「突然部屋の電気が消え、ブレーカーを上げてもすぐに落ちてしまう……」そんな経験をして、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。特に夜間や急ぎの家事をしている時に電気が使えないと、非常に困ってしまいます。
ブレーカーが落ちる現象には必ず理由があり、電気の使いすぎだけでなく、漏電や設備の故障といった危険なサインである可能性も潜んでいます。繰り返しブレーカーが落ちる5つの原因や理由を正しく理解し、適切な初期対応を行うことが、電気事故を防ぐ第一歩です。
この記事では、誰でも安全に行えるブレーカーの復旧方法や対処法に加え、今後ブレーカーが落ちないように対策5選についても、専門的な視点を交えて詳しく解説します。上げてもつかないのはなぜかという素朴な疑問や、原因不明のトラブルへの対処、さらにはブレーカーが漏電したかどうかの見分け方はあるのかといったポイントも網羅しています。
また、見逃してはいけない漏電の初期症状はどのようなものか、もし漏電をそのままにしておくとどうなるのかといったリスク面についても深く掘り下げます。
電気をそんなに使ってないのにブレーカーが落ちる原因は何か、雷が与える影響、そして万が一業者に依頼する場合の漏電ブレーカーの修理代や工事の費用相場まで、知っておくべき情報を幅広く紹介します。
この記事でわかること
- ブレーカーが落ちる主な原因と、状況に応じた特定方法
- 種類別(アンペア・漏電・安全)の正しい復旧手順と安全な操作
- 漏電や故障が疑われる場合の危険性と対処法
- トラブルを未然に防ぎ、電気代削減にもつながる具体的な対策
目次
ブレーカーを上げても落ちる原因と症状の確認
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- 上げてもつかないのはなぜ?
- 繰り返しブレーカーが落ちる5つの原因や理由
- 電気をそんなに使ってないのにブレーカーが落ちる原因
- 雷が原因で落ちるケース
- 原因不明で落ちる場合のチェック点
- 漏電の初期症状は?
- ブレーカーが漏電したかどうかの見分け方は?
- 漏電をそのままにしておくとどうなる?
上げてもつかないのはなぜ?
ブレーカーのレバーを上げてもすぐに「バチン」と落ちてしまう、あるいは手応えがなくレバーが固定されない現象には、明確な理由があります。これは、ブレーカーが持つ「異常を検知して回路を遮断し、火災や事故を防ぐ」という安全装置としての機能が正常に働いている証拠です。
ブレーカー内部には、過大な電流が流れた際に熱や磁力の力で回路を強制的に開く仕組みが組み込まれています。
レバーを上げてもすぐに落ちる場合、その瞬間に回路内で許容範囲を超える大きな電流が流れているか、漏電(電気が漏れている状態)が継続している可能性が極めて高いと言えます。
ブレーカーが上がらない主な理由
- 過電流の継続:接続されている家電製品の数が多すぎて、常に容量オーバーの状態になっている。
- 短絡(ショート):配線や家電製品の内部で電極同士が接触し、爆発的な電流が流れている。
- 完全な地絡(漏電):回路のどこかで電気が地面へ漏れ続けている。
- ブレーカーの機械的故障:内部のバネや接点が破損し、ロックがかからなくなっている。
「壊れたのかな?」と思って無理に何度も上げようとしたり、テープで固定しようとしたりするのは絶対に行わないでください。配線の発熱や発火につながる恐れがあり、非常に危険です。まずは落ち着いて、原因の特定から始める必要があります。
繰り返しブレーカーが落ちる5つの原因や理由
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「一度復旧しても、数分後や数日後にまた落ちる」といったように頻繁にブレーカーが落ちる場合、原因は一つではありません。生活環境や設備の状況により、主に以下の5つの原因が考えられます。
| 原因 | 概要と特徴 |
|---|---|
| 1.電気の使いすぎ (過負荷・オーバーロード) | 契約アンペア数や各回路(部屋ごと)の許容量を超えて電気を使用している状態です。冬場や夏場など、冷暖房器具を多用する時期に多発します。 |
| 2.漏電 (地絡) | 配線や家電の絶縁被覆(ビニール部分)が劣化や破損し、電気が本来のルートを外れて外部に漏れている状態です。湿気の多い場所で起こりやすい特徴があります。 |
