こんにちは、e-MADOリフォーム代表の鈴木優樹です。普段は窓断熱の専門家として、数多くの現場で省エネ・断熱リフォームの提案や施工を行っています。
現場のプロだから分かる、損しないためのポイントをお伝えします。洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫を新調した際に、アース端子がない代用方法を急いで探している方は少なくありません。
特に古い住宅や賃貸物件では、コンセントに緑や黄色の線を接続する場所がなくて困ってしまいますよね。アース線の延長で対応できるのか、あるいは市販の漏電遮断器であるビリビリガードのような製品で解決できるのか。
この記事では、安全を第一に考えた現実的な解決策を詳しく解説します。漏電のリスクを正しく理解し、大切な家族と住まいを守るための最適な選択肢を一緒に見つけていきましょう。
- 漏電遮断器を活用した工事不要で確実な代用方法
- アース線を安全に延長して別の端子へ接続する際の手順と注意点
- 水道管やガス管への接続がなぜ重大な事故を招くのかという理由
- 賃貸物件や古い家でアース端子がない場合に検討すべき改善策と費用感
目次
アースの端子がない時の代用と安全な解決策
![]()
- 漏電遮断器のビリビリガードは代用の最適解
- アース線を延長して別の端子へ接続する方法
- 100均のアース線で端子の代用は可能か
- 冷蔵庫のアースを繋がないリスクと対策
- 電子レンジをアースなしで使うリスクと代用
- 洗濯機のアースをどこにつなぐか迷った時の対処
漏電遮断器のビリビリガードは代用の最適解
アース端子がない環境において、私たちが最も推奨する現実的な代用策は、「漏電遮断器(代表的な商品名:ビリビリガード)」を導入することです。これは、コンセントに差し込むだけで設置が完了するアダプター形式の安全装置です。
そもそもアースの役割は、家電が故障して電気が漏れた(漏電した)際に、その電気を速やかに地面に逃がすことで、人間が触れた時の感電を防ぐことにあります。しかし、アース端子がない場所では電気が逃げる道がありません。
そこで活躍するのが漏電遮断器です。この装置は、家電に流れる電気の行きと帰りの量を常に監視しており、漏電によってそのバランスが崩れた瞬間に、わずか0.1秒という超高速で電気を完全に遮断します。
電気が漏れた瞬間に「元を断つ」という考え方ですね。アース線が物理的に接続できなくても、この装置があれば致命的な感電事故を防ぐことが可能です。特に洗濯機や洗浄便座、電子レンジといった水回りに近い家電には必須のアイテムと言えます。
また、設置にあたって電気工事士などの資格は一切不要です。ホームセンターやネット通販で数千円で購入でき、誰でもその日から使い始められる手軽さも大きなメリットです。アース端子を新設する工事には数万円かかることもありますが、ビリビリガードなら低予算で同等以上の安全性を手に入れることができます。
ビリビリガードを導入する際のポイント
- 設置はコンセントに差し込むだけなので非常に簡単
- テストボタンを押して、定期的に動作確認を行うことが重要
- 一つのビリビリガードに対して、使用できる合計容量(通常1500W)を確認する
アース線を延長して別の端子へ接続する方法
![]()
使いたい場所にアース端子がない場合でも、数メートル離れた別の場所(例えば隣の部屋や廊下など)に端子があるなら、アース線を延長して接続する方法が非常に有効です。実はアース線は一本の長いワイヤーですので、市販のアース線を購入してきて、現在ついている線と繋ぎ合わせることで距離を伸ばすことができます。
具体的な手順としては、まず家電から出ているアース線の先端の被覆を少し剥き、新しく買ってきた延長用アース線の先端も同様に剥きます。これらをしっかりとよじり合わせて接続し、接続部分を絶縁テープ(ビニールテープ)で何重にも巻いて保護します。より確実に行うなら、差し込み型のコネクタやスリーブを使用すると接触不良を防げます。延長した線は、壁の隅や巾木(はばき)に沿わせて配線し、ステップル(配線用の釘)や配線モールを使って固定すると、見た目もスッキリと仕上がりますよ。ドアの隙間を通す場合は、線が挟まって断線しないよう注意が必要です。
