窓をしっかり閉めているはずなのに、いつの間にか室内に虫がいる。
そんな不快な経験はありませんか?
実は、窓を閉めていても虫が入ってくる原因や理由は複数存在します。網戸の小さい虫が大量に発生する原因や、大きいは虫はどこから入ってくるのか、多くの方が疑問に思っています。
この記事では、窓の隙間からの虫対策をしたい方、網戸にできる小さい虫対策を知りたい方、そして網戸の内側にいる虫をどうやって逃すか悩んでいる方のために、具体的な方法を解説します。
窓を開けてないのに虫がいる場合、エアコンが原因かもしれませんし、すべり出し窓や外開き窓の網戸の虫対策も厄介な問題です。
窓から虫が入らない開け方のコツから、窓に虫が来ない方法や解決策3選、虫が窓に張り付くのを防ぐにはどうすればよいか、効果的な窓の虫除けアイテムまで、窓を閉めても虫が入ってくる対策を網羅的にご紹介します。
目次
窓を閉めても虫が入ってくる!対策や原因を解説
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- 窓を閉めても虫が入ってくる原因や理由
- 網戸に小さい虫が大量発生する原因
- 大きいは虫はどこから入ってくるのか
- 窓を開けてないのに虫?エアコンも要注意
- 窓の隙間から虫を対策する必要性
窓を閉めても虫が入ってくる原因や理由
窓を固く閉めているにもかかわらず虫が侵入してくる場合、その原因の多くは目に見えにくい「隙間」にあります。新築時には完璧に見えた窓も、日々の開閉、建物のわずかな歪み、そして部品の経年劣化によって、徐々に隙間を生じさせます。
特に見落とされがちなのが、網戸と窓枠の接合部分です。網戸のフレーム(枠)には、「モヘア」と呼ばれる毛状の部材が取り付けられており、これが気密材として機能しています。
しかし、このモヘアが紫外線や風雨にさらされて5年、10年と経過すると、毛が痩せて短くなったり、弾力を失って寝てしまったり、あるいは抜け落ちてしまいます。そうなると、網戸と窓枠の間に1mm以下のわずかな隙間が生まれ、そこが虫の侵入ルートとなってしまうのです。
また、日本で最も普及している「引き違い窓」の場合、窓の開け方そのものが原因になることもあります。
窓を半開きにする際、網戸と窓ガラスの位置関係が不適切だと、構造上どうしても隙間ができてしまいます。虫は1mmから2mm程度の隙間さえあれば容易に侵入できるため、人間が「閉まっている」と感じるレベルでも、虫にとっては「開いている」のと同じ状態なのです。
侵入経路は「複合的」な隙間
虫の侵入は、網戸の明らかな「破れ」だけが原因ではありません。サッシ自体のわずかな歪み、窓枠のゴムパッキンの硬化や縮み、そして前述のモヘアの劣化といった、複数の目立たない「隙間」が組み合わさることで、虫の侵入を許しているケースが非常に多いのです。
網戸に小さい虫が大量発生する原因
網戸をきちんと閉めているのに、コバエ(ショウジョウバエやノミバエ)、ユスリカ、チョウバエといった非常に小さい虫が室内で大量に発見される場合、その原因は網戸の「網目の粗さ(メッシュ)」にある可能性が極めて高いです。
網戸の網目の細かさを表す単位が「メッシュ」です。これは、1インチ(約2.54cm)四方の中に、タテ・ヨコそれぞれ何本の糸が通っているかを示します。したがって、メッシュ数が大きいほど網目が細かく、防虫性能が高くなります。
一般的に、日本の住宅で標準的に使用されている網戸は「18メッシュ」(網目の大きさが約1.15mm四方)や「20メッシュ」(網目約1.03mm四方)です。
