光熱費の節約や快適な室温維持のために、窓の断熱対策に関心をお持ちではないでしょうか。
その選択肢の一つとして注目されるのが「二重窓のDIY」です。特に100均グッズを活用すれば、費用を抑えながら対策できる可能性があります。
しかし、プラダンで本当に断熱できますか、といった効果への疑問や、そもそも2重サッシと2重窓の違いは何ですか、という基本的な知識も気になるところです。また、ポリカーボネートを使った防音対策、はめごろしや掃き出し窓への応用方法、100均で手に入るプラダンやレールの情報も知りたいかもしれません。
一方で、二重窓の欠点は何ですか、DIYでよくある失敗や後悔はないのか、といった不安もあるでしょう。専門業者に依頼した場合、窓を2重にする費用はいくらですか、という点も比較のために押さえておきたいポイントです。
この記事では、100均グッズなどを活用して二重窓を安くDIYする方法から、その効果、注意点、失敗しないためのコツまで、あらゆる疑問にプロの視点から網羅的にお答えします。
ポイント
- 100均グッズを活用した二重窓DIYの具体的な方法
- DIYで起こりうる失敗例とその回避策
- プラダンやポリカーボネートの断熱・防音効果
- プロに頼んだ場合の費用との比較や注意点
目次
二重窓DIYの基本ガイド!100均で手軽にリフォーム
- 2重サッシと2重窓の違いは何ですか?
- 設置前に知るべき二重窓の欠点は何ですか?
- そもそもプラダンで断熱できますか?
- 二重窓DIYを安く済ませる賢い方法
- プラダンやレールは100均で揃いますか?
2重サッシと2重窓の違いは何ですか?
窓の断熱や防音対策を検討する際、「2重サッシ」と「2重窓」という言葉を耳にすることがありますが、これらはしばしば混同されがちです。しかし、実際には構造や設置方法が異なるため、その違いを理解しておくことが大切になります。
まず結論から言うと、2重窓は「今ある窓の内側にもう一つ窓を追加して窓を二重にする」方法を指します。一般的に「内窓」とも呼ばれ、DIYで設置されるのも主にこのタイプです。既存の窓はそのままに、室内側の窓枠に新しい窓を取り付けるため、比較的簡単な工事で済みます。
一方、2重サッシは、ガラス自体が2枚構造になっている「複層ガラス(ペアガラス)」がはめ込まれたサッシ(窓枠)のことを指す場合が多いです。つまり、窓の数は一つですが、その一つの窓に使われているガラスが特殊な構造になっています。複層ガラスは2枚のガラスの間に乾燥した空気やガスが封入されており、高い断熱性能を発揮します。このサッシ自体を交換するには、既存の窓を取り壊すなど大掛かりな工事が必要になるケースがほとんどです。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
項目 | 2重窓(内窓) | 2重サッシ(複層ガラス) |
構造 | 既存の窓の内側にもう一つ窓を追加 | 2枚のガラスで構成された1枚の窓 |
窓の数 | 2つ | 1つ |
工事 | 比較的簡易(DIYも可能) | 大掛かりな交換工事が必要な場合が多い |
主な目的 | 断熱、防音、結露抑制、防犯 | 断熱、結露抑制 |
このように、DIYで手軽に挑戦できるのは「2重窓(内窓)」の設置です。2重サッシへの交換は専門的な知識と技術が求められるため、プロのリフォーム会社に依頼するのが一般的と考えられます。ご自身の目的や予算、住宅の状況に合わせて、どちらの方法が適しているか検討することが鍵となります。
設置前に知るべき二重窓の欠点は何ですか?
