冬、いくら暖房を効かせても部屋がなかなか暖まらない、どこからかスーッと冷たい空気が流れてくる…。
その不快な悩みの原因は、窓サッシの隙間かもしれません。「サッシの隙間風を防ぐ方法はありますか?」という切実な疑問から、多くの方が効果的な対策を探しています。
この記事では、そもそも「窓枠に隙間ができる原因は何ですか?」という根本的な問いに深く切り込み、多くの住宅で採用されているアルミサッシ隙間風のナゾを徹底的に解き明かします。
そして、「自分で埋める方法はある?」と考えている方のために、具体的なサッシの隙間風を埋める方法や、写真付きで解説するような分かりやすいサッシ隙間ふさぎ手順を詳しく解説します。
定番の窓サッシの隙間テープはどこに貼るのが最も効果的か、また、試したものの隙間テープでも隙間が埋まらない場合の具体的な対処法まで、あらゆるケースを網羅しました。
サッシの隙間風を放置するリスクと危険性も専門的な視点から理解した上で、編集部が厳選したおすすめのサッシ隙間風対策グッズや、手軽に試せるサッシ隙間風対策5選もご紹介します。
この記事を最後まで読めば、あなたのお住まいに最適なサッシの隙間を埋める方法がきっと見つかるはずです。
目次
サッシ隙間風対策グッズの基本と隙間風の原因
- アルミサッシ隙間風のナゾと主な原因
- サッシの隙間風を放置するリスクと危険性
- サッシの隙間風を防ぐ方法はありますか?
- 隙間テープを使ったサッシ隙間ふさぎ手順
- 窓サッシの隙間テープはどこに貼るのが正解?
- 自分でできるサッシの隙間を埋める方法
アルミサッシ隙間風のナゾと主な原因
日本の多くの住宅で採用されているアルミサッシは、耐久性が高く安価である一方、熱伝導率が高く、経年で隙間が生じやすいという側面も持っています。長年住んでいる家で隙間風が気になりだす…この「アルミサッシ隙間風のナゾ」の正体は、避けられない経年劣化が主な原因です。
具体的には、サッシを構成する様々な部品が、日々の開閉や紫外線、風雨にさらされることで少しずつ性能を失っていくのです。
例えば、窓ガラスの四方を囲むゴムパッキン(グレージングチャンネル)は、太陽の熱や紫外線で弾力性を失い、硬化して縮んでしまいます。これにより、ガラスとサッシフレームの間に微細な隙間が生まれるのです。
さらに影響が大きいのが、窓の開閉を支える「戸車」という車輪部品です。
レールに溜まったホコリやゴミを巻き込みながら回転することで徐々に摩耗し、すり減っていきます。すると、窓全体がミリ単位で沈み込み、傾きが生じます。この傾きが、窓の上部や鍵(クレセント)周りに三日月形の隙間を作り出す最大の要因の一つとなります。
ご自宅でできる隙間風原因セルフチェック
① 部品の劣化をチェック:
戸車やゴムパッキンは消耗品です。窓の開閉が重くなったり、パッキンにひび割れが見られたりしたら劣化のサインです。
② サッシの歪みをチェック:
窓を閉めた状態で、枠と窓の間に名刺などを差し込んでみてください。スッと入ってしまう場所があれば、そこに歪みや隙間が生じています。
③ 調整のズレをチェック:
窓の鍵であるクレセント錠をかけたとき、締まりが緩かったり、逆に力を入れないと閉まらなかったりする場合、受け金具との位置がズレている可能性が高いです。
このように、隙間風は単一の原因ではなく、これらの要因が複合的に絡み合って発生します。効果的な対策を行うためにも、まずはご自宅の窓がどのような状態にあるのかを一度詳しくチェックしてみることを強くおすすめします。
サッシの隙間風を放置するリスクと危険性
「少しくらいの隙間風だから大丈夫」と軽視して放置してしまうと、単に不快なだけでなく、住環境、健康、そして家計にまで深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
最も直接的なリスクは、冷暖房効率の著しい低下による経済的損失です。住宅の断熱性能において、窓は最大の弱点と言われています。YKK AP株式会社の公式サイトによると、冬場に家から逃げる熱のうち、約58%が窓などの開口部から流出しているとされています。
隙間風がある状態では、この熱損失がさらに加速します。高額な電気代を払って暖めた空気を、自ら外に捨てているようなものなのです。
【危険】隙間風がもたらす具体的なリスク
健康への悪影響:
隙間風は室内に温度ムラを作り出し、急激な温度変化による「ヒートショック」のリスクを高めます。また、屋外から花粉やホコリ、PM2.5といったアレルゲンを室内に引き込み、アレルギー症状や呼吸器系疾患を悪化させる一因にもなります。
害虫の侵入経路:
わずか数ミリの隙間は、カメムシやクモ、ゴキブリの幼虫といった害虫にとって格好の侵入経路となります。防虫対策の観点からも、隙間は塞ぐべきです。
結露とカビの増殖:
外気と室温の差が大きいと、サッシ周りに結露が発生しやすくなります。隙間風はこの結露を助長し、湿った状態が続くことで、健康被害を及ぼす黒カビやダニの温床となってしまいます。
これらの多岐にわたるリスクを回避するためにも、隙間風は「小さな問題」と捉えず、気づいた時点ですぐに対策を講じることが、快適で健康的な暮らしを守る上で非常に重要です。
サッシの隙間風を防ぐ方法はありますか?