これらは蚊や大きめのハエの侵入を防ぐことはできますが、体長が1mm以下になることもあるコバエやユスリカ、チョウバエなどは、この1.15mmや1.03mmの網目をすり抜けてしまうことがあるのです。これが、網戸を閉めていても小さい虫が大量発生する最大の理由です。
メッシュ数と虫の大きさの目安
小さい虫の侵入を防ぐには、網戸のネットをより細かいメッシュのものに張り替えることが最も効果的です。網戸のメッシュサイズと防げる虫の目安は以下の通りです。
| メッシュ数 | 網目の大きさ(目安) | 防げる虫(目安) |
|---|---|---|
| 18メッシュ | 約1.15mm | イエバエ、アカイエカ、大きめの羽虫 |
| 20メッシュ | 約1.03mm | 一般的な蚊、ハエ類 |
| 24メッシュ | 約0.84mm | コバエ、ユスリカ、小さな羽虫 |
| 30メッシュ以上 | 約0.67mm以下 | チョウバエ、アザミウマなど極小の虫 |
小さい虫の侵入にお悩みの場合は、最低でも「24メッシュ」以上の網戸への交換が強く推奨されます。
ただし、メッシュ数を上げすぎると網目が細かくなる分、通気性が若干低下するというデメリットもあります。防虫性能と通気性のバランスを考慮して選ぶことが重要です。
大きいは虫はどこから入ってくるのか
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コバエのような微細な虫ではなく、カメムシ、ゴキブリ、ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジといった比較的「大きい虫」が室内で発見される場合、侵入経路は窓の隙間だけとは限りません。
もちろん、網戸に明確な破れや穴が開いていたり、サッシと壁の間に(地震などで)大きな隙間(クラック)ができていれば、そこから堂々と侵入してきます。特に秋口のカメムシは、越冬のために暖かい場所を求め、サッシのわずかな隙間にもぐり込み、そのまま室内に入ってくる習性があるため油断できません。
しかし、窓や網戸を厳重に閉め切っていてもこれらの虫が侵入してくる場合、以下のような「窓以外のルート」も同時に疑う必要があります。
窓以外の主な侵入経路
- エアコンのドレンホース(排水管):先端が屋外で開いており、ゴキブリやムカデの格好の侵入路となります。
- 換気扇や通気口:特に古いタイプや、24時間換気システムの給気口は、フィルターが劣化・破損していると虫の入口になります。
- キッチンの排水溝や浴室・洗面所の排水口:排水トラップの水(封水)が切れていると、下水管からゴキブリなどが上がってくることがあります。
- 壁や基礎のひび割れ:建物の基礎や外壁に生じたクラック。
- 配管を通す穴の隙間:水道管やガス管、電気ケーブルなどを屋内に引き込む際、壁に開けた穴と配管の間に「隙間」があると、そこをパテなどで埋めていない限り、虫の侵入経路となります。
これらの場所はすべて屋外と直接的・間接的につながっています。特にゴキブリやムカデは、暗く湿った狭い場所を好むため、排水関連や配管の隙間から侵入するケースが非常に多いです。
窓を開けてないのに虫?エアコンも要注意
「窓も玄関も開けた記憶がないのに、なぜか部屋に虫がいる…」という不可解な現象に遭遇した場合、エアコンが侵入経路になっている可能性を強く疑うべきです。
エアコンは、室内機と室外機が「冷媒管」と「ドレンホース(結露水を屋外に排出する排水管)」によって接続されています。このうち、特にドレンホースは、虫の侵入経路として非常によく知られています。
ドレンホースの先端は、通常、屋外で開いたまま(オープンな状態)になっています。このホースの内部は、エアコン使用時には湿気を帯び、停止時にはホコリなども溜まりやすいため、虫にとっては格好の隠れ家であり、安全な侵入トンネルとなります。
