古い出窓の結露や、夏は暑く冬は寒いといった悩みを抱えていませんか。断熱性の向上や防音対策として有効なのが、出窓を二重窓(内窓)にするリフォームです。しかし、実際に検討するとなると、やはり気になるのはその費用相場ではないでしょうか。
この記事では、出窓の二重窓化にかかる費用について、具体的なメリットやデメリットと共に詳しく解説します。
出窓はどんな種類があるのか、自分で設置できるDIY向けの二重窓キットは存在するのか、また古い出窓リフォームで活用できる補助金や内窓の補助金制度はどのようなものか、といった基本的な疑問にお答えします。
さらに、室内の印象を左右するインテリアやカーテンとの上手な合わせ方まで、出窓の二重窓リフォームに関するあらゆる情報を網羅的にご紹介します。
ポイント
- 出窓を二重窓にするメリットとデメリット
- ガラスの種類やサイズ別の具体的な費用相場
- リフォーム費用を抑える補助金制度の活用法
- DIYの可否と専門業者に依頼する際の注意点
目次
出窓の二重窓リフォーム費用を考える前の基礎知識
出窓の二重窓(内窓)リフォームを検討する前に、まずは知っておきたい基本的な知識があります。ご自宅の出窓の形状から、二重窓にすることで得られる効果、そして知っておくべき注意点まで、一つずつ確認していきましょう。
これらの情報を事前に把握しておくことが、後悔のないリフォーム計画の第一歩となります。
- まずは自宅の出窓はどんな種類があるか確認
- 出窓を二重窓(内窓)にするメリットは?
- 出窓を二重窓(内窓)にしたときのデメリットは?
- 出窓の二重窓でインテリアはどう変わる?
- 出窓の二重窓に合うカーテンの選び方
まずは自宅の出窓はどんな種類があるか確認
「出窓」と一括りに言っても、その形状は様々です。タイプによっては内窓の設置が難しい場合もあるため、ご自宅の出窓がどの種類に当てはまるかを知っておくことが大切です。
代表的な出窓には、正面と左右の三面で構成される「台形出窓」、半円に近い形でヨーロピアンな外観が特徴の「弓形出窓(ボウウインドウ)」、壁から斜めに突き出した「三角出窓」などがあります。この他にも、屋根部分にもガラスがある「トップライト出窓」や、奥行きが浅い「ハーフ出窓」なども見られます。
内窓を設置するには、窓枠を取り付けるためのスペースとして、一般的に7cmから8cm程度の奥行きが必要です。
もし奥行きが足りない場合でも、「ふかし枠」というオプション部材を使ってスペースを確保できることがあります。ただし、出窓のカウンター部分が結露などで劣化していると、強度が足りずに設置できない可能性も考えられます。まずは専門業者に現地調査を依頼し、設置が可能かどうかを判断してもらうのが確実です。
出窓を二重窓(内窓)にするメリットは?
出窓に内窓を設置すると、暮らしを快適にする多くのメリットが生まれます。
最大の利点は、断熱性の向上です。既存の窓と内窓の間に生まれる空気層が、外気の暑さや寒さをシャットアウトし、室温を快適に保ちます。これにより、冷暖房の効率が格段に上がり、光熱費の節約にも繋がります。
また、断熱性が高まることで、冬場の悩みの種である結露の発生を大幅に抑制できます。結露を防ぐことは、カビやダニの発生を抑え、アレルギー対策になるだけでなく、住宅の木材が腐るのを防ぐ効果も期待できます。
この他にも、二重の窓が音の出入りを遮断するため、屋外の騒音や室内からの音漏れを防ぐ「防音・遮音性」、侵入に時間がかかるため空き巣に狙われにくくなる「防犯性」、有害な紫外線をカットして家具や床の色あせを防ぐ「紫外線カット効果」など、様々な恩恵を受けられます。
出窓を二重窓(内窓)にしたときのデメリットは?
多くのメリットがある一方、出窓に内窓を設置する際にはいくつかのデメリットも認識しておく必要があります。
最も大きな点は、窓の開け閉めが二度手間になることです。換気や掃除のたびに、内窓と外窓の両方を開閉する必要があるため、少し面倒に感じられるかもしれません。
また、出窓のカウンター部分に観葉植物や小物を飾っている場合、内窓が付くことで物が置きにくくなる、あるいは置けなくなる可能性があります。内窓を開けなければカウンターに手が届かなくなるため、これまでのように気軽なディスプレイスペースとしては使いづらくなることを覚えておきましょう。
さらに、日当たりの良い南向きの出窓などでは、夏場に外窓と内窓の間の空間が高温になることがあります。熱がこもりすぎないように、夏場は外側の窓を少し開けておくなどの対策が求められる場合もあります。これらの点を理解した上で、ご自身のライフスタイルに合うかどうかを検討することが大切です。
出窓の二重窓でインテリアはどう変わる?
