ご自宅の電気が突然消えてしまい、「遮断器がトリップするとはどういうことですか」と不安を感じていませんか。
本記事では、ブレーカー トリップとはどのような現象か、その根本的な意味や仕組みを専門的な視点から分かりやすく解説します。日常的によく耳にする「ブレーカーが落ちる」ことと「トリップ」の違いや、漏電ブレーカーに付いている「トリップボタン(テストボタン)」の重要な役割についても整理しました。
また、主なブレーカー トリップの原因を特定し、安全かつ正しい復旧方法と直し方手順をステップ形式で解説します。
万が一、ブレーカー トリップが復旧できない「トリップ状態」になった場合や、「ブレーカーがトリップしたら放置してもいいのか、そのリスクはどのようなものか」といった疑問についても、公的機関の事例を交えて確認しましょう。ブレーカー トリップの原因不明なトラブルへの対処法に加え、修理や交換を依頼する業者選びのコツ、そして修理代や工事の費用相場まで詳しくご紹介します。
- ブレーカーがトリップする基本的な仕組みと「落ちる」現象との違い
- トリップした原因ごとの正しい復旧手順とリセット操作の方法
- 原因不明のトリップや復旧できない場合の対処法と放置するリスク
- 修理や交換にかかる費用の相場と信頼できる業者を選ぶポイント
目次
ブレーカーがトリップとは何か?基礎知識と落ちるとの違い
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- 遮断器がトリップするとはどういうことですか?
- ブレーカーのトリップとは?仕組みを解説
- ブレーカーが「落ちる」と「トリップ」の違い
- 漏電ブレーカーのトリップボタン
遮断器がトリップするとはどういうことですか?
家庭の分電盤に設置されている遮断器(ブレーカー)が「トリップする」とは、電気回路に過度な電流が流れるなどの異常が発生した際に、安全のために自動的に電気の流れを遮断する動作のことを指します。
これは単なる停電ではなく、電化製品の故障や配線の過熱による火災、感電事故などを未然に防ぐために、ブレーカーが正常に機能した証拠です。
この現象は、電力会社からの送電がストップする地域的な停電とは異なり、「家の中の配線や機器に何らかの危険な問題がある」ことを知らせる重要なサインです。トリップすると、ブレーカー内部の接点が強制的に引き剥がされ、レバー(つまみ)が「ON(入)」の位置から外れて電気が供給されなくなります。
トリップの役割
異常な電流(過電流や漏洩電流)を検知して瞬時に回路を切り離し、建物火災や人への感電事故を防ぐ「命綱」の役割を果たしています。
ブレーカーのトリップとは?仕組みを解説
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ブレーカーがトリップする仕組みは、主に「熱」や「磁気」の物理的な力を利用しています。一般家庭で使われるブレーカー内部には、流れる電流の大きさを常時監視する精密な機構が組み込まれています。
具体的には、以下のようなメカニズムで異常を検知し、回路を遮断します。
| 検知方式 | 仕組みの詳細 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 熱動式 (バイメタル) | 電流の熱で金属板(バイメタル)が湾曲する性質を利用。緩やかな使いすぎ(過負荷)が続くと、金属が曲がってスイッチを押し下げます。 | 家電の使いすぎ (過負荷保護) |
| 電磁式 (コイル) | 大きな電流が流れた瞬間に発生する強力な磁力を利用。ショートなどの緊急時に、磁石の力で瞬時にスイッチを引きます。 | 配線ショート (短絡保護) |
| 漏電検出 (ZCT) | 行きと帰りの電流の差を計測。差がある(漏れている)場合、電子回路が作動して遮断します。 | 漏電 (地絡保護) |
これらの異常が発生した瞬間、ブレーカーは物理的に回路を切り離し、トリップ状態となります。
これにより、配線が燃えたり、人が感電し続けたりする最悪の事態を回避しているのです。
ブレーカーが「落ちる」と「トリップ」の違い
日常会話でよく使われる「ブレーカーが落ちる」という表現と「トリップ」は、実質的には同じ現象を指していますが、厳密には動作の状態やレバーの止まる位置に明確な違いがあります。
「落ちる」は、電気が切れてレバーが下に下がる現象全体を指す一般的な言葉です。一方、「トリップ」は専門用語で、異常を検知して遮断機能が働いたという動作そのものを指し、特にレバーの位置で判別可能です。