屋外でホースの先端から侵入した虫(ゴキブリ、カメムシ、ヤモリ、ムカデなど)が、ホース内部を伝って室内機まで到達し、そこから部屋に出てくるのです。
ドレンホース対策は「防虫キャップ」で
この経路を遮断する最も簡単で効果的な対策は、ドレンホースの先端に「防虫キャップ」を取り付けることです。これはホームセンターや100円ショップ、インターネット通販などで容易に入手できます。水の排出は妨げず、虫の侵入だけを防ぐ構造になっています。
ただし、防虫キャップには落ち葉やホコリが詰まりやすいというデメリットもあります。キャップが詰まると排水が逆流し、エアコン本体(室内機)からの水漏れの原因になることがあります。虫の侵入を防ぐと同時に、定期的にキャップの詰まりを点検し、清掃することが非常に重要です。
窓の隙間から虫を対策する必要性
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これまでに解説したように、虫の侵入を防ぐ上で「隙間」対策は最も重要です。窓ガラスや網戸本体(ネット)に問題がなくても、その周辺の「隙間」が侵入を許してしまいます。
特に、引き違い窓の気密性を左右する重要な部品が「モヘア」です。モヘアは、網戸の側面(戸先)や、窓ガラス同士が重なる中央部(召し合わせ)に取り付けられている、毛足の長い帯状の気密材です。これが網戸と窓ガラスの隙間、あるいは窓ガラス同士の隙間を物理的に埋め、虫やホコリの侵入、そして隙間風を防いでいます。
しかし、このモヘアは消耗品です。長年にわたり直射日光(紫外線)や風雨にさらされ、開閉のたびに擦れることで、徐々に劣化していきます。
モヘアの劣化サイン
- 毛が抜けてスカスカになり、向こう側が透けて見える。
- 毛が寝てしまい(倒れてしまい)、弾力性が失われている。
- 触ると毛がボロボロと崩れたり、粉のようになって手に付着する。
- ホコリや汚れが固着し、毛がカチカチに固まっている。
上記のような状態になったモヘアは、本来の気密性を発揮できません。結果として生じたわずかな隙間が、虫の侵入ルートになってしまいます。
網戸を閉めているのに隙間から虫が入ってくる、あるいは隙間風を感じるようになったら、まずこのモヘアの状態を確認してみてください。もし劣化が確認できたら、交換のサインです。
モヘアはDIYでの交換も可能ですが、サッシの溝に合った正しい幅と毛足の長さ(ベース幅、毛の長さ)の製品を選ぶ必要があり、意外と種類が多いため注意が必要です。
窓を閉めても虫が入ってくる!対策と虫が入らない開け方と実践方法
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- 窓を閉めても虫が入ってくる原因や理由
- 網戸の小さい虫が大量発生する原因
- 大きいは虫はどこから入ってくるのか
- 窓を開けてないのに虫?エアコンも要注意
- 窓の隙間から虫対策の必要性
窓から虫が入らない開け方や手順
最も一般的である「引き違い窓」において、網戸を使っているのに虫が入ってくる場合、窓の開け方(網戸の使い方)を間違っている可能性が非常に高いです。これは、引き違い窓の構造を理解することで解決できます。
引き違い窓の網戸は、通常、室外側(外側)のレールに設置されています。虫の侵入を防ぐ「正しい開け方」の最大のポイントは、「網戸のフレーム(枠)と、室内側の窓ガラスのフレーム(枠)を、常にぴったりと密着させて隙間をなくすこと」です。
虫が「入らない」正しい開け方
原則:網戸を「右側」に寄せ、室内側(手前)の窓である「右側の窓」は動かさず、室外側(奥)の窓である「左側の窓」を開閉する。
