断熱性や防音性を高めるために二重窓(内窓)を設置したものの、今まで使っていたカーテンをどうするかで悩んでいませんか。「二重窓にしたからカーテンはいらないのでは?」と考える方は少なくありません。
しかし、安易にカーテンをなくしてしまうと、後悔につながるケースもあります。
実際に、二重窓にしても夏は暑い日差しが気になることや、外から見えないかというプライバシーの問題は残ります。また、二重窓のカーテンが原因で結露が発生しやすくなる可能性や、内窓とカーテンが干渉する問題も考えなくてはなりません。
この記事では、そもそも二重窓にカーテンは必要ですか?という基本的な疑問にお答えします。
その上で、カーテンがいらないケース、カーテンの代わりになる二重窓ロールスクリーンや、カーテンのいらない窓ガラスの種類についても詳しく解説します。
さらに、内窓のカーテンをどうするか決める際のカーテンレールの取り付けに関する注意点まで、あらゆる角度から掘り下げていきます。
- 二重窓にカーテンが必要になる具体的なケース
- カーテンを付けた際のメリットと結露などの注意点
- ロールスクリーンや機能性ガラスなどカーテン以外の選択肢
- 後悔しないためのカーテンレールの設置や選び方のポイント
目次
「二重窓はカーテンいらない」は本当?必要性と効果
- 二重窓にカーテンは必要ですか?
- 二重窓でも夏は暑い?光熱費への影響
- 二重窓は外から見えない?プライバシー問題
- カーテンがいらないケースはあるのか?
- 二重窓とカーテンで結露する原因と対策
二重窓にカーテンは必要ですか?
二重窓を設置したとしても、多くの場合においてカーテンは必要になると考えられます。なぜなら、二重窓の主な目的は断熱性や防音性の向上であり、光や視線を完全に遮断することではないからです。
例えば、透明なガラスを使った二重窓であれば、外からの視線を遮ることはできません。特に夜間は室内の照明によって中がよく見えるため、プライバシーを確保するためにはカーテンが不可欠です。また、寝室のように安眠のために光を遮りたい場所や、強い西日が入る部屋でも、遮光性の高いカーテンが役立ちます。
このように、二重窓が持つ性能とカーテンが持つ役割は異なります。したがって、二重窓を設置した後も、住まいの環境や部屋の用途に合わせてカーテンの必要性を判断することが大切になります。目隠しや遮光、さらなる断熱性の向上を求めるのであれば、カーテンは引き続き重要なインテリアアイテムと言えるでしょう。
二重窓でも夏は暑い?光熱費への影響
二重窓は窓と窓の間に空気の層を作ることで、外気の熱が室内に伝わるのを大幅に抑制します。しかし、日差しそのものを完全に遮断するわけではないため、夏場の強い直射日光が差し込む部屋では、暑さを感じることがあります。
ここに遮熱性の高いカーテンを組み合わせることで、さらなる効果が期待できます。遮熱カーテンは、太陽光に含まれる熱線を反射し、室温の上昇を抑える機能を持っています。二重窓の断熱効果と遮熱カーテンの効果が合わさることで、冷房効率が向上し、結果として光熱費の削減につながる可能性があります。
逆に、冬場は保温効果のあるカーテンが活躍します。二重窓で外の冷気を遮断しつつ、カーテンで室内の暖かい空気が窓から逃げるのを防ぐことで、暖房効率を高められます。これらのことから、二重窓と高機能カーテンの組み合わせは、年間を通じた省エネと快適な室内環境の実現に大きく貢献すると言えます。
二重窓は外から見えない?プライバシー問題
「二重窓にすれば外から見えなくなる」と考える方もいますが、これはガラスの種類によります。一般的な透明ガラスの二重窓では、外からの視線を遮る効果はほとんどありません。特に人通りの多い道路に面した窓や、隣家との距離が近い窓の場合、プライバシーの確保が課題となります。
夜間は室内の明かりによって、昼間よりもシルエットがはっきりと外部から見えてしまうため、一層の注意が必要です。家族構成や生活リズムが外部に漏れることは、防犯上のリスクにもつながりかねません。
もちろん、対策としてすりガラスや型板ガラスといった、視線を遮るタイプの不透明なガラスを二重窓に採用する方法もあります。これらのガラスは光を取り入れつつ、シルエットをぼかす効果があります。ただし、人の動きや物の影は完全には消せないため、万全なプライバシー保護を求めるのであれば、カーテンの設置が最も確実な方法と考えられます。
カーテンがいらないケースはあるのか?
