こんにちは、【e-MADOリフォーム】代表の鈴木 優樹です。
「LEDは長持ちするから一生もの」そんなふうに思っていませんか? 確かに従来の蛍光灯に比べれば圧倒的に長寿命ですが、実はLEDシーリングライトにも明確な「寿命」があり、お使いの環境によってはメーカーが想定しているよりも早く交換時期が訪れることがあります。
「最近なんだか部屋が暗い気がする」「スイッチを入れてもすぐにつかない」「時々チカチカと瞬く」……。
もしご自宅の照明にこのような違和感を感じているなら、それは照明器具が発している重要なサインかもしれません。これらの症状を「まだ使えるから」と放置してしまうと、単に不便なだけでなく、最悪の場合は発煙や発火といった重大なトラブルに繋がるリスクさえ潜んでいるのです。
検索でこのページに辿り着いたあなたは、きっとご自宅の照明に何らかの不安を感じ、確かな情報を求めていることでしょう。
この記事では、数多くの住宅設備を見てきた現場の視点から、見逃してはいけないLEDシーリングライトの寿命や症状、そしてプロが教える損しない交換タイミングについて、どこよりも分かりやすく解説します。
目次
LEDシーリングライトの寿命と症状の判断基準
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- LEDシーリングライトの寿命
- LEDシーリングライト5つの寿命症状やサイン
- チカチカする点滅は故障の前兆
- 部屋が暗くなるのは寿命が近いサイン
- 光の色味が黄色く変わる劣化症状
- ジーという異音の原因と危険性
- カバー内の虫や黒い点は劣化の証拠
- リモコンが効かない場合の原因切り分け
- 10年交換が推奨される理由と故障リスク
LEDシーリングライトの寿命|40,000時間の誤解と真実
「LEDは長寿命だから、一度買えば一生交換しなくていい」
お客様とお話ししていると、このように誤解されている方が非常に多いのですが、残念ながらこれは間違いです。確かにLEDは従来の蛍光灯に比べて長持ちしますが、決して「半永久的」ではありません。
カタログなどでよく目にする「寿命40,000時間」という数字。これを年数に換算すると、1日10時間の使用で約10年以上持つ計算になります。
しかし、現実の現場では、設置から10年経たずに不具合が出るケースが決して珍しくありません。なぜ、このようなギャップが生まれるのでしょうか? ここでは、カタログスペックだけでは見えてこない、LEDシーリングライトの「本当の寿命」について深掘りします。
「光源の寿命」と「器具の寿命」は別物
LEDシーリングライトの寿命を正しく理解するためには、「LEDチップ(発光部)」と「電源ユニット(制御部)」の寿命を分けて考える必要があります。ここが最大のポイントです。
- LEDチップ(光源)の寿命: 約40,000時間これはLED素子そのものの耐久性です。「40,000時間経過した時点で、初期の明るさの70%まで低下する」というのが定義であり、この時間を過ぎても突然消えるわけではありません。ただ単に「暗くなる」だけです。
- 照明器具(電源ユニット)の寿命: 約8年〜10年LEDを光らせるための電子回路や、本体ボディの寿命です。こちらは40,000時間(理論値)まで持たないことが多く、先に故障して点灯しなくなります。
例えるなら、自動車のエンジン(LEDチップ)は非常に丈夫でまだまだ走れる状態でも、バッテリーやタイヤ(電源ユニット)が劣化して走行不能になってしまう状態に似ています。いくらLEDチップが生きていても、それを制御する心臓部の基板が壊れてしまえば、照明としては寿命なのです。
寿命を縮める最大の敵は「熱」
では、なぜ電源ユニットは先に壊れてしまうのでしょうか。その最大の原因は「熱」です。
LEDは発光時に熱を出します。また、天井付近は暖かい空気が溜まりやすく、夏場などは過酷な温度環境になります。照明器具の内部にある「電解コンデンサ」などの電子部品は熱に非常に弱く、周囲温度が高くなると加速度的に劣化が進む性質(アレニウスの法則)を持っています。
【アレニウスの法則(10℃半減則)】