手軽に断熱性や防音性を高められる二重窓ですが、設置する前に知っておきたい欠点や注意点も存在します。メリットだけでなくデメリットも把握しておくことで、設置後の「こんなはずではなかった」という後悔を防げます。
開閉の手間が増える
最も分かりやすい欠点は、窓の開閉に手間がかかることです。換気や出入りの際には、内窓と外窓の2枚を開け閉めする必要があり、これが面倒に感じられる方も少なくありません。特に、頻繁に開け閉めする掃き出し窓などに設置する場合は、日々の手間を考慮しておくとよいでしょう。
掃除が大変になる
窓が二重になることで、ガラスの面が4面に増え、単純に掃除の手間が増加します。内窓と外窓の間にもホコリが溜まりやすくなるため、定期的な清掃が求められます。特に、内窓を取り外せないタイプのDIYをしてしまうと、窓と窓の間の掃除が困難になる可能性があるため、メンテナンス性も考慮した設計が大切です。
部屋が少し狭く感じる可能性がある
内窓は室内側に設置されるため、窓枠の分だけ部屋がわずかに狭くなります。ほとんど気にならないレベルではありますが、出窓などに設置する場合は、物を置けるスペースが減ってしまうことも考えられます。
DIYの場合、性能を十分に発揮できないリスク
プロが施工する場合と異なり、DIYでは隙間が生じやすいという欠点があります。採寸ミスや施工技術の不足によって窓枠と内窓の間に隙間ができてしまうと、そこから冷気や騒音が侵入し、期待した断熱・防音効果が得られません。また、内窓と外窓の間隔が適切でないと、空気層での対流(コールドドラフト現象)が起きてしまい、かえって断熱効果が下がるケースも見られます。
これらの欠点を理解した上で、ご自身のライフスタイルやDIYのスキルと照らし合わせ、二重窓の設置を検討することが、満足のいく結果につながります。
プラダンで断熱できますか?
結論から言うと、プラダン(プラスチックダンボール)は窓の断熱対策に有効な素材です。その理由は、プラダンが持つ「素材自体の特性」と「構造」の2つにあります。
まず、プラダンの素材であるポリプロピレンは、熱を伝えにくい性質を持っています。熱の伝わりやすさを示す「熱伝導率」という値が低いほど断熱性が高いのですが、一般的な窓ガラスの熱伝導率が0.55〜0.75W/mKであるのに対し、ポリプロピレンは0.17〜0.19W/mKと、約3倍から4倍も熱を伝えにくいのです。
そして、さらに重要なのがプラダンの「中空構造」です。プラダンは、2枚のシートの間に仕切りがある、紙の段ボールに似た構造をしています。この仕切りの間にできる無数の空気の層が、断熱効果を飛躍的に高めます。空気は熱伝導率が0.024W/mKと非常に低く、優れた断熱材として機能します。プラダンを窓に設置するということは、熱を伝えにくい空気の層を窓際に作り出すことと同じ意味を持ちます。
実際に、住宅において熱の出入りが最も大きいのは窓であるとされています。大手窓メーカーYKK AP株式会社のデータによると、冬は熱の約50%が窓から逃げ、夏は熱の約74%が窓から侵入するとされています。この熱の通り道である窓を、プラダンで覆うことで空気の盾を作り、室内の暖かい空気と窓の冷たい空気が直接触れ合うのを防ぎます。これにより、冷暖房の効率が上がり、結果として光熱費の節約にもつながるわけです。
ただし、プラダンをただ窓に立てかけるだけでは、隙間から冷気が漏れてしまい効果は半減します。気密性を高めるように窓枠にしっかり固定することで、プラダンの持つ断熱性能を最大限に引き出すことができるでしょう。
二重窓DIYを安く済ませる賢い方法
専門業者に依頼すると数万円から数十万円かかる二重窓のリフォームですが、DIYであれば材料費のみで済むため、大幅に費用を抑えることが可能です。ここでは、できるだけ安く、かつ効果的に二重窓を自作するための賢い方法をいくつか紹介します。
