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床下断熱材の後入れDIY効果・費用・やり方完全ガイド【必要性を解説】

2025年11月4日

床下断熱材の後入れDIY効果・費用・やり方完全ガイド【必要性を解説】

冬場の底冷えが厳しく、ご自身での「床下断熱材の後入れDIY」を検討されている方もいらっしゃるでしょう。

DIYで後入れした場合の効果や費用がどれくらい必要なのか、また、後入れには発泡ウレタンとグラスウールのどちらが良いのか、悩む点は多いかもしれません。

そもそも床下断熱はいらないのでは?という疑問もあるかもしれませんが、この記事ではその必要性を解説します。

寒い部屋を放置するリスクと危険性を理解し、快適な住環境のために何ができるかを考えることが大切です。

ここでは、さまざまな床下断熱材の種類とおすすめの素材を紹介します。

さらに、DIYでの床室断熱材の入れ方、そして重要な固定や隙間埋めの方法についても具体的に触れていきます。

天井への断熱材後入れDIYとの違いや、床下断熱材の追加リフォームを行う場合の費用相場、活用できる補助金の情報もまとめました。もしDIYが難しいと感じた場合に業者を選ぶときのポイントや、よくある質問(FAQ)にもお答えします。

この記事を通じて、あなたの家の断熱に関する疑問を解消するお手伝いをします。

この記事のポイント

  • 床下断熱の必要性と後入れによる具体的な効果
  • DIYに適した断熱材の種類ごとの特徴と選び方
  • 断熱材の具体的な施工手順と隙間を埋める重要性
  • DIYと業者依頼の費用相場比較や補助金利用の注意点

床下断熱材の後入れDIYの基礎知識

床下断熱材の後入れDIYの基礎知識

  • 必要性解説と寒い部屋放置のリスク
  • 床下断熱材の後入れ効果とは
  • 床下断熱材の種類とおすすめ
  • 後入れは発泡ウレタン?グラスウール?
  • 床室断熱材の入れ方と固定・隙間埋め

必要性解説と寒い部屋放置のリスク

床下断熱は、快適な室温を維持し、光熱費を削減するために必要と考えられる対策の一つです。その理由は、床下からの冷気の侵入を防ぎ、室内の暖かい空気が床から外部へ逃げるのを抑える重要な役割を果たすからです。

特に築年数が経過した住宅では、床下の断熱が施工されていないか、または不十分な場合が多く見られます。これが、冬場に足元から感じる「底冷え」の主な原因となっているのです。

寒い部屋を放置することには、いくつかのリスクが伴います。まず、室温が低いと結露が発生しやすくなります。結露はカビやダニの温床となり、アレルギー疾患を引き起こす原因にもなり得ます。

さらに、カビは土台や大引(おおびき)といった建物の大切な構造材を腐食させ、家の耐久性を損なう危険性もはらんでいます。また、暖かい部屋と寒い部屋の間の急激な温度変化は、体に大きな負担をかけ、ヒートショックのリスクを高めることも知られています。

これらの点を踏まえると、床下断熱を行うことは、単に快適さを追求するだけでなく、住む人の健康と家自体の寿命を守ることにもつながると言えます。

床下断熱材の後入れ効果とは

床下断熱材を後入れすることで得られる主な効果は、「底冷えの改善」と「暖房効率の向上」の二点です。

床下空間から伝わってくる冷たい空気を、設置した断熱材が遮断します。これにより、床面の温度低下が緩和され、冬場にフローリングなどを歩いた際の「ヒヤッ」とした不快な感覚が大幅に和らぐことが期待できます。

また、室内の暖かい空気が冷たい床から逃げにくくなるため、暖房器具が効率よく稼働できるようになります。結果として、暖房の設定温度を以前より下げたり、稼働時間を短縮したりできる可能性が生まれます。これは、光熱費の節約にも直結するメリットです。

ただし、注意点もあります。住宅の断熱性能は、床下だけでなく、窓、壁、天井など、家全体(外皮)のバランスによって決まります。例えば、床下だけを完璧に断熱しても、古いアルミサッシの窓など、他の部分から大量に熱が逃げている状態では、期待したほどの効果が得られない場合もあります。

