エコキュート・給湯器

電気温水器の仕組みを図解で解説!使い方やエコキュートとの違いも

2025年10月3日

電気温水器の仕組みについて、詳しく知りたいと考えていませんか。引っ越し先の住居に設置されていたり、自宅の給湯器が電気温水器かどうかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、電気温水器とは何か、そしてエコキュートとの違いやガス給湯器との比較を通じて、その特徴を明らかにします。電気温水器のお湯が出るまでの仕組みを、構造図や内部構造に触れながら分かりやすく解説します。

また、貯湯式電気温水器の仕組みを理解した上で、電気温水器の基本的な使い方や、引っ越し先で戸惑わないための手順も紹介します。さらに、電気温水器のデメリットや、電気代が高すぎると感じる場合の理由にも踏み込みます。

ポイント

  • 電気温水器の基本的な仕組みや構造
  • エコキュートやガス給湯器との明確な違い
  • 正しい使い方と電気代を抑えるヒント
  • 知っておくべきデメリットと注意点

電気温水器の基本的な仕組みを徹底解説

電気温水器の基本的な仕組みを徹底解説

  • 電気温水器とは?エコキュートとの違い
  • 電気温水器と給湯器の違いを比較
  • お湯が出るまでの仕組みを図で解説
  • 貯湯式電気温水器の仕組みと内部構造
  • 電気温水器があるかわからない時の確認法

電気温水器とは?エコキュートとの違い

電気温水器とは、その名の通り電気の力でお湯を沸かす給湯設備の一種です。内部に搭載された電熱ヒーターに電気を流して熱を発生させ、その熱で直接水を温めるという、電気ポットに似た非常にシンプルな構造を持っています。

よく混同されがちな「エコキュート」も同じく電気でお湯を沸かす給湯器ですが、その仕組みは根本的に異なります。エコキュートは「ヒートポンプ技術」を利用し、空気中の熱を集めて、その熱を冷媒という特殊なガスに乗せて圧縮することで高温を生み出します。この高温を利用してお湯を沸かすため、電気温水器が電気エネルギーだけでお湯を作るのに対し、エコキュートは空気の熱エネルギーも活用します。

このため、エコキュートは電気温水器に比べて約3分の1程度の少ない電力でお湯を沸かすことができ、非常にエネルギー効率が高いという大きな違いがあります。

電気温水器と給湯器の違いを比較

一般的に「給湯器」というと、ガスを燃料とするガス給湯器を指すことが多いです。電気温水器とガス給湯器の最も大きな違いは、お湯を作るエネルギー源と、お湯を供給する方法にあります。

電気温水器は、前述の通り電気をエネルギー源とします。そして、主に電気料金が安い深夜電力を使ってあらかじめお湯を沸かし、貯湯タンクに溜めておく「貯湯式」が基本です。

一方、ガス給湯器はガスを燃焼させた熱を利用してお湯を作ります。蛇口をひねった瞬間に水道水を加熱して直接お湯を供給する「瞬間式」が主流であり、タンクは必要ありません。

この違いをまとめたのが以下の表です。

項目 電気温水器 ガス給湯器
エネルギー源 電気 ガス
お湯を作る方式 貯湯式(あらかじめ沸かして貯める) 瞬間式(使う瞬間に沸かす)
タンクの有無 必要 不要
設置スペース 比較的大きい コンパクト
湯切れのリスク あり なし
初期費用 やや高め 比較的安い
ランニングコスト 深夜電力利用で工夫が必要 プロパンガスは高くなる傾向

このように、それぞれにメリットとデメリットが存在するため、ライフスタイルや設置環境に合わせて選ぶことが大切です。

お湯が出るまでの仕組みを図で解説

三菱公式より引用:

電気温水器がお湯を供給する仕組みは、物理の法則に基づいたシンプルなものです。順を追って解説します。

  1. 給水まず、水道管から来た水が、タンクの下部にある給水管を通じてタンク内に供給されます。
  2. 沸き上げタンク内部に設置された電熱ヒーターに通電し、ヒーターが発熱します。この熱によってタンク内の水が温められます。温められたお湯は水の性質上、自然とタンクの上部へと移動していきます。多くの電気温水器は、電気料金の安い深夜の時間帯にこの沸き上げを自動で行います。
  3. 貯湯設定された温度(約75〜85℃)まで沸き上げられたお湯は、タンクの上部に溜まった状態で保温されます。タンクは魔法瓶のような断熱構造になっており、お湯が冷めにくくなっています。
  4. 給湯キッチンや浴室で蛇口をひねると、新たにタンク下部から給水された水の圧力(給水圧)によって、タンク上部に溜まっている熱いお湯が押し出されます。このお湯が給湯管を通り、水と混ざる混合水栓を経由して、設定した適切な温度で蛇口から出てくるという仕組みです。

