窓・ドアのお悩み

ソフトクローズの引き戸が壊れた!3つの原因と自分でできる修理・調整方法を徹底解説

毎日使う引き戸が、ある日突然「バタン!」と大きな音を立てて閉まるようになった、あるいは閉まる途中で止まってしまうなど、ソフトクローズが壊れたかもしれないと不安になっていませんか。

あの静かで滑らかな動作が当たり前になっているだけに、一度故障すると非常にストレスを感じるものです。

この記事では、ソフトクローズ引き戸が壊れた場合のさまざまな原因や種類を深掘りし、ご自身でできる引き戸ソフトクローズが効かないときの対処法について、手順を追って詳しく解説します。

国内主要メーカーであるリクシル(LIXIL)、ウッドワン(WOODONE)、YKK APといった各社の故障事例の特徴にも触れながら、特に多い「ソフトクローズが途中で止まる」問題の根本的な解決策を探ります。

また、意外と知られていないソフトクローズの引き戸の詳しい仕組みや、ソフトクローザーの寿命や耐久年数はどのくらいか、という疑問にもお答えします。

さらに、DIYでの直し方手順と必要なアイテム、ソフトクローズの部品を正確に見つけ出す方法、気になる引き戸のソフトクローズ修理費用や交換費用はいくらですか?といった具体的な費用面。

さらには賃貸の倍の対処法(賃貸物件にお住まいの場合の正しい対応方法)、失敗しない業者を選ぶときのポイントと注意点まで、この問題に関するあらゆる情報を網羅的に提供します。

この記事のポイント

  • ソフトクローズが壊れる主な原因と精密な仕組み
  • 自分でできる初期対処法と安全な調整手順
  • DIYと業者依頼時の修理・交換にかかる費用の詳細な目安
  • 賃貸物件で故障した際の絶対的なルールと正しい対応

ソフトクローズの引き戸が壊れた?まず原因を知ろう

ソフトクローズの引き戸が壊れた?まず原因を知ろう

ソフトクローズが機能しなくなった時、多くの場合は「部品の寿命」か「調整のズレ」、あるいは「汚れの蓄積」が原因です。

慌てて業者を呼ぶ前に、まずは何が原因で不具合が起きているのか、そのメカニズムと合わせて基本的な知識を整理しましょう。

  • 引き戸ソフトクローズの仕組み
  • 壊れた原因や引き戸の種類解説
  • ソフトクローザーの寿命や耐久年数は?
  • ソフトクローズが途中で止まる・効かないときの対処法
  • リクシル・YKK・ウッドワンの故障や壊れた場合の対処法

引き戸ソフトクローズの仕組み

多くのソフトクローズ(上吊り式の場合)は、扉の上端に取り付けられた「アーム(またはラッチ、トリガーとも呼ばれます)」と、レール側(鴨居内部)に固定された「本体(ダンパーユニット)」の2つが連携して動作します。

扉が閉まる方向に動くと、まず扉側のアームがレール側の本体ユニットに進入します。ユニット内部にあるキャッチ機構がアームを掴むと、その運動エネルギーが油圧ダンパーに伝わります。

このダンパーが抵抗となることで、重い扉の速度を強制的に、しかし滑らかに減速させます。そして、速度が落ち切った後、今度は内部のスプリング(バネ)の力を使って、扉を最後まで静かに引き込む(または押し出す)仕組みです。

ポイント:ソフトクローズの「ブレーキ機能」は油圧ダンパーが、「最後の引き込み機能」はスプリングが主に担っています。

「ブレーキは効くが最後まで閉まらない」場合はスプリングの不具合、「ブレーキが効かずバタンと閉まる」場合はダンパーの不具合(オイル漏れなど)が疑われます。

壊れた原因や引き戸の種類解説

引き戸のソフトクローズは、扉が閉まる直前のわずかな区間でブレーキをかけ、その後ゆっくりと静かに所定の位置まで引き込むための高度な装置です。

快適性と安全性を両立させるため、精密な部品で構成されています。故障の原因を探る前に、まずはご自宅の「引き戸の種類」と「ソフトクローズの仕組み」について理解を深めましょう。

