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エアコンの穴あけ工事はどこに頼む?費用と業者の選び方

2025年9月26日

エアコンの新規設置や移設の際に必ず浮上するのが、「エアコンの穴あけ工事はどこに頼むべきか」という問題です。

壁に穴を開けるという作業だけに、失敗や後悔は避けたいもの。賃貸マンションや戸建て住宅といった状況による違いや、ハウスメーカー、家電量販店など依頼先ごとの特徴も気になるところです。

また、工事費用が一体いくらかかるのか、目安や相場を知りたい方も多いでしょう。中には、穴あけ工事のみを最安値で依頼したい、あるいはDIYは可能なのかと考えているかもしれません。しかし、穴あけ工事には専門的な知識と技術が必要で、安易な業者選びや自作はトラブルの原因となります。

この記事では、エアコン取り付け業者の特徴を比較し、優良な業者の見分け方・見極め方を解説します。さらに、穴あけ工事をせずにエアコンを取り付ける方法や、交換時に補助金を活用してお得に設置する選択肢まで、あなたの疑問に網羅的にお答えします。

ポイント

  • エアコンの穴あけ工事を自分で行うことのリスク
  • 家電量販店や専門業者など依頼先ごとのメリット・デメリット
  • 壁の種類ごとに異なる工事費用の具体的な相場
  • 信頼できる優良な業者を見極めるためのチェックポイント

エアコン穴あけ工事はどこに頼む?依頼前の基礎知識や失敗事例

エアコン穴あけ工事はどこに頼む?依頼前の基礎知識や失敗事例

  • なぜDIYはおすすめできないのか
  • 実際の失敗談や後悔事例
  • 賃貸・戸建て・マンション別の注意点
  • 依頼先・業者の特徴や違いを比較
  • 穴あけ工事をせずにエアコンを取り付ける方法

なぜDIYはおすすめできないのか

結論から言うと、エアコンの配管穴を自分で開けるDIYはおすすめできません。費用を節約したいという気持ちは分かりますが、リスクが非常に大きいからです。

最大の理由は、建物の構造体を損傷させてしまう危険性があることです。壁の内部には、建物の耐震性を支える柱や筋交い(すじかい)、あるいは電気配線や水道管が通っている場合があります。これらの位置を正確に把握せずに穴を開けてしまうと、家の強度を著しく低下させたり、断線や漏水といった二次的な被害を引き起こしたりする可能性があります。

また、穴あけにはコンクリートにも対応できるハンマードリルやコアドリルといった専門的な工具が必要です。これらの工具は高価である上に、扱いには技術が求められます。不適切な工具を使用したり、作業に慣れていなかったりすると、壁にひび割れが生じたり、穴が大きくなりすぎたりして、きれいに仕上げることが難しくなります。

実際の失敗談や後悔事例

業者選びの失敗や安易なDIYによって、エアコンの穴あけ工事で後悔するケースは少なくありません。ここでは、よくある失敗談をいくつかご紹介します。

一つ目は、建物の重要な柱や筋交いを傷つけてしまった事例です。壁裏センサーなどを使って確認したつもりでも、誤って構造体を貫通してしまい、建物の耐震性に不安を抱えることになったというケースです。修繕には大規模な工事が必要となり、結果的に業者に依頼するよりはるかに高い費用がかかってしまいます。

二つ目は、水漏れや害虫の侵入です。穴と配管の隙間を埋めるパテ処理が不十分だと、そこから雨水が浸入し、壁内部の腐食やカビの原因となります。また、隙間がゴキブリなどの害虫の侵入経路になってしまったという話もよく聞かれます。

最後に、気密性や断熱性の低下です。特に高気密・高断熱住宅において、不適切な穴あけ工事を行うと、家の性能を大きく損なってしまいます。隙間風が入るようになり、エアコンの効率が落ちて電気代が余計にかかるようになってしまったという後悔事例もあります。

賃貸・戸建て・マンション別の注意点

エアコンの穴あけ工事を行う際の注意点は、お住まいの建物の種類によって異なります。

賃貸物件(アパート・マンション)の場合

最も重要なのは、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得ることです。許可なく壁に穴を開ける行為は契約違反にあたり、退去時に高額な原状回復費用を請求される可能性があります。エアコンが生活必需品であることから、交渉次第では大家さん負担で設置してくれるケースもあるため、まずは相談してみましょう。

戸建て住宅の場合

持ち家の場合は誰かの許可は不要ですが、その分すべての責任を自分で負うことになります。前述の通り、建物の構造を損なわないよう、穴を開ける位置は慎重に決定しなければなりません。新築時にハウスメーカーに依頼して、設計段階で穴の位置を決めてもらうのが最も安全で確実です。