多くの引き違い窓は、室内から見て右側の窓が「手前(室内側)」、左側の窓が「奥(室外側)」になるよう設計されています。(※これは逆の場合もありますので、ご自宅の窓をご確認ください)
この構造の場合、網戸を右側に固定します。そして、換気のために開けるのは「左側の窓(室外側)」にします。こうすることで、窓を半開きにしても全開にしても、網戸のフレームと、閉まっている「右側の窓(室内側)」のフレームが常に重なり合い、密着した状態が保たれます。これにより、虫が侵入する隙間は生まれません。
虫が「入ってしまう」間違った開け方
NG例:網戸を「左側」に寄せ、室内側(手前)の「右側の窓」を半開きにする。
これが最も虫が入りやすい、最悪の使い方です。網戸を左側に寄せた状態で、右側の窓(室内側)を半開きにすると、網戸と、閉まっている左側の窓(室外側)のガラス面との間に、数センチの「隙間」が発生してしまいます。
この隙間が、虫の絶好の侵入経路となってしまうのです。
換気のために窓を少しだけ開けたい場合も、必ず「網戸を寄せている側の窓(この例では右側)」は動かさず、「網戸から遠い側の窓(この例では左側)」を開けるように習慣づけてください。大手サッシメーカーも、この「正しい網戸の使い方」を推奨しています。(参照:YKK AP株式会社「【網戸】虫が入りにくい網戸と窓の開け閉めの方法」)
網戸にできる小さい虫対策
前述の通り、網戸のメッシュが粗いと小さい虫は通り抜けてしまいます。窓の「開け方」を正しくし、「モヘア」の補修を行ってもまだ小さい虫の侵入が防げない場合は、網戸自体への積極的な対策が必要です。
網目が細かい網戸(24メッシュ以上)に交換する
最も確実かつ根本的な解決策は、網戸のネット(網)を「24メッシュ」以上の細かいものに張り替えることです。24メッシュ(網目約0.84mm)であれば、1mm以下のコバエやユスリカの侵入を物理的にほぼ防ぐことができます。
網戸の張り替えはDIYでも可能ですが、ネットを均等な力で引っ張りながら固定する必要があり、慣れていないと「たるみ」や「歪み」が生じやすいです。
たるんだ網戸は、結局サッシとの間に隙間を作ってしまう原因にもなります。自信がない場合は、専門業者に依頼すれば、フレームの歪み調整なども含めて確実な施工が期待できます。
網戸用の虫除けスプレー(忌避・殺虫)を使う
張り替えよりも手軽にできる対策として、網戸用の虫除けスプレーが非常に有効です。これらは網戸にスプレーするだけで、薬剤がネットをコーティングし、虫を寄せ付けにくくする(忌避)、あるいは網戸に触れた虫を駆除する(殺虫)効果を発揮します。
多くの製品で使われている「ピレスロイド系」と呼ばれる成分は、虫に対して強い神経毒性を示しますが、人間や哺乳類には比較的安全性が高いとされています。(参照:アース製薬株式会社「【基礎知識】殺虫剤や虫よけ剤(忌避剤)に含まれる成分「ピレスロイド」とは何ですか。」)
製品によって異なりますが、効果の持続期間は数週間から最大2〜3ヶ月程度のものが多いです。
ただし、雨や風、直射日光によって薬剤は徐々に分解・流出してしまうため、効果を持続させるには定期的にスプレーし直す必要があります。
虫除けスプレーの注意点
虫除けスプレーを使用する際は、ペットや小さなお子様がいるご家庭は、成分をよく確認してください。
特にピレスロイド系は魚類や両生類・爬虫類には強毒性を示しますし、猫は体内で分解しにくいため、使用には十分な注意が必要です。また、薬剤が窓ガラスやサッシフレーム、外壁などに付着するとシミや変色の原因になることがあるため、使用時は養生するなどの配慮が推奨されます。
すべり出し窓の網戸でもできる虫対策
