冬の寒い日、マンションの玄関から忍び寄る冷気に悩まされていませんか。暖房をつけても玄関周りだけがひんやりとし、光熱費がかさむ原因にもなります。この記事では、そんなマンションの玄関ドアの防寒対策について、網羅的に解説します。
そもそも寒さ対策とは何か、玄関ドアの下の隙間はなぜできるのかといった根本的な疑問から、DIYで試せる玄関ドアの隙間テープはどこに貼るべきか、そしてその貼り方まで、具体的な手順を追ってご紹介します。
また、玄関ドアの交換をコーナンなどのホームセンターで検討する際の注意点や、本格的なリフォームで採用されるカバー工法の思わぬ欠点についても深く掘り下げます。
さらに、リフォームを考える上で最も気になる費用面にも焦点を当てます。玄関ドアリフォームの補助金はいくら受け取れるのか、国の「先進的窓リノベ事業2025」が玄関ドアも対象となる条件、そしてLIXILといったメーカー製品が補助金対象になるか(2025年時点)といった最新情報をお届けします。
加えて、「クール・ネット東京」の補助金や千葉県で探せるリフォーム補助金など、お住まいの地域で活用できる制度についても触れていきます。この記事を読めば、あなたのマンションに最適な防寒対策が見つかるはずです。
- DIYで今すぐできる手軽な防寒対策の方法
- 玄関ドアの寒さの根本的な原因と本格的なリフォーム手法
- 玄関ドア交換で利用できる国や自治体の補助金制度
- リフォームを検討する上で知っておくべきメリットと注意点
目次
マンション玄関ドアの防寒の基礎を知り手軽に対策
- 玄関の寒さ対策とは?
- 玄関ドア下の隙間はなぜできるのか解説
- 隙間テープどこに貼る?正しい貼り方も紹介
- 玄関ドアの交換はコーナンでできるのか
- 玄関ドアカバー工法の知っておきたい欠点
そもそも玄関の寒さ対策とは?
玄関の寒さ対策とは、単に暖房器具を置くことではありません。主な目的は、外からの冷たい空気の侵入を防ぎ、同時に室内の暖かい空気を外へ逃がさないようにすることです。この「断熱」と「気密」の2つの性能を高めることが、効果的な寒さ対策の鍵となります。
なぜなら、マンションの玄関は住居の中で最も外気に直接触れる面積が大きい開口部の一つであり、熱の出入りが激しい場所だからです。特に、多くの玄関ドアに採用されているアルミなどの金属素材は熱を伝えやすく、冬場は外の冷たさをそのまま室内に伝えてしまいます。この現象を「熱伝導」と言います。
具体的な対策としては、まず気密性を高めるためにドアとドア枠の間に生じた隙間を塞ぐことが考えられます。次に、断熱性を向上させるためにドア自体に断熱シートを貼ったり、より根本的な解決策として断熱性能の高いドアに交換したりする方法があります。これらの対策を組み合わせることで、玄関周りの温度環境は大きく改善され、住まい全体の快適性向上と光熱費の節約につながるのです。
玄関ドアの下に隙間はなぜできるのか
玄関ドアの下に隙間ができてしまう主な原因は、経年劣化と建物のわずかな歪みにあります。新築の時点ではぴったりと閉まっていたドアも、長年の使用によって少しずつ変化していきます。
特に考えられるのが、ドアと床の隙間を塞いでいるゴム製のパッキン(ドア下部の掃き出し部分など)の劣化です。ゴムは時間とともに弾力性を失い、硬化したり摩耗したりします。これにより、本来の密閉性能が失われ、隙間風が入り込む原因となるのです。
また、マンションの建物自体も、時間の経過と共にわずかな歪みや沈みが生じることがあります。この建物の動きによってドア枠が変形し、ドア本体との間にズレが生じて隙間が生まれるケースも少なくありません。さらに、ドアの上部に取り付けられているドアクローザーの油圧が弱まると、ドアが最後までしっかりと閉まりきらずに隙間が残ってしまうこともあります。
冷たい空気は暖かい空気より重く、下方に溜まる性質があるため、特にドア下の隙間は室温を大きく下げる要因となります。したがって、この隙間の原因を理解し、適切に対処することが玄関の防寒対策において非常に大切です。
隙間テープどこに貼る?正しい貼り方も紹介
