ご自宅のリビングや寝室をすっきりと見せてくれるビルトインエアコンですが、長年使用していると冷暖房の効きが悪くなったり、異音がしたりと調子が悪くなり、入れ替えを検討する時期が必ずやってきます。
しかし、いざ交換となると、「天井埋め込みエアコン家庭用の交換費用や相場はどのくらいなのか?」「壁掛けタイプと比べて高額になりそうで不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。また、パナソニックやダイキン、東芝といった主要メーカーから、どの機種を選べば自宅に最適なのかも悩みどころです。
さらに、日頃の掃除を自分でやる方法はあるのか、あるいは専門業者による定期的なお手入れが必要なのかといった、ランニングコストやメンテナンスの疑問も尽きません。
本記事では、天井埋め込みエアコンの買い替えを検討する3つのタイミングや、メーカーが定める標準的な耐用年数や寿命は何年ですか?という基本的な疑問に、公的なデータも交えて分かりやすくお答えします。
導入後に「手入れが大変だった」と感じがちな天井埋め込みエアコンのデメリットや後悔したポイント、そして場合によっては天井埋め込みエアコンを撤去し穴埋めをして壁掛けタイプへ変更する選択肢についても、そのメリットとリスクを公平な視点で触れていきます。
不具合が出た際の交換の目安や、皆さんが最も気になる「天井埋め込みエアコンの交換費用はいくらですか?工事費込みの金額は?」といった金銭的な不安も解消していきましょう。天井埋め込みエアコンの買い替えで壁掛けにする場合の費用比較も含めて、後悔のない空調リフォームをサポートします。
目次
天井埋め込みエアコン家庭用の交換費用や相場と寿命
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- ビルトインエアコンの特徴と固定資産税
- 耐用年数や寿命は何年ですか?
- 買い替えを検討する3つのタイミング
- 不具合発生時における交換の目安
- 天井埋め込みエアコンのデメリットと後悔
- 交換費用はいくらですか?工事費込みの相場
ビルトインエアコンの特徴と固定資産税
天井埋め込みエアコン(家庭用ビルトインエアコン)は、本体部分を天井内部に完全に埋め込むことで、室内機が壁から飛び出さず、インテリアと美しく一体化できるのが最大の特徴です。
一般的に「天井カセット形(天カセ)」とも呼ばれ、吹き出し口の数が1方向、2方向、4方向などのタイプがあり、お部屋の形状に合わせて選定されます。見た目が美しいだけでなく、天井の高い位置から部屋全体へ効率よく気流を送ることができるため、広いリビングやLDKなどでも温度ムラを少なくできるという機能的なメリットがあります。
豆知識:固定資産税について
意外と知られていませんが、一般的な壁掛けエアコンは取り外しが容易な「家電製品(償却資産)」とみなされ、住宅の固定資産税の評価対象外となることがほとんどです。しかし、天井埋め込みエアコンは建物と一体化しているため「建物の一部(建物附属設備)」とみなされ、固定資産税の課税対象となります。
これから新築やリフォームで導入を検討されている方は、導入費用だけでなく、毎年の税金という維持費の面も考慮に入れておく必要があります。
耐用年数や寿命は何年ですか?