床下断熱材の種類とおすすめ

床下断熱材の種類とおすすめ

床下断熱材には多様な種類が存在しますが、DIYでの後入れ作業には、加工のしやすさとコストのバランスが取れた素材が推奨されます。床下は狭く暗い空間での作業となるため、取り扱いが難しい重量のある素材や、施工に特殊な技術を要する素材は、DIYの難易度を格段に上げてしまうからです。

断熱材は、素材によって大きく「繊維系」と「発泡樹脂系」の2種類に分けられます。

繊維系断熱材

グラスウールやロックウールがこの代表格です。比較的安価で、断熱性も高いというメリットがあります。しかし、湿気に弱いという明確なデメリットも持ち合わせています。そのため、床下で用いる場合は、防湿シートを併用するなど、湿気対策を万全に行うことが求められます。

発泡樹脂系断熱材

押出法ポリスチレンフォーム(スタイロフォームなどの商品名で知られます)や、硬質ウレタンフォームボードがこれにあたります。これらは板状(ボード状)で非常に軽く、カッターナイフで比較的簡単にカットできるのが特徴です。また、水や湿気に強い特性を持つ製品が多く、湿気がこもりやすい床下での使用に適しています。

DIY初心者の方には、取り扱いが容易で湿気に強い、ボード状の発泡樹脂系断熱材が、作業のしやすさから見ると選択肢として考えられます。

断熱材の系統主な種類特徴(メリット)DIY時の注意点(デメリット)
繊維系グラスウール、ロックウール・安価である ・吸音性がある・湿気に弱く、湿気対策が必須 ・施工時に繊維が飛散する場合がある
発泡樹脂系ポリスチレンフォーム、 硬質ウレタンフォームボード・軽量でカッターで加工しやすい ・水や湿気に強い・繊維系に比べると価格がやや高い ・燃えやすい素材もある(難燃処理品を選ぶ)

後入れは発泡ウレタン?グラスウール?

発泡ウレタンとグラスウールは、その特性と施工方法が大きく異なります。DIYでどちらを選ぶかは、それぞれのメリットとデメリットを正確に理解した上で判断する必要があります。

グラスウールは、マット状やボード状の製品がホームセンターなどで容易に入手可能です。材料費を安価に抑えられる点が最大のメリットと言えるでしょう。

一方で、前述の通り、湿気に弱いという性質があります。床下の換気が不十分で湿気が多い環境で使用すると、断熱材が水分を吸ってしまい、カビの発生源となったり、重みで垂れ下がったりして、本来の断熱性能が著しく低下する恐れがあります。

発泡ウレタンの場合、専門業者が行う「現場吹き付けタイプ」と、DIYでも使用可能な「スプレー缶タイプ」に大別されます。現場吹き付けは、配管周りなども含めて隙間なく施工できるため、非常に高い気密性を得られますが、DIYで行うことは不可能です。

スプレー缶タイプは、断熱材と木材の隙間や、配管が貫通する周りなどの小さな隙間を埋める(気密処理)のには非常に適しています。しかし、床下全体をこのスプレー缶だけで施工するのは現実的ではありません。コストが非常にかかるうえ、均一な厚さで吹き付けるには高度な技術が求められ、断熱欠損(ムラ)ができやすいためです。

したがって、DIYで「発泡ウレタン」の断熱性能を主材料として使いたい場合は、スプレータイプではなく、「硬質ウレタンフォームボード」という板状の製品を選ぶのが一般的な選択となります。

床室断熱材の入れ方と固定・隙間埋めの注意点

床下断熱材のDIYは、床下点検口から作業スペースに潜り、「大引(おおびき)」や「根太(ねだ)」と呼ばれる床組の木材の間に断熱材をはめ込み、確実に固定する作業が基本となります。

断熱材が床板の裏側にしっかりと密着していないと、その間に空気層ができてしまいます。この空気層で冷気が動いてしまう(気流)と、断熱効果が著しく低下するため、密着させることが重要です。

具体的な施工手順は以下のようになります。

まず、床下点検口から潜り、施工したい箇所の寸法(大引や根太の間隔)をメジャーで正確に測定します。

次に、測定した寸法に合わせて、断熱材(ボード状など)をカッターナイフでカットします。このとき、隙間ができないように、測定した幅よりもわずかに(数ミリ程度)大きめにカットするのが、はめ込む際のコツです。