特に重要な違いは、レバーの止まる位置です。
- 手動でOFFにした場合:レバーは一番下の「切(OFF)」の位置まで完全に下がります。
- トリップした場合:多くのブレーカーでは、レバーが「入(ON)」と「切(OFF)」の中間(真ん中)の位置でぶらぶらと止まる構造になっています。これを「トリップ位置」と呼びます。
もしレバーが中途半端な位置で止まっていたら、それは誰かがスイッチを切ったのではなく、ブレーカーが危険を察知して自動的に「トリップ」した証拠です。
漏電ブレーカーのトリップボタン
分電盤の中央にある漏電ブレーカー(通常は他より一回り大きいもの)には、小さなボタンが付いています。これは一般的に「テストボタン(トリップボタン)」や「漏電表示ボタン」と呼ばれるものです。
このボタンには、利用者の安全を守るために主に2つの役割があります。
- 動作確認(テスト):ボタンを押すことで内部的に擬似的な漏電状態を作り出し、ブレーカーが正常にトリップして電気が遮断されるかを確認するために使用します。メーカーや保安協会は、月に1回程度の点検を推奨しています。
- 漏電の表示:実際に漏電が起きてトリップした場合、このボタンが物理的に飛び出したり、表示窓の色が白から赤に変化したりして、「単なる使いすぎではなく、漏電による遮断であること」を視覚的に知らせる製品もあります。
もし漏電ブレーカーが落ちていて、このボタンが突出している場合は、配線や機器のどこかで漏電が発生している可能性が極めて高いため、慎重な対応が必要です。
ブレーカーのトリップとは?どう直す?原因不明場合の対処法
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- ブレーカーがトリップする原因
- トリップが原因不明の場合
- トリップしたら放置してもいい?放置するリスクは?
- 復旧方法と直し方手順を解説
- ブレーカートリップが復旧できないトリップ状態
- 修理・交換を依頼する業者選びのコツ
- 修理代・工事の費用相場
ブレーカーがトリップする原因
ブレーカーがトリップする原因は、主に以下の3つに分類されます。分電盤の「どの位置のブレーカーが落ちたか」によって、原因をおおよそ特定することができます。
| 落ちたブレーカー | 主な原因 | 具体的なシチュエーション例 |
|---|---|---|
| アンペアブレーカー (左側の大きなもの) | 電気の使いすぎ (過負荷) | 家全体で使用している電気の量が、契約アンペア数(例:30A, 50A)を超えています。冬場にエアコン、ヒーター、電子レンジを同時に使った場合などが典型的です。 |
| 安全ブレーカー (右側の小さなもの) | 回路ごとの使いすぎ またはショート | 特定の部屋やコンセントで、容量(通常20A)を超える電気を使っているか、コードが家具に踏まれてショートしています。 |
| 漏電ブレーカー (中央のもの) | 漏電(地絡) | 家の中の配線や家電製品の絶縁が劣化し、電気が外部に漏れています。水回りの家電や屋外コンセントが原因となることが多いです。 |
最も頻繁に起こるのは、消費電力が大きい家電(ドライヤー:1200W、電子レンジ:1300Wなど)を複数同時に使用したことによる「過負荷」です。
トリップが原因不明の場合
「家電をあまり使っていないのにトリップする」「特定の条件が見当たらないのに頻繁に落ちる」といった原因不明のケースでは、以下のような目に見えにくい要因が潜んでいる可能性があります。
- ブレーカー自体の寿命・故障:ブレーカーは設置から約13年〜15年が交換の目安とされています。経年劣化によりバネや接点が弱り、定格以下の電流でも誤作動(不要動作)を起こすことがあります。
- 一時的な過電圧(雷サージ):近隣での落雷などにより、電線を伝って一時的に異常な高電圧がかかり、保護機能が働いた場合です。
- トラッキング現象:コンセントとプラグの隙間に埃がたまり、湿気を含んで微弱な電気が流れ続ける現象です。雨の日や梅雨時に起こりやすく、発火の原因にもなります。
- 家電の内部故障(隠れ漏電):一見動いているように見える冷蔵庫の霜取りヒーターや、屋外給湯器の内部で絶縁不良が起きており、特定のタイミングだけ漏電してトリップさせることがあります。
「何もしていないのに落ちた!」という場合は、屋外の防水コンセントに雨水が侵入していたり、天井裏でネズミが配線をかじっていたりするケースも稀にあります。頻発する場合はプロによる絶縁抵抗測定が必要です。
トリップしたら放置してもいい?放置するリスクは?