玄関ドアの隙間風対策として最も手軽なのが隙間テープの活用ですが、その効果を最大限に引き出すには正しい場所に正しく貼ることが不可欠です。結論から言うと、隙間テープはドア本体ではなく、ドア枠の「戸当たり」部分、つまりドアを閉めたときにドアの表面が接する部分に貼るのが基本です。
こうすることで、ドアが閉まる力でテープが適度に圧縮され、隙間を確実に塞ぐことができます。ドア本体の側面に貼ってしまうと、開閉のたびに擦れて剥がれやすくなるため、おすすめできません。
正しい貼り方の手順
- 貼る場所の清掃:まず、テープを貼るドア枠の戸当たり部分を固く絞った雑巾などで拭き、ホコリや油分、水分を完全に取り除きます。汚れが残っているとテープの粘着力が弱まる原因となります。
- テープの選択:隙間の幅に合った厚みのテープを選びます。厚すぎるとドアが閉まりにくくなり、鍵がかからなくなることもあるため注意が必要です。スポンジタイプや毛のタイプ(モヘアタイプ)などがあり、耐久性や密閉性で選ぶと良いでしょう。
- 貼り付け:テープを必要な長さにカットし、裏紙を少しずつ剥がしながらドア枠の角から慎重に貼り付けていきます。一気に貼ろうとすると曲がったり空気が入ったりするため、少しずつ指で押さえながら圧着するのがコツです。ドアの下部だけでなく、上部や両側面にも貼ることで、より高い気密性が得られます。
この簡単な作業だけで、玄関から侵入する冷気を大幅に減らすことが可能です。
玄関ドアの交換はコーナンでできるのか
玄関ドアの交換を考えた際、身近なコーナンなどのホームセンターで相談できるのか気になる方も多いでしょう。多くの場合、ホームセンターではDIYで使える断熱シートや隙間テープといった防寒グッズの購入はもちろん可能ですが、ドア自体の交換については、リフォームサービスとして提携している専門業者を紹介してもらう形になります。
ホームセンターの多くはリフォーム相談カウンターを設けており、そこで要望を伝えることで、専門のスタッフが対応してくれます。具体的な流れとしては、まずカウンターで相談し、後日、提携業者が自宅を訪問して現地調査と採寸を行います。その後、見積もりが提示され、内容に納得すれば契約、施工という手順で進むのが一般的です。
ただし、ここで最も注意すべき点があります。それは、マンションの玄関ドアは「共用部分」と定められているケースがほとんどだということです。共用部分であるため、一個人の判断で勝手に交換することは管理規約で禁止されています。もし交換を希望する場合は、必ず事前にマンションの管理組合に相談し、所定の手続きを踏んで許可を得る必要があります。デザインや色にも規定がある場合が多いため、ホームセンターに相談する前に、まずは管理規約を確認することが不可欠です。
カバー工法の知っておきたい欠点
玄関ドアのリフォームで主流となっている「カバー工法」は、既存のドア枠を撤去せず、その上から新しいドア枠を被せて設置する手法です。壁や床を壊す必要がないため、工事が1日で完了し、費用も比較的抑えられるという大きなメリットがあります。しかし、この手軽な工法にも知っておくべき欠点が存在します。
最も大きな欠点は、ドアの開口部が以前よりも一回り狭くなることです。新しい枠を既存の枠の内側に設置するため、どうしても出入り口の横幅と高さがそれぞれ数センチ程度小さくなってしまいます。普段の出入りでは気にならないかもしれませんが、大きな家具や家電を搬入・搬出する際や、車椅子を利用するご家庭では、このわずかな差が問題になる可能性があります。
また、その他の注意点として、以下のような点が挙げられます。
- 段差の発生:床部分に新しい枠が乗るため、ドアの下枠(沓摺り)にわずかな段差が生じることがあります。
- 施工の可否:既存のドア枠の歪みや腐食が激しい場合、カバー工法では対応できず、壁を壊して枠ごと交換する「はつり工法」が必要になることがあります。
- デザインの制約:既存の枠を活かすという制約上、選べるドアのデザインや機能が一部制限される場合があります。
カバー工法を検討する際は、これらのデメリットを事前に理解し、ご自身のライフスタイルや将来の計画と照らし合わせて、メリットと比較検討することが大切です。
マンション玄関ドア防寒対策と補助金活用
- 玄関ドアリフォームの補助金はいくら?