カットした断熱材を、木材の間に下から押し上げるようにはめ込みます。

断熱材が自重で落下してこないように、固定作業を行います。専用の固定金具(受け材)を使用する方法が確実ですが、コストを抑える方法として、荷造り用のPPバンドを木材の間にタッカー(大きなホッチキスのような工具)で張り巡らせ、断熱材を支える方法もあります。

最後に、最も重要なのが「隙間埋め」の作業です。断熱材と木材の間、配管が貫通する周り、木材同士の接合部など、わずかでも隙間が残っていると、そこから冷気が侵入してしまいます。これらの隙間は、気密テープや発泡ウレタンスプレー(缶タイプ)を使用して、徹底的に塞ぐ作業が求められます。

床下断熱材の後入れDIYを実践する際の注意点

床下断熱材の後入れDIYを実践する際の注意点

  • 後入れ費用と追加リフォーム費用相場
  • 床下断熱リフォームで使える補助金
  • 業者を選ぶときのポイント
  • 天井の断熱材後入れDIYとFAQ
  • 床下断熱材の後入れDIYまとめ

後入れ費用と追加リフォーム費用相場

床下断熱をDIYで行う場合、費用は材料費のみに抑えられることが最大のメリットですが、専門業者に依頼する場合とは当然ながら費用の総額が大きく異なります。

DIYの場合、主な出費は断熱材本体の購入費と、タッカー、気密テープ、カッター、保護具(マスク、ゴーグル)などの副資材費です。使用する断熱材の種類や施工面積(例えば一般的な戸建ての1階床面積である20坪程度)にもよりますが、材料費は合計で10万円から15万円程度がひとつの目安となるでしょう。

一方、リフォーム会社などの専門業者に依頼して追加リフォームとして施工する場合、費用相場は同じ面積でも15万円から60万円程度と、かなり幅があります。この金額には材料費に加え、床下診断を行う人件費、専門の職人による施工費、廃材の処分費、そして諸経費などが含まれます。

費用だけで判断するのではなく、作業の難易度や確実性を考慮することが大切です。DIYは費用を大幅に抑えられる可能性がありますが、床下の過酷な環境での作業負担が大きく、施工が不十分だと期待した効果が得られないリスクも伴います。業者の施工は費用がかかりますが、確実な断熱効果と、施工後の保証が期待できる点がメリットです。

床下断熱リフォームで使える補助金

床下断熱リフォームで使える補助金

床下断熱リフォームには、国や自治体が設けている補助金制度を利用できる場合があります。しかし、DIYでの施工はこれらの補助金の対象外となるケースがほとんどである点に、最大の注意が必要です。

国の主要な補助金(例えば「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「子育てエコホーム支援事業」といった省エネ関連の制度)は、多くの場合、「登録された事業者が設計・施工すること」を交付の厳格な条件としています。

これらの制度は、一定の省エネ基準を満たす高品質なリフォームを推進し、エネルギー消費量を削減することを目的としています。そのため、施工の品質を担保できるプロの事業者を介することが前提となっているのです。

したがって、DIYでリフォーム費用を抑えつつ、さらに補助金も活用する、というのは両立が難しいのが現状です。もし補助金の活用を最優先に考えるのであれば、制度の要件を詳細に確認し、対象となる施工業者に依頼する必要があります。

ただし、自治体によっては独自の小規模なリフォーム助成金制度を設けている場合もあります。まれにDIY(材料費のみを助成するなど)が対象となる可能性もゼロではありませんので、お住まいの市区町村の窓口に一度問い合わせてみる価値はあるかもしれません。

業者を選ぶときのポイント

DIYが困難であると判断し、専門業者に依頼する場合、信頼できる施工業者を選ぶためには、いくつかのポイントを見極める必要があります。床下は普段見えない場所であり、施工の品質が分かりにくいため、手抜き工事などのトラブルを避けることが重要だからです。

第一に、床下の無料診断を丁寧に行うかを確認します。安易に「やります」と言うのではなく、実際に床下に潜り、湿気やシロアリの状況、基礎の構造などをしっかりと確認した上で、最適な工法と見積もりを提案してくれる業者が望ましいです。

第二に、見積書の内容が明確かどうかです。「床下断熱工事 一式」といった曖昧な記載ではなく、使用する断熱材の商品名、数量、単価、施工費、諸経費が詳細に記載されているかを確認しましょう。