はい、ご安心ください。サッシの隙間風を防ぐ方法は、原因の深刻度やご自身の予算、そして賃貸か持ち家かといった状況に応じて、多岐にわたる選択肢が存在します。
まず、最も手軽で即効性が高いのが、ホームセンターや100円ショップ、オンラインストアで入手可能な各種グッズを活用したDIYによる対策です。本記事で詳しく後述する「隙間テープ」や「断熱シート」「冷気ブロックパネル」などがこれにあたります。これらは数千円程度の低予算で試すことができ、施工も簡単なため、「まずは自分で何とかしたい」という方に最適な第一歩と言えるでしょう。
一方で、サッシの歪みが大きい、戸車が破損しているなど、部品の劣化が著しい場合は、DIYの対症療法だけでは根本的な解決が難しいのが実情です。
そのようなケースでは、専門家による修理やリフォームが視野に入ります。戸車の交換やサッシ全体の調整、さらには気密性・断熱性に優れた最新の窓への交換や、既存の窓の内側にもう一つ窓を追加する「内窓」の設置などが効果的です。
特に近年、国を挙げて住宅の省エネ化が推進されており、高性能な窓へのリフォームには手厚い補助金制度が用意されているため、以前よりもずっと少ない自己負担で施工できるチャンスが広がっています。
どの方法を選ぶべきか迷いますよね。まずは「DIYで手軽な対策を試してみる」→「それでも改善しなければ、部品の調整や交換を検討する」→「最終手段として、補助金を活用したリフォームを専門業者に相談する」というステップで進めていくのが、最も無駄がなく効果的なアプローチですよ。
隙間テープを使ったサッシ隙間ふさぎ手順
数ある隙間風対策の中でも、最も手軽で費用対効果が高いのが「隙間テープ」の活用です。
ここでは、誰でも失敗しないための正しい貼り付け手順を、プロの視点から詳しく解説します。効果を100%引き出すためには、事前の「テープ選び」と「下準備」が9割と言っても過言ではありません。
準備するものリスト
- 隙間テープ: 隙間の幅と深さに合ったもの。スポンジ、起毛(モヘア)、ゴムなど材質も様々です。
- ハサミ or カッターナイフ: よく切れるものを用意しましょう。
- 掃除用具: 清潔な雑巾2枚、中性洗剤(食器用洗剤など)、アルコールスプレーなど。
- メジャー: 正確な長さを測るために必須です。
誰でもできる!効果的な作業手順
ステップ1. 徹底した清掃と脱脂 (最重要!):
まず、テープを貼るサッシのレールや戸当たり部分を徹底的に掃除します。目に見えるホコリや砂を硬く絞った雑巾で拭き取った後、油分や手垢を除去するために、薄めた中性洗剤で再度拭き上げます。
洗剤が残らないよう、きれいな水で絞った雑巾で仕上げ拭きをし、最後に完全に乾燥させてください。この下地処理を怠ると、テープの粘着力が著しく低下し、数週間で剥がれてしまう原因となります。
ステップ2. 正確な採寸とテープの選定・カット:
テープを貼る部分の長さをメジャーで正確に測り、その長さに合わせてハサミでまっすぐカットします。
この時、改めて隙間の幅と「深さ(厚み)」を確認し、それに最適なテープを選べているか確認しましょう。最大の失敗要因は、隙間に対してテープが厚すぎたり、薄すぎたりすることです。厚すぎると窓の開閉に支障をきたし、薄すぎれば隙間が埋まらず効果がありません。
テープ選びのコツ
・スポンジタイプ: 安価でクッション性が高い。軽い隙間に最適だが、水を含むと劣化しやすい。
・モヘア(起毛)タイプ: 繊維がしなやかにフィットし、耐久性が高い。開閉の多い窓におすすめ。
・ゴムタイプ(D型など): 密閉性が非常に高く、防音効果も。大きめの隙間に有効。
ステップ3. 慎重な貼り付けと圧着:
テープの剥離紙を端から5cmほど剥がし、貼り付けたい位置の端に正確に合わせます。