電子部品の寿命は、使用温度が10℃上がると半分になると言われています。放熱がうまくいかない設置環境や、長時間連続して点灯し続ける使い方は、カタログ上の寿命を大幅に縮める原因となります。
メーカー保証期間と設計寿命の関係
製品のパッケージを見ると、多くのメーカーで「LED電源などの主要部品は5年保証」などと記載されています。しかし、これはあくまで「初期不良や自然故障に対応する期間」であって、寿命そのものではありません。
日本照明工業会(JLMA)のガイドラインでは、照明器具の「適正交換時期」を8年〜10年と定めています。これは、絶縁物の劣化による安全性を考慮した期間です。
| 期間 | 状態とリスク |
|---|---|
| 〜5年 | 【安定期】 メーカー保証期間内(製品による)。初期不良以外の故障は少ない。 |
| 8年〜10年 | 【寿命・交換時期】 内部部品の劣化が進み、故障率が上がる。「適正交換時期」の目安。 |
| 10年以上 | 【危険領域】 絶縁劣化による発煙・発火・感電のリスクが高まる。使用は推奨されない。 |
(出典:一般社団法人日本照明工業会『照明器具の寿命・リニューアルのおすすめ』)
【結論】実質的な寿命は「10年」と割り切るのが正解
結論として、LEDシーリングライトの寿命は「設置から約10年」と考えてください。「40,000時間」という数字はあくまでLED素子単体の理論上の耐久力であり、照明器具全体の実力ではありません。
「まだ点くから」といって10年以上使い続けることは、明るさが低下して目が悪くなるリスクだけでなく、器具の発火トラブルなどの安全リスクを抱え込むことになります。設置した年を忘れがちですが、大掃除の際などにカバーを外して、本体に貼られたラベルの「製造年」をチェックしてみることを強くおすすめします。
LEDシーリングライト5つの寿命症状やサイン
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「スイッチを押せば点くのが当たり前」と思っている照明器具ですが、寿命が近づくと必ず何らかの「サイン」を発しています。
しかし、これらは「故障かな?」と気づきやすいものから、毎日見ていると気づかないような微細な変化まで様々です。
ここでは、プロの現場視点で、絶対に見逃してはいけない5つの寿命症状をピックアップしました。これらは単なる不具合ではなく、器具内部で進行している深刻な劣化の証拠です。「まだ使えるから」と放置せず、ご自宅の照明と照らし合わせてチェックしてみてください。
チカチカ点滅・フリッカー(電源回路の悲鳴)
最も分かりやすく、かつ緊急性が高い症状です。スイッチを入れた直後にチカチカしたり、点灯中に不定期に瞬いたりする場合は、即座に対処が必要です。
【原因は?】
これは、LEDチップ自体の故障ではなく、電気をコントロールしている「電源ユニット(ドライバー)」の寿命であることがほとんどです。内部にある「電解コンデンサ」という部品が熱で劣化し、電気の流れを整えられなくなっている状態です。
人間で言えば、心臓の鼓動が不整脈を起こしているようなもので、いつ完全に停止してもおかしくありません。また、激しい点滅は「光過敏性発作」や眼精疲労を引き起こす健康被害のリスクもあるため、我慢して使い続けるのは厳禁です。
明るさの低下(気づかないうちに暗くなっている)
「新聞の文字が読みづらくなった」「部屋の隅が薄暗い気がする」。そう感じたら、それは視力の低下ではなく、照明の寿命かもしれません。
LEDは、白熱電球のようにフィラメントが切れて突然「パッ」と消えることは稀です。その代わり、使用時間の経過とともに、じわじわと光量が落ちていきます。日本照明工業会の規定では、「初期の明るさの70%まで下がった時点」を寿命と定義しています。
70%の明るさというのは、実はかなり暗い状態です。人間の目は環境に順応するため、毎日のわずかな変化には気づきにくいのですが、ふと暗さを自覚した時には、すでに交換時期を数年過ぎているケースが多いのです。
光の色味の変化(黄色や青白く変色)
長く使っているLEDシーリングライトの光が、購入時と違う色に見えることはありませんか?
