冬のリビングで、暖房の温度を25度に設定しても寒いと感じることはありませんか。暖房が暖かくならない理由や原因はさまざまですが、設定温度を上げても快適にならず、知恵袋などで対策を探している方も多いようです。
環境省が推奨する暖房温度のおすすめは20度とされていますが、20度では寒いと感じる一方、25度では暑いと感じる人もおり、暖房設定温度の平均は家庭によって異なります。暖房の温度が高い方が暖かいと思いがちですが、実際には25度の風量設定やつけっぱなしによる電気代、健康面への影響など、多くの疑問が残ります。
この記事では、暖房の温度を25度にしても寒いと感じる方へ向けた対策や対処法5選、暖房の温度を上げても寒い時の対策、そして節電しながら暖かく過ごす方法3選まで、よくある質問(FAQ)を交えながら詳しく解説します。
目次
暖房の温度を25度にしても寒い原因
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- 暖房が暖かくならない理由や原因は?
- 暖房設定温度の平均は?推奨温度
- 暖房温度のおすすめと25度の風量
- 20度は寒いが25度は暑い?
- 暖房は温度高い方が暖かいのか?
暖房が暖かくならない理由や原因は?
エアコンの暖房をつけているのに、なかなか部屋が暖かくならないと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。
まず、設定温度と実際の室温が一致していない可能性があります。エアコンは本体のセンサーで室温を感知していますが、暖かい空気は天井付近に溜まりやすいため、人が実際に生活する床付近は設定温度より低いままであることが多いのです。
次に、住宅の断熱性能が低いことが挙げられます。特に窓は熱の流出が最も大きい場所で、室内の熱の約50%以上が窓から逃げていくとされています。いくら暖房で空気を暖めても、窓や壁、床から冷気が侵入したり、暖かい空気が外へ逃げたりしていては、室温は上がりません。
また、エアコンのフィルターが汚れていると、空気を取り込んで暖める効率が著しく低下します。これにより、設定温度に達するまで余計な時間がかかり、電気代も無駄になってしまいます。室外機の周りに物が置かれていたり、雑草が生えていたりする場合も、熱交換の効率が下がる原因となります。
暖房設定温度の平均は?推奨温度とは
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暖房の設定温度については、どのくらいが適切なのか迷うところです。
環境省は、地球温暖化対策の一環である「ウォームビズ」において、暖房時の室温の目安を20℃と推奨しています。これはエネルギー消費を抑えつつ、快適さを保つための基準です。ただし、これはあくまで室温の目安であり、エアコンの設定温度そのものを指すわけではありません。
一方で、実際の一般家庭では、推奨温度よりも高めに設定されていることが多いようです。調査によれば、エアコン暖房利用者の設定温度は22℃から25℃がボリュームゾーンとなっており、平均室温も推奨よりやや高めの傾向が見られます。
以下に、推奨温度と一般的な設定温度の目安をまとめます。
温度の目安 | 温度 | 目的・背景 |
環境省推奨(室温) | 20℃ | エネルギー節約、環境負荷低減 |
一般家庭の平均(設定温度) | 22℃~25℃ | 寒さを感じないための体感的な快適性 |
就寝時(推奨) | 18℃~20℃ | 睡眠の質と節電の両立 |
このように、推奨温度と実際の平均設定温度には少し差がありますが、これは断熱性能や個人の体感温度の違いによるものと考えられます。
暖房温度のおすすめと25度の風量
暖房の温度を25度に設定しても寒い場合、風量の設定を見直すことで改善する可能性があります。
エアコンが最も電力を消費するのは、電源を入れてから設定温度に達するまでの間です。電気代を気にして風量を「弱」に設定すると、部屋が暖まるまでに時間がかかり、かえって電力を多く消費してしまうことがあります。
おすすめは「自動運転モード」の活用です。自動運転モードは、部屋が暖まるまでは強めの風量で一気に室温を上げ、設定温度に達した後は効率的な運転に切り替えて室温を維持します。人が手動で調整するよりも効率が良く、結果的に節約につながるのです。
また、風向きも重要です。前述の通り、暖かい空気は上に溜まりやすいため、エアコンの吹き出し口は「下向き」に設定しましょう。床に向かって暖かい空気を送ることで、足元から暖かさを感じやすくなり、部屋全体の温度ムラも解消されやすくなります。
20度は寒いが25度は暑い?
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「環境省推奨の20度では寒いが、25度に上げると今度は暑く感じる」という悩みもよく聞かれます。この体感温度の差には、湿度が大きく関係しています。
人は、同じ温度でも湿度が高いと暖かく、湿度が低いと寒く感じやすい性質を持っています。冬場は空気が乾燥しており、さらに暖房を使うことで室内の湿度は一層低下しがちです。
例えば、室温が20℃であっても、湿度が低いと体感温度はそれ以下になり、肌寒く感じてしまいます。一般的に、室内で快適に過ごせる湿度の目安は40%から60%とされています。もし20℃で寒いと感じる場合は、設定温度を上げる前に、まず加湿器などを使って湿度を50%前後に保つ工夫をしてみましょう。
湿度を上げることで体感温度が上がり、20℃や22℃といった低めの設定温度でも、十分に暖かく感じられる可能性があります。
暖房は温度が高い方が暖かいのか?
