「窓の断熱性を高めたいけれど、アルゴンガス入りの窓はどうなんだろう?」
「アルゴンガス 窓 デメリット」と検索されたあなたは、高い性能への期待と同時に、後悔しないための具体的な情報を求めているのではないでしょうか。
この記事では、そもそもアルゴン入りLow-E複層ガラスとは何かという基本から、具体的なメリットを5つ解説し、見過ごせないデメリットを3つ解説します。
さらに、アルゴンガスは意味ないのか、実際の使い心地はどうか、結露するのかといった素朴な疑問にもお答えします。
また、アルゴンガスは遮熱に効果がありますか、そしてアルゴンガスのサッシはどのような効果があるのですか、といった専門的な内容も分かりやすく紐解いていきます。アルゴンガスの耐用年数や寿命、気になる交換費用の相場にも触れながら、最終的に失敗なく選ぶコツまでを網羅的にご案内します。
- アルゴンガス窓の基本的な仕組みと性能
- 具体的なメリットと後悔に繋がるデメリット
- 寿命や費用など導入前に知るべき注意点
- 自身の住宅に最適か判断するための選び方のコツ
目次
アルゴンガス窓のデメリットを知るための基礎知識
- アルゴン入りLow-E複層ガラスとは?
- メリットを5つ解説します
- デメリットを3つ解説します
- アルゴンガスに遮熱や防音効果はあるのか
- アルゴンガスのサッシはどのような効果があるのですか?
アルゴン入りLow-E複層ガラスとは?
アルゴン入りLow-E複層ガラスとは、一言で言うと、断熱性能を最大限に高めた窓ガラスの一種です。2枚のガラスの間に空間を設けた「複層ガラス」が基本構造となっています。
このガラスの大きな特徴は、2つの重要な要素を組み合わせている点にあります。
一つ目は「Low-Eガラス」の採用です。これは、ガラスの表面に「Low-E膜」と呼ばれる特殊な金属膜をコーティングしたガラスを指します。この目には見えない薄い膜が、遠赤外線(熱)を反射する性質を持っています。そのため、冬は室内の暖房熱が外へ逃げるのを防ぎ、夏は屋外の太陽熱が室内へ侵入するのを抑える働きをします。
二つ目の要素が、ガラスとガラスの間にある中間層に「アルゴンガス」を封入していることです。複層ガラスの中間層には通常、乾燥した空気が入っていますが、アルゴンガスは空気よりも熱伝導率が低い、つまり熱を伝えにくい性質を持っています。
気体の種類 | 熱伝導率 [W/(m·K)] |
アルゴンガス | 0.016 |
空気 | 0.024 |
このように、熱を反射するLow-Eガラスと、熱の移動を抑えるアルゴンガスを組み合わせることで、一般的な複層ガラスを上回る優れた断熱性能を実現しているのです。
言ってしまえば、窓の断熱性能を高めるための強力なタッグと言えるでしょう。
メリットを5つ解説
アルゴンガス入り窓を導入することには、多くの利点が存在します。ここでは、その中でも特に代表的な5つのメリットを解説します。
非常に高い断熱性能
最大のメリットは、やはりその卓越した断熱性能です。前述の通り、Low-E膜とアルゴンガスの相乗効果により、外気の影響を大幅に軽減します。冬の窓際に感じる冷たい「コールドドラフト現象」を抑え、室内の快適性を大きく向上させます。
冷暖房効率の向上と省エネ
断熱性が高まることで、冷暖房の効率が格段に良くなります。一度暖めたり冷やしたりした室内の空気が外に逃げにくく、また外気の熱が侵入しにくくなるため、エアコンなどの空調設備が最小限の力で快適な室温を維持できるようになります。これは、月々の光熱費削減に直結する大きな利点です。
結露の抑制効果
窓ガラスの結露は、室内の暖かい空気が冷たいガラス面に触れることで発生します。アルゴンガス入り窓は断熱性が高いため、外の冷たさが室内のガラス面に伝わりにくく、ガラス自体の表面温度が下がりにくいのが特徴です。このため、結露の発生を大幅に抑制することができ、カビやダニの発生、カーテンや壁の劣化を防ぐことにも繋がります。
紫外線(UV)カット効果
Low-E複層ガラスは、人体や家具に有害な紫外線をカットする効果も持ち合わせています。製品にもよりますが、多くの紫外線を通さないため、カーテンやフローリング、家具などの日焼けによる色褪せや劣化を防ぐのに役立ちます。
一年を通じた室内環境の快適化
優れた断熱性能は、冬だけでなく夏にもその真価を発揮します。夏場の強い日差しによる熱の侵入を効果的にカットするため、室温の上昇を緩やかにします。これにより、冬は暖かく夏は涼しい、一年を通して過ごしやすい室内環境を維持しやすくなるのです。
デメリットを3つ解説
多くのメリットがある一方で、アルゴンガス入り窓には導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。後悔しないために、以下の3つの点をしっかり確認しておきましょう。