引き戸の種類とソフトクローズの関係

引き戸には大きく分けて「上吊り式」と「戸車式(下レール式)」の2種類があり、どちらのタイプかによっても不具合の原因が異なる場合があります。

  • 上吊り式:扉の上部にある「吊車(ローラー)」だけで扉全体を支え、上部レール(鴨居)の中を走行するタイプです。ソフトクローズ機構の多くは、この上部レール内に設置されています。床にレールがないため掃除がしやすい反面、上部レール内にホコリが溜まると走行抵抗が増し、ソフトクローズが効きにくくなる主な原因となります。
  • 戸車式(下レール式):扉の下部にある「戸車」が床のレールの上を走行し、上部はガイドピンなどで支えるタイプです。このタイプでも、ソフトクローズ機構自体は上部(鴨居側)に取り付けられていることが一般的です。床のレールに溜まったホコリやゴミが戸車の回転を妨げ、扉の動きが重くなることでソフトクローズ不全を引き起こすケースが多く見られます。

ポイント:どちらのタイプでも、ソフトクローズ機構は「上部」にあることがほとんどです。

しかし、不具合の原因は「上部レール(上吊り式)」または「下部レール(戸車式)」の汚れである可能性も高い、ということを覚えておきましょう。

ソフトクローズの詳しい仕組み

ソフトクローズが機能しなくなる原因は、その精密な仕組みと密接に関連しています。多くの場合、ソフトクローズは以下の2つの主要な機能部品で構成されています。

ソフトクローズの2大要素

  1. 油圧ダンパー(ブレーキ機能):扉が閉まる勢いを吸収し、速度を強制的に落とす「ブレーキ」の役割を果たします。注射器のようなシリンダー内部にオイルが満たされており、その粘性抵抗を利用します。
  2. スプリング(引き込み機能):ブレーキがかかった後、扉を最後までゆっくりと確実に引き込む「バネ」の役割を果たします。

扉側に取り付けられた「アーム(ラッチ)」が、レール側の「本体ユニット」に入ると、まずダンパーが作動して減速し、次にスプリングが作動して引き込みます。この連携が崩れることで、さまざまな不具合が発生します。

  • 「バタン!」と閉まる場合:油圧ダンパーのオイル漏れにより、ブレーキ機能が失われている可能性が高いです。
  • 「最後まで閉まらない」場合:スプリングの劣化(へたり)により、引き込み力が弱まっている可能性が考えられます。

壊れた主な原因と症状の特定

ソフトクローズが効かなくなる原因は、単一ではありません。症状によって、原因はある程度特定することが可能です。主な原因としては、「汚れの蓄積」による動作不良、「部品の調整不良」、そして「部品自体の物理的な劣化・破損」が挙げられます。

故障の原因具体的な症状と内容疑われる部品の不具合
1. 汚れの蓄積症状:途中で止まる、動きが重い、最後まで閉まらない。

内容:上部レールや戸車(ローラー)、ソフトクローズ本体の隙間にホコリや髪の毛、ペットの毛などが溜まると、扉の走行抵抗が増大します。その結果、扉がソフトクローズの作動領域まで自走する勢いを失い、機能不全に陥ります。

・上部レールと吊車(ローラー)

・下部レールと戸車

・下部ガイドピン周辺

2. 部品の調整不良症状:効いたり効かなかったりする、作動時に「ガリッ」と異音がする、ブレーキがかからない。

内容:長期間の使用や、家のわずかな歪み(特に新築後数年)によって、扉本体の高さや位置が微妙にずれることがあります。これにより、アームと本体ユニットが「正しい位置で噛み合わなく」なり、機能不全に陥ります。引き込み力を調整するネジや、本体を固定するネジが振動で緩むこともあります。

・扉の高さ調整ネジの緩み

・アームと本体ユニットの位置ズレ

・各種固定ネジの緩み

3. 部品の劣化・破損症状:ブレーキが効かずバタンと閉まる、引き込み力が全くない、アームが折れている。

内容:これが部品交換が必要となる最も多い原因です。

ブレーキが効かない場合:内部の油圧ダンパーからオイルが漏れ、抵抗(ブレーキ力)が失われている可能性が非常に高いです。

最後まで閉まらない場合:内部のスプリング(バネ)が金属疲労で「へたって」引き込み力が弱まっている可能性があります。

その他:アームや受け部品(多くはプラスチック製)が、経年劣化や衝撃で割れたり、摩耗したりして正常に作動しなくなることも多いです。

・油圧ダンパー(オイル漏れ)

・スプリング(へたり)

・アーム、受け部品(割れ・破損)

ソフトクローザーの寿命や耐久年数は?