最もポピュラーでコストパフォーマンスに優れているのが、プラダン(プラスチックダンボール)を使用する方法です。プラダンはホームセンターなどで比較的安価に手に入り、カッターで簡単に加工できるため、DIY初心者にも扱いやすい素材です。前述の通り、中空構造による高い断熱効果も期待できます。
100均グッズの活用
レールや隙間を埋めるための部材は、100円ショップの商品で代用することで、さらに費用を圧縮できます。例えば、本来は別の用途で使われるプラスチック製の部材や、配線をまとめるためのモールなどをレールとして利用するアイデアがあります。また、窓とプラダンの間にできる隙間には、100円ショップで手に入る「隙間テープ」を貼ることで気密性が高まり、断熱・防音効果が向上します。
保温チューブの活用
DIYアイデアとして注目されているのが、水道管の凍結防止などに使われる「保温チューブ」の活用です。ホームセンターで安価に購入できるこのチューブは、中央に切れ目が入っているため、カットしたプラダンの縁にはめ込むだけでフレームの役割を果たします。クッション性があるため窓枠にしっかりフィットし、専門的なレールがなくても簡易的な二重窓を作ることが可能です。取り外しも簡単なので、掃除がしやすいというメリットもあります。
これらの方法を組み合わせることで、一つの窓あたり数百円から千円程度の予算で二重窓をDIYすることも不可能ではありません。ただし、安さを追求するあまり、気密性や安全性がおろそかにならないよう注意が必要です。材料選びと丁寧な施工が、安くても効果の高い二重窓を作るための鍵となります。
プラダンやレールは100均で揃いますか?
二重窓をDIYする上で、「材料をどこまで100円ショップで揃えられるか」は、費用を抑えるための重要なポイントです。
まず、メインの材料となるプラダンですが、以前は一部の100円ショップで取り扱いがありましたが、2024年現在、ダイソーやセリア、キャンドゥといった大手100円ショップの多くの店舗では、窓全面を覆えるような大きなサイズのプラダンの取り扱いは稀になっています。工作用の小さなサイズが見つかることはありますが、窓のDIYに使うには小さすぎることがほとんどです。したがって、プラダン自体はホームセンターで必要なサイズを購入するのが最も確実な方法と言えます。
一方で、二重窓の「レール」として使えるアイテムは100円ショップで見つけられる可能性があります。ただし、専用の「内窓用レール」が置かれているわけではありません。DIY愛好家たちは、他の商品を応用してレールとして活用しています。
レールとして応用できる100均グッズ
- 配線モール・ケーブルカバー: 壁の配線を隠すためのプラスチック製のカバーです。コの字型やロの字型のものがあり、これを窓枠の上下に両面テープで貼り付け、溝の部分にプラダンをはめ込むことでレールの代わりになります。
- 隙間テープ2本使い: 100円ショップで手軽に手に入るスポンジ状の隙間テープを、窓枠の上下に2本、少し間隔をあけて平行に貼ることで、簡易的なレールを作る方法もあります。プラダンをその間にはめ込んで使います。開閉のスムーズさには欠けますが、はめ殺し窓や、あまり開閉しない窓には有効な手段です。
- プールスティック: 夏場に販売されることがある発泡ポリエチレン製の棒「プールスティック」をカットし、プラダンの縁にはめ込む方法も人気です。この場合、レールは不要で、スティック自体の弾力で窓枠にはめ込みます。
このように、プラダン本体はホームセンターでの購入が推奨されますが、レールや気密性を高めるための隙間テープといった周辺部材は、100円ショップの商品を工夫して活用することで、全体の費用を大きく抑えることが可能です。店舗によって品揃えは異なるため、いくつかの店舗を回って探してみるのがよいでしょう。
二重窓DIYの基本ガイド!100均で失敗しないコツは?
- 二重窓DIYでありがちな失敗パターン
- はめ殺しタイプの二重窓DIYのコツ
- 掃き出し窓の二重窓DIYは可能ですか?
- 二重窓DIYでポリカーボネートの防音効果は?