- 全体的に黄色っぽくなる: LEDチップを覆っている樹脂カバーや、光を拡散させるセード(カバー)が、熱や紫外線で「黄変」しています。
- 青白くなる・ムラができる: 白色光を作るための「黄色蛍光体」が劣化・剥離し、元々の青色LEDの光が強く漏れ出しています。
色が崩れると「演色性(Ra)」が低下し、料理が不味そうに見えたり、顔色が悪く見えたりと、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。「なんだか部屋の雰囲気がどんよりしている」と感じたら、光の劣化を疑ってみてください。
異音(ジー・ブーン・カラカラ)
静かな夜に、天井から耳障りな音が聞こえてくる症状です。
| 音の種類 | 原因とリスク |
|---|---|
| 「ジー」「ブーン」 | 【コイル鳴き】 電源回路内のトランスやコイルが、経年劣化で振動している音です。発火の直前ではありませんが、回路に大きな負荷がかかっており、故障の一歩手前です。 |
| 「カラカラ」 | 【部品の脱落】 内部でネジや劣化したプラスチック片、はんだの欠片などが外れて転がっている音です。これらが電気回路に触れるとショートして火花が散る恐れがあり、極めて危険です。 |
カバー内の黒い影(焦げや虫)
シーリングライトのカバーの中に「黒い点」や「影」が見える場合、その正体を見極めることが重要です。
単なる「虫の死骸」であれば、掃除をすれば済みますが(それでも防虫パッキンの劣化が疑われます)、もしそれが「電子部品の焦げ」や「煤(すす)」であった場合、事態は深刻です。
基板上のコンデンサがパンクしたり、抵抗器が異常発熱して基板を焦がしたりしている痕跡かもしれないからです。カバーを外して、内部から焦げ臭いニオイがしたり、基板が茶色く変色していたりしたら、それは「発火未遂」の跡です。二度とスイッチを入れず、すぐに交換してください。
チカチカする点滅は故障の前兆
LEDシーリングライトを使っていて、最も分かりやすく、かつ緊急性が高い症状が「チカチカ」という点滅(フリッカー)です。これは単なる電球切れのような軽いトラブルではなく、照明器具の心臓部である電源回路が悲鳴を上げている状態と言えます。
LEDは家庭用の電気(交流100V)をそのまま使っているわけではなく、器具内部の「電源ユニット」でLEDチップに適した直流の低い電圧に変換して光っています。この変換プロセスにおいて、電気の流れを滑らかにする役割(整流・平滑)を担っているのが「電解コンデンサ」という部品です。この部品は熱に弱く、長年の使用で内部の電解液が乾いてしまう(ドライアップ現象)と、正常に機能しなくなります。その結果、電流が不安定になり、供給される電気が途切れることで、光が高速で明滅してしまうのです。
【健康への影響と火災リスクに注意】
激しい点滅は、単に不快なだけでなく、目の疲れや激しい頭痛、吐き気、場合によっては「光過敏性発作」を引き起こす原因になります。特に小さなお子様や高齢者がいるご家庭では早急な対処が必要です。
また、点滅している状態は内部回路に異常な電圧変動や負荷がかかっている証拠です。そのまま通電を続けると、コンデンサが破裂したり、基板が異常発熱して発火に至るリスクもゼロではありません。この症状が出たら「まだつくから」と我慢せず、即座に使用を中止してください。
【調光器付きスイッチの場合】
もし、壁のスイッチがダイヤル式の「調光スイッチ」である場合、照明器具側が調光器対応モデルでないと、設置直後から激しく点滅したり、故障したりします。これは寿命ではなく「器具の選定ミス(不適合)」です。この場合は、壁スイッチを通常のON/OFFスイッチに交換するか、調光器対応のLED照明に買い替える必要があります。
部屋が暗くなるのは寿命が近いサイン
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「昔に比べて、なんだか部屋が薄暗くなった気がする」「夜、新聞や雑誌の文字が読みづらくなった」と感じることはありませんか? 実はこれ、あなたの視力が落ちたせいだけではなく、照明器具の寿命である可能性が非常に高いです。