ソフトクローザーの寿命や耐久年数は?

ソフトクローザーは精密な機械部品であり、残念ながら永久に使えるわけではありません。構造上、必ず寿命が存在する消耗品として認識しておく必要があります。

一般的なソフトクローザーの寿命(耐用年数)は、約10年程度とされています。多くの建材メーカーでは、製品の耐久試験としてJIS規格(日本産業規格)に基づいた開閉試験を行っています。

例えば、パナソニックの公式サイトQ&Aによれば、室内引戸の開閉試験として10万回(※製品や仕様によります)の耐久性を確認しているとされています。(参照:パナソニック公式サイト「室内ドア・引戸の耐用年数は?」)

1日に10回開閉すると仮定すると、年間約3,650回。10万回に達するには約27年かかる計算になりますが、これはあくまで試験環境下での数値です。実際の寿命は、使用頻度や環境(湿度、温度変化)、扉の重量によって大きく左右されます。

注意点

家族が集まるリビングの出入り口など、開閉頻度が極端に高い場所では、5年~7年程度で「ブレーキが甘くなった」「引き込みが弱くなった」といった不具合が出始めるケースも珍しくありません。「以前より閉まる速度が速くなった」「途中で引っかかる感じがする」といった小さな違和感は、寿命が近づいているサインかもしれません。

ソフトクローズが途中で止まる・効かないときの対処法

ソフトクローズが効かない、あるいは途中で止まるといった初期症状が出た場合、部品の故障や寿命と判断する前に、ご自身で試せる簡単な対処法がいくつかあります。

これで改善するケースも多いため、ぜひ一度お試しください。

対処法1:レールの清掃

最も基本的かつ効果的な対処法が、レール部分の清掃です。特に上吊り式の引き戸の場合、上部レール(鴨居)の溝はホコリの温床です。

  1. 安全な脚立を用意し、掃除機の細いノズルやブラシを使って、レール内部のホコリやゴミを徹底的に吸い取ります。
  2. 戸車(扉側についているローラー)周辺に絡みついた髪の毛やホコリも、ピンセットや乾いた布で丁寧に取り除いてください。

これだけで扉の滑り(走行抵抗)が劇的に改善し、ソフトクローズが正常に作動するようになるケースは非常に多いです。

NG行為:滑りを良くしようとして、レールや戸車に潤滑油(CRC 5-56など)をスプレーするのは絶対に避けてください。油がホコリを吸着して固まり、かえって動作を重くする最悪の結果を招きます。清掃は必ず乾拭きか、固く絞った雑巾で行ってください。

対処法2:機構のリセット操作

何らかの拍子に(例:扉を強く開け閉めした時など)、ソフトクローズ機構のアームやラッチが正常な待機位置から外れてしまうことがあります。この場合、機構をリセットすることで復旧する可能性があります。

やり方は簡単で、扉をゆっくりと「全開」の位置まで(カチッと音がするまで)動かし、その後ゆっくりと「全閉」の位置まで(カチッと音がするまで)動かすだけです。この操作を2~3回繰り返してみてください。

多くのメーカーの製品では、この全開・全閉操作によって機構内部のラッチやアームが強制的に定位置に戻され、正常な機能が復旧するように設計されています。

ポイント:操作する際は、決して勢いをつけず、必ずゆっくりと端から端まで動かすことが重要です。勢いよくぶつけると、リセットされるどころか、さらなる部品破損の原因になりかねません。

リクシル・YKK・ウッドワンの故障や壊れた場合の対処法

ソフトクローズの基本的な仕組みは各社共通ですが、メーカーによって独自の呼称や、採用している機構に細かな特徴があります。

リクシル(LIXIL)の場合

リクシルでは「ソフトモーション」という名称で呼ばれることが多いです。リクシル製品の故障でよく報告される症状として「吊車のラッチが上がったままになっている(リセット解除状態)」ケースがあります。この場合、前述の全開・全閉操作によるリセットが有効な対処法となります。