- 二重窓の費用と補助金リフォームの活用
二重窓DIYでありがちな失敗パターン
手軽に挑戦できる二重窓のDIYですが、いくつか陥りやすい失敗パターンがあります。事前にこれらを知っておくことで、無駄な手間や材料費をかけずに、効果的な二重窓作りを目指せます。
採寸ミスによる隙間の発生
最も多く、そして致命的な失敗が「採寸ミス」です。窓枠のサイズを正確に測れていないと、作った内窓が大きすぎてはまらない、あるいは小さすぎて隙間だらけになってしまいます。二重窓は、内窓と外窓の間に作られる「空気の層」が断熱や防音の要であるため、隙間があると効果が激減します。窓枠は一見まっすぐに見えても、家の経年劣化などで微妙に歪んでいることがあるため、上下左右、必ず複数箇所を測定することが大切です。
施工技術不足による気密性の低下
採寸が完璧でも、施工がうまくいかないケースもあります。例えば、レールを貼り付ける両面テープの粘着力が弱く、すぐに剥がれてしまったり、レールが曲がってしまい、プラダンの開閉がスムーズにいかなかったりする例です。また、窓枠とレールの間に隙間ができてしまうと、そこが熱の逃げ道になってしまいます。コーキング材などで隙間を埋める丁寧な作業が求められます。
デザイン性のミスマッチ
費用を抑えることを優先するあまり、部屋のインテリアとの調和を忘れてしまう失敗も見られます。例えば、サッシの色やレールの色が壁紙や既存の窓枠と合っておらず、後付け感が目立ってしまい、部屋の雰囲気を損ねてしまうことがあります。木目調のリメイクシートを貼るなど、デザインにも一工夫加えることで、満足度は大きく向上します。
素材選びの失敗
断熱性を期待してプラダンを選んだものの、日当たりの良い窓に設置した結果、紫外線で劣化し、数年でボロボロになってしまうことがあります。耐候性を重視するなら、少し高価になりますがポリカーボネートを選ぶべきでした。また、防音目的だったのに、期待したほどの効果が得られなかったというケースもあります。これは、悩んでいる騒音が二重窓では防げない種類の音(固体伝播音)だった可能性があります。
これらの失敗を避けるためには、焦らずに計画を立て、正確な採寸と丁寧な作業を心がけることが何よりも重要です。
はめ殺しタイプの二重窓DIYのコツ
「はめ殺し」とは、開閉できないように固定された窓のことを指します。二重窓のDIYにおいても、この「はめ殺しタイプ」で設置する方法は、特にDIY初心者におすすめできる有効な選択肢です。
はめ殺しDIYのメリット
最大のメリットは、その「手軽さ」と「高い気密性」です。開閉のためのレールを取り付ける必要がなく、窓枠のサイズに合わせてカットしたプラダンなどを直接はめ込むだけなので、作業工程が非常にシンプルです。レール部分からの隙間風の心配もないため、可動式に比べて気密性を確保しやすく、断熱効果や防音効果をより高く得られる可能性があります。普段ほとんど開け閉めしない小窓や、廊下の窓などには最適な方法と言えるでしょう。
はめ殺しDIYのコツ
- 正確な採寸: はめ殺しタイプでは、気密性が命です。窓枠の寸法をミリ単位で正確に測り、プラダンをカットすることが成功の鍵となります。大きすぎるとはまらず、小さすぎると隙間ができて効果がなくなってしまいます。窓枠の歪みも考慮し、複数箇所を測定した上で、最も小さい数値に合わせてカットするのが基本です。
- 隙間テープの活用: カットしたプラダンをはめ込む前に、窓枠の四方に100円ショップなどで手に入る隙間テープを貼っておきましょう。これにより、プラダンと窓枠がしっかりと密着し、わずかな隙間もなくなります。また、隙間テープの厚みを計算に入れてプラダンを少しだけ小さめにカットすると、はめ込みやすくなります。
- 取り外し用の取っ手: 完全なはめ殺しにすると、窓の間の掃除が一切できなくなります。これを避けるため、プラダンの手前側に簡易的な取っ手(例えば、両面テープで貼り付けられる小さなフックなど)を付けておくと便利です。これにより、年に数回の大掃除の際には取り外すことができ、メンテナンス性が向上します。
開閉の必要がない窓であれば、複雑なレール構造に悩むよりも、シンプルで効果の高いはめ殺しタイプを選択する方が、結果的に満足度の高いDIYになることが多いでしょう。
掃き出し窓の二重窓DIYは可能ですか?