その後、剥離紙を少しずつ剥がしながら、テープが曲がったり伸びたりしないように、指でゆっくりと押さえながら貼り進めていきます。一気に全ての剥離紙を剥がしてしまうと、途中で予期せぬ場所に貼り付いてしまい、粘着力が落ちる原因になるため厳禁です。
全て貼り終えたら、テープ全体を指やヘラなどで強く圧着させ、粘着を安定させて完了です。
窓サッシの隙間テープはどこに貼るのが正解?
せっかく購入した隙間テープも、貼る場所を間違えては効果が半減してしまいます。
闇雲に貼るのではなく、隙間風の主な侵入経路となる「急所」にピンポイントで施工することが重要です。一般的に、最も効果的な場所は以下の3箇所です。
【効果絶大】隙間テープを貼るべき3大急所
① 戸当たり部分 (縦のライン):
引き違い窓を閉めた際に、室外側の窓と室内側の窓枠が「コン」と突き当たる部分です。この縦のラインは、構造上どうしても隙間ができやすいため、最優先で対策すべき場所です。ここにテープを貼ることで、窓を閉めた際の密着度が飛躍的に向上し、広範囲からの隙間風をブロックします。
② 窓ガラスの上下のレール部分:
窓がスライドする上下のレール部分も、戸車の摩耗などによって隙間が生じやすい箇所です。ここには、開閉の邪魔になりにくい毛足の長いモヘア(起毛)タイプのテープを貼るのがセオリーです。滑りを妨げることなく、気密性を高めることができます。
③ 窓と窓の召し合わせ部分 (中央の重なり):
引き違い窓の中央、2枚の窓が重なり合う部分(クレセント錠がある縦のライン)も、非常に大きな隙間風の侵入経路です。室内側の窓の、室外側の窓と重なる部分にテープを貼ることで、中央からの冷気の侵入を効果的にシャットアウトできます。
特に意識していただきたいのは、「空気の通り道を特定し、それを塞ぐ」という考え方です。
ご自宅の窓のどこから特に強く風が入ってくるか、風の強い日に手をかざしてみたり、安全に注意しながら線香やろうそくの煙を近づけて煙の揺らぎを確認したりすることで、目に見えない空気の流れを可視化できます。
原因を特定してから対策することで、より効果的な施工が可能になります。
自分でできるサッシの隙間を埋める方法
隙間テープを貼る以外にも、自分で手軽にできるサッシの隙間を埋めるための調整方法があります。
特に「窓の傾き」が原因で生じている隙間には、以下の方法が非常に効果的です。必要な道具は基本的にドライバー1本です。
原因が傾きなら!戸車の高さ調整
窓が傾いて上部や下部に隙間ができている場合、サッシ下部にある「戸車」の高さを調整することで、窓を水平に戻し、隙間を解消できます。
- 調整ネジを探す: サッシの側面、下端から5〜10cmほどの位置に、小さな穴があります。その奥に戸車の高さ調整ネジがあります。
- ドライバーで回す: 調整ネジに適合するプラスドライバーまたはマイナスドライバーを差し込み、ゆっくりと回します。一般的に「時計回り」に回すと戸車が上がり(窓が持ち上がる)、「反時計回り」に回すと戸車が下がります。
- 水平を確認する: 窓枠と窓が平行になるように、反対側の戸車も同様に調整します。少し回しては窓を動かしてみて、スムーズに開閉できるか、隙間がなくなっているかを確認しながら作業を進めましょう。
密着度アップ!クレセント錠の調整
窓をロックする「クレセント錠」の締まりが緩いと、窓全体の密着度が下がり、隙間風の原因となります。
この受け金具の位置を調整することで、窓をグッと強く引き寄せ、気密性を高めることができます。
- 受け金具のネジを緩める: 窓枠側についているクレセント錠の受け金具の上下2本のネジを、ドライバーで少しだけ緩めます(完全には外さないでください)。
- 位置を調整する: ネジを緩めると、受け金具が上下左右にわずかに動くようになります。クレセント錠をかけたときに、しっかりと手応えがある最適な位置に調整します。
- ネジを締める: 位置が決まったら、緩めたネジを再び強く締めて固定します。