詳しい対処法については、LIXILの公式サポートページにも図解入りで解説されています。(参照:LIXIL公式サイト「[上吊引戸] ソフトモーションが効かない(ブレーキが効かない)」

YKK APの場合

YKK APの製品(例:ラフォレスタシリーズなど)には、閉めるときだけでなく、開けるときにもブレーキが効く「ダブルソフトクローズ」(開閉両側ソフトクローズ)仕様のものが多く見られます。

これは開ける際の「バタン!」という音も防げる高機能なものですが、部品点数が多いため、故障の可能性も理論上は高まります。どちらか一方、あるいは両方の効きが悪くなった場合、まずはレールの清掃やリセット操作を試してみましょう。

ウッドワン(WOODONE)の場合

ウッドワン(WOODONE)の製品(例:ピノアースシリーズなど)も、基本的な構造は他社と同様です。

ソフトクローズが効かなくなった場合、まずはレール清掃とリセット操作を行います。それでも改善しない場合は、調整ネジによる引き込み力の微調整や、部品の物理的な破損(特にアームや受け部品の割れなど)を疑います。ウッドワンは公式サイトで交換部品の検索が比較的しやすい体制を整えています。

いずれのメーカーであっても、基本的な対処法(清掃・リセット)で改善しない場合は、部品の調整または部品交換が必要になります。

ただし、ご自身での調整や交換は、構造を理解していないと難しく、かえって状態を悪化させる可能性もあるため、次のステップを慎重に判断してください。

ソフトクローズの引き戸が壊れた時の修理・交換費用

ソフトクローズの引き戸が壊れた時の修理・交換費用

清掃やリセット操作を試しても症状が改善しない場合、いよいよ本格的な修理や調整、部品交換のステップに進みます。

ご自身で挑戦する(DIY)か、専門業者に依頼するか、それぞれの方法と注意点を詳しく解説します。

  • 直し方手順と必要なアイテム
  • 交換用の部品などの確認方法と購入先
  • 修理費用や交換費用はいくらですか?
  • 業者を選ぶときのポイントと注意点
  • 賃貸の場合の対処法とは?

直し方手順と必要なアイテム

専門業者に依頼する前に、自分でできる修理(調整)に挑戦してみる価値はあります。

ただし、作業は上向きでの細かい作業となるため、安全に十分配慮して行ってください。

準備するアイテム(必要な道具)

簡単な調整や清掃に必要な道具は以下の通りです。これらはホームセンターや100円ショップでも揃えられます。

  • プラスドライバー(ネジのサイズに合ったもの。大・小あると万全)
  • 脚立または安定したグラつかない踏み台(上部レールに顔を近づけられる高さのもの)
  • 保護メガネ(上を向いて作業する際のホコリや、万が一の部品落下から目を守るため必須)
  • 軍手(手の保護)
  • 掃除機(ブラシ付きノズルがあると便利)
  • 乾いた布(ウエス)
  • ライト(ヘッドライトや懐中電灯。鴨居の中は暗いため必須)

絶対禁止:ネジの調整に電動ドライバーは絶対に使用しないでください。トルク(力)が強すぎて、プラスチック製の部品を簡単に破損させたり、ネジ山を潰して(なめて)しまったりする危険性が非常に高いです。必ずご自身の感覚で力を調整できる手回しのドライバーを使用してください。

直し方手順

清掃やリセット操作で改善しない場合、以下の調整を試みます。

  1. 安全の確保:まず、脚立を平らで安定した場所に設置し、保護メガネと軍手を装着します。
  2. レールの再清掃:前述の手順で、上部レールと戸車をライトで照らしながら徹底的に清掃します。見落としていたゴミがないか最終確認します。
  3. 調整ネジの確認:ソフトクローズ本体ユニット(レール側)をライトで照らし、引き込み力を調整するためのネジがあるか確認します。多くの場合、「強・弱」や「H・L」といった表示、あるいは回転方向を示す矢印があります。
  4. 引き込み力の調整:ドライバーを使い、調整ネジをほんの少し(例:時計回りに45度程度)「強」の方向に回してみます。※回しすぎると内部のスプリング機構を破損する恐れがあります。少し回しては動作確認、を繰り返してください。
  5. 動作確認:扉を数回開閉し、ソフトクローズの効き具合(引き込み力)が改善したか確認します。