一般的にLED照明の寿命は「40,000時間」と言われていますが、これは「40,000時間後に突然消える」という意味ではありません。日本照明工業会の規定では、「初期の明るさに対して、光の量が70%にまで低下した時点」を寿命と定義しています。つまり、LEDは徐々に、本当に少しずつ暗くなっていくため、毎日その光を見ている私たちはその変化に気づきにくいのです。「なんとなく暗い」と自覚できるレベルになっているということは、すでに本来の性能の70%を下回り、寿命を大きく過ぎている可能性が高いと言えます。
また、暗くなる原因はLEDチップの光量低下だけではありません。LEDチップを覆っている樹脂レンズや、照明器具全体を覆うカバー(セード)が、紫外線や熱の影響で黄色く変色(黄変)したり、白く濁ったりすることで、光の透過率が下がることも大きな要因です。特にキッチンなど油煙が発生しやすい場所では、カバーの汚れによる光量低下も著しくなります。
【照度計アプリでチェック】
客観的に明るさを確認したい場合、スマートフォンの「照度計アプリ(ルクスメーター)」を使ってみるのも一つの手です。正確な数値計測は難しいですが、新しい電球の下と、気になるシーリングライトの下で数値を比べれば、明らかな光量ダウンを確認できるはずです。
光の色味が黄色く変わる劣化症状
長く使っていると、購入当時は真っ白な「昼光色」だったはずが、なんだか黄色っぽくなったり、逆に不自然に青白く変色したりすることがあります。これもLED特有の劣化症状の一つです。
一般的な白色LEDは、実は「青色LED」の光に「黄色い蛍光体」を通すことで、擬似的に白い光を作り出しています。長期間の使用で発生する熱や光エネルギーによって、この蛍光体や封止樹脂が劣化・変色してしまうと、青と黄色のバランスが崩れ、光の色が変わってしまうのです。特に、黄色蛍光体の劣化が進むと、青色が強く漏れ出して不健康な青白い光になったり、樹脂の黄変が進むと全体が古ぼけた黄色い光になったりします。
【なぜ色が重要?演色性の低下】
照明の色味が崩れると、専門用語で「演色性(Ra)」と呼ばれる指標が低下します。演色性が下がると、料理がまずそうに見えたり、家族の顔色が悪く見えたり、メイクの濃さが分からなくなったりと、生活の質(QOL)に地味ながら大きな悪影響を与えます。
「なんとなく部屋の雰囲気がどんよりしている」と感じたら、それは光の質の劣化が原因かもしれません。
ジーという異音の原因と危険性
静かな夜、部屋でくつろいでいる時に、天井の照明器具から「ジー」「ブーン」という低い音が聞こえてくることはありませんか? これは「コイル鳴き」や「磁歪(じわい)音」と呼ばれる現象で、電源ユニット内部にあるトランスやコイルといった部品が、電気の周波数に合わせて微細に振動している音です。
新品の状態でもごくわずかに鳴ることはありますが、耳障りなほど音が大きくなってきた場合は要注意です。経年劣化によって部品を固定しているワニス(絶縁塗料)が剥がれたり、コンデンサの劣化によって電流のノイズが増えたりすることで、振動が激しくなっている証拠だからです。これは電源回路に過度なストレスがかかっているサインであり、故障の一歩手前と言えます。
さらに危険なのが、器具の中で「カラカラ」「カサカサ」と何かが転がる音がする場合です。これは、内部のプラスチック部品が熱で劣化して割れた破片や、小さなネジ、あるいは基板上のはんだの欠片などが脱落している可能性があります。これら導電性の部品が、電気が流れている基板や端子に触れると、ショート(短絡)を起こして火花が散り、ブレーカーが落ちたり、最悪の場合は火災の原因にもなりかねません。
カバー内の虫や黒い点は劣化の証拠
ふと天井を見上げた時、シーリングライトのカバー(セード)の中に、黒い点や影が見えることはありませんか? 「掃除していないから虫が入ったのかな」と軽く考えがちですが、実はその「黒い点」の正体をしっかり確認することが、安全を守る上で非常に重要です。
まず、カバーの内部に虫が入るのは、カバーと本体の隙間を塞ぐ「防虫パッキン」が劣化して弾力を失い、隙間ができている証拠です。LEDは蛍光灯に比べて虫が寄り付きにくい波長の光ですが、それでも完全に寄ってこないわけではありません。
しかし、もっと恐ろしいのは、その黒い点が虫ではなく「部品の焦げ」や「煤(すす)」である場合です。以下の表で、その違いと対策を確認してください。