- 先進的窓リノベ事業2025の玄関ドア対象
- lixil玄関ドアの補助金対象は2025年も?
- クールネット東京補助金で玄関ドアをお得に
- 玄関ドアリフォームの補助金は千葉県でも探せる
玄関ドアリフォームの補助金はいくら?
玄関ドアのリフォームには、条件を満たすことで国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。補助金の額は、利用する制度、工事の内容、そして交換するドアの断熱性能によって大きく異なり、一概に「いくら」とは言えませんが、数万円から20万円近くになるケースもあります。
なぜなら、これらの補助金制度は、住宅の省エネ化を促進し、二酸化炭素排出量を削減することを目的としているためです。したがって、断熱性能が高い玄関ドアへ交換するほど、補助額も高くなる傾向にあります。
補助金を受け取るためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、多くの制度では、工事の契約前に申請手続きを行う必要があります。契約後や工事完了後に申請しても対象外となるため、注意が必要です。また、申請には施工業者を通じて行うのが一般的であり、補助金事業に登録している業者でなければならない場合もあります。
具体的な補助金額や対象となるドアの性能基準は、後述する「先進的窓リノベ事業」のような国の制度や、東京都、千葉県の各自治体が独自に設けている制度によって細かく定められています。リフォームを検討する際は、まず利用できそうな補助金制度を調べ、その要件をリフォーム業者とよく確認することが賢明な進め方です。
先進的窓リノベ事業2025の玄関ドア対象
「先進的窓リノベ事業」は、高い断熱性能を持つ窓へのリフォームを支援する国の補助金制度ですが、2025年の事業では、条件付きで玄関ドアの交換も補助の対象となります。
その条件とは、「窓の断熱リフォームと同一の工事契約であること」です。つまり、玄関ドア単独の交換ではこの補助金を利用できず、必ず断熱窓への交換工事とセットで申請する必要があります。これは、住宅の開口部である窓と玄関ドアの断熱性を同時に高めることで、より効果的な省エネ化を促すという事業の趣旨に基づいています。
補助の対象となる玄関ドアは、断熱性能に応じて定められた性能基準(熱貫流率など)をクリアした製品に限られます。性能が高いほど補助額も大きくなる仕組みです。
ドアの性能区分 | 断熱性能(熱貫流率 Uw) | 補助額(一戸あたり) |
SSグレード | 1.1 W/(㎡・K) 以下 | 未定(※) |
Sグレード | 1.5 W/(㎡・K) 以下 | 未定(※) |
Aグレード | 1.9 W/(㎡・K) 以下 | 未定(※) |
Bグレード | 2.3 W/(㎡・K) 以下 | 未定(※) |
※2025年8月時点では、2025年事業の玄関ドアに関する詳細な補助額は公表されていません。最新の情報は国土交通省や事業の公式ウェブサイトで確認が必要です。
この制度を利用する際は、補助金申請の実績が豊富なリフォーム業者に相談し、窓と玄関ドアを組み合わせた最適なプランを提案してもらうことが成功の鍵となります。
lixil玄関ドアの補助金対象は2025年も?