貯湯式電気温水器の仕組みと内部構造

前述の通り、電気温水器は貯湯式が基本です。その内部構造は、安全かつ効率的にお湯を供給するためのいくつかの重要な部品で構成されています。

主要な構成要素は以下の通りです。

  • 貯湯タンクお湯を貯めておくための魔法瓶のような構造のタンクです。錆に強いステンレスやホーローが使われています。
  • 電熱ヒータータンク内部にあり、電気を通して発熱し、水を直接温める役割を担います。
  • 給水管・給湯管タンクに水を供給するための管と、沸かしたお湯を各所に送り出すための管です。
  • 減圧弁水道水の水圧は非常に高いため、そのままタンクに供給すると破損の原因になります。この部品で水圧を適切なレベルまで下げてからタンクに給水します。
  • 逃し弁(安全弁)水は温められると体積が膨張し、タンク内の圧力が異常に高くなることがあります。この逃し弁が、高くなりすぎた圧力やお湯を外部に排出して、タンクの破損や破裂を防ぐ重要な安全装置の役割を果たします。

これらの部品が連携して機能することで、安全にお湯を沸かし、貯めて、供給する一連の流れが成り立っています。

電気温水器があるかわからない時の確認法

ご自宅の給湯システムが電気温水器なのか、それとも他の種類なのかわからない場合、いくつかの簡単な方法で確認できます。

まず、屋外を確認してみましょう。建物の脇などに、人の背丈ほどの大きさの四角い、あるいは円筒形のタンクが設置されていれば、それは貯湯式の給湯器です。このタンクの近くにエアコンの室外機のような「ヒートポンプユニット」があればエコキュート、なければ電気温水器である可能性が高いです。ガス給湯器は通常、壁に取り付けられたコンパクトな箱型の機器なので、見た目で大きく異なります。

次に、家の中の分電盤(ブレーカー)を確認する方法があります。「電気温水器」や「温水器」といった専用のブレーカーがあれば、電気温水器が設置されている証拠です。

また、電力会社からの電気使用量の明細書(検針票)も手がかりになります。「深夜電力」や「時間帯別電灯」といった契約になっていれば、夜間にお湯を沸かす電気温水器やエコキュートが使われていると考えられます。

これらの方法で確認しても不明な場合は、建物の管理会社や大家さん、不動産会社に問い合わせるのが最も確実です。

電気温水器の仕組みを理解して節電・節約

電気温水器の仕組みを理解して節電・節約

  • 電気温水器の基本的な使い方
  • 引っ越し先での電気温水器の使い方
  • 知っておきたい電気温水器のデメリット
  • 電気温水器の電気代が高すぎる原因

電気温水器の基本的な使い方

電気温水器は、基本的にマイコンが学習し、毎日の使用湯量に合わせて深夜に自動で沸き上げを行うため、普段の生活で特別な操作は必要ありません。蛇口をお湯側にひねるだけで、いつでもお湯を使うことができます。

ただし、来客などで通常より多くのお湯を使いたい日には、手動で追加の沸き上げ(沸きまし)を行う必要があります。リモコンには「満タン沸きまし」や「上部沸きまし」といったボタンがあり、これを押すことで昼間の時間帯でもお湯を沸き増しすることが可能です。「満タン沸きまし」はタンク全体を沸かすため時間はかかりますが、湯量を気にせず使えます。

逆に、旅行などで数日間家を留守にする場合は、沸き上げを停止する設定が便利です。リモコンの「沸き上げ停止」や「停止日数」といったボタンで、指定した日数だけ自動沸き上げを休止させ、無駄な電気代を節約できます。設定した日数が経過すれば、自動的に沸き上げを再開します。

引っ越し先での電気温水器の使い方

引っ越し先で初めて電気温水器を使う場合、いくつかの初期設定が必要です。これを怠るとお湯が使えない、あるいは機器の故障に繋がる可能性もあるため、手順に沿って正しく作業しましょう。