| 3.ショート (短絡) | コードが家具に踏まれて内部で断線したり、コンセントにホコリが溜まったりして、電気が抵抗を通さずに直接流れる現象です。火花や焦げ臭いにおいを伴うことがあります。 |
| 4.ブレーカーの故障 (経年劣化) | 設置から長期間が経過し、バイメタルなどの感知部品が劣化して誤作動を起こしているケースです。規定値以下の電流でも落ちてしまうことがあります。 |
| 5.外部要因 (雷サージなど) | 近隣への落雷による過電流(雷サージ)が電線を伝って侵入し、一時的に落ちることがあります。また、工事などの振動で緩んだ端子が接触不良を起こすケースも稀にあります。 |
最も多いのは「1. 電気の使いすぎ」ですが、「誰もいない部屋で落ちる」「特定の家電のスイッチを入れた瞬間に家全体が消える」といった場合は、ショートや漏電の可能性を強く疑う必要があります。
電気をそんなに使ってないのにブレーカーが落ちる原因
「エアコンも電子レンジも使っていないのに、なぜかブレーカーが落ちる」という相談は少なくありません。この場合、見落としがちな2つの要因が隠れていることがあります。
1. 突入電流(始動電流)の影響
モーターを搭載している家電製品(冷蔵庫、掃除機、洗濯機、エアコンなど)は、スイッチを入れた瞬間や動き出しの瞬間に、通常運転時の数倍〜10倍近い電気(突入電流)を消費します。
すでに他の家電で契約容量ギリギリまで電気を使っている状態で、冷蔵庫のコンプレッサーが作動したり、掃除機のスイッチを入れたりすると、一瞬だけ限界を超えてブレーカーが落ちることがあります。
2. 気づきにくい待機電力と「熱」の家電
Wi-Fiルーター、給湯器の制御パネル、保温中の炊飯器、温水洗浄便座などは、使用していないようでも常に電気を消費しています。これらが積み重なり、基礎的な電力消費量(ベースロード)が高くなっている可能性があります。
意外と盲点なのが、冬場の便座ヒーターです。暖房便座は設定温度を維持するために定期的にヒーターが作動します。これが「何もしていないのに落ちた」と感じる原因の一つです。
また、家全体の契約アンペア数には余裕があっても、一つの部屋(回路)のコンセントで使える電気の上限(通常20A=2000W)を超えれば、その部屋の小さな安全ブレーカーだけが落ちます。タコ足配線で一つのコンセントに負荷を集中させていないか確認しましょう。
雷が原因で落ちるケース
悪天候の日に突然ブレーカーが落ちた場合、雷が原因である可能性が高いです。自宅に直撃していなくても、近隣への落雷によって発生した異常な高電圧・大電流(雷サージ)が、電線や電話線を通じて家庭内に流れ込むことがあります。
この衝撃的な電流を検知して、漏電ブレーカーが誤作動(保護動作)を起こしたり、過電圧から家電を守るために遮断されたりすることがあります。雷が通り過ぎて安全が確認できた後にブレーカーを上げれば、通常通り使えることが多いですが、稀にPCや給湯器の基盤、ブレーカー自体が故障してしまうこともあります。
雷が鳴っている最中は、感電の恐れがあるため分電盤に触れないでください。雷が収まり、安全が確認できるまで待つことをおすすめします。
原因不明で落ちる場合のチェック点
家電の使用状況を見直し、漏電の心当たりもないのに原因不明で落ちる場合は、分電盤やブレーカー自体の寿命を疑ってみましょう。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)などの公的機関でも注意喚起されていますが、分電盤やブレーカーの交換推奨時期は、一般的に13年〜15年程度とされています。
古くなったブレーカーは内部のバネや接点が劣化し、少しの電流や振動で誤って落ちてしまうことがあります。また、接続端子のネジが緩んで接触不良(過熱)を起こしているケースもあります。
原因不明時のセルフチェックリスト
- 設置から15年以上経過していないか(分電盤の製造年を確認)
- 分電盤から「ジジジ」「ブーン」という異音がしていないか
- ブレーカー本体やカバーが異常に熱くなっていないか
- ブレーカーの表面が変色したり、焦げたような跡がないか
これらの症状がある場合、火災につながるリスクがありますので、早急に電気工事士による点検を依頼してください。
(出典:NITE・製品評価技術基盤機構「配線器具の経年劣化による火災に注意」)
漏電の初期症状は?