二重窓の設置にあたり、必ずしもカーテンが必要というわけではなく、特定の条件下ではカーテンがなくても快適に過ごせる場合があります。
例えば、窓が隣家や道路から離れており、外部からの視線が全く気にならない立地であれば、プライバシー保護のためのカーテンは不要かもしれません。また、高窓や天窓のように、元々人の視線が届きにくい位置にある窓も同様です。
さらに、二重窓に採用するガラスを工夫することでも、カーテンの必要性を下げることが可能です。前述の通り、すりガラスや型板ガラスは視線を効果的に遮ります。デザイン性の高い装飾ガラスを選ぶのも一つの方法です。
ただし、これらのガラスは遮光機能を持たないため、寝室のように暗さが必要な部屋には不向きです。朝日や街灯の光が睡眠の妨げになる可能性があるため、そのような部屋では遮光カーテンの設置を検討するのが賢明でしょう。
二重窓とカーテンで結露する原因と対策
二重窓は結露対策に非常に効果的ですが、カーテンの設置方法によっては、かえって結露を誘発してしまうケースがあるため注意が必要です。
結露は、暖かい空気が冷たい面に触れることで発生します。厚手で断熱性の高いカーテンを閉め切ると、カーテンと内窓の間の空気が室内の他の場所から遮断されます。この空気は外窓からの冷気の影響を受けやすくなり、内窓のガラス表面温度が低下します。室内の暖かい空気が、この冷えた内窓に触れることで結露が発生しやすくなるのです。
この現象を防ぐためには、いくつかの対策が考えられます。
対策1:定期的な換気
最も簡単な対策は、定期的にカーテンを開けて窓周辺の空気を循環させることです。室内の湿気を効率的に排出し、窓周辺の温度差を小さくすることができます。
対策2:通気性のあるカーテンを選ぶ
厚手のドレープカーテンではなく、通気性の良いレースカーテンや、ブラインド、ロールスクリーンなどを選ぶのも有効です。これらは空気の流れを妨げにくいため、結露のリスクを低減できます。
対策3:断熱性の高いガラスを選ぶ
内窓に採用するガラスを、単板ガラスではなくLow-E複層ガラスのような、より断熱性の高いものにすることも根本的な解決策の一つです。ガラス自体の表面温度が下がりにくくなるため、結露の発生を強力に抑制します。
これらの対策を講じることで、二重窓のメリットを最大限に活かしつつ、結露のリスクを抑えることが可能になります。
二重窓でカーテンがいらない選択肢と設置の注意点
- 内窓のカーテンどうするか迷ったら
- カーテンの代わりに二重窓ロールスクリーン
- カーテンのいらない窓ガラスという選択肢
- カーテンレール取り付けと内窓の干渉
- 内窓へカーテンを付ける際の注意点
内窓のカーテンどうするか迷ったときの対処法
内窓を設置する際、カーテンをどこに、どのように取り付けるかは重要な問題です。主な選択肢は「内窓のさらに室内側」か「外窓と内窓の間」の2つですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
内窓の室内側に取り付ける場合
最も一般的で簡単な方法です。従来のカーテンレールをそのまま利用できる場合が多く、カーテンの開閉も容易です。インテリアに合わせて自由にカーテンを選べる点も魅力です。ただし、内窓の窓枠が出っ張る(ふかし枠を設置する)場合、カーテンとの距離が近くなり、圧迫感を感じることがあるかもしれません。
外窓と内窓の間に取り付ける場合
この方法は、カーテンが窓枠内に収まるため、室内が非常にすっきりとした印象になります。ホコリが付きにくく、断熱効果も高まるというメリットがあります。一方、カーテンを開閉するたびに内窓を開ける手間が発生します。また、窓枠内に十分なスペース(奥行き)がなければ設置できず、選べるカーテンの種類も限られる点がデメリットです。
どちらの方法が良いかは、窓の構造、開閉の頻度、インテリアの好みによって異なります。内窓のカーテンをどうするか迷った際は、リフォーム業者に相談し、自宅の窓に最適なプランを提案してもらうのが良いでしょう。
カーテンの代わりに二重窓ロールスクリーン
二重窓のカーテンの代わりとして、ロールスクリーンやブラインドは非常に人気のある選択肢です。これらはカーテンにはない独自のメリットを持っています。
ロールスクリーンは、布を巻き上げて開閉するため、窓周りが非常にすっきりとしたモダンな印象になります。必要な分だけ開閉できるため、日差しの調整がしやすい点が特徴です。遮光や遮熱、防炎など、機能性の高い製品も豊富に揃っています。
一方、ブラインドは羽根(スラット)の角度を調整することで、外からの視線を遮りつつ、採光や通風を細かくコントロールできるのが最大のメリットです。光の入り方を自在に操りたいリビングや書斎などに向いています。素材もアルミや木製などがあり、インテリアに合わせて選べます。
ただし、これらのアイテムにも注意点があります。ロールスクリーンは、構造上、両サイドに隙間ができやすく、そこから光が漏れることがあります。ブラインドは、羽根にホコリが溜まりやすく、掃除に手間がかかる点がデメリットとして挙げられます。カーテン、ロールスクリーン、ブラインド、それぞれの特性を理解し、部屋の用途やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
カーテンのいらない窓ガラスという選択肢
