室内ドアを開け閉めするたびに「ギーッ」「ズズズ…」と床に擦れる音、非常に気になりますよね。
この不具合は、単に不快なだけでなく、放置すると大切なご自宅の床やドア本体を大きく傷つける原因にもなります。多くの場合、この問題はドアが床に擦れる原因を正確に特定し、適切なドアの床に擦れる調整を行うことでご自身でも解決が可能です。
しかし、ドアが床に擦れるのを放置するリスクと危険性もあり、早めの対処が肝心です。特に、ご自宅の蝶番がDIYでの調整ができないタイプであったり、賃貸物件でドア 床 に 擦れるトラブルが発生したりすると、どう対応すべきか悩む方も多いでしょう。
また、トステム(現LIXIL)やパナソニック製のドアは、独自の高機能な蝶番を使用していることが多く、ドア床に擦れる調整方法が一般的なものと異なる場合があります。
ドアの傾き調整や、ドア蝶番の調整上下(ドア調整 上下)の方法をインターネットで調べて試そうとしても、お使いの蝶番が調整できないタイプ、特に上下調整ができないドア 蝶番 調整できないタイプ 上下である可能性も否定できません。
調整で直らない・調整できないタイプの場合や、自分で試みて「ドア 床に擦れる 調整できない」と感じた時の具体的な対処法も含め、この記事では室内ドアが床に擦れる問題について、よくある質問(FAQ)にもお答えしながら、総合的に解説していきます。
目次
ドアが床に擦れる調整の基本と原因

ドアが床に擦れる問題に対処する第一歩は、なぜ擦れが発生しているのか、その根本原因を知ることです。
原因が分かれば、適切な調整方法も見えてきます。ここでは、主な原因と、それを放置した場合のリスクについて詳しく解説します。
- ドアが床に擦れる原因
- ドア 床 に 擦れる 放置するリスクと危険性
- 室内ドアが床に擦れる時のドア傾き調整
- ドア蝶番調整上下とドア調整上下の方法
- トステム・パナソニックのドア床に擦れる調整
ドアが床に擦れる原因
ドアが床に擦れる現象には、いくつかの複合的な原因が考えられます。最も一般的で、かつご自身での対処が期待できるのは、「蝶番(ちょうばん)のネジの緩み」です。
室内ドアは、軽いものでも10kg以上、防音タイプや無垢材のドアなどでは20kgを超える重さがあります。その重さを、わずか数点(通常は2〜3点)の蝶番とネジだけで支えています。ドアは毎日何度も開閉されるため、その開閉時の振動やドア自体の重み(引力)が少しずつネジに伝わり、時間とともに緩みが生じてしまうのです。
ネジが緩むと、ドア本体の重みでドア全体が傾きます。特に蝶番から最も遠い「ドアノブ側」が、テコの原理で垂れ下がるように傾き、結果としてドアノブ側の下角が床に擦れやすくなります。
主な4つの原因リスト
- 蝶番のネジの緩み: 最も多い原因。日々の開閉振動とドアの自重で徐々に緩みます。これが原因であれば、増し締めで改善することが多いです。
- 蝶番自体の摩耗や劣化: 長年(10年以上)使用することで、蝶番の軸(ピン)や可動部が金属疲労ですり減り、部品同士に「ガタ」が生じます。このガタが傾きとなり、ドアを正しい位置で支えきれなくなります。
- ドアや床の変形(膨張・収縮): 日本の気候特性(梅雨時の多湿、冬の乾燥)が大きく影響します。木製のドアや床材(フローリング)が湿気を吸って膨張し、乾燥して収縮するサイクルを繰り返すうちに反りや歪みが生じ、これまで保たれていた隙間がなくなることがあります。
- 建物自体の歪み: 地震の影響はもちろん、近隣での大規模な工事の振動、地盤沈下、あるいは家の経年劣化(構造材の乾燥収縮)により、建物自体(柱や壁)がわずかに歪むことがあります。その結果、ドア枠自体が変形し、ドアが正常に開閉できなくなるケースです。
建物自体の歪みに注意
もし、家の複数のドアや窓で同時に開閉の不具合が発生したり、蝶番を調整しても数ヶ月ですぐに擦れが再発してしまう場合は、建物自体の歪みが原因である可能性が疑われます。この場合はDIYでの調整では根本解決にならず、専門の工務店やリフォーム会社による「家屋診断」が必要になることもあります。
ドアが床に擦れるのを放置するリスクと危険性