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漏電は目に見えないため、初期段階で気づくことは難しいですが、五感を働かせることでいくつかのサインを捉えることができます。
代表的な初期症状として、「雨が降った日や台風の時だけブレーカーが落ちる」という現象が挙げられます。これは、湿気が高まったり、外壁の亀裂や屋外コンセントから雨水が浸入したりすることで絶縁性能が低下し、一時的に漏電が発生するためです。
その他のサインとして以下のようなものがあります。
- におい:分電盤やコンセント付近から、魚が腐ったような生臭いにおい(オゾン臭)や、焦げ臭いにおいがする。
- 音:壁の中や天井裏から、パチパチという小さな音が聞こえる。
- 体感:洗濯機や冷蔵庫などの金属部分に触れると、ピリピリと微弱な電気を感じる(アース不良による漏電の可能性)。
使用する家電が変わっていないのに電気代が急に高くなった場合も、漏電によって地面へ電気が流れ続けている(無駄な消費をしている)可能性があります。
ブレーカーが漏電したかどうかの見分け方は?
ブレーカーが落ちた原因が「単なる使いすぎ」なのか「危険な漏電」なのかを見分ける最も確実な方法は、分電盤を見て「どの種類のブレーカーが落ちたか」を確認することです。
| 落ちたブレーカー | 見分け方 | 主な原因 |
|---|---|---|
| アンペアブレーカー (左側の大きなスイッチ) | 家全体の電気が消える | 電気の使いすぎ (契約容量オーバー) |
| 安全ブレーカー (右側の小さなスイッチ群) | 特定の部屋やエリアだけ消える | 回路の使いすぎ またはショート |
| 漏電ブレーカー (中央のスイッチ) | 家全体の電気が消える 表示ボタンが出ている | 漏電が発生している (危険度:高) |
特に注目すべきは、分電盤の中央にある漏電ブレーカーです。これには黄色や赤色の「漏電表示ボタン(テストボタン)」が付いています。
レバーが下がっており、かつこのボタンが飛び出している(またはランプが点灯している)場合は、間違いなく漏電が原因で遮断されたと判断できます。
漏電をそのままにしておくとどうなる?
「とりあえず電気がついたから」といって、漏電の警告を無視して放置することは非常に危険です。漏電は自然に直ることはなく、放置すれば生命や財産に関わる重大な事故につながる恐れがあります。
漏電放置による3大リスク
- 感電事故:漏電している洗濯機や食洗機などに触れることで、人体に電流が流れ、感電事故を引き起こします。濡れた手で触ると抵抗値が下がり、最悪の場合は死亡事故につながります。
- 電気火災:漏れた電気がホコリ(トラッキング現象)や壁内の木材、断熱材などに引火し、火災を引き起こす原因となります。東京消防庁のデータでも、電気火災は火災原因の上位を占めています。
- 電気料金の増大:使っていない電気が常に地面へ漏れ続けているため、検針メーターが回り続け、高額な電気料金を請求されることになります。
漏電ブレーカーが作動した、あるいは漏電の疑いがある場合は、ご自身で修理しようとせず、速やかに電力会社や電気工事店へ連絡してください。
ブレーカーを上げても落ちる時の対処法と費用
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- ブレーカーの復旧方法と対処法
- 漏電ブレーカーの修理代・工事の費用相場
- ブレーカーが落ちないように対策5選
ブレーカーの復旧方法と対処法
落ちてしまったブレーカーを復旧させる際は、落ちたブレーカーの種類によって手順が異なります。正しい手順で行わないと、再発したり、漏電箇所が特定できなかったりするため注意しましょう。
アンペアブレーカー・安全ブレーカーの場合(使いすぎ)
電気の使いすぎが原因のケースです。手順は以下の通りです。
- 使用していた家電製品(特にドライヤー、電子レンジ、エアコンなど)のスイッチを切るか、コンセントを抜く。
- 落ちているブレーカーのレバーを「入(ON)」に上げる。
- 電気がついたら、家電製品を一度に使いすぎないように時間をずらして使用を再開する。
※スマートメーター設置の場合、アンペアブレーカーはなく、自動で復旧(約10秒後)することが一般的です。
漏電ブレーカーの場合(漏電箇所の特定手順)
漏電ブレーカーが落ちた場合は、家全体を停電させたままにするのではなく、「漏電している回路(部屋)」だけを切り離して、それ以外の部屋の電気を復旧させることが可能です。以下の手順で行ってください。
漏電箇所の切り分け手順
- 全ての「安全ブレーカー(右側の小さいスイッチ群)」を一度すべて下げて「切(OFF)」にする。
- 左側の「アンペアブレーカー」と中央の「漏電ブレーカー」を上げる(「入」にする)。
- 下げておいた「安全ブレーカー」を、一つずつ順番にゆっくり上げていく。
