で、ランドリーパイプに吊り下げたり、壁に取り付けたりできる2WAYタイプです。高い防水性能(IPX5)を備え、スイッチを入れてすぐに暖かくなる速暖性が魅力。空間を有効活用できるため、狭い脱衣所や浴室に最適です。
- 人感センサー付き 大風量セラミックヒーター人の動きを感知して自動でON/OFFする人感センサーを搭載し、省エネと安全性を両立したモデルです。1200Wなどの高出力で、脱衣所全体を素早く暖めることができます。スリムなタワー型なら、場所を取らずに設置可能です。
- 防滴仕様 遠赤グラファイトヒーターわずか0.2秒で立ち上がる速暖性が特徴のグラファイトヒーター。体の芯から暖めてくれるので、湯冷め防止に役立ちます。防滴仕様で水回りの使用に対応しているほか、万が一タオルなどがかかっても火災を防ぐ安全機能が充実しているモデルがおすすめです。
- アイリスオーヤマなどのコンパクトセラミックヒーター大手メーカーから販売されている、小型で軽量なセラミックヒーターです。600W程度の出力でも足元を暖めるには十分で、狭いスペースに最適。手頃な価格帯の製品が多く、初めての一台としても導入しやすいでしょう。
- 送風機能付きファンヒーター冬はヒーターとして、夏は扇風機として一年中活躍するモデルです。一台で二役をこなすため、収納場所に困りません。季節ごとに入れ替える手間が省けるのも嬉しいポイントです。
風呂場で使えるセラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターは、その特性から風呂場や脱衣所での使用に非常に適した暖房器具と言えます。
最大の理由は、スイッチを入れてすぐに温風が出る「速暖性」です。入浴の直前にスイッチを入れるだけで、冷え切った空間を短時間で快適な温度にすることができます。長時間待つ必要がないため、忙しい毎日の中でも手軽にヒートショック対策が可能です。
次に挙げられるのが「安全性」です。セラミックヒーターは電気を熱源としており、石油やガスのように火を使わないため、空気が汚れず、換気の必要もありません。また、製品自体が比較的高温になりにくく、やけどのリスクが低いのも特徴です。多くの製品に転倒時自動OFF機能が標準搭載されている点も安心材料となります。
さらに、コンパクトで軽量なモデルが多いこともメリットです。狭い脱衣所でも場所を取らず、シーズンオフの収納もしやすいでしょう。これらの理由から、手軽で安全な暖房を求めるなら、セラミックファンヒーターは有力な選択肢となります。
コードレスで便利な風呂場ヒーター
コンセントの位置を気にせず、どこにでも自由に設置したいと考える方にとって、「コードレス」の暖房器具は魅力的に映るかもしれません。充電式であれば、脱衣所の最適な場所にピンポイントで置くことができ、コードに足を引っかける心配もありません。
しかし、現状では、脱衣所全体を暖めるほどのパワーを持つ充電式の暖房器具は市場にほとんどないのが実情です。多くは足元を温める小型の製品に限られ、ヒートショック対策として空間全体を暖める目的には力不足な場合があります。
また、充電式の製品は、連続使用時間に制限がある点も考慮しなければなりません。家族が連続で入浴するようなケースでは、途中で充電が切れてしまう可能性もあります。
これらの点を踏まえると、現時点ではヒートショック対策を主目的とする場合、コードレスタイプは限定的な使用に向いていると言えます。コンセントから電源を取るタイプのほうが、安定した暖房能力を確保できるため、より確実な選択肢となるでしょう。
お風呂で使えるヒーターはニトリにある?
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで知られるニトリは、手頃な価格で様々な生活用品が揃うため、暖房器具を探す際の候補に挙がることも多いでしょう。
実際にニトリの店舗やオンラインストアを調べると、冬のシーズンには脱衣所や足元を暖めるためのコンパクトなセラミックファンヒーターなどが販売されていることがよくあります。デザイン性に優れた製品や、人感センサー付きで省エネに配慮したモデルが見つかるかもしれません。
ただし、注意したいのは、これらの製品の多くが「脱衣所」での使用を想定しており、浴室の「中」で使えるほどの高い防水性能を備えていない場合がある点です。前述の通り、浴室のように水が直接かかる可能性のある場所で使うには、IPX5以上の高い防水性能が求められます。
ニトリで購入を検討する際は、商品の仕様書をよく確認し、「防水」や「防滴」といった表記があるか、使用場所として浴室が想定されているかを必ずチェックすることが大切です。もし不明な点があれば、店員に確認することをおすすめします。
風呂場ヒーターに関するよくあるご質問
ここでは、風呂場や脱衣所の暖房器具に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q1. ヒートショック対策として、脱衣所は何℃くらいにするのが理想ですか?
A1. ヒートショックは、暖かい部屋と寒い場所の温度差が10℃以上あると危険性が高まるとされています。このため、他の部屋との温度差を「5℃以内」に抑えることが一つの目安となります。例えばリビングが20℃であれば、脱衣所も15℃以上に暖めておくことが望ましいでしょう。
Q2. 暖房器具を置く以外に、手軽にできる寒さ対策はありますか?
