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エアコンの霜取り運転が終わらない3つの原因と5つの対策を完全解説

2025年10月19日

冬の寒い日、頼りにしているエアコンの暖房が突然止まり、「エアコンの霜取り運転が終わらない」と困っていませんか。

霜取り運転とは何か、その必要性や仕組みを理解しないままでは、効果的な対策は難しいかもしれません。特に、霜取り運転が頻繁に起こると、部屋が暖まらずにストレスを感じることもあるでしょう。

この記事では、霜取り運転が夏に起こるのか、またパナソニック・東芝・ダイキンといった主要メーカーの霜取り運転のやり方や、ダイキンの霜取り運転が長いと言われる理由にも触れていきます。

さらに、霜取り運転を少なくする5つの対策法や、やってはいけないNG対策法、センサーとの関係、霜取り運転なしのモデルの存在まで、エアコンの霜取り運転を回避する方法を網羅的に解説します。エアコンの霜取り運転か確認する方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • エアコンの霜取り運転が終わらない、または頻繁に起こる具体的な原因
  • 自分でできる霜取り運転を減らすための効果的な対策法
  • 霜取り運転中にやってはいけない危険なNG行動
  • 主要メーカーごとの霜取り運転の特徴と賢いエアコンの選び方

エアコンの霜取り運転が終わらない原因と仕組み

エアコンの霜取り運転が終わらない原因と仕組み

  • 霜取り運転とは?必要性や仕組みを解説
  • エアコンの霜取り運転か確認する方法
  • 霜取り運転が頻繁に起こる原因とは?
  • 夏のエアコンに霜取り運転はあるの?
  • 霜取り運転が終わらないのはセンサーの異常?

霜取り運転とは?必要性や仕組みを解説

霜取り運転とは、エアコンの室外機に付着した霜を溶かすための機能です。エアコンが暖房運転を行う際、室内の熱を集めて暖かい空気を送り出すと同時に、室外機からは冷たい空気を排出しています。このとき、室外機にある「熱交換器」という部品は非常に低温になります。

外の空気中の水分が、この冷たくなった熱交換器に触れることで結露し、外気温が低い場合には霜となって付着します。熱交換器に霜が厚く付着すると、空気の通り道が塞がれてしまい、効率的に熱を交換できなくなります。これにより、暖房能力が著しく低下してしまうのです。

この問題を解決するために、エアコンは一時的に暖房運転を停止し、冷房運転に近い状態に切り替えて室外機の熱交換器を暖め、付着した霜を溶かします。これが霜取り運転の仕組みであり、暖房能力を維持するためには不可欠な機能です。

エアコンの霜取り運転か確認する方法

暖房が急に止まると「故障かな?」と不安になるかもしれませんが、以下の3つのサインが見られれば、それは霜取り運転中である可能性が高いです。

運転ランプの点滅

多くのエアコンでは、霜取り運転中に室内機の運転ランプが点滅します。通常は緑色に点灯しているランプが、チカチカと点滅を始めたら霜取り運転のサインです。メーカーや機種によって点滅するランプの種類が異なる場合があるため、取扱説明書で確認するとより確実です。

エアコンからの特有の音

霜取り運転中は、エアコン内部で冷媒ガスの流れる向きが変わるため、「プシュー」「ポコポコ」「シャー」といった普段とは違う音がすることがあります。これは冷媒が流動する音であり、異常ではありません。運転が再開すれば音は自然に止まります。

5分から15分程度で暖房が再開する

霜取り運転にかかる時間は、外気温や霜の量によって異なりますが、一般的には5分から長くても15分程度で終了します。この時間内に暖房運転が自動的に再開されるようであれば、霜取り運転だったと考えてよいでしょう。もし20分以上経っても運転が再開しない、または異臭や異常な振動がある場合は、他の原因や故障の可能性も考えられます。

霜取り運転が頻繁に起こる原因とは?

霜取り運転が必要以上に頻繁に起こる場合、いくつかの原因が考えられます。主な原因を理解し、ご自宅の状況と照らし合わせてみましょう。

外気温と湿度の影響

霜取り運転は、外気温が5℃以下で、かつ湿度が高い環境で特に発生しやすくなります。一般的に、外気温が5℃から-7℃程度で湿度が高い状態が、最も霜が付きやすい条件とされています。意外かもしれませんが、-10℃を下回るような極端に寒い地域では、空気が乾燥しているため、逆に霜が付きにくくなり、霜取り運転の頻度が減る傾向にあります。

室外機周りの環境

室外機の周りの空気の流れが悪いと、熱交換の効率が低下し、熱交換器がより冷えやすくなるため霜が付きやすくなります。例えば、室外機の吸い込み口や吹き出し口の前に物を置いていたり、雑草が生い茂っていたりすると、空気の循環が妨げられます。また、降雪時に室外機が雪で覆われてしまうことも、同様に空気の流れを悪化させ、霜取り運転が頻繁になる原因となります。

暖房の設定温度

暖房の設定温度を高く設定している場合も、霜取り運転が頻発する一因です。設定温度が高いほど、エアコンはより多くの熱を室内に送ろうとし、その分、室外機の熱交換器はより低温になります。熱交換器の温度が低ければ低いほど霜は付きやすくなるため、結果として霜取り運転の回数が増加してしまうのです。

夏のエアコンに霜取り運転はあるの?