一般的に、家庭用天井埋め込みエアコンの耐用年数(寿命)は10年〜15年程度と言われています。エアコン本体の下部などに貼られているシールには「設計上の標準使用期間」として10年と記載されていることが多いですが、これは安全に使用できる目安の期間を指します。
実際に消費者がどのくらいの期間で買い替えているかというデータを見ると、内閣府の「消費動向調査」によれば、二人以上の世帯におけるエアコンの平均使用年数は13.6年(2024年3月調査時点)となっています。
壁掛けエアコンと同様、製造終了から約10年を過ぎるとメーカーの「補修用性能部品」の保有期間が終了します。
これにより、万が一故障しても修理に必要な部品が手に入らないケースが増えてきます。そのため、設置から10年以上経過している場合は、高額な修理費を払って延命するよりも、最新の省エネ機種への交換を視野に入れた方が、長期的なコストパフォーマンスが良い場合が多いです。
買い替えを検討する3つのタイミング
天井埋め込みエアコンは高額な設備であるため、交換時期の見極めが重要です。具体的には、以下の3つのタイミングで検討を始めると良いでしょう。
1. 設置から10年以上経過し、不具合が出始めた時
前述の通り、部品の供給期限が迫っている、または過ぎている時期です。一度修理しても、経年劣化により別の箇所が故障する「いたちごっこ」になるリスクが高いため、交換のベストタイミングと言えます。
2. 冷暖房の効きが悪くなったと感じた時
フィルター掃除をしても効きが悪い場合、内部の熱交換器の腐食や汚れの蓄積、あるいは冷媒ガスの漏れ(ガス欠)が疑われます。特に古い機種は最新機種に比べて省エネ性能が劣るため、電気代の削減効果も期待して買い替えを検討しましょう。
3. リフォームやリノベーションを行う時
天井やクロスの張り替え工事と同時にエアコン交換を行うことで、足場の設置や養生、職人の手配を一度に済ませることができます。結果として単独で工事するよりも工事費を節約でき、仕上がりも美しくなります。
不具合発生時における交換の目安
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「まだ動くけれど、なんとなく調子が悪い」という状態で使い続けるのはリスクがあります。具体的にどのような症状が出たら交換の目安となるのでしょうか。以下のような症状が頻繁に見られる場合は、コンプレッサーなどの重要部品が限界を迎えている可能性があります。
- 異音や異臭がする:「ガラガラ」「キュルキュル」といった異音はモーターやファンの故障、カビ臭さは内部の深刻な汚れを示唆しています。
- 水漏れが発生する:ドレン配管の詰まりや劣化、あるいは本体の勾配不良などが原因で、天井へ水が漏れる恐れがあります。天井材を傷める前に対応が必要です。
- ブレーカーが落ちる:エアコンをつけるとブレーカーが落ちる場合、内部で漏電している危険性が高く、火災の原因にもなりかねません。直ちに使用を中止してください。
- リモコンが効かない(本体側の問題):リモコンの電池を替えても動かない場合、本体の受光部(センサー)や制御基板の故障が考えられます。
注意
特に「室外機から大きな音がする」「冷風・温風が全く出ない」といった症状は、エアコンの心臓部であるコンプレッサーの故障の可能性が高いです。この部品の修理・交換費用は10万円を超えることも珍しくなく、交換の方が経済的合理性が高いケースが大半です。
天井埋め込みエアコンのデメリットと後悔
部屋がすっきりしてスタイリッシュな天井埋め込みエアコンですが、導入後や交換時に「後悔した」と感じるデメリットも存在します。これらを十分に理解した上で、同じタイプに交換するか、思い切って別のタイプにするかを判断しましょう。
| デメリット | 詳細と後悔のポイント |
|---|---|
| 導入・交換費用が高い | 壁掛けタイプに比べて本体価格が2〜3倍することも珍しくありません。工事も天井内作業を含むため、費用がかさみます。 |
| メンテナンスが大変 | 本体が高い位置にあるため、フィルター掃除などが高所作業となります。脚立が必要で、高齢になると自分で行うのが難しくなる場合があります。 |