A2. はい、いくつか方法があります。脱衣所に窓がある場合、窓からの冷気が室温を下げる大きな原因になります。市販の断熱シートや、梱包に使う緩衝材(プチプチ)を窓に貼るだけでも、冷気の侵入を効果的に遮断できます。また、床の冷たさが気になる場合は、マットやすのこを敷くことで、足元からの冷えを和らげることが可能です。
Q3. 電気代はどのくらいかかりますか?
A3. 電気代は、ヒーターの消費電力(W数)と使用時間によって決まります。例えば、1200W(1.2kW)のセラミックヒーターを1時間使用した場合、電気料金単価を31円/kWhと仮定すると、「1.2kW × 1時間 × 31円/kWh = 37.2円」となります。人感センサーや室温センサー付きのモデルを選ぶと、無駄な運転を抑えて電気代を節約できます。
風呂場や浴室で暖かくすごるには窓リフォームがおすすめ!
冬場の浴室で感じる、あの「ヒヤッ」とした寒さの主な原因は、窓から逃げていく熱にあります。
どれだけお湯を温めても、脱衣所にヒーターを置いても、窓が無防備では熱がどんどん外へ放出されてしまいます。この根本的な問題を解決するために、断熱性を高める窓のリフォームが非常に効果的な対策となります。
窓の断熱性が向上する仕組み
従来の多くの住宅で使われているアルミサッシと単板ガラスの窓は、熱を伝えやすいため、外の冷気が室内に直接伝わってきます。一方で、断熱リフォームでは、熱を伝えにくい樹脂製のサッシや、ガラスとガラスの間に空気の層を設けた「複層ガラス(ペアガラス)」などを使用します。この空気層が壁の役割を果たし、熱の移動を大幅に抑制してくれるのです。
これにより、浴室内の暖かい空気が外に逃げにくくなり、同時に外の冷たい空気が室内に入り込むのを防ぎます。結果として、暖房効率が向上し、少ないエネルギーで浴室全体を暖かい状態に保つことが可能になります。
補助金制度の活用で賢くリフォーム
窓の断熱リフォームには初期費用がかかりますが、現在、国が推進する省エネ対策の一環として、非常に手厚い補助金制度が用意されています。代表的なものに「先進的窓リノベ事業」があり、これを活用することでリフォーム費用を大幅に抑えることが可能です。
文章に記載されている「最大200万円」という補助額は、この制度における一戸あたりの上限額を指します。浴室の窓リフォームだけでこの金額に達することは稀ですが、家の他の窓と合わせてリフォームを行うことで、大きな補助を受けることができます。補助額は、設置する窓の性能や大きさによって細かく定められており、工事費を含めた補助対象経費の半分相当が補助されるなど、非常に魅力的な内容です。
ただし、補助金を利用するには、登録された事業者に工事を依頼する必要がある、申請期間が定められているといった条件があります。リフォームを検討する際は、まず補助金制度に詳しい専門業者に相談することが賢明な第一歩となります。
窓リフォームの注意点
多くのメリットがある一方、いくつかの注意点も存在します。まず、補助金を使っても自己負担額が発生する点は理解しておく必要があります。また、工事方法には既存の窓の内側にもう一つ窓を追加する「内窓設置」や、窓枠ごと交換する「カバー工法」などがあり、それぞれ費用や工期、断熱性能が異なります。ご自宅の状況や予算に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
これらの点を踏まえても、窓リフォームは一度行えば長期にわたって快適性と省エネ効果をもたらす、価値の高い投資と言えるでしょう。
お風呂場でのヒーターのおすすめや注意点:総まとめ
この記事で解説してきた、お風呂場のヒートショック対策とおすすめの暖房器具に関する要点を以下にまとめます。
- 冬の寒い風呂場や脱衣所はヒートショックの危険性が高い
- ヒートショックは急な温度差による血圧の乱高下で発生する
- 暖房器具で居室との温度差を5℃以内に抑えることが対策の基本
- 暖房器具の設置は湯冷め防止や赤ちゃんの入浴にも役立つ
- ヒーターの種類には速暖性のセラミック、体の芯から暖める遠赤外線などがある
- 脱衣所全体を素早く暖めたいならセラミックヒーターが適している
- 選ぶ際は転倒時自動OFFや切り忘れ防止などの安全機能が不可欠
- 水回りでの使用にはIPX5以上の防水性能が求められる
- 工事不要の置き型タイプは手軽に導入できて便利
- 壁掛けや吊り下げタイプは空間を有効活用できる
- 人感センサーや室温センサーは省エネと安全性向上に貢献する
- ニトリなどでも脱衣所向けヒーターは購入可能だが防水性能の確認が必須
- コードレスタイプは現状ではパワー不足の懸念がある
- 暖房器具以外の対策として窓の断熱や床マットも有効
- 自分のライフスタイルと設置場所に合った一台を選ぶことが大切