分譲マンションの場合

分譲マンションでは、壁は個人の所有物(専有部分)ではなく、建物全体の共有部分と見なされることが一般的です。そのため、穴あけ工事を行うには、管理組合の許可が必須となります。規約で穴あけが禁止されている場合もあるため、必ず管理規約を確認し、定められた手順に沿って申請を行いましょう。

依頼先・業者の特徴や違いを比較

エアコンの穴あけ工事を依頼できる業者はいくつかあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。どこに頼むべきか判断するために、各業者の特徴を比較してみましょう。

依頼先 メリット デメリット・注意点 費用相場(穴あけのみ)
エアコン工事専門業者 高い技術力と専門知識。費用が比較的安い傾向。 業者によって技術力に差がある。 3,000円~
家電量販店 エアコン購入と同時に依頼でき、手続きが楽。長期保証が付けられる。 工事は下請け業者が行うため、担当者を選べない。繁忙期は混み合う。 5,000円~
ハウスメーカー 建物の構造を熟知しており、最も安心。仕上がりが綺麗。 費用が最も高額になる傾向。新築時以外の依頼は対応が難しい場合がある。 10,000円~
引っ越し業者 引っ越しと同時にエアコン移設を依頼でき、手間が省ける。 専門性は高くない。下請け業者が作業するため品質が不透明。 5,000円~

このように、何を重視するかによって最適な依頼先は変わります。技術力とコストパフォーマンスを求めるなら専門業者、手軽さや保証を重視するなら家電量販店、新築時で絶対的な安心感を求めるならハウスメーカーが一つの目安となります。

穴あけ工事をせずにエアコンを取り付ける方法

建物の構造や賃貸契約の都合上、どうしても壁に穴を開けられないケースもあります。そのような場合には、代替案として以下の二つの方法が考えられます。

窓用エアコンの設置

窓用エアコンは、室外機と室内機が一体になったタイプのエアコンで、窓枠にはめ込んで設置します。壁に穴を開ける必要がなく、取り付けも比較的簡単なのが最大のメリットです。ただし、壁掛けタイプに比べて運転音が大きい、対応できる部屋の広さが限られる、窓の施錠が不十分になるため防犯対策が別途必要になる、といったデメリットも存在します。

窓パネルの利用

窓パネルは、配管を通すための穴が開いた専用のパネルを窓サッシにはめ込み、そこから配管を屋外に出す方法です。この方法であれば、一般的な壁掛けエアコンを設置できます。しかし、窓用エアコンと同様に、窓を完全に閉められなくなるため、防犯面や気密性に課題が残ります。補助錠を取り付けるなどの対策が不可欠です。

エアコンの穴あけ工事はどこに頼む?業者選びと費用や相場

エアコンの穴あけ工事はどこに頼む?業者選びと費用や相場

  • ハウスメーカーや家電量販店の特徴
  • 専門のエアコン取り付け業者の特徴について
  • 穴あけ工事のみを依頼する場合の注意点
  • 工事費用の目安相場と最安値の探し方
  • 補助金活用と優良業者の見分け方

ハウスメーカーや家電量販店の特徴

前述の通り、ハウスメーカーと家電量販店は、エアコン穴あけ工事の主要な依頼先です。それぞれの特徴をさらに詳しく見ていきましょう。

ハウスメーカー

新築やリフォームの際に依頼する場合、ハウスメーカーは最も信頼できる選択肢の一つです。建物の設計図を元に、構造体に影響のない最適な位置へ穴あけを行ってくれます。気密処理や防水処理も建物の仕様に合わせて完璧に行われるため、施工品質は非常に高いと言えます。ただし、その分費用は高額になりがちで、既存の住宅に穴あけだけを単体で依頼するのは難しい場合があります。

家電量販店

エアコンを購入する際に、取り付けとセットで穴あけ工事を依頼できる手軽さが最大の魅力です。ポイント還元や独自の長期保証サービスが利用できる点もメリットです。しかし、実際の工事は提携している下請け業者が行うため、作業員の技術力にばらつきがある点は否めません。繁忙期には予約が数週間先になることもあり、急いで設置したい場合には不向きなことがあります。

専門のエアコン取り付け業者の特徴について

エアコン工事専門業者は、その名の通りエアコンの設置を専門に行うプロフェッショナルです。家電量販店などからの下請けを主に行う業者から、直接顧客からの依頼を受ける独立系の業者まで様々です。

最大のメリットは、高い専門性と技術力です。様々な現場を経験しているため、建物の構造や壁の材質に応じた適切な施工方法を熟知しています。また、家電量販店のような中間マージンが発生しないため、同等の工事内容でも比較的安価に依頼できる傾向があります。