| 黒い点の正体 | 原因と対策 |
|---|---|
| 虫の死骸 | カバーのパッキン(スポンジ状の部品)が経年劣化でボロボロになり、隙間から虫が侵入しています。清掃で除去できますが、気密性が失われているため、再び侵入する可能性が高いです。また、虫の死骸が基板に触れるとショートの原因になることもあります。 |
| 部品の焦げ・煤(すす) | 極めて危険です。内部の電子部品(コンデンサや抵抗など)が異常発熱して焼損したり、微量な発煙があった痕跡です。カバーの内側に黒いススが付着している場合は、発火の前兆ですので、即座に使用を中止し、器具を交換してください。 |
大掃除の際などにカバーを外して確認し、もし内部の基板周辺が茶色く変色していたり、焦げ臭いニオイがしたりした場合は、迷わず交換を検討してください。
リモコンが効かない場合の原因切り分け
「電気がつかない!照明が壊れた!」と慌てて買い替える前に、一度冷静になって確認してほしいのが「リモコン」です。本体は正常でも、リモコンが故障しているために操作できないというケースが意外と多いからです。本体の受光部不良なのか、リモコンの発信不良なのかは、お手持ちのスマートフォンのカメラ機能を使えば、誰でも簡単に診断できます。
【スマホカメラを使った赤外線チェック法】
- スマートフォンのカメラアプリを起動します。(iPhoneなどの一部機種では、メインカメラではなくインカメラ(自撮り用)を使用してください。メインカメラには赤外線カットフィルターが入っていて見えないことがあります)
- リモコンの先端(送信部)をカメラのレンズに向けます。
- リモコンの「点灯」などのボタンを押します。
- スマホの画面の中で、リモコンの先端がピカピカと光って見えたら:リモコンは正常に信号を出しています。照明器具本体の受光部故障か、電源回路の故障の可能性が高いです。
- 全く光らなければ:リモコンの電池切れか、リモコン自体の故障です。まずは新しい電池に交換し、それでも光らなければリモコンの買い替えが必要です。
また、意外な盲点として「壁のスイッチ」自体が故障している場合もあります。壁スイッチを押した感触がいつもより軽かったり、グラグラしていたりする場合は、スイッチ裏の配線やバネが破損している可能性があります。この場合は電気工事士の資格を持つプロによる交換工事が必要です。
10年交換が推奨される理由と故障リスク
日本照明工業会(JLMA)や各照明メーカーは、照明器具の適正交換時期を「10年」と定めています。「家電なんて壊れるまで使えばいいじゃないか」「まだ点灯するのにもったいない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、この「10年」という数字は単なる販売促進のためのスローガンではなく、材料工学と安全工学に基づいた明確な「安全の境界線」なのです。
照明器具、特にLEDシーリングライトは、内部に多くの電子部品と絶縁材料(電気を通さないための部材)を使用しています。設置から10年が経過すると、外見はきれいでも、内部の絶縁材料が熱による膨張と収縮を繰り返すことで劣化し、硬く脆くなっています。
この状態で使い続けると、以下のような重大なリスクが発生します。
- 絶縁破壊: 電気が流れてはいけない場所に電気が漏れ、感電や漏電の原因になります。
- トラッキング現象: 劣化した部分にホコリと湿気が溜まり、プラグや端子間で放電が起こって発火します。
- コンデンサの破裂・発煙: 電源部品が寿命を迎え、パンクして煙が出たり、異臭が発生したりします。
「点灯しなくなる(機能的寿命)」よりも先に、「安全に使うための限界(安全寿命)」が訪れるのが照明器具の特徴です。家族の安全を守るためにも、「10年」は食品の消費期限と同じような「安全に使うための期限」と捉えてください。
(出典:一般社団法人日本照明工業会『照明器具の寿命・リニューアルのおすすめ』)
LEDシーリングライトの寿命と症状への対処法
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- 本体交換のサインと新しい選び方
- 電気代がお得になる交換の経済的メリット
- 寿命を迎えた器具の処分方法と費用
- よくある質問(FAQ)