これでも改善しない場合、扉の高さ調整(戸車部分にある調整ネジ)や、ソフトクローズ受け部品の位置調整が必要になることがありますが、これらは扉の傾きにも影響するため難易度が格段に上がります。

無理だと感じたら、この時点で専門業者に相談するのが賢明です。

交換用の部品などの確認方法と購入先

交換用の部品などの確認方法と購入先

調整しても直らない、あるいはライトで照らした結果、明らかに部品(アームや受け、本体)が割れている・変形している場合は、部品交換が必要です。

交換用部品を入手する上で最も重要かつ困難なのが「型番(品番)」の特定です。

型番(品番)の確認方法

ソフトクローズの本体ユニットや、時には扉の側面(上端や下端の目立たない場所)に、メーカー名と英数字が羅列された型番が記載されたシールが貼られていることが多いです。脚立に上り、ライトで照らしながらスマートフォンで撮影するなどして、慎重に確認してください。

型番がどうしても見つからない場合は、扉全体のメーカー名(リクシル、YKK、パナソニック、ウッドワン、大建工業など)と、新築時やリフォーム時の図面、仕様書などを確認します。扉のデザインや取っ手の形状から製品シリーズ名を特定できる場合もあります。

部品の購入先

型番が特定できれば、以下の方法で購入できる可能性があります。

  • メーカーの公式オンラインショップ(部品販売サイト):最も確実ですが、一般消費者向けに販売していない場合もあります。
  • Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイト:「[メーカー名] ソフトクローズ [型番]」などで検索すると見つかることが多いです。ただし、型番が1文字違うだけで適合しないため、細心の注意が必要です。
  • 金物専門のオンラインショップ(モノタロウなど):プロ向けのサイトですが、個人でも購入可能な場合があります。
  • ホームセンター(カインズ、コーナンなど):店頭に在庫があるケースは稀ですが、サービスカウンターで型番を伝えて取り寄せを依頼できる場合があります。

豆知識:部品は色(ダークブラウン、ナチュラル、ホワイトなど)によっても型番の末尾が異なる場合があります。現在の部品の色もしっかり確認してから注文してください。また、製造中止(廃番)で後継品に切り替わっていることも多いため、メーカーサポートへの問い合わせが必要になることもあります。

修理費用や交換費用はいくらですか?

修理や交換にかかる費用は、ご自身で行う(DIY)か、専門業者に依頼するかで大きく異なります。

「修理費用や交換費用はいくらですか?」という疑問は、修理を決断する上で最も気になるところだと思います。

以下に費用の目安を表でまとめますが、これはあくまで一般的な相場です。

修理方法費用の目安(税込)費用の内訳と備考
DIY(自分で交換)約5,000円 ~ 15,000円・ソフトクローズ部品代のみ。

・費用はメーカーや、片側(閉側)のみか両側(開閉)かで変動します。

・型番間違いや作業失敗のリスクは自己責任となります。

専門業者に依頼約30,000円 ~ 50,000円・ソフトクローズ部品代

・作業費(工賃)

・出張費

・原因の特定から部品手配、交換作業まで全て任せられます。

DIYであれば部品代だけで済みますが、型番を間違えて買い直したり、交換作業中に他の箇所を破損させたりするリスクも伴います。

一方、業者に依頼すると費用は高くなりますが、原因の正確な特定から適切な部品の手配、扉の脱着や建付け調整を含めた確実な交換作業までを一括して任せられる安心感があります。

前述のパナソニックの修理サービスでは、ソフトクローズ交換の目安料金を3.1万円~4.3万円/台(出張料、技術料、部品代込み)と公開しており、これが一つの相場観となるでしょう。

業者を選ぶときのポイントと注意点

DIYは困難と判断し、修理を業者に依頼すると決めた場合、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。残念ながら、高額な請求をする悪質な業者も存在するため、以下のポイントを押さえてください。