ドアが床に擦れるのを「少し擦るだけだから」「音がするだけ」と放置しておくことは、非常に危険です。その小さな不具合が、より大きなトラブルや高額な修繕費用に発展する可能性があります。
まず最も分かりやすい影響は、床材とドア本体への修復困難なダメージです。擦れ始めはワックス層の小さな擦り傷でも、毎日の開閉でその傷は深く、広くなっていきます。フローリングの表面の化粧板や突き板が完全に削れてしまい、下地が露出することも珍しくありません。
この状態になると、簡易的な補修(リペア)では隠しきれず、広範囲の張り替えが必要になる可能性があり、修理費用も高額になります。
放置による重大なリスク
- 床とドアの深刻な損傷: フローリングやドアの底面が深く削れ、見た目だけでなく資産価値も損なう修復が難しい傷が残ります。特にドア底面の塗装が剥がれると、そこから湿気を吸い込み、ドア本体のさらなる反りや変形を誘発します。
- 蝶番のさらなる破損: 傾いたまま無理な力で開閉を続けると、蝶番にテコの原理で過度な負担が集中します。これにより、蝶番が変形したり、蝶番を固定しているネジ穴が負荷に耐えきれずに「バカ穴(ネジが効かない状態)」になったりして、最終的に破損につながります。
- ドアの脱落事故: 最も危険なのが、蝶番が完全に破損し、重いドアが突然外れて倒れてくる危険性です。開閉の瞬間に倒れてきた場合、大人が受け止めるのも困難な重量であり、もし小さなお子様やペットが近くにいれば、重大な事故につながる恐れもあり、絶対に放置してはいけません。
このように、小さな不具合が大きなトラブルに発展する前に、早期の対処が重要です。「そのうち直そう」ではなく、気付いた時点ですぐに行動を起こすことを強くお勧めします。
室内ドアが床に擦れる時のドア傾き調整
室内ドアが床に擦れる場合、その多くはドアが傾いていることが原因です。この傾きは、近年の住宅で標準的に使用されている「三次元調整蝶番」の調整機能を使うことで補正できる場合があります。
三次元調整蝶番とは、その名の通り、ドアの位置を「左右(水平方向)」「前後(ドアと枠の隙間)」「上下(高さ)」の3方向に微調整できるネジが付いている高機能な蝶番です。この機能により、建付けのわずかな狂いを修正できます。
まず、ドアをゆっくり開閉させ、どの部分が擦れているかを正確に確認しましょう。
床との隙間に薄い紙や名刺などを挟んでみて、どこで抵抗が強くなるかを見るのも良い方法です。例えば、「ドアノブ側の下角」が床に擦れている場合、ドア全体がドアノブ側に傾いている(垂れ下がっている)と判断できます。
傾き調整の基本(左右調整)
ドアノブ側が下がっている(垂れている)場合、以下の調整を試みます。
- まず、蝶番のカバーを外します(手でスライドさせるタイプか、マイナスドライバーで慎重にこじ開けるタイプが多いです)。
- 多くの場合、上下2箇所(または3箇所)の蝶番に「左右調整ネジ」があります。
- 上側の蝶番の「左右調整ネジ」を回し、ドアを吊元側(蝶番側)に少し寄せます。(例:時計回りに半回転)
- 下側の蝶番の「左右調整ネジ」を回し、ドアをドアノブ側に少し出します。(例:反時計回りに半回転)
これにより、傾いていたドアが補正され、床との隙間が均等になることがあります。作業は一気に行わず、「ネジを90度(1/4回転)回してはドアを開閉し、擦れ具合を確認する」という手順を繰り返すのが成功のコツです。
準備する道具
調整作業には、ネジの規格に合った工具が必要です。ご自宅の蝶番をよく観察してください。
- プラスドライバー: ほとんどの場合、ネジの頭に合った「2番サイズ(PH2)」のプラスドライバーが適合します。1番(小さい)や3番(大きい)ではネジ山を潰す(ナメる)原因になるため、サイズの合ったものを使用してください。
- 六角レンチ(アレンキー): 製品によっては、調整ネジが六角穴になっている場合があります。その場合は適合するサイズの六角レンチが必要です。
ドア蝶番調整上下とドア調整上下の方法
前述の「傾き」ではなく、ドア全体が均一に下がっており、ドアの下部全体が床に擦れている場合は、「上下調整」が必要になります。これは、長年の使用で蝶番の軸が摩耗した場合や、家全体のわずかな沈下で発生することがあります。