結論として、リビングやベランダに面した大きな「掃き出し窓」に二重窓をDIYで設置することは可能ですが、小さな窓に比べて難易度が上がり、いくつかの注意点が必要になります。
難易度が上がる理由
- 材料の大きさと扱い: 掃き出し窓はサイズが大きいため、必要となるプラダンやポリカーボネートも大きくなります。大きな板材を正確に採寸し、まっすぐカットするのは技術が求められます。また、材料が大きくなる分、たわみやすくなるため、厚みのあるしっかりとした素材を選ぶ必要があります。
- レールの強度と水平設置: 大きく重い内窓をスムーズに開閉させるためには、しっかりとした強度のレールが不可欠です。100円ショップのグッズを応用した簡易的なレールでは、重さに耐えきれずに歪んだり剥がれたりする可能性があります。ホームセンターなどで販売されている専用の内窓用レールキットを使用するのが賢明です。また、このレールを完全に水平・垂直に取り付けないと、開閉がスムーズにいかず、隙間の原因にもなります。
- コストの増加: 窓の面積が大きいため、当然ながら材料費は高くなります。費用を抑えることがDIYの大きなメリットですが、掃き出し窓の場合は、安価な材料だけで済ませようとすると失敗のリスクが高まるため、ある程度の出費は覚悟しておく必要があります。
掃き出し窓DIYのポイント
- 材料選び: たわみを防ぐため、プラダンであれば厚さ4mm以上のもの、より強度を求めるならポリカーボネートの中空構造板(ツインカーボなど)を選ぶとよいでしょう。
- レールキットの活用: 無理に100均グッズで済ませようとせず、専用のレールキットの導入を検討してください。価格は数千円しますが、設置のしやすさや耐久性、仕上がりの美しさを考えると、結果的にコストパフォーマンスは高くなります。
- 複数人での作業: 大きな板材を一人で扱うのは危険も伴い、設置も困難です。安全のためにも、家族や友人に手伝ってもらい、二人以上で作業することをおすすめします。
掃き出し窓は家の中でも特に熱の出入りが大きい場所なので、二重窓の効果を実感しやすい場所でもあります。難易度は上がりますが、ポイントを押さえて丁寧に作業すれば、DIYでの設置も十分に可能です。
ポリカーボネートの防音効果は?
二重窓を設置する目的は断熱だけでなく、「防音」を期待する方も多いでしょう。DIYで使われる主な材料であるプラダンとポリカーボネートを比較した場合、防音効果をより重視するならポリカーボネートに軍配が上がります。
まず、二重窓が防音に効果を発揮する基本的な原理は、内窓と外窓の間に生まれる「空気層」が音を減衰させるからです。音が空気中を伝わる際に、性質の異なる物質(ガラス→空気→ガラス)を通過するたびにエネルギーが弱まるため、室内に入ってくる音が小さくなります。
ポリカーボネートが防音に有利な理由
ポリカーボネートは、プラダン(ポリプロピレン製)に比べて密度が高く、重量があります。一般的に、音を遮る「遮音性能」は、物質の密度や質量が大きいほど高くなる傾向があります。そのため、同じ厚さであれば、より重いポリカーボネートの方が音を跳ね返す力が強く、プラダンよりも高い遮音効果が期待できるのです。
防げる音と防げない音
ただし、二重窓で効果的に防げるのは、主に「空気伝播音」と呼ばれる音です。これは、人の話し声、テレビの音、犬の鳴き声、車の走行音(エンジン音など)といった、空気を振動させて伝わってくる音を指します。
一方で、工事現場の重機の振動、大型トラックが通行する際の地面の揺れ、マンションの上階からの足音といった「固体伝播音」に対しては、二重窓の効果は限定的です。これらの音は、地面や建物の構造体(壁や床)を直接振動させて伝わってくるため、窓だけを対策しても音の侵入を防ぎきれません。この場合は、床や壁への防音対策を別途検討する必要があります。