初期費用が比較的高価
最も大きなデメリットは、価格の高さです。一般的な一枚ガラス(単板ガラス)や、中間層が空気の通常の複層ガラスと比較すると、Low-E膜のコーティングやアルゴンガスの封入といった特殊な構造を持つため、製品価格も施工費用も高くなる傾向にあります。家全体の窓を交換するとなると、まとまった初期投資が必要になる点は念頭に置く必要があります。
経年劣化により性能が低下する
アルゴンガスによる高い断熱性能は、残念ながら永続的ではありません。窓のガラスとガラスを接着しているシーリング材(封着材)は、紫外線や温度変化の影響で少しずつ劣化していきます。このため、中間層に封入されたアルゴンガスは、年間で約1%程度が自然に抜けていくと言われています。ガスが抜けてもすぐに断熱性が失われるわけではありませんが、長い年月をかけて徐々に性能は低下していくことは避けられません。
「内部結露」が発生すると交換が必要
非常に結露しにくいアルゴンガス入り窓ですが、絶対に結露しないわけではありません。特に厄介なのが、ガラスとガラスの間の空間(中間層)で結露が発生する「内部結露」です。これは、シーリング材の劣化などによって隙間ができ、そこから湿った空気が侵入することで起こります。内部結露が発生すると、清掃で取り除くことは不可能であり、断熱性能も著しく低下するため、基本的には窓ガラス全体の交換が必要になってしまいます。多くの製品には内部結露に対するメーカー保証が付いていますが、保証期間を確認しておくことが大切です。
アルゴンガスに遮熱や防音効果はあるのか
アルゴンガス入り窓を検討する際、「遮熱」や「防音」といった性能についても気になる方が多いかもしれません。これらの効果について正確に理解しておくことが、適切な製品選びの鍵となります。
まず、遮熱効果についてです。アルゴンガス自体が太陽の熱を遮るわけではありません。遮熱性能を担っているのは、主にガラス表面にコーティングされた「Low-E膜」です。
このLow-E膜には、太陽の日射熱をカットすることに特化した「遮熱タイプ」と、太陽の熱を室内に取り込みつつ室内の暖房熱を逃がさない「断熱タイプ」があります。したがって、アルゴンガスはLow-E膜の性能を補助し、総合的な断熱性を高める役割を果たしますが、遮熱効果の主役はあくまでLow-E膜であると考えるのが適切です。
次に、防音効果についてですが、アルゴンガス自体に特筆すべき防音性能はありません。空気より比重が重いため、わずかな効果向上は認められますが、体感できるほどの差は生じにくいのが実情です。
窓の防音性能は、主に「ガラスの質量(厚み)」と「ガラス間の空気層の厚さ」によって決まります。また、異なる厚さのガラスを組み合わせることで、特定の周波数の音が共鳴して透過してしまう「共鳴透過現象」を抑えることができます。このため、高い防音効果を求めるのであれば、アルゴンガスの有無よりも、防音に特化した合わせガラスなどを採用した製品を選ぶ必要があります。
アルゴンガスのサッシはどのような効果があるのですか?
「アルゴンガスのサッシ」という言葉を耳にすることがあるかもしれませんが、これは少し誤解を含んだ表現です。正しくは「アルゴンガス入りガラスと組み合わせるサッシ(窓枠)」が、窓全体の性能にどのような効果をもたらすか、という視点が大切になります。
窓の断熱性能は、ガラス部分だけで決まるわけではありません。むしろ、ガラスと同じくらい、あるいはそれ以上にサッシの素材が重要な役割を担っています。いくら高性能なアルゴンガス入りガラスを採用しても、サッシの断熱性が低ければ、そこから熱が出入りしてしまい、ガラス本来の性能を十分に発揮できなくなってしまいます。
サッシの主な素材と断熱性能の関係は以下の通りです。
サッシの素材 | 熱の伝えやすさ(アルミを1とした場合) | 特徴 |
樹脂 | 約1/1000 | 熱を非常に伝えにくく、断熱性が最も高い。結露にも強い。 |
アルミ樹脂複合 | 約1/500 | 屋外側がアルミ、室内側が樹脂。アルミの弱点を樹脂でカバー。 |
アルミ | 1 | 軽量で耐久性が高いが、熱を伝えやすく断熱性が低い。 |
表からも分かるように、最も一般的なアルミサッシは、樹脂サッシに比べて約1000倍も熱を伝えやすい素材です。
このため、高い断熱性を求めてアルゴンガス入りガラスを選ぶのであれば、サッシも断熱性の高い「樹脂サッシ」や「アルミ樹脂複合サッシ」と組み合わせることが不可欠です。高性能なガラスと高性能なサッシをセットで考えることで、初めて窓全体の断熱性を最大限に高めることができるのです。
アルゴンガス窓のデメリットや交換費用の相場
- 結露する?実際の使い心地を解説
- アルゴンガスの耐用年数や寿命は?