| 機種の選択肢が少ない | 壁掛けエアコンほどメーカーやモデルのラインナップが豊富ではありません。最新のAI機能などが搭載されるのも壁掛けより遅れる傾向があります。 |
| 設置場所の制約 | 天井裏の配管スペースや梁(はり)、照明の位置によって、設置できる場所が物理的に制限されます。 |
特に「フィルター掃除が面倒で放置してしまい、カビだらけになってしまった」「業者のクリーニング代が壁掛けよりも高い」というメンテナンス面での後悔の声は少なくありません。
最近では自動お掃除機能付きのモデルも増えていますが、ダストボックスのゴミ捨てなど、定期的なお手入れが必要である点は変わりません。
交換費用はいくらですか?工事費込みの相場
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天井埋め込みエアコンの交換費用は、選ぶ機種のグレードや設置状況によりますが、本体価格と工事費を合わせて約20万円〜50万円程度が一般的な相場です。
| 費用の内訳 | 相場目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 約10万円〜30万円 | 機能(自動掃除や気流制御など)や対応畳数により大きく変動します。 |
| 基本工事費 | 約9万円〜15万円 | 既存機器の撤去、新規設置、冷媒配管・ドレン配管の接続、電気工事など。 |
| 撤去・処分費 | 約1万円〜3万円 | 家電リサイクル法に基づくフロンガスの回収処理費用や運搬費を含みます。 |
| 総額(工事費込み) | 約20万円〜50万円 |
壁掛けエアコンの交換費用(数万円〜十数万円)と比較すると割高に感じられますが、これは天井裏での狭所作業や、重量のある本体を支えるためのボルト吊り作業など、高度な技術と手間が必要になるためです。
また、既存の隠蔽配管を洗浄して再利用できるか、新しく引き直す必要があるかによっても費用は数万円単位で変動します。
天井埋め込みエアコン家庭用の交換費用とメーカー選び
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- ダイキンやパナソニックや東芝の比較
- 天井埋め込みエアコンから壁掛けへの買い替え費用
- 天井埋め込みエアコンの撤去と穴埋め
- 日頃のお手入れと掃除は自分でできる?
- 天井埋め込みエアコン家庭用交換費用のまとめ
ダイキンやパナソニックや東芝の比較
家庭用天井埋め込みエアコン(ハウジングエアコン)を製造している主要メーカーには、それぞれ独自の特徴があります。単純な価格だけでなく、ご自身のライフスタイルや重視したい機能に合わせてメーカーを選びましょう。
| メーカー | 代表的な特徴・機能 |
|---|---|
| ダイキン | 空調専門メーカーの信頼性:「うるるとさらら」シリーズなどで培った技術力が魅力です。特に、給気換気機能や湿度コントロール機能に優れています。また、インテリアに馴染む「フラットパネル」や、フィルター自動お掃除機能付きのパネルも選択可能です。 |
| パナソニック | 空気の質へのこだわり:独自のイオン技術「ナノイーX」を搭載し、カビやニオイ、花粉の抑制を重視しています。また、センサーで人の居場所や活動量を検知して、無駄を省く省エネ運転機能も充実しています。 |
| 東芝 | 清潔機能とシステム連携:「プラズマ空清」など、空気清浄機能に力を入れています。静電気の力で汚れを集め、清潔な空気を保つ機能が評価されています。また、全熱交換ユニットとの連動など、住宅全体の空調システムとしての提案も得意としています。 |
| 三菱電機 | メンテナンス性の高さ:「はずせるボディ」など、清掃性を考慮した設計が最大の魅力です。パネルや羽根(フラップ)を簡単に取り外して水洗いできる機種があり、内部の清潔さを保ちやすい工夫がされています。霧ヶ峰シリーズの技術を応用した気流制御も優秀です。 |
天井埋め込みエアコンから壁掛けへの買い替え費用
「交換費用を抑えたい」「将来的なメンテナンスを楽にしたい」という理由から、天井埋め込みエアコンをやめて、一般的な壁掛けエアコンに変更する場合の費用はどうなるのでしょうか。
この場合、単純な交換とは異なり、以下の費用が発生します。
- 天井埋め込みエアコンの撤去費用(取り外し・処分)