この方法の最大の利点は、電気的にしっかりと「接地(アース)」ができることです。漏電遮断器は電気を止める役割ですが、アース線はノイズの除去や静電気の抑制にも効果を発揮するため、オーディオ機器やPCなどの精密機器においては延長してでも端子に繋ぐ価値があります。ホームセンターでは10m単位などで安価に売られていますので、DIYが得意な方なら30分程度で作業できるはずです。
100均のアース線で端子の代用は可能か
最近は100円ショップの電気小物コーナーでも「アース線」そのものが売られていることがあります。ここでよくある誤解が、100均で買った線を家電に繋ぎ、その反対側を「何となく地面に触れさせたり壁に貼ったりすれば代用になる」という思い込みです。結論から申し上げますと、アース線の「線」は売っていても、アース端子の「機能」を代用する道具は100均には存在しません。
アースが機能するためには、建物の土台深くにある「接地極(銅板など)」まで電気が流れるルートが確保されている必要があります。たとえば、100均の線を窓のサッシ(アルミ枠)に巻き付けたり、床に釘を打ってそこに繋いだりしても、建物の構造体から絶縁されていれば全く意味がありません。それどころか、逆にサッシ全体に電気が漏れ出し、窓を開けようとした家族が感電するという二次被害のリスクすらあります。
100均で売られているアース線は、あくまで「長さが足りない時の継ぎ足し用」として使うべきものです。代用方法を探している方が100均で買うべきものは線ではなく、しっかりとした家電量販店などで売られている漏電遮断器であることを忘れないでください。安く済ませたい気持ちは分かりますが、安全に関わる部分で過度なコストカットをするのはプロの視点からはおすすめできません。
絶対にやってはいけない間違ったアースの代用例
- 植木鉢の土に線を刺す(土の量が少なすぎて電気が逃げない)
- 壁に画鋲で線を固定する(全く通電しないため無意味)
- コンセントの差し込み口の片側に無理やり線を突っ込む(ショートや火災の原因)
冷蔵庫のアースを繋がないリスクと対策
冷蔵庫は一年中、24時間365日休まずに稼働し続ける家電です。最近の冷蔵庫は絶縁技術が進化しており、故障率も低いため、リビングのような乾燥した場所で使用する分にはアースなしでも直ちに危険が及ぶことは稀です。しかし、キッチンという場所の特性上、冷蔵庫の背面や底面にはホコリが溜まりやすく、さらに調理時の油汚れや湿気が混ざることで、電気回路に負荷がかかりやすい環境にあります。
特に怖いのが「トラッキング現象」や、経年劣化による内部コンプレッサーからの漏電です。万が一本体の金属部分に電気が漏れた場合、濡れた手で冷蔵庫のドアハンドルや側面に触れると、心臓に大きな負担をかけるほどの衝撃を受ける可能性があります。アース端子がない場合は、まず冷蔵庫専用の漏電遮断器アダプターをコンセントとの間に挟みましょう。これにより、万が一の際の致命的な感電を防ぐことができます。
また、冷蔵庫は静電気を帯びやすく、それが原因で周囲の壁紙が黒ずんだりすることもありますが、これに関してもアースを繋ぐことで抑制できます。もし賃貸でなければ、キッチン全体のコンセントをアース付きに交換するリフォームを検討するのも一つの手です。一度工事をしてしまえば、将来的に冷蔵庫を買い替えた際もずっと安心が続きます。
電子レンジをアースなしで使うリスクと代用
電子レンジにアース線がついているのは、単なる感電防止のためだけではありません。電子レンジは強力な電磁波(マイクロ波)を発生させる装置であり、その動作中に発生する「高周波ノイズ」を外に逃がす役割もアースが担っています。アースを繋がないまま使用し続けると、電子レンジの近くにあるテレビの映像にノイズが入ったり、Wi-Fiの通信速度が極端に低下したりする電波干渉が起こることがあります。
さらに、電子レンジは食品を温める際に大量の水蒸気を発生させます。この湿気がレンジ内部の基板に付着すると、絶縁不良を起こして漏電しやすくなります。キッチンに電子レンジ用のアース端子がない場合は、近くにある炊飯器用や冷蔵庫用のコンセントに端子が隠れていないか、棚の裏までよく確認してみてください。どうしても見当たらない場合は、漏電遮断器による代用が最も賢明な判断です。