長年動かしていない調整ネジは、固着して回りにくくなっていることがあります。
また、部品が錆びていたり、破損している場合は、無理に力を加えるとサッシ本体を傷つける恐れがあります。少しでも難しいと感じたら、無理せず専門の修理業者に相談することをおすすめします。
おすすめサッシ隙間風対策グッズと最終手段
- 手軽に試せるサッシ隙間風対策5選
- おすすめのサッシ隙間風対策グッズを紹介
- 隙間テープでも隙間が埋まらない場合の対処法
- 窓枠に隙間ができる原因と根本的な解決策
- 究極のサッシ隙間風対策グッズは窓リフォーム
手軽に試せるサッシ隙間風対策5選
ここでは、大掛かりな工事が不要で、賃貸住宅にお住まいの方でも気兼ねなく試せる人気の隙間風対策を5つ、それぞれの特徴が分かりやすいように比較表にまとめました。
ホームセンターやオンラインストアで、今日からでも始められるものばかりです。
対策方法 | 特徴 | メリット | デメリット | 費用目安 | 施工難易度 |
---|---|---|---|---|---|
1. 隙間テープ | サッシの隙間に直接貼り付け、物理的に風の通り道を塞ぐ。 | ・圧倒的に安価で施工が簡単 ・原因箇所をピンポイントで塞げる |
・1〜2年で劣化するため定期交換が必要 ・見た目が少し損なわれることがある |
¥300~¥1,500 | ★☆☆☆☆ |
2. 断熱シート | 窓ガラス全面に貼り、空気層を作ることで窓全体の断熱性を向上させる。 | ・断熱効果が高く結露防止にも有効 ・夏場の遮熱効果で冷房効率もアップ |
・気泡なく綺麗に貼るのにコツがいる ・窓からの景色が見えにくくなるタイプも |
¥1,000~¥4,000 | ★★★☆☆ |
3. 窓際冷気ブロックパネル | 窓の下枠に立てかけるボード。床から伝わるコールドドラフトを遮断する。 | ・設置が置くだけで非常に簡単 ・使わない時期は折り畳んで収納できる |
・窓全体の断熱はできず効果は限定的 ・高さが足りないと冷気が乗り越えてくる |
¥1,000~¥3,000 | ★☆☆☆☆ |
4. 厚手の断熱カーテン | 床に届く長めのサイズで、厚手の高機能生地のカーテンに交換する。 | ・インテリア性を損なわず対策できる ・遮光や防音など付加価値も期待できる |
・初期費用が比較的高めになる ・日中の採光が遮られ部屋が暗くなる |
¥5,000~¥20,000 | ★★☆☆☆ |
5. 後付けカーテンライナー | 現在使用中のカーテンの裏側(窓側)に取り付けるビニール製のライナー。 | ・カーテンを買い替えずに済む ・非常に安価に断熱性をプラスできる |
・開閉時にゴワつきや音が気になる ・見た目や質感が安っぽく感じられる |
¥1,000~¥2,500 | ★☆☆☆☆ |
これらの対策は、単体で行うよりも複数組み合わせることで、相乗効果が生まれ、より高い断熱効果を発揮します。
例えば、「隙間テープ」で物理的な隙間をなくし、「断熱カーテン」で窓全体の冷放射を防ぐといった組み合わせは、非常に効果的でおすすめです。
おすすめのサッシ隙間風対策グッズを紹介
市場には数えきれないほどの対策グッズがありますが、その中でも特にユーザーからの評価が高く、編集部が実際に試して効果を実感できた「間違いのない」おすすめグッズを3つ厳選してご紹介します。
【定番の安心感】槌屋「すき間モヘアシール」
隙間テープといえば、まずこの商品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。まさに定番中の定番と言える信頼性の高い製品です。高密度に植えられたナイロン製のモヘア(起毛)が、どんな微細な凹凸にもしなやかに追従し、確実に隙間を塞いでくれます。