「すべり出し窓(縦すべり・横すべり)」は、ハンドル操作でガラスが外側にせり出すように開く窓です。気密性が高く、開けたガラスが風をキャッチする形になるため効率的に換気できるメリットがあり、近年非常に人気があります。
しかし、この窓には虫対策において構造的な弱点があります。それは、窓ガラスが「外側」に開く構造上、網戸は「室内側」に設置せざるを得ない点です。
この「室内側網戸」の構造が、虫の侵入を許す最大の原因となります。
すべり出し窓で虫が入る理由
- 夜間、室内の明かりに誘われた虫が、屋外から窓ガラスと網戸の間に集まってくる。(この時点ではまだ室内ではない)
- 換気のために窓を開けようとすると、まず「室内側の網戸」を開ける(またはスライドさせる)必要がある。
- その網戸を開けた瞬間に、網戸と窓ガラスの間に待機していた虫が、一斉に室内に入ってくる。
- 窓を閉める際も同様に、まず網戸を開ける動作が必要なため、その隙に虫が侵入しやすい。
このように、開閉操作のたびに虫の侵入リスクが発生するのが、すべり出し窓の最大のデメリットです。
すべり出し窓の対策:隙間のない網戸を選ぶ
対策としては、網戸の開閉をなるべく素早く行う、窓を開閉する前に網戸の外側(ガラス面)に虫除けスプレーを噴霧しておく、などの方法がありますが、限界があります。
より根本的な対策としては、後付け可能な高機能網戸の導入が挙げられます。
特に、データベースで紹介されている「ZIProll」のような特殊ファスナー(ジッパー)でレールとネット(網)を完全に密着させるタイプのロール式(収納式)網戸は、構造上「隙間」が一切できません。
これにより、網戸を開閉する時以外の侵入リスクをゼロに近づけることができます。使わない時はコンパクトに収納できるため、窓の景観を損ねないメリットもあります。
外開き窓の虫対策と注意点
「外開き窓(ケースメント窓)」も、すべり出し窓と同様に、窓ガラスが蝶番(ちょうつがい)を軸にして外側に開くタイプの窓です。そのため、すべり出し窓と全く同じ問題を抱えています。
つまり、網戸は室内側に設置されるため、「窓の開閉時に網戸を開ける必要があり、その際に網戸とガラスの間にいた虫が室内に侵入しやすい」という構造的な弱点です。
特に外開き窓は、すべり出し窓よりも大きく開口する(90度近く開く)タイプが多いため、開閉時に虫が入り込むリスクも、一度に入ってくる虫の量も多くなる可能性があります。
外開き窓の注意点:パッキンの劣化
対策はすべり出し窓と共通で、隙間のない高機能なロール式網戸やプリーツ網戸の設置、開閉前の虫除けスプレーの使用が有効です。
加えて、外開き窓やすべり出し窓は、引き違い窓と異なり、閉めた状態の気密性を窓枠に設置された「ゴムパッキン(ガスケット)」に大きく依存しています。
このゴムパッキンが、経年劣化(紫外線や寒暖差)によって硬化したり、ひび割れたり、縮んだりすると、窓を閉めているにもかかわらず、その隙間から虫が侵入する原因となります。引き違い窓のモヘアと同様、このパッキンの状態も定期的にチェックすることが重要です。
すべり出し窓や外開き窓は、換気性能やデザイン性、気密性(新品時)に優れていますが、虫対策の観点では引き違い窓よりも不利な点があることを理解しておく必要があります。
これらの窓には、特に隙間を徹底的に排除する高機能な後付け網戸(ファスナー式のロール網戸や、上下・左右に枠がしっかりあるプリーツ網戸)の導入を強く検討する価値があります。
窓の虫除けにおすすめのアイテム5選
窓からの虫の侵入を防ぐためには、隙間を物理的に塞ぐ「物理的対策」に加え、虫そのものを「寄せ付けない」ための「化学的・光学的対策」も非常に効果的です。