内窓を設置すると、部屋のインテリアにも変化が生まれます。上手に計画すれば、機能性を高めつつ、お部屋の雰囲気をより良くすることも可能です。
注意したいのは、圧迫感です。特に、すりガラスや型板ガラスを選ぶと、視線が遮られて部屋が狭く感じられることがあります。出窓の開放感を活かしたい場合は、できるだけ透明度の高いガラスを選ぶのがおすすめです。
また、内窓のサッシ(窓枠)の色選びも重要なポイントになります。壁紙や床の色、既存の窓枠の色と合わせることで、後から付けたとは思えないほど自然に空間に馴染ませることができます。逆に、あえてアクセントになるような色を選んで、インテリアの主役にすることも考えられます。多くのメーカーが豊富なカラーバリエーションを用意しているため、お部屋のテイストに合わせて選んでみましょう。
出窓の二重窓に合うカーテンの選び方
内窓を設置した場合、カーテンの取り付け方も変わってきます。主な取り付け方には、二つのパターンが考えられます。
一つ目は、内窓のさらに内側、つまり部屋側の壁面にカーテンレールを取り付ける方法です。これは最も一般的な方法で、これまでと同じようにカーテンを開閉できます。断熱効果や遮光性をさらに高めたい場合は、窓全体を覆えるこの方法が適しています。
二つ目は、新設した内窓の木枠の内側にカーテンを取り付ける方法です。カフェカーテンやブラインド、ロールスクリーンなどを設置すれば、窓まわりがすっきりとした印象になります。ただし、この方法では内窓を開閉する際にカーテンやブラインドが干渉することがあるため、使い勝手を考慮して選ぶ必要があります。インテリアとしての見た目と、日々の使いやすさの両方を考えて、最適なスタイルを選択しましょう。
出窓の二重窓リフォーム費用と具体的な方法
出窓の二重窓リフォームのメリットや注意点を理解したところで、次はいよいよ具体的な費用や工事の方法について見ていきましょう。
ここでは、気になる費用相場から、専門業者に依頼する場合の流れ、費用を賢く抑えるための補助金制度、そしてDIYで設置する場合の可能性と注意点まで、実践的な情報を詳しく解説します。
- 気になる出窓の二重窓の費用相場
- 専門業者による出窓の二重窓リフォーム
- 古い出窓リフォームで確認すべきポイント
- 出窓リフォームで活用できる補助金とは
- 費用を抑える出窓の二重窓DIY
気になる出窓の二重窓の費用相場
出窓に内窓を設置する際の費用は、窓のサイズと選ぶガラスの種類によって大きく変動します。以下に、一般的な費用相場の目安をまとめました。実際の価格は製品や施工業者によって異なりますので、正確な金額は必ず見積もりで確認してください。
窓のサイズ(目安) | ガラスの種類 | 製品代の目安 | 工事費の目安 | 合計費用の目安 |
小窓 (幅~120cm, 高さ~90cm) | 単板ガラス | 25,000円~ | 25,000円~ | 50,000円~ |
複層ガラス | 35,000円~ | 25,000円~ | 60,000円~ | |
Low-E複層ガラス | 45,000円~ | 25,000円~ | 70,000円~ | |
腰高窓 (幅~180cm, 高さ~120cm) | 単板ガラス | 35,000円~ | 30,000円~ | 65,000円~ |
複層ガラス | 50,000円~ | 30,000円~ | 80,000円~ | |
Low-E複層ガラス | 65,000円~ | 30,000円~ | 95,000円~ | |
掃き出し窓 (幅~180cm, 高さ~200cm) | 単板ガラス | 50,000円~ | 35,000円~ | 85,000円~ |
複層ガラス | 70,000円~ | 35,000円~ | 105,000円~ | |
Low-E複層ガラス | 90,000円~ | 35,000円~ | 125,000円~ |
ガラスの種類については、最も安価なのが「単板ガラス」ですが、断熱性を高めるなら、2枚のガラスで空気層を挟んだ「複層ガラス(ペアガラス)」がおすすめです。
さらに高い断熱・遮熱性能を求めるなら、特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」が最適です。目的と予算に合わせて選びましょう。
専門業者による出窓の二重窓リフォーム
内窓の設置は、専門のリフォーム業者に依頼するのが最も確実で安心です。業者に依頼した場合、一般的に以下のような流れで進みます。
- 問い合わせ・相談: まずはウェブサイトや電話でリフォーム業者に連絡し、出窓の状態や要望を伝えます。
- 現地調査・採寸: 業者が自宅を訪問し、出窓の正確なサイズを測り、設置箇所の状態(カウンターの強度など)を確認します。
- 見積もり・プラン提案: 現地調査の結果を基に、最適な製品プランと詳細な見積もりが提示されます。
- 契約: 見積もり内容に納得できたら、契約を結びます。