本体交換のサインと新しい選び方
結論から言うと、購入から7〜8年以上経過して不具合が出た場合、修理よりも「買い替え」を強くおすすめします。
メーカーの部品保有期間(製造打ち切りから約6〜7年が多い)が過ぎている可能性が高く、仮に修理できたとしても出張費や技術料で新品が買えるほどの費用がかかるからです。また、一箇所を直しても、他の劣化した部品がすぐに寿命を迎える「いたちごっこ」になるリスクもあります。
新しいLEDシーリングライトを選ぶ際は、単に明るいだけでなく、生活を快適にする以下の機能に注目してみてください。
- 適用畳数のランクアップ: LEDは経年劣化で少しずつ暗くなるため、設置する部屋の畳数よりも「ワンランク上(例:6畳間なら8畳用)」を選ぶのが鉄則です。明るすぎる場合は調光で落とせば省エネにもなり、LEDの寿命も延びます。
- 調色機能(光の色変え): 朝や勉強時は文字が見やすいさわやかな「昼光色」、夕食やリラックスタイムは温かみのある「電球色」に切り替えられる機能は、生活のリズムを整える上で非常に有用です。
- 高演色(Ra90以上): 太陽光に近い自然な色味で、肌の色や料理をきれいに見せます。最近はスタンダードモデルでも高演色タイプが増えています。
- 防虫構造・パッキン一体型: カバーと本体の隙間を無くした設計で、虫やホコリの侵入を劇的に減らし、お手入れの手間を省けます。
電気代がお得になる交換の経済的メリット
「買い替えはお金がかかるから後回しにしたい」と思いがちですが、長い目で見ると、古い器具を使い続ける方が損をしているケースがほとんどです。特に、10年前の初期のLEDや、蛍光灯シーリングライトから最新のLEDに交換した場合、省エネ性能の進化には目を見張るものがあります。
具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。
例えば、リビングで使われているインバーター式の古い蛍光灯シーリングライト(消費電力 約76W)を、同等の明るさの最新LEDシーリングライト(消費電力 約38W)に交換したとします。
| 比較項目 | 古い蛍光灯器具 (76W) | 最新LED器具 (38W) |
|---|---|---|
| 1時間の電気代 ※31円/kWh換算 | 約 2.36円 | 約 1.18円 |
| 1日10時間×1年間の電気代 | 約 8,614円 | 約 4,307円 |
| 10年間の電気代総額 | 約 86,140円 | 約 43,070円 |
ご覧の通り、電気代は約半分、年間で4,000円以上も節約になります。12畳用などの高出力タイプであれば、差額はさらに大きくなります。最新のLEDシーリングライトの本体価格は、シンプルなモデルなら1万円〜1万5千円程度で購入可能です。
つまり、電気代の節約分だけで、わずか3〜4年で本体代の元が取れてしまう計算になります。これに加えて、蛍光灯の場合は数千円かかる「交換用ランプ代」も不要になるため、経済的なメリットは圧倒的です。
寿命を迎えた器具の処分方法と費用
交換して不要になった古いシーリングライトは、お住まいの自治体のルールに従って適切に処分する必要があります。不法投棄にならないよう、正しい捨て方を理解しておきましょう。
【一般的な処分の目安】
LEDシーリングライトは、テレビや冷蔵庫のような「家電リサイクル法」の対象品目ではありません。多くの自治体では、ゴミの大きさによって区分が分かれます。
- 一辺が30cm(または50cm)未満の小型のもの: 「不燃ごみ」や「金属ごみ」、「小型家電」として無料で出せる場合が多いです。
- 一辺が30cm(または50cm)を超えるもの: 多くのシーリングライトはこちらに該当し、「粗大ごみ」としての扱いになります。事前に自治体の粗大ごみ受付センターへ申し込み、数百円程度の処理券を購入して貼付し、指定日に排出します。
【注意:蛍光灯器具の場合】
もし交換前の器具が蛍光灯だった場合、蛍光管(ランプ)には有害物質である「水銀」が含まれています。そのため、本体とは別に「有害ごみ」や「資源ごみ」として分別回収している自治体がほとんどです。絶対に本体に入れたまま叩き割ったりせず、割れないように箱に入れて指定の回収場所に出してください。
よくある質問(FAQ)