- アルゴンガスは意味ないのかという疑問
- 交換費用の相場はどのくらい?
- 失敗なく選ぶコツはありますか?
結露する?実際の使い心地を解説
アルゴンガス入り窓は結露対策に非常に有効ですが、絶対に結露しないわけではありません。その実態と、実際の使い心地について解説します。
まず結露に関しては、室内側のガラス面に発生する結露は大幅に抑制できます。これは、高い断熱性によって外の冷気が室内のガラス面に伝わりにくく、ガラスの表面温度が下がりにくいためです。ただし、室内の湿度が高すぎる場合(加湿器の使いすぎや洗濯物の部屋干しなど)や、換気が不十分な状況では、高性能な窓でも結露が発生する可能性は残ります。
一方で、断熱性が高いがゆえに「外部結露」という現象が起こることがあります。これは、放射冷却によって屋外側のガラス表面が外気より冷え、空気中の水分がガラスに付着する現象です。病的なものではなく、むしろ「窓の断熱性が高い証拠」とも言えますが、朝方に窓の外が曇って見えにくくなる場合があります。
実際の使い心地としては、多くの場合で「快適性が向上した」という声が聞かれます。具体的には、「冬場に窓のそばにいてもヒヤッとしない」「暖房を切った後も部屋の温度が下がりにくい」「夏の日差しによる室温上昇が緩やかになった」といった断熱効果を実感するケースが多いようです。このように、室内の温度環境を安定させ、過ごしやすさを向上させる効果が期待できます。
アルゴンガスの耐用年数や寿命は?
アルゴンガス入り窓の導入を考える上で、その性能がどのくらい持続するのか、つまり耐用年数や寿命は非常に気になるポイントです。
一般的に、複層ガラスの製品保証は多くのメーカーで10年間に設定されています。この保証は、通常の使用範囲内での「内部結露」や「封入されたガスの大幅な減少」などを対象としています。このことから、少なくとも10年間は性能が大きく損なわれることなく使用できる一つの目安と考えられます。
しかし、これはあくまで保証期間であり、実際の寿命はさらに長いのが一般的です。ただし、デメリットの項でも触れたように、ガラスを固定しているシーリング材の経年劣化により、封入されたアルゴンガスは年間で約1%ずつ自然に抜けていくと言われています。
このため、20年、30年と経過するうちに、新品時と比較すると断熱性能は徐々に低下していきます。完全にガスが抜けてしまっても、中間層に空気が残るため、ただの複層ガラスとしての断熱機能は維持されます。寿命の考え方としては、「新品時の最高性能を維持できる期間」と「ガラスとして使用できる期間」は異なるという点を理解しておくと良いでしょう。
アルゴンガスは意味ないのかという疑問
「アルゴンガスを入れても、どうせ抜けるなら意味ないのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。この点についてですが、アルゴンガスを封入することは断熱性能の向上において明確に意味があります。
その理由は、新品時に最も高い断熱性能を発揮できる点にあります。
住宅の省エネ性能が重視される現代において、新築時やリフォーム時に可能な限り高い断熱性を確保することは、長期的な光熱費の削減や快適な暮らしに繋がります。アルゴンガスは、その初期性能を空気よりも高いレベルに引き上げるための有効な手段です。
「意味ない」と感じられる可能性があるとすれば、それは期待していた効果との間にズレが生じた場合です。例えば、防音性能を期待していたのに体感できなかったり、断熱性の低いアルミサッシと組み合わせてしまい、ガラス本来の性能が発揮されなかったりするケースが考えられます。また、温暖な地域にお住まいで、冬の寒さがそれほど厳しくない場合、高価な初期投資に見合うほどの効果(光熱費削減)を実感しにくいかもしれません。
以上の点を踏まえると、アルゴンガスは「意味ない」のではなく、「その価値を最大限に引き出すための適切な条件がある」と考えるのが正しい理解と言えます。
交換費用の相場はどのくらい?