第三に、実績と専門知識です。床下断熱や断熱リフォームの施工実績が豊富かどうかを、業者のウェブサイトや口コミなどで確認します。

第四に、複数の業者から見積もりを取ることです。手間はかかりますが、必ず2~3社から相見積もりを取り、費用と提案内容を比較検討することが、適正価格と信頼できる業者を見極める上で効果的です。

最後に、施工後の保証やアフターサービスの有無です。万が一、施工後に不具合(断熱材の落下など)があった場合に対応してもらえるか、保証内容についても確認しておくと安心です。

天井の断熱材後入れDIY

天井の断熱材後入れDIY

住宅の断熱性能を上げるDIYとして、天井への断熱材後入れも人気がありますが、床下とは作業環境や注意点が異なります。また、床下断熱のDIYには特有の疑問点もあります。

天井へのDIYとの違いとして、天井裏(小屋裏)は、床下と比べて点検口からのアクセスが容易で、作業スペースが広い場合があります。しかし、夏場は直射日光の影響で極端な高温になるなど、作業環境は時期によって大きく変わります。作業内容も、床下は「下から上へのはめ込み・固定」ですが、天井は「上から下への敷き込み(敷き詰める)」が基本となり、作業の勝手が異なります。

よくある質問(FAQ)

ここで、床下断熱DIYに関してよくある質問(FAQ)にお答えします。

 床下点検口がない場合はどうすればよいですか?

和室があれば畳を上げて床板を外す、あるいはキッチンの床下収納庫を利用するなどの方法でアクセスできる場合があります。それでも侵入口がない場合は、床の一部をカットして点検口を新設する必要がありますが、床の構造材を傷めるリスクがあるため、この作業だけでも専門業者への相談をおすすめします。

 床下の湿気やカビがひどい場合はどうすればよいですか?

断熱施工の前に、湿気やカビの対策を優先する必要があります。カビを放置したまま断熱材で蓋をすると、状況が悪化し、構造材の腐食が進む恐れがあります。床下換気扇の設置や防湿シートの敷設、調湿材の散布など、原因を取り除く作業が求められます。

シロアリが心配ですが大丈夫ですか?

断熱材自体がシロアリの直接の餌になることは少ないです。しかし、断熱材がシロアリの通り道(蟻道)を隠してしまい、発見を遅らせる恐れはあります。施工前にはシロアリの点検を行い、必要であれば駆除・予防措置を講じることが賢明です。断熱材も、防蟻処理が施された製品を選ぶなどの対策が考えられます。

床下断熱材の後入れDIY:まとめ

  • 床下断熱材の後入れDIYは、底冷え改善や光熱費削減に効果的なリフォーム手法です
  • DIYの最大のメリットは、専門業者に依頼するより費用を大幅に抑えられる点にあります
  • 主な費用は断熱材の材料費と、タッカーや気密テープなどの副資材費です
  • 床下断熱の必要性は高く、寒い部屋を放置すると健康リスクや結露、カビの問題が生じます
  • 後入れによる効果は、床からの冷気遮断と暖房効率の向上が主です
  • 断熱材には繊維系(グラスウールなど)と発泡樹脂系(ポリスチレンフォームなど)があります
  • DIYには、加工がしやすく湿気に強い発泡樹脂系のボード状断熱材が比較的適しています
  • グラスウールは安価ですが、湿気対策を怠ると性能が低下するため注意が必要です
  • 発泡ウレタンのスプレー缶タイプは、全面施工ではなく隙間埋め(気密処理)に使うのが現実的です
  • 施工は床下点検口から潜り、大引や根太の間に断熱材をはめ込みます
  • 断熱材は自重で落下しないよう、専用金具やPPバンド、タッカーなどで確実に固定します
  • 最も重要な工程は隙間埋めで、気密テープや発泡ウレタンスプレーで冷気の侵入を防ぎます
  • DIYでの施工が難しい場合、業者選びは「丁寧な床下診断」「明確な見積もり」「実績」がポイントです
  • 国の断熱リフォーム補助金は、多くの場合DIYが対象外となります
  • 天井の断熱DIYは、床下とは作業環境や施工方法(敷き込み)が異なります
  • 床下点検口がない場合は、新設が必要になることもありますが、業者相談が安全です
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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