一方で、業者によって技術レベルやサービスの質に差があるため、信頼できる業者を自分で見極める必要があります。ホームページの施工実績を確認したり、口コミを参考にしたりして、慎重に選ぶことが大切です。

穴あけ工事のみを依頼する場合の注意点

エアコン本体は自分で用意し、「穴あけ工事だけ」を業者に依頼したいと考える方もいるかもしれません。このような依頼に対応してくれる専門業者も存在します。

ただし、注意点として、多くの業者は「エアコン取り付け工事」の一環として穴あけ作業を行っているため、穴あけ単体の依頼は割高になる可能性があります。また、万が一、その後のエアコン設置でトラブルが発生した場合、責任の所在が穴あけ業者と設置業者とで曖昧になりやすいというリスクも考えられます。

もし可能であれば、穴あけからエアコンの設置までを一貫して同じ業者に依頼する方が、費用面でも保証の面でも安心できるでしょう。

工事費用の目安相場と最安値の探し方

エアコンの穴あけ工事の費用は、壁の材質によって大きく異なります。これは、材質ごとに使用する工具や施工の難易度が変わるためです。以下に、壁材ごとの費用相場をまとめました。

壁の材質 穴あけ費用(1か所あたり) 特徴
木造・モルタル 3,000円 ~ 5,000円 最も一般的な壁材で、追加料金なしの標準工事に含まれることが多い。
ALC(軽量気泡コンクリート) 5,000円 ~ 8,000円 専用のドリルが必要になるため、追加費用がかかる。
タイル・レンガ 6,000円 ~ 10,000円 割れやすいため、慎重な作業が求められ、費用も高くなる。
コンクリート 10,000円 ~ 20,000円 最も硬く、ダイヤモンドコアドリルという大掛かりな工具が必要。

最安値で依頼したい場合、複数のエアコン工事専門業者から見積もりを取る「相見積もり」が最も有効な方法です。

ただし、単に価格の安さだけで選ぶのは危険です。極端に安い業者は、必要な工程を省いたり、雑な作業をしたりする可能性があります。見積もりの内訳をしっかりと確認し、価格とサービス内容のバランスが取れた業者を選ぶことが大切です。

補助金活用と優良業者の見分け方

エアコンの穴あけ工事は、多くの場合、新しいエアコンを設置するタイミングで行われます。もし古いエアコンからの「交換」であれば、省エネ性能の高い機種を選ぶことで、国や自治体の補助金を活用できる可能性があります。

補助金は、エアコン本体の購入と設置工事にかかる費用の一部を補助するもので、穴あけ工事費そのものが対象になるわけではありません。しかし、トータルの出費を抑える上で非常に有効な手段です。補助金制度は年度ごとに内容が変わり、予算が上限に達し次第終了となるため、常に最新の情報を確認することが不可欠です。

安心して工事を任せられる優良な業者を見分けるには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 明確な見積もり: 工事内容の内訳が詳細に記載されているか。
  • 資格の有無: 「第二種電気工事士」などの必要な資格を保有しているか。
  • 工事保証: 施工後のトラブルに対する保証制度があるか。
  • 豊富な実績: ホームページなどで具体的な施工事例を公開しているか。
  • 損害賠償保険への加入: 万が一の物損事故に備えているか。

これらの点を踏まえ、丁寧な対応をしてくれる信頼できる業者を選びましょう。

まとめ:エアコン穴あけ工事はどこに頼むべきか

この記事で解説した、エアコンの穴あけ工事に関する要点を最後に箇条書きでまとめます。

  • エアコンの穴あけ工事は建物の構造を傷つけるリスクがあるためDIYは避ける
  • 依頼前に必ず大家や管理組合の許可を取ることが不可欠
  • 依頼先は「専門業者」「家電量販店」「ハウスメーカー」などが主
  • 技術力と価格のバランスを求めるならエアコン工事専門業者がおすすめ
  • 手軽さや購入と同時に済ませたいなら家電量販店が便利
  • 新築時など絶対的な安心感を求めるならハウスメーカーが良い
  • 工事費用は壁の材質によって大きく変動する
  • 木造は約3,000円から、コンクリートは約10,000円からが目安
  • 費用を比較するために複数の業者から見積もりを取ることが大切
  • 極端に安い業者には注意が必要
  • 優良業者は見積もりが明確で、資格や保証がしっかりしている
  • 穴を開けられない場合は窓用エアコンや窓パネルという選択肢もある
  • 省エネ性能の高いエアコンに交換する場合、補助金が利用できる可能性がある
  • 補助金制度は期間限定のため、常に最新情報を確認する
  • 最終的には価格、技術力、安心感のバランスを考えて自分に合った業者を選ぶことが鍵となる
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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