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結論から申し上げますと、ブレーカーがトリップした状態で放置したり、原因(故障した家電など)を特定せずに無理やり上げ続けたりするのは非常に危険です。
製品評価技術基盤機構(NITE)の報告では、ヘアドライヤーのコードがショートしてブレーカーが落ちたにもかかわらず、原因を取り除かずにブレーカーを再投入した結果、再びショートして火災に至った事例などが注意喚起されています。
放置や無理な復旧には、以下のような重大なリスクが伴います。
- 火災の発生:漏電やショートが原因の場合、通電し続けることで発熱し、壁の中の配線や埃から発火する「電気火災」につながる恐れがあります。
- 感電事故:漏電している家電に触れることで、感電し、最悪の場合は死亡事故につながる危険性があります。
- 家電の故障拡大:頻繁なON/OFFの繰り返しや異常な電流の流入により、接続されている他の正常な家電製品の基盤が故障する原因になります。
「とりあえずレバーが上がったから大丈夫」と過信せず、頻繁にトリップする場合は必ず電気工事店や電力会社に点検を依頼しましょう。
(出典:製品評価技術基盤機構(NITE)「ブレーカーの復帰により発生した事故について」)
復旧方法と直し方手順を解説
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トリップしたブレーカーを安全に復旧させるには、正しい手順と操作が必要です。特に「トリップ位置(中間)」にあるブレーカーの操作にはコツがいります。東京電力パワーグリッドなどの電力会社も推奨する一般的な手順は以下の通りです。
アンペアブレーカー・安全ブレーカーの場合
- 使用していた家電のスイッチを切るか、コンセントを抜きます。
- 落ちているブレーカーのレバーを確認します(中途半端な位置にあるはずです)。
- 重要:一度完全に「切(下)」まで押し下げます。「カチッ」と音がするまで下げてリセットしないと、構造上ONになりません。
- その後、レバーを「入(上)」に引き上げます。
漏電ブレーカーの場合(復旧と特定手順)
- 全ての安全ブレーカー(右側の小さいスイッチ群)を「切」にします。
- 漏電ブレーカー(中央)を「入」にします。(中間にある場合は一度「切」にしてから上げます)
- 安全ブレーカーを一つずつ順番に「入」にしていきます。
- ある特定の安全ブレーカーを上げた瞬間に「バチッ」と漏電ブレーカーが落ちたら、その回路(部屋)が漏電箇所です。
- その問題の安全ブレーカーだけを「切」のままにし、漏電ブレーカーを再度入れ直します。これで他の部屋の電気は復旧できます。
ブレーカートリップが復旧できないトリップ状態
レバーを上げてもすぐに「バチン」と落ちてしまう、あるいはレバーが手応えなくブラブラして固定されない場合、それは「復旧できないトリップ状態」です。
考えられる理由は主に以下の2つです。
- リセット操作ができていない:前述の通り、トリップしたブレーカーは一度完全に「OFF」の方向に強く押し下げてリセット(内部のフックを掛ける動作)をしないと、「ON」に入りません。まずは強く下に押し下げてから、上げ直してみてください。
- 重大な故障または現在進行形のショート:リセット操作を正しく行っても瞬時に落ちる場合は、配線が壁の中で完全にショート(短絡)しているか、ブレーカー内部の部品が溶着・破損している可能性が高いです。