摩擦に強く、復元力も高いため、頻繁に開閉する窓に使ってもヘタりにくいのが最大の特長です。スポンジタイプのように水分を吸ってカビる心配もありません。サッシだけでなく、室内ドアやクローゼットの扉など、家中のあらゆる隙間に使える汎用性の高さも魅力です。
【結露対策も同時に】ニトムズ「強力結露吸水テープ」
「隙間風も気になるけど、冬場の窓の結露もなんとかしたい…」という悩みを一挙に解決してくれるのがこの製品です。
サッシの最も結露しやすい下枠部分に貼るだけで、特殊な吸水繊維が水滴を強力に吸収・蒸発させ、ビショビショになるのを防ぎます。
テープ自体が断熱性のある素材でできているため、熱伝導率が高いアルミサッシの金属部分からのヒンヤリとした冷気を緩和する効果もあります。カビの発生源となる水分を断つことで、健康的な室内環境を保つ手助けとなります。
【防音性も求めるなら】Goreson「D型 補修テープ」
比較的大きな隙間や、気密性と同時に防音性も高めたい場合に絶大な効果を発揮するのが、このD字型の断面を持つ中空のゴム製テープです。
この空洞部分が優れたクッションとなり、窓を閉じた際に適度に圧縮されて隙間に完璧にフィットします。素材がEPDM(エチレンプロピレンゴム)でできており、耐候性・耐久性に非常に優れているため、屋外に面した過酷な環境でも長期間性能を維持します。
車のドアの密閉にも使われるほどの高い性能で、隙間風だけでなく、外部からの交通騒音や雨水の侵入を防ぎたい場合にも非常に効果的です。
隙間テープでも隙間が埋まらない場合の対処法
推奨されている場所に隙間テープを正しく貼っても隙間が埋まらない、あるいは窓の開閉時にガタつきや異音がする場合は、もはや表面的な問題ではなく、サッシの構造自体に問題が生じている可能性が非常に高いです。
その場合は、一度立ち止まって、前述した根本原因にアプローチする「戸車」と「クレセント錠」の調整を改めて試してみましょう。
これらの調整部品は、いわばサッシの「骨格」を支える重要なパーツです。
長年の使用による摩耗や、建物の微細な動きによって生じたネジの緩みが、サッシ全体のバランスを崩しているのです。ドライバー一本で数ミリ調整するだけで、驚くほど窓の動きがスムーズになり、まるで新品のような気密性が復活することも少なくありません。
調整しても改善しない、または悪化した場合
戸車やクレセント錠を調整してもガタつきや隙間が全く直らない場合、部品そのものが破損しているか、寿命を迎えていると考えられます。
戸車はオンラインストアやホームセンターで適合する型番のものを購入し、自分で交換することも理論上は可能です。しかし、サッシのモデルによって多種多様な形状があり、適合品を探し出すのは非常に困難です。また、無理な作業はサッシ本体を傷つけ、事態を悪化させる危険も伴います。
自信がない場合は、決して無理をせず、サッシ専門の修理業者やリフォーム会社に診断を依頼するのが最も賢明な判断です。
窓枠に隙間ができる原因と根本的な解決策
ここまで解説してきた通り、窓枠に隙間ができる根本的な原因は、部品の経年劣化やサッシ本体の歪みです。隙間テープや断熱シートといったDIYによる対策は、あくまで「対症療法」に過ぎません。一時的に症状を緩和させることはできても、劣化し続ける原因そのものを解決するものではないのです。
特に、ご自宅の窓に以下のような症状が一つでも見られる場合は、サッシが寿命を迎え、交換を検討すべき時期に来ているサインかもしれません。
サッシの寿命が近い危険なサイン
- 開閉が非常に重い: 大人が両手で力を入れないと動かない、または途中で必ず引っかかる。
- 施錠が困難: クレセント錠が全くかからない、または受け金具にうまくはまらない。
- 部品の破損: 戸車が割れている、ゴムパッキンがボロボロと崩れてくる。
- 構造的な隙間: ガラスとサッシフレームの間に、明らかに目で見てわかる隙間ができている。