市販されている様々な虫除けアイテムを、適切に組み合わせて使用しましょう。
主な窓用虫除けアイテムとその特徴
| アイテムの種類 | 特徴と使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 網戸用スプレー | 網戸に直接噴霧し、忌避・殺虫成分(ピレスロイド系など)をコーティングする。最も手軽で即効性が高い。 | 効果の持続期間(数週間~3ヶ月程度)があり、定期的な再噴霧が必要。雨で流れやすい。 |
| 吊り下げタイプ | ベランダや窓のすぐ外(軒下など)に吊り下げ、薬剤を揮発させてバリア空間を作る。 | 風の影響を受けやすく、風上や風通しの良すぎる場所では効果が安定しない場合がある。 |
| 防虫フィルム | 窓ガラスに貼るフィルム。虫が寄り付く原因となる紫外線(UV)をカットするタイプ。走光性(光に集まる性質)を持つ虫に有効。 | 虫を「殺す」効果はなく、あくまで「寄せ付けにくくする」もの。貼り付けに手間と技術が必要。 |
| 隙間テープ | ウレタンや毛(モヘア)状のテープ。劣化したモヘアの上からや、サッシの隙間に貼ることで、物理的に隙間を塞ぐ。 | 窓の開閉が重くなる可能性や、糊残りする場合がある。サッシの可動部を妨げないよう注意が必要。 |
| ハッカ油スプレー | ハッカ油(ミント)を水やエタノールで希釈して自作。カメムシやゴキブリ、クモなどが嫌う臭い(忌避効果)で寄せ付けない。 | 殺虫効果はない。効果の持続時間が短い(数時間~1日程度)ため、こまめなスプレーが必要。 |
これらのアイテムを選ぶ際は、対象としたい虫(コバエ、カメムシ、蚊、ゴキブリなど)にその製品が対応しているかをパッケージで確認することが大切です。
特に「虫が窓に張り付くのを防ぐには?」という悩みに対しては、多くの虫が光の波長のうち紫外線(UV)に強く誘引される性質(正の走光性)を利用した対策が有効です。
窓ガラス自体にUVカットフィルムを貼ることで、室内光が漏れて虫を誘引するのを大幅に減らすことができます。これは防虫だけでなく、家具や床の日焼け防止にも役立ちます。
薬剤使用時の安全性について
前述の通り、虫除けスプレーや吊り下げタイプに使用される薬剤(主にピレスロイド系)を使用する際は、製品の注意書きを必ずお読みください。
人間や犬には比較的安全とされていますが、猫はピレスロイド系薬剤を体内で分解する能力が低く、中毒を起こす危険性があります。また、魚類や両生類・爬虫類には極めて強い毒性を示します。これらのペットを飼育している環境では、使用を避けるか、薬剤が室内に流入しないよう厳重な注意が必要です。
窓を閉めても虫が入ってくる時の対策と解決策:まとめ
これまでにご紹介した「隙間を塞ぐ(モヘア・パッキン交換)」「網戸を張り替える(高メッシュ化)」「正しい開け方を実践する」「虫除けアイテムを徹底的に使う」「ドレンホースを塞ぐ」といった対策を全て行っても、まだ虫の侵入が止まらない場合。
それは、窓やサッシそのものが寿命を迎えている(例:建物の歪みでサッシが変形し、修理不能な隙間ができている)か、現在の窓の防虫性能が、お住まいの地域の虫の発生量に対して根本的に不足しているサインかもしれません。
このような場合の根本的な解決策、そして「最終手段」となるのが、「窓リフォーム(高気密な窓への交換)」です。
「窓を交換する」と聞くと、壁を壊す大掛かりな工事で費用も数百万とかかるイメージがあるかもしれません。しかし、最近のリフォームでは、既存の窓枠はそのまま残し、その上から新しい窓枠をかぶせて設置する「カバー工法」という手法が主流です。
この方法であれば、壁や床を壊す必要がないため、1窓あたり最短数時間~半日程度でのリフォームが可能で、費用も抑えられます。