警告:何度も強制的にブレーカーを上げようとしないでください。ショートしている状態で通電を繰り返すと、配線が焼き切れたり火花が飛び散ったりして大変危険です。直ちに操作をやめ、専門業者へ連絡してください。
修理・交換を依頼する業者選びのコツ
ブレーカーの交換や漏電の調査は、法律により「電気工事士」の資格を持つ専門家でなければ行えません。業者選びで失敗しないためのポイントは以下の通りです。
- 資格の有無と提示:「第二種電気工事士」以上の資格を保有しているか、ホームページや電話で確認しましょう。
- 明確な料金体系:「基本料金」だけでなく、出張費、調査費、部品代を含んだ総額の見積もりを作業前に提示してくれる業者が安心です。
- 対応エリアとスピード:地元の電気工事店や、全国対応でも近くの拠点が動いてくれるサービスを選ぶと、トラブル時にすぐ駆けつけてくれます。
- 指定工事店であるか:各地域の電力会社から認定を受けた「引込線工事請負契約店」や登録電気工事業者であれば、技術力と信頼性が担保されています。
修理代・工事の費用相場
ブレーカーの修理や交換にかかる費用の目安は以下の通りです。状況や緊急度、業者によって異なりますが、相場を知っておくと安心です。
| 作業内容 | 費用相場(工事費・部品代・出張費込) |
|---|---|
| アンペアブレーカー交換 | 8,000円 〜 15,000円 |
| 安全ブレーカー交換 | 5,000円 〜 10,000円 |
| 漏電ブレーカー交換 | 12,000円 〜 25,000円 |
| 分電盤全体の交換 | 50,000円 〜 100,000円 |
| 漏電調査・改修 | 10,000円 〜 30,000円 (範囲や難易度により大きく変動) |
※古い分電盤(20年以上経過)の場合、現在のJIS規格と合わずに部分交換ができず、全体交換が必要になるケースもあります。まずは複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
ブレーカーのトリップとは何か:まとめ
- ブレーカーのトリップとは異常電流を検知して電気を遮断する安全機能のこと
- 「落ちる」は現象を指すがトリップはブレーカーが作動した状態を指す
- トリップするとレバーが「ON」と「OFF」の中間位置で止まることが多い
- 漏電ブレーカーのボタンはテスト用または漏電表示の役割がある
- トリップの主な原因は電気の使いすぎ(過負荷)・ショート・漏電の3つ
- 原因不明の場合は経年劣化、トラッキング現象、一時的な雷サージの可能性もある
- トリップしたまま放置したり、原因不明のまま復旧させると火災や感電のリスクがある
- 復旧する際は一度レバーを完全に「OFF」側に押し下げてリセットする必要がある
- 漏電時は安全ブレーカーを一つずつ上げて、落ちる回路(場所)を特定する
- 何度上げても落ちる場合はショートの継続か機器故障、内部破損が疑われる
- 無理に復旧させようとすると配線が焼損する恐れがあるため絶対に行わない
- 修理や交換は必ず電気工事士の資格を持つ業者に依頼する
- 費用相場は部分交換で数千円〜1万円台、全体交換で5万〜10万円程度
- 古いブレーカーは誤作動を起こしやすいため、13〜15年を目安に交換を検討する
- 安全な電気使用のために、月に一度のテストボタンによる点検が推奨される