夏のエアコン利用時に、霜取り運転が行われることは基本的にありません。

霜取り運転は、暖房使用時に室外機の熱交換器が低温になることで発生する霜を溶かすための機能です。一方、冷房運転中は、室外機から温風を排出するため、熱交換器は高温になります。したがって、室外機に霜が付着する条件自体が成立しないのです。

ただし、冷房運転中に室内機側で異常な凍結(霜付き)が発生することは稀にあります。これは、冷媒ガスの不足やフィルターの極端な目詰まりなどが原因で起こる故障のサインであり、正常な霜取り運転とは全く異なる現象です。もし夏場に室内機から水漏れがしたり、異常な凍結が見られたりした場合は、専門業者による点検を依頼することをおすすめします。

霜取り運転が終わらないのはセンサーの異常?

通常5分から15分程度で終わるはずの霜取り運転が、それ以上に長く続く、あるいは終わらないように感じる場合、センサーの不具合が原因である可能性も考えられます。

エアコンの室外機には、熱交換器の温度を検知する「温度センサー(サーミスタ)」が搭載されています。このセンサーが霜の付着や融解状態を判断し、霜取り運転を開始・終了させるタイミングを制御しています。

この温度センサーが故障したり、ホコリや汚れで正常に機能しなくなったりすると、霜が完全に溶けているにもかかわらず、霜取り運転を終了できない、あるいは不必要なタイミングで霜取り運転を開始してしまうことがあります。

もし、室外機周りの環境を整え、設定温度を見直しても霜取り運転の状況が改善されない場合は、センサーの異常も疑われます。この場合、個人での修理は困難なため、購入した販売店や専門の修理業者に点検を依頼するのが賢明です。

エアコンの霜取り運転が終わらない時の正しい対策

エアコンの霜取り運転が終わらない時の正しい対策

  • 霜取り運転を少なくする5つの対策法
  • やってはいけない霜取り運転のNG対策法
  • 霜取り運転なしのエアコンも存在する
  • ダイキンなどメーカーごとの霜取り運転の特徴

霜取り運転を少なくする5つの対策法

霜取り運転の頻度を減らし、冬でも快適に暖房を使い続けるためには、ご家庭でできるいくつかの対策があります。ここでは、効果的な5つの方法を紹介します。

  1. 暖房の設定温度を少し下げる前述の通り、暖房の設定温度が高いほど室外機の熱交換器は冷えやすくなり、霜が付きやすくなります。設定温度を1℃か2℃下げるだけでも、熱交換器の温度低下を緩和し、霜の付着を抑制する効果が期待できます。厚着をする、ひざ掛けを使うなど、他の防寒対策と組み合わせることで、快適性を保ちながら霜取り運転の頻度を減らすことが可能です。
  2. 室外機の周辺を整理し、空気の流れを確保する室外機の吸い込み口や吹き出し口の周りに物が置かれていると、空気の循環が妨げられます。室外機から最低でも前後20cm、左右10cmのスペースを確保し、植木鉢や自転車などを置かないようにしましょう。また、室外機の裏側にあるフィン(熱交換器)にホコリや落ち葉が詰まっている場合は、シーズン前に掃除しておくことも効果的です。
  3. 室外機の雪対策を行う降雪地域では、室外機が雪に埋もれないように対策することが大切です。室外機を地面から高い位置に設置するための「高置台」を設置したり、屋根からの落雪を防ぐ「防雪屋根」や、雪の吸い込みを防ぐ「防雪フード」を取り付けたりする方法があります。また、こまめに室外機周りの除雪を行い、空気の通り道を確保することも忘れないようにしましょう。
  4. 室外機の日当たりを考慮するもし可能であれば、室外機を日当たりの良い場所に設置するのも有効な対策です。冬場の太陽光でも、室外機本体や熱交換器に付着した霜を自然に溶かす助けとなり、霜取り運転の負担を軽減できます。ただし、夏場は直射日光が冷房効率を低下させる原因になるため、すだれなどで日よけを作る工夫が必要になる場合があります。
  5. 寒冷地仕様のエアコンに買い替える現在使用しているエアコンが標準モデルの場合、思い切って寒冷地仕様のエアコンに買い替えるのが最も根本的な解決策です。寒冷地仕様のエアコンは、外気温がマイナスになっても高い暖房能力を維持できるように設計されており、強力な霜取り機能や凍結防止ヒーターが搭載されています。霜取り運転の頻度や時間も大幅に改善されているため、寒さの厳しい地域では特にその効果を実感できるでしょう。