- 雨漏りの兆候: 豪雨の際にサッシ周辺から水が染み出す、または壁紙に雨染みができている。
このような状態を放置すれば、家の断熱性が著しく損なわれるだけでなく、雨漏りが建物の柱や土台といった構造躯体を腐食させ、住まいの寿命そのものを縮めてしまう深刻な事態に発展する危険性もはらんでいます。
ここまで症状が進行した場合の根本的な解決策は、サッシの交換や、より断熱性の高い内窓(二重窓)を設置するリフォーム以外にはありません。
究極のサッシ隙間風対策グッズは窓リフォーム
様々な対策グッズを試し、部品の調整も行っても満足のいく効果が得られない…。そんな場合の最も効果的で、快適な生活を恒久的に手に入れるための「究極の対策グッズ」は、窓そのものをリフォームすることです。
現在の窓リフォームは技術が進化しており、壁を壊すような大掛かりな工事をせずとも、比較的短期間かつ低コストで行える工法が主流になっています。
主な窓リフォームの種類とメリット
① 内窓(二重窓)の設置:
今ある窓の内側にもう一つ新しい窓を設置する、最も人気の高いリフォームです。
工事は1窓あたり最短60分程度と非常に手軽。既存の窓との間に生まれる空気層が、魔法瓶のように熱の出入りを強力にブロックし、断熱効果が劇的に向上します。また、防音効果も絶大で、外の騒音が嘘のように静かになるメリットもあります。
② カバー工法による窓交換:
既存の窓枠は残したまま、その上から新しい窓枠を「カバー」するように被せて設置する工法です。壁や内装を壊す必要がないため、工期は1日程度と短く、コストも抑えることが可能です。サッシ自体のデザインや機能性を一新したい場合におすすめです。
③ 高断熱ガラスへの交換:
サッシフレームはそのままに、ガラスだけを断熱性の高い「Low-E複層ガラス」や「真空ガラス」に交換する方法です。断熱効果は向上しますが、サッシ自体の隙間や劣化は解決しないため、隙間風の根本対策としては効果が限定的になる場合があります。
「リフォームは費用が高そう…」と心配になりますよね。ですが、ご安心ください。
近年、国や自治体は住宅の省エネ化を強力に推進しており、「先進的窓リノベ事業」をはじめとする補助金制度が非常に充実しています。この制度を活用すれば、工事費用の最大50%(上限200万円)もの補助を受けることが可能です。(出典:先進的窓リノベ2025事業 公式サイト)
長期的な視点で見れば、毎月の光熱費の削減効果によって、リフォーム費用を数年で回収できる可能性も十分にあります。
隙間風に本気で悩んでいる方、そして快適で健康的な省エネ住宅を手に入れたい方は、ぜひ一度リフォーム専門業者に見積もりと補助金の相談をしてみてはいかがでしょうか。
最適なサッシ隙間風対策グッズで冬を乗り切る:まとめ
- サッシの隙間風は主に経年劣化が原因で発生する
- 主な原因は戸車やゴムパッキンの摩耗、サッシ自体の歪み
- 隙間風の放置は光熱費の高騰やヒートショックなどの健康リスクに繋がる
- 対策の第一歩として最も手軽なのは隙間テープによるDIY
- 隙間テープの効果は貼る前の徹底した清掃で決まる
- 貼るべき場所は戸当たり・召し合わせ・上下レールが基本
- テープは隙間の厚みに合ったスポンジ・モヘア・ゴムタイプを使い分ける
- 断熱シートや冷気ブロックパネル、断熱カーテンも手軽で有効な対策
- 複数の対策グッズを組み合わせることで相乗効果が生まれる
- テープで改善しない場合は戸車やクレセント錠の調整を試す
- 部品調整はドライバー1本で可能だが無理は禁物
- DIYはあくまで対症療法であり根本的な解決策ではない
- 開閉が困難、雨漏りなどの症状はサッシ寿命のサイン
- 究極の対策は内窓設置やカバー工法による窓リフォーム
- 窓リフォームには国の手厚い補助金制度が利用でき、費用負担を軽減できる
- 長期的に見れば光熱費削減でリフォーム費用を回収できる可能性がある