窓リフォームは「防虫」以上の絶大なメリット
最新の高気密・高断熱窓(例:樹脂サッシ、アルミ樹脂複合サッシ、Low-E複層ガラスなど)に交換することで、その気密性の高さから、虫の侵入経路となるわずかな隙間を物理的にほぼシャットアウトできます。
さらに、防虫対策が主目的だったとしても、窓を交換することで以下のような、生活の質(QOL)を劇的に向上させる副次的効果が得られます。
- 圧倒的な断熱性の向上:夏の猛暑(日射熱)の侵入を防ぎ、冬の暖房熱が逃げるのを防ぎます。エアコン効率が格段に上がり、光熱費の大幅な節約につながります。
- 結露の劇的な軽減:窓枠やガラスの冷えを防ぎ、不快な結露の発生をほぼゼロに近づけられます。これにより、カビやダニの発生を抑え、アレルギー対策など健康的な室内環境を保てます。
- 防音性の向上:高気密なサッシと複層ガラスが、外の騒音(車、電車、近隣の話し声など)の侵入を大幅にカットし、静かな室内空間を実現します。
特に現在、国は住宅の省エネ化(脱炭素)を強力に推進しており、高断熱窓へのリフォームに対して過去に例のないほど手厚い補助金制度を用意しています。
例えば「先進的窓リノベ2024事業」や「子育てエコホーム支援事業」といった制度を活用すると、工事内容や世帯の条件によっては工事費用の50%相当、最大で200万円といった非常に高額な補助金が受けられるケースもあります(※補助金には申請期間や予算の上限、詳細な条件があります)。
(参照:先進的窓リノベ2025事業 公式サイト)
劣化した窓のモヘア交換や網戸の張り替えを数年おきに繰り返すコストや手間を考えると、この絶好の補助金チャンスを活用して、高機能な窓に一気に交換してしまう方が、長期的には「お得」になる可能性も十分にあります。
隙間や劣化がひどく、何をしても虫が入ってくる状況であれば、「窓リフォーム」も現実的な選択肢の一つとして検討する価値が非常に高いです。
窓を閉めても虫が入ってくる問題は、不快であるだけでなく、隙間風や断熱性の低下といった住環境の根本的な悪化にもつながっています。この記事で紹介した対策のまとめです。
- 窓を閉めても虫が入る最大の原因はサッシや網戸の隙間
- 網戸の小さい虫は網目の粗さ(メッシュ数)が原因
- 18メッシュ(約1.15mm)ではコバエやユスリカは通過する
- 小さい虫対策には24メッシュ(約0.84mm)以上の網戸が推奨される
- 大きいは虫は窓の隙間や破れ、またはエアコンのドレンホースから侵入する
- 窓を開けてないのに虫がいる場合エアコンのドレンホースを疑う
- ドレンホースには防虫キャップの設置が有効だが清掃も必要
- 窓の隙間から虫対策はモヘアやゴムパッキンの点検・交換が基本
- 引き違い窓は窓から虫が入らない開け方(正しい使い方)がある
- 網戸を寄せる側(例:右)と反対の窓(例:左)を開けるのが正しい開け方
- すべり出し窓や外開き窓は網戸が室内側にあり虫が入りやすい
- これらの窓は開閉時に網戸を開ける瞬間に注意が必要
- 対策として隙間のないファスナー式ロール網戸やプリーツ網戸がある
- 窓の虫除けにはスプレー、吊り下げ、UVカットフィルム、隙間テープが有効
- 虫が窓に張り付くのを防ぐには忌避スプレーやUVカットフィルムが効果的
- 網戸の内側に虫がいる場合は慌てず外に逃がすか殺虫剤で駆除する
- あらゆる対策をしても虫が入る場合、窓自体の劣化や歪みが考えられる
- 窓を閉めても虫が入ってくる対策の最終手段は高気密な窓へのリフォーム
- 窓リフォームは防虫だけでなく断熱・防音・結露防止に絶大な効果
- 国の補助金制度(例:先進的窓リノベ事業)で最大200万円の補助も