- 施工: 約束の日時に職人が訪問し、取り付け工事を行います。工事は1箇所あたり1~2時間程度で完了することが多く、比較的短時間で済みます。
業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が基本です。料金だけでなく、担当者の対応や提案内容、過去の施工実績などを比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。
古い出窓リフォームで確認すべきポイント
築年数が経過した家の場合、出窓リフォームの際には特に注意したいポイントがあります。
最も重要なのは、前述の通り、出窓カウンターの劣化状態です。長年の結露や雨水の侵入によって、カウンターの木材が腐食したり、シロアリの被害に遭っていたりするケースが少なくありません。表面上は問題なさそうに見えても、内部が傷んでいることがあります。手で押してみて、フカフカとした感触がある場合は要注意です。
もしカウンターの強度が不足していると、内窓の重さに耐えられず、設置ができません。この場合、内窓の設置工事に加えて、カウンターの補修や交換といった追加工事が必要になり、費用も別途発生します。現地調査の際に、業者にしっかりと状態を確認してもらうことが不可欠です。
出窓リフォームで活用できる補助金とは
出窓の二重窓化は、住宅の省エネ性能を高めるリフォームであるため、国や自治体が実施する補助金制度の対象となる場合があります。これを活用すれば、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。
先進的窓リノベ2025事業
現在、最も注目されているのが国の補助金制度「先進的窓リノベ2025事業」です。これは、断熱性能の高い窓へのリフォームに対して、工事費用の一部を補助するものです。内窓の設置も対象となっており、性能やサイズに応じて1箇所あたり数万円単位の補助が受けられます。
補助金の申請手続きは、個人で行うのではなく、事務局に登録された「登録事業者」であるリフォーム業者が代行します。そのため、補助金の利用を考えている場合は、必ず登録事業者の中から施工業者を選ぶ必要があります。制度の詳細は毎年更新されるため、検討する際は必ず最新の公式情報を確認するようにしましょう。
自治体の補助金制度
国だけでなく、お住まいの市区町村が独自に省エネリフォームに関する補助金制度を設けている場合もあります。国の制度と併用できることもあるため、リフォームを計画する際には、自治体のウェブサイトなどで情報を確認してみることをおすすめします。
費用を抑える出窓の二重窓DIY
リフォーム費用を少しでも抑えたいと考えたとき、DIYでの設置を思い浮かべる方もいるかもしれません。実際に、ホームセンターやオンラインストアでは、内窓のDIYキットが販売されています。
DIYの最大のメリットは、工事費がかからないため、総費用を安く抑えられる点です。しかし、出窓への設置は、通常の壁に付いている窓と比べて難易度が高いことを理解しておく必要があります。
出窓は形状が複雑なことが多く、正確な採寸が非常にシビアです。少しでもサイズがずれると、隙間ができてしまい、期待した断熱性や防音性が得られません。また、前述したカウンターの強度の問題もあり、知識のないまま作業を進めると、かえって住宅を傷つけてしまうリスクもあります。
これらの理由から、特に機能性を重視する出窓の二重窓化については、DIYに相当な自信がある方以外は、プロの専門業者に依頼するのが賢明な選択と言えます。
総括:出窓の二重窓の費用とリフォームのコツ
この記事では、出窓の二重窓リフォームに関する費用やメリット・デメリット、具体的な方法について解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- 出窓の二重窓は断熱性・防音性・防犯性を高める効果的なリフォーム
- 主なメリットは断熱、結露防止、省エネ、防音、防犯、紫外線カット
- デメリットは窓の開閉が二度手間になることや物が置きにくくなる点
- 費用相場は窓のサイズとガラスの種類によって5万円~15万円程度が目安
- 高い断熱性を求めるなら複層ガラスやLow-E複層ガラスがおすすめ
- 出窓には台形、弓形、三角など様々な種類がある
- 内窓設置には7cm~8cm程度の奥行きスペースが必要
- 古い出窓はカウンターの強度が不足している場合があるので注意
- カウンターが劣化している場合は補修工事が別途必要になる
- 国の「先進的窓リノベ事業」などの補助金を活用すると費用を抑えられる
- 補助金申請は登録事業者が行うため業者選びが鍵となる
- 自治体独自の補助金制度も確認する価値がある
- DIYキットも存在するが、出窓への設置は難易度が高い
- 正確な採寸や施工ができないと性能が発揮されないためプロへの依頼が推奨される
- 業者選びは複数の業者から見積もりを取る相見積もりが基本