設定温度を上げれば上げるほど暖かく快適になるかというと、必ずしもそうとは限りません。
確かに室温は上がりますが、設定温度を25度以上に上げすぎると、さまざまなデメリットが生じる可能性があります。まず、外気温との差が大きくなるため、電気代が大幅に上昇します。財団法人省エネルギーセンターの調査によれば、暖房の設定温度を1度下げるだけで、約10%の電力消費量を削減できるとされています。
また、健康面への影響も無視できません。高い温度設定は空気を過度に乾燥させ、肌や喉の粘膜を傷め、風邪やインフルエンザのリスクを高めます。さらに、室内と室外の温度差が激しくなると、体温調節機能に負担がかかり、いわゆる「寒暖差疲労」を引き起こすこともあります。
暖かい空気が天井付近に溜まることで、頭がボーっとして足元は冷える「頭熱足寒(ずねつそっかん)」の状態にもなりやすく、快適とは言えない空間になってしまうのです。
暖房温度25度で寒い時の実践的対策
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- 暖房25度つけっぱなしの電気代
- 健康面と節電を両立する温度
- 暖房温度25度で寒い対策や対処法5選
- 温度を上げても寒い時の対策と知恵袋FAQ
- 節電しながら暖かく過ごす方法3選
- 暖房温度25度で寒いなら窓断熱を
暖房25度つけっぱなしの電気代
暖房を「つけっぱなし」にするのと「こまめにON/OFF」するのでは、どちらが電気代を節約できるのでしょうか。
これは、エアコンが最も電力を消費するのが「電源を入れてから設定温度になるまで」である点に関係します。エアコンは室温を維持する運転よりも、冷え切った部屋を暖め直す運転に大きなエネルギーを必要とします。
そのため、30分から1時間程度の短い外出であれば、電源をOFFにせず「つけっぱなし」にして室温を一定に保つ方が、電気代は安くなるケースが多いです。逆に、長時間家を空ける場合は、電源を切った方が節約になります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、お住まいの住宅の断熱性能や外気温によっても異なります。
問題は、設定温度が25度である点です。前述の通り、設定温度を1度下げるだけで約10%の節電効果が期待できます。もし25度でつけっぱなしにしている場合、設定温度自体が高いために、電気代はかさんでいると考えられます。まずは設定温度を22度前後に下げ、それでも寒さを感じるようであれば、他の対策と組み合わせることが賢明です。
健康面と節電を両立する温度
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快適な室内環境を整える上で、健康面への配慮と節電はどちらも大切です。
高すぎる温度設定(25℃以上)のリスク
室温を25℃以上に設定すると、空気が過度に乾燥しやすくなります。これにより、肌の乾燥(ドライスキン)やかゆみを引き起こすだけでなく、喉や鼻の粘膜が乾燥して防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなる恐れがあります。
低すぎる温度設定(18℃以下)のリスク
一方で、日中の活動時間帯に室温が18℃を下回るような寒い環境も健康に良くありません。寒さは血管を収縮させ、血圧が上がりやすくなるため、特に高齢者の方は心臓病や脳卒中のリスクが高まることが指摘されています。
おすすめは「室温20℃前後+湿度40~60%」
これらの理由から、健康面と節電を両立させるためには、環境省が推奨する室温20℃前後を目安にしつつ、加湿器を活用して湿度を40%から60%に保つことが理想的です。適切な湿度を維持できれば、体感温度が上がり、低めの室温でも暖かく感じやすくなります。
暖房温度25度で寒い対策や対処法5選
設定温度を25度にしても寒いと感じる場合、温度をさらに上げる前に試してほしい対策を5つご紹介します。
サーキュレーターや扇風機で空気を循環させる
暖かい空気は天井に、冷たい空気は床に溜まります。サーキュレーターや扇風機を天井に向けて稼働させ、室内の空気をかき混ぜましょう。これにより温度ムラが解消され、足元の冷えが和らぎます。
加湿器で湿度を40%~60%に保つ
空気が乾燥していると、実際の温度よりも寒く感じます。加湿器を併用して湿度を上げることで、体感温度が上昇し、暖かさを感じやすくなります。喉や肌の乾燥対策にもなります。
エアコンのフィルターをこまめに掃除する
フィルターにホコリが詰まっていると、暖房効率が著しく低下します。2週間に1回程度を目安にフィルターを掃除することで、エアコン本来の性能が発揮され、無駄な電力消費も抑えられます。
窓に厚手のカーテンや断熱シートを貼る
部屋の熱が最も逃げやすいのは窓です。カーテンを床まで届く厚手のものに替えたり、窓ガラスに市販の断熱シート(プチプチなど)を貼ったりするだけでも、外からの冷気を遮断し、室内の熱を逃がしにくくする効果があります。
エアコンの運転モードを「自動」にする
電気代を気にして「弱風」に設定すると、部屋が暖まるまでに時間がかかり非効率です。「自動運転」モードであれば、室温に応じて最適な風量や風向きをAIが判断し、最も効率よく部屋を暖めてくれます。