やってはいけない霜取り運転のNG対策法

霜取り運転を早く終わらせたい一心で、誤った対処をしてしまうと、エアコンの故障や思わぬ事故につながる危険性があります。特に以下の2つの方法は絶対に行わないでください。

NG対策法1:室外機に熱湯をかける

凍った室外機に熱湯をかけると、急激な温度変化によって熱交換器のフィンやプラスチック部品が変形・破損する恐れがあります。また、かけたお湯がすぐに冷えて再び凍りつき、かえって状況を悪化させることにもなりかねません。重大な故障の原因となるため、絶対にやめましょう。もし霜や氷を溶かしたい場合は、人肌程度のぬるま湯を少しずつかけるようにしてください。

NG対策法2:霜取りスプレーを使用する

自動車のフロントガラスなどに使う霜取りスプレーを、エアコンの室外機に使用するのも危険です。これらのスプレーには可燃性のガスが含まれていることが多く、エアコン内部の電気部品の近くで使用すると、火花が引火して火災につながる可能性があります。エアコンの室外機への使用は想定されておらず、メーカーも禁止しています。

霜取り運転なしのエアコンも存在する

厳密には「霜取り運転が不要」なわけではありませんが、「霜取り運転中も暖房が止まらない」という画期的な機能を搭載したエアコンが存在します。これらは主に寒冷地仕様のハイエンドモデルに見られます。

代表的なのが、三菱電機の「ズバ暖霧ヶ峰」シリーズに搭載されている「ノンストップ暖房」です。この技術では、室外機の熱交換器を上下2つに分け、片方が暖房運転を続けている間にもう片方が霜取りを行うという仕組みを採用しています。霜取りと暖房を交互に繰り返すことで、室内の温度が下がるのを防ぎ、連続で暖かい空気を送り続けることが可能です。

常に快適な室温を維持したい、霜取り運転による寒さを絶対に避けたいという場合には、このような機能を搭載したモデルを選ぶのが最適な選択肢となります。

ダイキンなどメーカーごとの霜取り運転の特徴

エアコンの霜取り運転の制御方法は、メーカーや機種によって特徴があります。ここでは、主要な3社の傾向を比較してみましょう。

メーカー 霜取り運転の特徴 メリット デメリット・注意点
ダイキン 運転データから霜の付き具合を予測し、必要最小限の霜取りを行う「スマート予熱制御」を搭載。霜取り運転の時間が比較的長い傾向があるが、一度でしっかりと霜を溶かしきる。 霜取りの頻度を抑え、トータルの暖房停止時間を短縮するよう設計されている。 一回の霜取り運転が長く感じられることがある。「ダイキン 霜取り運転 長い」と感じる一因。
パナソニック 室外機に蓄積された熱を再利用して霜取りを行う「エネチャージシステム」を搭載したモデルがある。 霜取り運転中も暖房を止めずに、室温の低下を最小限に抑えることができる。 エネチャージシステムは上位モデルにのみ搭載されている。
東芝 外気温や室外機の状況を細かく検知し、最適なタイミングと時間で霜取り運転を実行するよう設計されている。 バランスの取れた制御で、無駄な霜取り運転を減らし、快適性と省エネ性を両立している。 モデルによって制御の細かさに差がある場合がある。

ダイキンエアコンの霜取り運転のやり方としては、基本的にエアコンが自動で判断して行いますが、上記のような制御により、他のメーカーと比べて一回あたりの運転時間が長く感じられることがあります。しかし、これは効率を考えた上での設計思想であり、一概に欠点とは言えません。ご自身の住環境や寒さの感じ方に合わせて、各メーカーの特徴を比較検討することが大切です。

エアコンの霜取り運転が終わらない問題の注意点:総まとめ

この記事で解説した「エアコンの霜取り運転が終わらない」問題に関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • 霜取り運転は室外機の霜を溶かし暖房能力を維持する正常な機能
  • 運転ランプの点滅や特有の音、5分から15分程度の暖房停止で確認できる
  • 頻繁な霜取りは外気温5℃以下で湿度が高い場合に起こりやすい
  • 室外機周りの空気の流れの悪化や高い暖房設定温度も原因となる
  • 夏の冷房運転中に霜取り運転は基本的に発生しない
  • 長時間終わらない場合はセンサーの異常も考えられる
  • 対策として暖房の設定温度を少し下げることが有効
  • 室外機の周りを整理し空気の流れを確保する
  • 積雪地域では防雪フードや高置台などの雪対策が効果的
  • 室外機に熱湯をかけたり霜取りスプレーを使ったりするのは絶対にNG
  • 一部の寒冷地仕様エアコンには暖房が止まらないモデルもある
  • ダイキンの霜取りは一度でしっかり溶かすため長く感じることがある
  • パナソニックの上位モデルは霜取り中も暖房が止まらない機能を持つ
  • 東芝はバランスの取れた効率的な霜取り運転が特徴
  • 根本的な解決には寒冷地仕様エアコンへの買い替えが最も効果的
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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