カーテンを付けずに、プライバシー保護や日差しの調整を行いたい場合、二重窓に採用するガラスを工夫するという方法があります。カーテンのいらない窓ガラスには、主に以下のような種類が存在します。
ガラスの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
すりガラス | 砂を吹き付けて表面を不透明にしたガラス | 柔らかい光を取り入れつつ視線を遮る。和室にも合う。 | 水に濡れると透明度が上がるため、浴室などには不向き。 |
型板ガラス | 表面に凹凸の模様を付けたガラス | 視線を効果的に遮断する。デザインが豊富。 | 凹凸面に汚れがたまりやすい。 |
Low-E複層ガラス | 特殊な金属膜をコーティングしたガラス | 高い断熱・遮熱効果を発揮する。紫外線(UV)カット効果が高い製品もある。 | 他のガラスに比べて価格が高い。 |
これらの機能性ガラスを適切に選ぶことで、カーテンなしでも快適な空間を作ることが可能です。例えば、リビングの窓には断熱性とUVカット効果を重視してLow-E複層ガラスを、浴室やトイレにはプライバシーを重視して型板ガラスを選ぶといった使い分けが考えられます。ただし、どのガラスも夜間の室内の影は完全に消すことはできないため、その点を理解した上で選択することが重要です。
カーテンレール取り付けと内窓の干渉
既存の窓に内窓を追加するリフォームでは、元々設置されていたカーテンレールが内窓と干渉してしまう問題がしばしば発生します。
特に、カーテンレールが窓枠の内側に取り付けられている場合や、窓枠のすぐ上(壁面)に設置されている場合は注意が必要です。内窓を設置するためには、既存の窓枠に一定の奥行き(通常55mm~70mm程度)が必要になります。この奥行きが足りない場合、「ふかし枠」という部材を使って窓枠を室内側に延長しますが、このふかし枠がカーテンレールとぶつかってしまうのです。
このような場合、カーテンレールを一度取り外し、ふかし枠の上や、より高い位置の壁面、あるいは天井に移設する必要があります。カーテンレールの移設に伴い、壁に下地補強の工事が必要になったり、既存のカーテンの丈が足りなくなって買い替えが必要になったりするケースもあります。
内窓リフォームを計画する際は、事前に現在のカーテンレールの位置を確認し、干渉の可能性があるかどうかを施工業者に相談することが、追加費用や予期せぬトラブルを防ぐ鍵となります。
内窓へカーテンを付ける際の注意点
内窓にカーテンを設置する際には、これまでに述べた干渉や結露の問題以外にも、いくつか注意すべき点があります。
まず、窓の開閉の手間が増えることです。換気や出入りのために窓を開ける際、「カーテンを開ける→内窓を開ける→外窓を開ける」という3つのステップが必要になります。頻繁に開閉する掃き出し窓などでは、この手間がわずらわしく感じられるかもしれません。
次に、掃除の手間です。窓ガラスが2枚になるだけでなく、窓と窓の間にもホコリが溜まります。特に内窓のサッシに使われる樹脂は静電気を帯びやすく、ホコリを引き寄せやすい性質があります。カーテンがあると、さらに窓周りの掃除がしにくくなる可能性があります。
また、内窓の開閉方式にも注意が必要です。内開き窓(室内側にドアのように開く窓)を選んだ場合、カーテンがあると窓を開けることができません。カーテンを設置する予定がある窓には、左右にスライドする引き違い窓を選ぶのが一般的です。
これらのデメリットや注意点をあらかじめ理解し、日々の生活をシミュレーションした上で、内窓とカーテンの組み合わせを検討することが、後悔のないリフォームにつながります。
二重窓でカーテンがいらないかどうか?:まとめ
この記事で解説した内容を基に、ご自宅の窓にカーテンが必要かどうかを最終的に判断するためのポイントをまとめます。
- 寝室や書斎など、安眠や集中のために光を遮りたい部屋にはカーテンが有効
- 朝日や西日、夜間の街灯の明るさが気になる場合もカーテンの設置を推奨
- 道路や隣家に面した窓のプライバシーを確保するためにはカーテンが最も確実
- すりガラスや型板ガラスを選んでも、夜間は室内の照明で人影が映るため注意
- 二重窓の断熱・遮熱効果をさらに高めたい場合は、高機能カーテンの併用が効果的
- カーテンを組み合わせることで冷暖房効率が向上し、年間を通した光熱費の節約につながる
- カーテン以外の選択肢として、ロールスクリーンやブラインドは窓周りをすっきり見せる
- 視線が気にならない部屋では、UVカット機能を持つLow-E複層ガラス等も有効な選択肢
- 内窓の設置により、既存のカーテンレールが干渉して移設が必要になる場合がある
- レールの移設に伴い、カーテンのサイズが合わなくなり買い替えが発生することも
- 保温性の高い厚手のカーテンは、内窓の表面温度を下げて結露を誘発するリスクがある
- 結露を防ぐには、定期的な換気や通気性の良いカーテンを選ぶことが大切
- 窓の開閉が「カーテン・内窓・外窓」の3アクションになり、手間が増える
- 窓ガラスやサッシの清掃箇所が増えることも事前に理解しておく
- カーテンは部屋の雰囲気を決める重要なインテリア要素であることを意識する
- 窓周りをシンプルに見せたいか、華やかに装飾したいかによって最適な選択肢は変わる