もし、アース端子がある場所まで少し距離があるなら、前述した「アース線の延長」を試みてください。電子レンジは消費電力も大きいため、コンセント周りの発熱にも注意が必要です。アース端子がない代用として、漏電遮断器を使いつつ、タコ足配線を避けて単独のコンセントから電源を取るように心がけることで、より安全性が高まります。
洗濯機のアースをどこにつなぐか迷った時の対処
家庭内の家電の中で、最もアースの重要性が高いのが洗濯機です。水と電気を同時に、しかも大量に使用し、なおかつ強力なモーターによる振動も加わります。この「水・振動・電気」の組み合わせは、家電にとって最も過酷な条件であり、漏電のリスクが他の家電とは比較にならないほど高いのです。洗濯機置き場にアース端子がないという状況は、プロの目から見ると「一刻も早く対策が必要な状態」だと言えます。
もしアースを繋ぐ場所がない場合は、まず真っ先に「漏電遮断器」を購入してください。洗濯機は床が濡れていることも多く、万が一漏電した際に裸足で洗濯機に触れると、電気がダイレクトに体を突き抜けて地面へ流れます。これは非常に危険です。対策としては、以下のステップを推奨します。
洗濯機の安全を確保する3つのステップ
- アース端子の再確認:洗濯機用蛇口の近くや、高い位置にあるコンセントの蓋の中にネジ式の端子が隠れていないか確認する。
- ビリビリガードの設置:端子がないことが確定したら、即座にコンセントへ漏電遮断器を導入する。
- 環境の改善:洗濯機を直置きせず、防水パンや「かさ上げ台」を使用して、洗濯機本体が常に水に浸かったり湿気の影響を直接受けたりしないようにする。
洗濯機の場合、アースなしで使い続けるのは、ブレーキのない車を運転するようなものです。たとえ代用案であっても、漏電遮断器があるのとないのでは安全性が天と地ほど違います。
アースの端子がない場合の代用で防ぐ漏電事故
![]()
- 賃貸でアースの端子がない時のコンセント対策
- ガス管や水道管をアースにするのが危険な理由
- 電気工事士に依頼するコンセント増設の費用
- 安全性を高めるD種接地工事の重要性と目的
賃貸でアースの端子がない時のコンセント対策
賃貸マンションやアパートでアース端子がない場合、入居者が勝手に壁の中の配線を工事することは法律(電気工事業法等)で禁じられています。また、退去時の原状回復の問題もあるため、壁を壊して配線を追加するような大掛かりなことは現実的ではありません。こうした環境で取れる最善の対策は、やはり「持ち運び可能な対策」に絞られます。
具体的には、前述の「アダプター型漏電遮断器」が最強の味方になります。これならコンセントに挿すだけなので、建物を傷つける心配もありませんし、引っ越しの際には次の住まいへ持って行くことができます。また、最近の賃貸住宅の設備については、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)などの公的機関も注意喚起を行っています。(出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)『アースを接続しましょう』)
もし、古い賃貸物件で「どうしても洗濯機を安心して使いたい」という場合は、管理会社や大家さんに相談してみる価値はあります。「最近、漏電のニュースを見て不安なので、費用はこちらで負担しても良いのでアース付きコンセントに変えさせてほしい」と伝えれば、建物の資産価値が上がる話でもあるため、許可が出るケースが多いです。場合によっては、大家さんの負担で工事をしてくれることもありますよ。
ガス管や水道管をアースにするのが危険な理由
![]()
アース端子がない代用として、未だにインターネット上で見かける「水道管やガス管への接続」は、現代の住宅においては絶対にやってはいけない禁忌事項です。昭和の中頃までは、金属製の水道管が地面に深く埋まっていたため、アースとして機能していた時期もありましたが、現在は全く事情が異なります。