したがって、ポリカーボネートを使った二重窓のDIYは、外部の話し声や交通騒音といった空気伝播音に悩んでいる場合には有効な対策となります。より高い防音効果を求めるのであれば、内窓と外窓の間隔を広く取る(10cm以上が理想)、厚みの異なるガラスや素材を組み合わせる、といった工夫も効果的と考えられます。
二重窓の費用と補助金リフォームの活用
DIYで費用を抑えるのも一つの手ですが、プロの業者に依頼した場合の費用相場や、国が実施している補助金制度について知っておくことも、最適な選択をする上で役立ちます。
プロに依頼した場合の費用相場
専門のリフォーム会社に二重窓(内窓)の設置を依頼する場合、費用は窓のサイズや選ぶ製品のグレードによって大きく変動します。一般的な腰高窓(幅1.7m × 高さ1.1m程度)の場合、製品代と工事費を合わせて1箇所あたりおよそ5万円から10万円程度が目安となります。掃き出し窓のような大きな窓になると、10万円以上かかることも珍しくありません。
費用はかかりますが、プロに依頼するメリットは大きいものです。ミリ単位での正確な採寸と施工により、製品が持つ断熱・防音性能を最大限に引き出すことができます。また、製品保証やアフターサービスが受けられる安心感もあります。
活用できる補助金制度
近年、国は住宅の省エネ化を推進するため、高断熱窓へのリフォームに対して手厚い補助金制度を実施しています。DIYは対象外となりますが、業者に依頼して一定の基準を満たす製品を設置する場合、費用の大部分が補助金でカバーされるケースもあります。
2024年時点では、「住宅省エネ2024キャンペーン」という大規模な補助金事業が展開されており、その中核の一つに「先進的窓リノベ2024事業」があります。この制度では、断熱性能が特に高い窓への交換や内窓の設置に対して、工事費用の最大50%相当、上限200万円までが補助されます。
補助金の対象となる製品や条件は細かく定められていますが、多くの大手メーカーの内窓製品が対象となっています。自分でDIYする手間や効果の不確実性を考慮すると、補助金制度を最大限に活用してプロに依頼する方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなる可能性も十分に考えられます。
リフォームを検討する際は、まず複数のリフォーム会社に見積もりを依頼し、補助金制度の活用について相談してみることを強くおすすめします。
まとめ:二重窓のDIYは100均から始めよう
この記事では、100均グッズなどを活用した二重窓のDIYについて、基本的な知識から具体的な方法、注意点までを解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。
- 二重窓DIYは費用を大幅に抑えられる断熱・防音対策
- プラダンは安価で加工しやすく高い断熱効果を持つ
- 防音性をより重視するならポリカーボネートが有効
- 二重窓は2つの窓で空気層を作るもの、2重サッシは1つの窓に複層ガラスが入ったもの
- 開閉や掃除の手間が増えることが二重窓の主な欠点
- プラダン本体はホームセンター、レールなどの部材は100均の応用で探すのが賢い
- 配線モールや隙間テープ2本使いで簡易レールが作れる
- DIYで最も重要なのはミリ単位での正確な採寸
- 採寸ミスや施工不良による隙間は効果を激減させる
- はめ殺し窓はDIY初心者でも気密性を確保しやすくおすすめ
- 掃き出し窓のDIYは難易度が上がるため専用レールキットの活用を推奨
- 二重窓で防げるのは話し声などの空気伝播音
- 地面の振動などの固体伝播音への効果は限定的
- プロに依頼する場合の費用は1箇所5万円からが目安
- 国の補助金制度を使えば高性能な窓リフォームが非常にお得になる場合がある