現場でお客様からよくいただく質問をまとめました。LEDシーリングライトの交換やトラブル対応で迷った際の参考にしてください。
Q. LEDの「電球」だけ切れたようなのですが、電球交換はできますか?
A. 多くのLEDシーリングライトは、電球だけの交換ができません。
これは非常に多いお問い合わせなのですが、現在主流のLEDシーリングライトは、LEDチップと器具本体が一体化している「LED一体型」という構造が大半です。昔の蛍光灯のように管だけを交換することはできず、不点灯や故障の場合は「器具本体ごとの交換」が必要になります。「電球を変えれば直る」と思われがちですが、寿命が来たら器具ごとの買い替えとなる点にご注意ください。
Q. 素人でも自分で交換できますか? 工事は必要ですか?
A. 天井の配線器具によって異なりますが、多くの場合は工具なしで交換可能です。
天井に「引掛シーリング」や「ローゼット」と呼ばれるプラスチック製の接続部品(カチッと回して取り付けるタイプ)が付いていれば、電気工事士の資格は不要で、誰でも簡単に交換できます。
ただし、古い住宅や公団住宅などで、天井から直接電線が出て器具に繋がっている「電源直結式」の場合は、感電の危険があるため電気工事士による取り外し・取り付け工事が必須です。無理に外そうとせず、必ず専門業者にご相談ください。
Q. 賃貸マンションに住んでいますが、勝手に交換してもいいですか?
A. 必ず管理会社や大家さんに確認してください。
もともと部屋に備え付けられていた設備(付帯設備)の場合、所有権は大家さんにあります。勝手に捨てたり交換したりすると、退去時にトラブルになる可能性があります。
ただし、故障による交換であれば、管理会社負担で新しいものにしてくれるケースも多いです。逆に、前の住人が置いていった「残置物」であれば、自分の判断で交換・処分しても問題ない場合がほとんどです。まずは契約内容を確認しましょう。
Q. 安いメーカーのLEDシーリングライトでも大丈夫ですか?
A. 基本的に使えますが、「光の質」や「保証」に差が出ることがあります。
ホームセンターなどで安価に売られている製品でも、PSEマーク(電気用品安全法)があれば安全性に最低限の問題はありません。
ただし、大手メーカー製に比べると「チラつき(フリッカー)が起きやすい」「色が少し不自然」「カバーが安っぽい」「寿命のバラつきが大きい」といった差を感じることもあります。リビングなど長時間過ごす場所には信頼できるメーカー品を選び、納戸や廊下などは価格重視で選ぶなど、使い分けるのがおすすめです。
LEDシーリングライトの寿命と症状の総括
LEDシーリングライトの寿命と症状について、詳しく解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- LED照明の寿命目安は約10年。「点かなくなるまで」ではなく「安全に使える期間」が10年です。
- 「チカチカ点滅」や「焦げ臭いニオイ」、「異音」は危険な故障サイン。火災リスクがあるため、すぐに使用を中止してください。
- 「部屋が暗くなった」「色が変だ」と感じたら、それは目のせいではなく器具の寿命です。
- 10年以上前の古い器具を使い続けるより、最新機種に買い替えた方が、電気代が安くなり、数年で元が取れるため経済的にもお得です。
照明は、毎日使う生活のインフラであり、家族の安全と健康を守るための重要な設備です。
「まだ使える」という気持ちも大切ですが、適切なタイミングで交換することで、火災のリスクを未然に防ぎ、明るく快適で、しかも省エネな生活を手に入れることができます。この記事が、あなたのご自宅の照明環境を見直す良いきっかけになれば幸いです。