まず水道管についてですが、近年の新築やリフォームでは、管のサビを防ぐために「塩化ビニル管(ポリ管)」というプラスチック素材が多く使われています。プラスチックは電気を一切通しません。そのため、水道管にアースを繋いでも電気が逃げる場所がなく、アースとしての役割を果たさないのです。それどころか、漏電した際に蛇口やシャワーから出る「水」を通じて、家族全員が感電する恐れがあります。
さらに危険なのがガス管です。ガス管にアースを繋ぐことは消防法などでも厳しく禁じられています。万が一の漏電時に発生する小さな火花が、微細なガス漏れに引火すれば、爆発事故という取り返しのつかない事態を招きます。「昔の人はやっていたから」という安易な考えは、今の時代では非常にリスキーな判断となります。プロとして断言しますが、これらを代用にするくらいなら、何もしない方がまだマシなほど危険です。
電気工事士に依頼するコンセント増設の費用
アースの端子がない問題を根本から解決し、代用ではなく本物の安心を手に入れるには、プロの電気工事士に依頼してアース付きコンセントへ交換・増設するのが一番です。窓のリフォーム現場でも、エアコン設置と同時にコンセント工事を行うことがよくありますが、費用の目安を知っておくと安心ですよね。
| 工事内容 | 費用の目安(材料費込) | 主な内容 |
|---|---|---|
| コンセント本体の交換 | 5,000円 〜 12,000円 | 既存の配線を利用し、アース端子付きのプレートに変える工事 |
| アース線の新規引き込み | 15,000円 〜 35,000円 | 分電盤や外壁の接地端子から、新たに線を引っ張ってくる工事 |
| アース極(銅棒)の埋設 | 20,000円 〜 50,000円 | 庭などに地面深く銅棒を打ち込み、ゼロからアースを作る工事 |
※これらの価格は一般的な木造住宅の場合です。隠蔽配線(壁の中に線を通す)が難しい場合や、マンション等でコンクリート壁を貫通する必要がある場合は別途費用がかかることがあります。また、出張費が別途発生するケースが多いため、複数の箇所をまとめて依頼すると一箇所あたりの単価を下げることができますよ。
安全性を高めるD種接地工事の重要性と目的
専門的な話になりますが、一般家庭の家電用アース工事は「D種接地工事」と呼ばれます。この工事の目的は、単に線を繋ぐことではなく、地面との間の電気抵抗値(接地抵抗)を「100Ω(オーム)以下」にすることにあります。この数値が低いほど、電気は人間に流れるよりも優先的に地面へと逃げてくれます。
プロの工事士は、地面に銅棒を1メートル近く打ち込んだ後、必ず「接地抵抗計」という専用の機器を使ってこの数値を測定します。この測定を行って初めて、アースが正常に機能していると言えるのです。よくあるDIYの失敗として「地面に細い針金を少し刺しただけ」というものがありますが、これでは抵抗値が高すぎて、漏電時に電気が逃げ切れません。
特に窓周辺のリフォームや断熱リフォームを行っている際、エアコンのコンセント新設などでこの工事が必要になることがあります。
湿気を含んだ土の層までしっかりと接地極を届かせることで、落雷時の被害軽減やノイズ抑制にも繋がります。長く住み続ける家であれば、代用案で凌ぐのではなく、一度しっかりとしたD種接地工事を行っておくことが、長期的な住まいのメンテナンス(安全管理)として非常に価値が高いと言えます。
アースの端子がない時の代用に関するまとめ
アースの端子がない場合の代用について、ここまで多くの解決策と注意点を見てきました。結論をまとめると、最も手軽で安全な代用案は「ビリビリガードなどの漏電遮断器」を導入することです。これだけで、万が一の際の致命的な感電事故を物理的に防ぐことができます。
また、近くに端子がある場合は、アース線を延長して正しく接続することも有効な手段です。
一方で、水道管やガス管を代わりにする行為は現代の住宅では通用せず、極めて危険であることを肝に銘じておきましょう。賃貸であっても大家さんへの相談は可能ですし、持ち家であれば電気工事士に依頼してアース端子付きコンセントを新設するのが、最も確実で後腐れのない解決策です。
私たちリフォームの現場でも、見えない部分の安全こそが本当の快適さを生むと考えています。最終的な判断や複雑な配線については、ご自身で判断せず、必ずお近くの電気工事店やリフォームの専門家にご相談ください。安全な家電ライフを、ぜひ今日から実現させていきましょう。