LIXIL(リクシル)のような大手建材メーカーが提供する高断熱仕様の玄関ドアは、2025年も国の補助金制度の対象製品に含まれる可能性が非常に高いと考えられます。
その理由は、LIXILをはじめとするメーカー各社が、国が推進する住宅の省エネ化方針に沿って、補助金制度の性能要件を満たす製品を積極的に開発・販売しているためです。例えば、LIXILの代表的な断熱リフォーム用玄関ドア「リシェント」シリーズには、高い断熱性能を持つモデルが多数ラインナップされており、これらは「先進的窓リノベ事業」などの補助金対象として登録されています。
ただし、注意点として、同じ「リシェント」シリーズでも、モデルや仕様によって断熱性能が異なり、全ての製品が補助金対象となるわけではありません。補助金を利用したい場合は、リフォームを依頼する業者にその旨を伝え、補助金対象製品の中からデザインや機能を選ぶ必要があります。
最終的な対象製品のリストは、補助金事業の公式ウェブサイトで公開されるため、契約前に業者と一緒に確認することが最も確実です。メーカーのカタログやウェブサイトにも補助金対象製品であることが記載されている場合が多いので、参考にすると良いでしょう。
クールネット東京補助金で玄関ドアをお得に
東京都内にお住まいの方が高断熱仕様の玄関ドアへリフォームする場合、「クール・ネット東京(公益財団法人東京都環境公社)」が実施する「既存住宅における省エネ改修促進事業」を活用できる可能性があります。この制度は、家庭からの二酸化炭素排出量削減を目的としており、高断熱化リフォームにかかる費用の一部を補助するものです。
この事業の大きな特徴は、国の補助金制度との併用が可能である点です。例えば、前述の「先進的窓リノベ事業」と併用することで、自己負担額を大幅に軽減できる可能性があります。
事業の主な概要(※)
- 補助対象:都内の既存住宅に行う、高断熱玄関ドアへの交換工事など。
- 補助額:補助対象経費の3分の1以内。玄関ドア交換の場合、1住戸あたりの上限額は16万円です。
- 主な要件:定められた断熱性能基準(熱貫流率1.9W/㎡・K以下など)を満たす製品であること。
- 申請期間:年度ごとに予算が定められており、申請受付は先着順で、予算がなくなり次第終了となります。
※上記は過去の事業内容を参考にしたものであり、2025年度の最新の要件や申請期間は、必ずクール・ネット東京の公式ウェブサイトで確認してください。
都内でのリフォームを検討する際は、この独自の補助金制度の存在を知っているかどうかで、最終的な費用が大きく変わってきます。
玄関ドアリフォームの補助金は千葉県でも探せる
千葉県で玄関ドアのリフォームを検討している場合、県全体を対象とした統一的な補助金制度は現時点ではありませんが、お住まいの市町村によっては独自の住宅リフォーム補助金制度が設けられていることがあります。
これらの制度は、主に地域経済の活性化や定住促進、住宅の安全性・快適性向上などを目的としており、その内容は自治体によって様々です。
省エネ改修(断熱リフォーム)を補助対象としている場合、玄関ドアの交換も含まれる可能性があります。
補助金を探す際のポイント
- 情報源:まず、お住まいの市町村の公式ウェブサイトで「住宅 リフォーム 補助金」といったキーワードで検索します。産業振興課や建築指導課などが担当窓口となっていることが多いです。
- 対象工事の確認:制度が見つかったら、補助の対象となる工事内容に「断熱改修」や「省エネ化工事」が含まれているか、そして玄関ドアの交換が該当するかを確認します。
- 要件の確認:補助対象者の条件(市民であること、税金の滞納がないことなど)や、施工業者の条件(市内の業者に限るなど)が定められている場合があります。
- 申請時期:多くの制度は年度ごとに予算が組まれ、受付期間が限られています。年度の早い時期に募集を開始し、予算上限に達し次第締め切られることが多いため、早めに情報を収集することが大切です。
例えば、過去には千葉市や船橋市、柏市などでリフォームに関する補助金制度が実施された実績があります。お住まいの自治体に問い合わせて、活用できる制度がないか確認してみる価値は十分にあります。
マンションの玄関ドアを防寒対策:まとめ
この記事で解説した、マンションの玄関ドア防寒対策に関する重要なポイントを以下にまとめます。ご自身の状況に合わせて、最適な対策を見つけるための参考にしてください。
- 玄関の寒さ対策は「断熱」と「気密」が基本
- ドア下の隙間は経年劣化や建物の歪みが主な原因
- DIYなら隙間テープが手軽で効果的
- 隙間テープはドア本体ではなくドア枠の戸当たりに貼る
- テープの厚みはドアの開閉を妨げないものを選ぶ
- ホームセンターではDIY用品の購入やリフォーム相談が可能
- マンションのドア交換は必ず管理組合の許可が必要
- カバー工法は1日で工事が終わるが、開口部が狭くなる欠点がある
- 本格的な対策には断熱仕様の玄関ドアへの交換が最も効果的
- リフォームには国や自治体の補助金を活用できる場合がある
- 補助金は工事契約前の申請が原則
- 「先進的窓リノベ事業2025」は窓とセットでドアも対象
- LIXILなどの大手メーカー製品は補助金対象になりやすい
- 東京都民なら「クール・ネット東京」の補助金も要チェック
- 千葉県では市町村独自の補助金制度を探してみる