  1. 各種確認まず、分電盤の温水器用ブレーカーと、温水器本体にある漏電遮断器が「切」になっていることを確認します。また、温水器本体の下部などにある排水栓がしっかりと閉まっていることも確かめてください。
  2. タンクを満水にする次に、タンクに水を満たします。温水器の給水栓(止水栓)を開き、タンク上部にある逃し弁のレバーを上げます。蛇口から「シュー」という空気の抜ける音がし、やがて水が連続して出てきたらタンクが満水になった合図です。満水になったら逃し弁のレバーを元に戻し、給水栓は開けたままにしておきます。
  3. 電源を入れるタンクが満水になったことを確認したら、分電盤のブレーカー、次に温水器本体の漏電遮断器の順に「入」にします。
  4. リモコンの設定電源が入るとリモコンが表示されますので、現在時刻を正確に合わせます。時刻がずれていると、電気料金の安い夜間に正しく沸き上げができないため、この設定は非常に大切です。

以上の設定が完了すると、その日の夜から自動で沸き上げが開始され、翌朝からお湯が使えるようになります。

知っておきたい電気温水器のデメリット

電気温水器には多くのメリットがありますが、導入を検討する上で知っておくべきデメリットもいくつか存在します。

第一に、貯湯タンクを設置するための広いスペースが必要になる点です。特に都市部の住宅では、この設置スペースが確保できずに導入を断念するケースもあります。

第二に、お湯を使いすぎると「湯切れ」を起こす可能性があることです。タンクに貯めたお湯をすべて使い切ってしまうと、次の沸き上げが完了するまでお湯が使えなくなります。急な来客が多いご家庭では注意が必要です。

第三に、夜間に運転音がすることです。深夜に沸き上げを行うため、寝室の近くに設置すると運転音が気になってしまう可能性があります。音の大きさは図書館内と同程度とされていますが、静かな環境では響くことも考えられます。

第四に、タンクに貯めたお湯は飲用には適していない点です。水道水に含まれる殺菌用の塩素が沸き上げによって抜けてしまうため、そのまま飲むことは推奨されていません。

最後に、ガス給湯器と比較して初期費用が高くなる傾向があることも、デメリットとして挙げられます。

電気温水器の電気代が高すぎる原因

電気温水器を使用していて「電気代が高すぎる」と感じる場合、いくつかの原因が考えられます。

最も大きな理由は、エコキュートと比較してエネルギー効率が劣る点です。前述の通り、電気温水器は電熱ヒーターで直接水を温めるため、消費電力が大きくなります。空気の熱を利用するエコキュートに比べると、同じ量のお湯を沸かすのにより多くの電気を必要とするため、ランニングコストは高くなる傾向があります。

また、使い方にも原因があるかもしれません。電気料金が割高な昼間の時間帯に「沸きまし」機能を多用していると、電気代は一気に跳ね上がります。来客時など、やむを得ない場合を除き、昼間の沸きましは最小限に抑えるのが賢明です。

さらに、電力会社との契約プランがライフスタイルに合っていない可能性も考えられます。電気温水器は深夜電力の利用を前提としているため、「時間帯別電灯契約」などが適しています。もし通常の従量電灯契約のままで使用していると、大きな節約効果は得られません。

古い電気温水器の場合、経年劣化によって断熱性能が落ち、保温に必要な電力が増えていることも原因の一つです。

電気温水器の仕組みを理解し節約しよう:総括

  • 電気温水器はタンク内の電熱ヒーターで水を直接加熱する仕組み
  • エコキュートは空気の熱を利用するヒートポンプ式でより高効率
  • ガス給湯器は使う瞬間に沸かす瞬間式で湯切れの心配がない
  • 基本的にお湯は電気代が安い深夜に自動で沸き上げる
  • タンクは魔法瓶構造で保温される
  • お湯は給水圧によってタンク上部から押し出される
  • 来客時などはお湯の使用量が増えるため手動での沸き増しが必要
  • 昼間の沸き増しは電気代が高くなるため多用は避ける
  • 数日間留守にする際は沸き上げ停止機能で電気代を節約できる
  • 引っ越し後はタンクを満水にしてから電源を入れる手順が大切
  • お湯を使いすぎると湯切れを起こす可能性がある
  • タンクのお湯は塩素が抜けているため飲用には適さない
  • 災害時にはタンク内の水を生活用水として活用できる
  • 電気代が高いと感じる場合は使い方や電力契約プランを見直す
  • 電気温水器の仕組みを正しく理解することが賢い利用と節約の鍵となる
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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