- 天井の開口部を塞ぐ内装工事費用(大工工事での穴埋め・クロス補修)
- 壁掛けエアコンの本体価格
- 壁掛けエアコンの新規取り付け工事費(配管穴あけ、専用コンセント増設含む)
壁掛けエアコン自体の価格は安いですが、天井を塞ぐ大工工事やクロス貼り替えなどの内装リフォーム費用が加算されるため、総額では20万円〜40万円前後かかるケースが多くなります。結果として、単純に天井埋め込み同士を交換する場合とあまり費用が変わらないか、工事内容によっては高くなってしまうこともあるのです。
天井埋め込みエアコンの撤去と穴埋め
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前述の通り、天井埋め込みエアコンを撤去した後は、天井に巨大な穴が残ります。この穴を違和感なく綺麗に塞ぐには、リフォーム業者や大工による下地処理(木工事)と、クロス職人による仕上げが必要です。
穴埋めリフォームの注意点とポイント
- 部分補修だと目立つ:穴の部分だけ新しいクロスを貼ると、周りの経年劣化した古いクロスとの色の差がくっきりと出てしまい、継ぎはぎのような見た目になります。美観を損なわないためには、部屋全体の天井クロスを張り替えるのが一般的です。
- 照明への転用というアイデア:穴埋め工事をせずに、開口部を利用して照明器具(ダウンライトやシーリングファンなど)を設置したり、折り上げ天井のようなデザインに変更したりするリフォーム手法もあります。
単に機器を撤去するだけでなく、その後の天井のデザインをどうするかまで含めて計画を立てることが、後悔しないリフォームの鍵となります。
日頃のお手入れと掃除は自分でできる?
天井埋め込みエアコンの掃除を自分で行う場合、以下の範囲に留めることが強く推奨されます。
- フィルターの掃除:取扱説明書に従ってフィルターを取り外し、ホコリを掃除機で吸い取るか水洗いします。汚れがひどい場合は中性洗剤を使用し、陰干しで完全に乾かします。
- パネル(表面)の拭き掃除:柔らかい布で乾拭き、または固く絞った布で水拭きします。
【危険】内部洗浄は絶対に自分で行わないでください!
ホームセンターなどで販売されているスプレー洗浄剤を使って、内部の熱交換器やファンを自分で洗浄しようとするのは非常に危険です。電装部品に洗浄液がかかり、トラッキング現象による発火や火災の原因になる恐れがあります。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)も、エアコンの内部洗浄による火災事故について注意喚起を行っています。内部のカビや汚れが気になる場合は、必ず専門知識を持ったプロのクリーニング業者に依頼してください。
プロによるクリーニングの相場は、通常の壁掛けタイプよりも構造が複雑なため高くなり、1台あたり2万円〜3万円程度が目安となります。
天井埋め込みエアコン家庭用の交換費用:まとめ
最後に、本記事で解説した天井埋め込みエアコン交換の重要ポイントをまとめます。
- 家庭用天井埋め込みエアコンの交換費用相場は、工事費込みで約20万円〜50万円
- 一般的な耐用年数(寿命)は10年〜15年程度だが、平均使用年数は約13.6年
- 建物の一部とみなされるため、固定資産税の課税対象となる点に注意が必要
- 交換のタイミングは「設置後10年経過」「冷暖房の効き悪化」「リフォーム時」の3つ
- メリットは「インテリア性」「気流の効率」、デメリットは「費用の高さ」「メンテの手間」
- ダイキンは湿度調整、パナソニックはナノイー、東芝は空気清浄、三菱は清掃性が特徴
- 壁掛けエアコンへの変更も可能だが、天井の穴埋めなどの内装工事費が別途必要
- 壁掛けへ変更しても総額は20万円〜40万円ほどかかるため、大幅なコストダウンにはなりにくい
- 日頃のお手入れはフィルター掃除までとし、内部洗浄はプロに依頼する
- DIYでの内部洗浄は火災のリスクがあるため、NITEも注意喚起しており絶対に行わない
- 交換工事は既存配管の再利用可否によって費用が変動するため、現地調査が必須
- 10年以上経過した機種は部品がない場合が多く、修理より交換が推奨される
- 工事日数は通常1日程度だが、内装工事が伴う場合は数日かかることもある
- 信頼できるリフォーム業者や空調専門業者を選び、アフターフォローも確認する