アルゴンガス入り窓への交換費用は、交換方法や窓のサイズ、選ぶ製品のグレードによって大きく変動します。主な交換方法と費用の目安は以下の通りです。
交換方法 | 費用の目安(1箇所あたり) | 工事内容 |
ガラスのみ交換 | 5万円 ~ 15万円 | 既存のサッシはそのままに、ガラスだけをアルゴンガス入り複層ガラスに交換する。 |
カバー工法 | 15万円 ~ 35万円 | 既存の窓枠の上から新しい窓枠をかぶせ、サッシとガラスを丸ごと交換する。 |
内窓(二重窓)設置 | 8万円 ~ 20万円 | 既存の窓の室内側にもう一つ新しい窓を設置する。 |
ガラスのみ交換
最も手軽で安価な方法ですが、既存のサッシの溝幅によっては複層ガラスが入らない場合もあります。
カバー工法
壁を壊すことなく一日で工事が完了することが多く、サッシごと新しくなるため断熱性能を最も効果的に向上させることができます。費用は高めになりますが、満足度も高い方法です。
内窓設置
既存の窓との間に空気層ができるため、断熱性だけでなく防音性の向上も期待できます。
これらの費用はあくまで目安であり、実際の金額は業者からの見積もりで確認する必要があります。
また、「先進的窓リノベ事業」のような国や自治体の補助金制度を活用することで、自己負担額を大幅に軽減できる可能性があります。リフォームを検討する際は、利用できる補助金がないか必ず確認することをおすすめします。
失敗なく選ぶコツはありますか?
アルゴンガス入り窓を選んで後悔しないためには、いくつかの重要なコツがあります。これらを事前に押さえておくことで、ご自身の住まいに最適な選択ができるようになります。
居住地域の気候を考慮する
まず大切なのは、お住まいの地域がどの程度の寒さ・暑さになるかを考えることです。冬の寒さが厳しい寒冷地であれば、アルゴンガスによる高い断熱性能は光熱費削減や快適性向上に大きく貢献します。一方で、比較的温暖な地域では、オーバースペックとなり費用対効果が見合わない可能性もあります。
窓の方角と目的を明確にする
家の中の全ての窓を同じ仕様にする必要はありません。例えば、日差しが強く入る南向きや西向きの窓には、日射熱をカットする「遮熱タイプ」のLow-Eガラスを選ぶと効果的です。逆に、日当たりの悪い北向きの窓や、冬の日差しを積極的に取り入れたいリビングの窓には、室内の熱を逃がさない「断熱タイプ」が適しています。
サッシとの組み合わせをセットで考える
前述の通り、窓の性能はガラスとサッシの組み合わせで決まります。高性能なアルゴンガス入りガラスを選ぶのであれば、サッシも断熱性の高い「樹脂サッシ」や「アルミ樹脂複合サッシ」を選ぶことが、性能を最大限に引き出すための鍵となります。
複数の業者から見積もりを取る
交換費用は業者によって差が出ることがあります。必ず複数のリフォーム業者やガラス専門店から見積もりを取り、費用だけでなく、提案内容や保証、担当者の対応などを比較検討することが大切です。
補助金制度を積極的に活用する
窓の高断熱化リフォームは、国や自治体が補助金で支援している場合があります。「先進的窓リノベ事業」などの制度を事前に調べ、活用することで、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
アルゴンガス窓のデメリット:総括
- アルゴンガス窓は高断熱なLow-E複層ガラスの一種
- 空気より熱を伝えにくいガスで断熱性を高めている
- 最大のメリットは高い断熱性とそれによる省エネ効果
- 結露の抑制や紫外線カットの効果も期待できる
- 主なデメリットは価格の高さと経年による性能低下
- ガス自体に直接的な防音や遮熱の効果はない
- 防音性能はガラスの厚みや構成で決まる
- 遮熱効果はLow-E膜との組み合わせで発揮される
- 窓の性能はサッシとの組み合わせが非常に重要
- 高い断熱性を求めるなら樹脂サッシとの組み合わせが最適
- 耐用年数は10年以上が目安だがガスは少しずつ抜けていく
- 中間層に発生する内部結露は交換が必要になる
- 交換費用は工法や窓のサイズによって大きく変動する
- 国の補助金制度を活用すれば費用負担を軽減できる
- お住まいの地域や窓の方角に合わせて選ぶことが後悔しないコツ