優良な業者選びの3つのポイント

  1. 相見積もりを必ず取る:最低でも2~3社から見積もりを取ります。「出張見積もり無料」の業者を選びましょう。その際、症状(いつから、どうなる)やメーカー名を伝え、可能であれば不具合箇所の写真を送るとスムーズです。
  2. 修理実績と専門性を確認する:ホームページなどで、鍵修理や水回りだけでなく、「建具(たてぐ)修理」や「引き戸のソフトクローズ修理」に関する具体的な実績が豊富かを確認します。
  3. 保証の有無を確認する:交換した部品や作業に対して、「施工後1年保証」など、一定期間のアフターフォロー(保証)が付いているかを確認すると安心です。

注意点:電話やメールだけで「5,000円で直せます」と安易に回答し、現場で「部品交換が必要なので5万円です」と高額な追加費用を請求する業者には注意が必要です。

必ず現場の状況をしっかり確認した上で、作業前に「作業内容と総額費用」が明記された正式な見積書を提示してもらい、納得してから契約しましょう。

賃貸の場合の対処法とは?

もし、お住まいが賃貸物件である場合、ソフトクローズが壊れた際の対応は、持ち家とは全く異なります。

誤った対応をすると大きなトラブルに発展するため、厳重な注意が必要です。

賃貸物件での絶対的なルール

絶対に自分で修理(DIY)したり、勝手に業者を手配したりしないでください。

賃貸物件のドアやソフトクローズ機構などの設備は、すべて大家(オーナー)または管理会社の所有物です。

善意であっても、無断で修理や交換を行うと「契約違反」となり、退去時に高額な原状回復費用を請求される(元に戻すための費用を請求される)可能性があります。

賃貸物件での正しい対処の手順

  1. 速やかに連絡:故障に気づいたら、ご自身で何もせず、すぐに契約している管理会社または大家さん(オーナー)に連絡します。
  2. 状況を具体的に説明:「いつから」「どこの扉が」「どのような症状か」(例:ブレーキが効かずバタンと閉まる、途中で止まる)を具体的に伝えます。
  3. 指示を待つ:修理業者の手配や対応は、すべて管理会社側が行います。修理業者が訪問する日時の調整などに協力しましょう。

日常生活での通常の使用による故障(経年劣化によるオイル漏れやバネの疲労など)であれば、その修理費用は基本的に大家(貸主)側の負担となります。

これは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」においても、設備の経年変化や通常損耗は貸主負担とされているためです。

ただし、扉に物を強くぶつけて壊した、子供がぶら下がってアームを折ったなど、入居者の故意・過失が原因の場合は、入居者負担となることもあります。正直に状況を伝えることが重要です。

ソフトクローズの引き戸が壊れたときの対処法:総まとめ

最後に、ソフトクローズ引き戸が壊れた時の対応について、重要なポイントをリスト形式で再確認します。

  • ソフトクローズが効かない原因は主に「汚れの蓄積」「部品の調整不良」「部品の経年劣化」
  • 真っ先に試すべきは「上部レールの徹底的な清掃」
  • 次に試すのは「扉をゆっくり全開・全閉する機構のリセット操作」
  • ソフトクローザーの一般的な寿命は約10年が目安だが、使用頻度による
  • リクシルやYKKなどメーカーによって機構に若干の違いがあるため、確認が必要
  • DIYで調整する際は必ず「手回しドライバー」と「保護メガネ」を使用する
  • 潤滑油(CRCなど)をレールに差すのはホコリを固着させるためNG
  • 電動ドライバーの使用は部品破損の危険があるため絶対に行わない
  • DIYで部品交換する際は「型番」の特定が最も重要かつ困難な作業
  • 型番は本体ユニットや扉側面のシールで確認する
  • DIYでの交換費用目安は部品代のみで約5,000円から15,000円
  • 業者依頼時の費用目安は工賃・出張費込みで約30,000円から50,000円
  • 業者選びは「相見積もり」「建具の修理実績」「保証の有無」がポイント
  • 賃貸物件の場合は絶対に自己判断で修理・業者手配をしない
  • 賃貸物件では速やかに管理会社または大家に連絡し、指示を仰ぐ
  • 経年劣化による故障であれば賃貸の修理費用は貸主(大家)負担が原則
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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