- 特定の安全ブレーカーを上げた瞬間に、「バチン」と漏電ブレーカーが落ちたら、その回路(部屋)が漏電箇所です。
- 再度、アンペアブレーカーと漏電ブレーカーを上げる。
- 先ほど特定した漏電している箇所の安全ブレーカーだけを「切」のままにしておく。
- それ以外の(問題のない)安全ブレーカーをすべて上げる。
この操作を行うことで、漏電している危険な回路だけを遮断し、キッチンやリビングなど他の部屋の電気を一時的に使えるようになります。この状態で、専門業者が来るのを待ちましょう。
漏電ブレーカーの修理代・工事の費用相場
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ブレーカーの交換や漏電修理を業者に依頼する場合、費用は作業内容や緊急度によって異なります。一般的な相場は以下の通りです。
| 作業内容 | 費用相場(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 漏電調査 | 6,000円 〜 15,000円 | 原因箇所の特定までの作業費です。修理費は別途かかる場合があります。 |
| 安全ブレーカー交換 | 5,000円 〜 8,000円 | 1箇所あたりの部品代と工賃です。 |
| 漏電ブレーカー交換 | 15,000円 〜 25,000円 | 部品のスペック(感度電流など)により変動します。 |
| 分電盤全体の交換 | 40,000円 〜 80,000円 | 回路数や機能(地震感知など)により大きく変動します。 |
これらはあくまで平日日中の目安であり、夜間や早朝の緊急対応、出張費(エリアによる)、高所作業費などが加算される場合があります。
依頼する際は、電話口で概算費用を確認し、作業前に必ず見積もり提示を求めましょう。
ブレーカーが落ちないように対策5選
頻繁な停電によるストレスから解放され、快適に生活するために、日頃からできる対策を5つ紹介します。
1. 家電製品を使うタイミングをずらす
ドライヤー(1200W)、電子レンジ(1300W)、炊飯器(1200W)などは消費電力が非常に大きいです。これらを「夕食の準備時」や「朝の身支度時」に同時に使わないよう、家族で声を掛け合ったり、炊飯の時間をずらしたりするだけで効果があります。
2. 別のコンセント(回路)から電源を取る
キッチンなどの特定の場所で頻繁に安全ブレーカーが落ちる場合、その回路の容量が限界に達しています。延長コードを使って、廊下や隣の部屋など「別の安全ブレーカーにつながっているコンセント」から電源を取ることで、負荷を分散できます。
3. 省エネ家電への買い替え
10年以上前の古い冷蔵庫やエアコンは、最新機種に比べて消費電力が高い傾向にあります。最新の省エネ家電に買い替えることで、全体の消費電力を抑えられ、ブレーカーが落ちにくくなるだけでなく電気代の節約にもつながります。
4. 契約アンペア数の変更
家族が増えたり、大型家電を購入したりして電気使用量が増えているなら、電力会社に連絡して契約アンペア数を上げるのが根本的な解決策です。現在はWebサイトから簡単に手続きできる電力会社がほとんどです。
(出典:東京電力エナジーパートナー「アンペア変更の申し込み」)
5. 定期的な点検と清掃
コンセントとプラグの間に溜まったホコリは、湿気を吸って「トラッキング現象」というショートを引き起こす原因になります。定期的に家具の裏のコンセントを掃除し、コードに重いものを乗せたり傷つけたりしていないか確認しましょう。
ブレーカーを上げても落ちる時はプロに依頼:まとめ
- ブレーカーが落ちる主な原因は「電気の使いすぎ」だが、漏電や故障の可能性もある
- 上げてもすぐ落ちる、またはレバーが固定されない場合は、ショートや継続的な漏電が疑われる
- 原因不明のときは、分電盤設置から15年以上経過していないか(寿命)を確認する
- 漏電ブレーカーが落ちたら、焦らず手順に従って「漏電箇所の切り分け」を行う
- 漏電している回路だけを「切」にしておけば、他の部屋は安全に使用できる
- 漏電の放置は、感電事故や電気火災のリスクがあり非常に危険
- 雷によるサージ電流で一時的に保護機能が働き、落ちることもある
- 原因特定が難しい場合や、異音・異臭がする場合は無理に操作せず専門家に頼る
- 契約アンペア変更や、家電を使う時間の分散で「使いすぎ」による遮断は防げる
- 古い家電の買い替えや、タコ足配線の見直しも有効な対策
- 漏電調査や修理の費用相場は数千円から数万円だが、業者により異なるため見積もりが必須
- 安全のため、電気工事や内部の修理は必ず「電気工事士」の有資格者に依頼する
- 定期的な清掃と点検が、突然のトラブル防止につながる
電気は生活に欠かせないものですが、扱いを間違えれば危険な事故につながります。「おかしいな」と思ったら無理をせず、電力会社や専門業者に相談し、安全で快適な電気生活を取り戻しましょう。