温度を上げても寒い時の対策と知恵袋などよくある質問FAQ
設定温度を上げ、前述の対策を試してもまだ寒い場合、他の原因が潜んでいる可能性があります。知恵袋などでよく見られる質問(FAQ)と、その対策をご紹介します。
Q. エアコンの室外機の周りは関係ありますか?
A. 大いに関係があります。暖房運転時、室外機は外の空気から熱を取り込む役割を担っています。室外機の吸込口や排出口の周りに物が置かれていたり、雪や落ち葉で塞がれていたりすると、熱交換の効率が下がり、暖房能力が低下します。室外機の周囲は常に整理整頓し、空気の通り道を確保してください。
Q. そもそも部屋が古くて寒いのですが…
A. 住宅の断熱性能そのものが低い場合、エアコンの能力だけで快適な室温を保つのは困難です。特に、古いアルミサッシの窓や、断熱材が入っていない床・壁は、冷気の侵入と熱の流出の大きな原因となります。このような根本的な問題を解決するには、断熱リフォームが最も効果的です。
節電しながら暖かく過ごす方法3選
エアコンの設定温度を必要以上に上げず、節電しながら体感温度を上げる工夫も大切です。ここでは、すぐに実践できる3つの方法をご紹介します。
- 「3つの首」を温める体には「首」「手首」「足首」という、太い血管が皮膚の近くを通っている「首」があります。この3ヶ所をネックウォーマー、アームウォーマー、レッグウォーマーなどで温めると、温められた血液が全身を巡るため、効率よく体全体を暖かく保つことができます。
- ドアやふすまを閉め、暖房空間を小さくするリビング階段や、ふすまを開け放した続きの和室などがあると、暖かい空気が広い範囲に拡散してしまいます。使っていない部屋との間のドアやふすまはこまめに閉め、暖房する空間をできるだけ小さく区切ることで、暖房効率が格段に上がります。
- 暖かい飲み物や食べ物を摂るショウガや根菜類など、体を内側から温める食材を使った飲み物や食事を摂ることも効果的です。温かいスープやハーブティーなどで、体の中から熱を生み出すサポートをしましょう。
暖房温度が25度でも寒いなら窓断熱を:まとめ
暖房の温度を25度に設定しても寒いと感じる根本的な原因が、住宅の断熱性能、特に「窓」にある場合、これまで紹介した対策は一時的なものにしかなりません。
いくらエアコンで空気を暖めても、窓から熱が逃げ、冷気が侵入し続ければ、快適な室温を維持することは難しく、電気代もかさむ一方です。
この問題を根本から解決する最も効果的な方法が「窓の断熱リフォーム」です。具体的には、今ある窓の内側にもう一つ窓を設置する「内窓(二重窓)」の取り付けや、古い窓枠ごと高断熱な窓に交換する方法があります。
窓の断熱性を高めることで、外の冷気をシャットアウトし、室内の暖かい空気を外に逃がしにくくします。これにより、暖房の設定温度を20度や22度といった低い温度にしても、部屋全体が均一に暖まり、足元の冷えも大幅に改善されるのです。
リフォームには費用がかかりますが、現在は国の補助金制度が充実しています。2025年も「住宅省エネ2025キャンペーン」の一環である「先進的窓リノベ2025事業(環境省)」などが実施されており、窓の断熱改修に対して、工事内容や窓の性能・サイズに応じて、一戸あたり最大で200万円の補助金が交付されます。
補助金の申請は個人ではなく、登録された施工業者が行うため、まずは専門の事業者に相談することをおすすめします。
- 暖房温度25度で寒い主な原因は住宅の断熱性、特に窓にある
- 暖かい空気は上に溜まるため、室温と体感温度に差が出る
- 環境省が推奨する暖房時の室温目安は20℃
- 一般家庭の平均設定温度は22℃~25℃が多い
- 設定温度を1℃下げると約10%の節電効果が期待できる
- 25℃以上の設定は乾燥を招き健康リスクを高める
- 18℃以下の室温も血圧上昇などのリスクがある
- 理想は室温20℃前後、湿度40%~60%
- 25度で寒い対策はサーキュレーターの併用が効果的
- 湿度が低いと寒く感じるため加湿器の活用がおすすめ
- フィルター掃除を怠ると暖房効率が著しく低下する
- エアコンは「自動運転モード」が最も効率的
- 風向きは「下向き」に設定し足元を暖める
- 短時間の外出なら「つけっぱなし」の方が節約になる場合がある
- 根本的な寒さ対策は「窓の断熱リフォーム」が最も効果的
- 内窓設置や窓交換で熱の流出を約5割防げる
- 「先進的窓リノベ2025事業」では最大200万円の補助金が活用できる
- 補助金申請は登録事業者が行うため専門家への相談が必要