上下調整ネジは、製品によって異なりますが、多くの場合、最も下側(または上下両方)の蝶番に設けられています。これも蝶番のカバーを外すと、調整ネジが見えることが一般的です。上下調整専用のネジ穴があるタイプや、蝶番の軸(ピン)の先端や底面にネジがあるタイプなど様々です。
上下調整ネジは、一般的に「時計回り(右回り)」に回すとドアが上がり、「反時計回り(左回り)」に回すとドアが下がるように設計されていることが多いです。ただし、これも製品によるため、少し回してみてドアがどちらに動くかを確認しながら作業してください。
作業時の注意点
調整作業を行う際は、工具で部品を傷つけないよう注意するだけでなく、何よりも安全に注意して進める必要があります。特に上下調整はドアの重量が直接かかる部分の操作です。
安全のための最重要注意事項
- 固定ネジを緩めすぎない: 調整ネジ(上下・左右・前後)を回す前に、蝶番本体をドア枠やドア本体に固定している「固定ネジ」を少しだけ(例:90度ほど)緩める必要がある場合があります。これは調整ネジをスムーズに動かすための「遊び」を作るためです。しかし、この固定ネジを完全に外したり、すべての蝶番で同時に緩めすぎたりすると、ドアの全重量が調整ネジにかかり、最悪の場合、ドアが突然外れて脱落する危険があります。
- 必ず2人以上で作業する: 室内ドアとはいえ、10kg〜20kgの重量物です。万が一の脱落事故を防ぐため、調整作業は必ず2人以上で行い、1人がドアノブを持ち上げてドアをしっかりと支え(重量を蝶番から逃がし)、もう1人がネジを操作するようにしてください。
- 少しずつ調整する: ネジは一気に回さず、90度ずつ回してはドアの開閉を確認するなど、微調整を繰り返すことが重要です。
トステム・パナソニックのドア床に擦れる調整
一口に蝶番の調整と言っても、国内の主要な建材メーカーや製品モデルによって、蝶番の形状や調整方法が大きく異なります。代表的なメーカーであるトステム(現LIXIL)やパナソニックの製品も例外ではありません。
トステム(LIXIL)のドアでは、調整ネジがプラスチック製のカバーで巧妙に隠されていることが多いです。このカバーの外し方自体がモデルによって異なり、横にスライドさせるタイプ、上下のツメで固定されていてマイナスドライバーなどで慎重にこじ開けるタイプなど様々です。無理に外そうとするとカバーが割れる原因になります。
パナソニックのドアも同様に、「旗蝶番(はたちょうばん)」と呼ばれるシンプルな形状のものから、外から蝶番が一切見えない高級仕様の「隠れ蝶番(コンシールドヒンジ)」など、多様な種類が存在します。それぞれ調整ネジの位置や回す方向が全く異なるため、見た目だけで判断するのは困難です。
必ずメーカー公式サイトの情報を確認しましょう
最も確実な方法は、ご自宅のドアの取扱説明書を確認することです。もし手元にない場合でも、各メーカーの公式サイトで、ドアの調整方法が動画やPDFで詳しく解説されています。ご自宅の蝶番の形状と見比べながら、正しい手順を確認してください。
自己流で調整して悪化させる前に、必ず正しい情報を確認することが、結果的に最も安全で早い解決策となります。
ドアが床に擦れるけど調整が困難なケース

蝶番の調整を試みても、状況が改善しない、あるいはそもそも調整するネジが見当たらない場合もあります。
ここでは、DIYでの調整が困難なケースとその対処法について詳しく解説します。
- ドア蝶番が調整できないタイプと上下の確認
- 調整できない時の対処
- 調整で直らない・調整できないタイプの場合
- 賃貸物件の対応とFAQ
ドア蝶番が調整できないタイプと上下の確認
ご自宅のドアが古い場合(例:築20年以上)や、特定のデザイン(アンティーク調、和室の板戸など)の場合、調整機能が一切ない旧来の蝶番が使われていることがあります。
これらの蝶番は、ドライバーで回せるような調整ネジ(プラスネジや六角穴)が見当たりません。主な種類としては、2枚の薄い金属板を軸(ピン)でつないだだけの「平蝶番(ひらちょうばん)」や、ドア側と枠側にそれぞれ差し込む「差し込み蝶番」、軸が長く目立つ「旗蝶番(の古いタイプ)」がこれに該当します。
調整できない蝶番の見分け方
- 蝶番にプラスチック製のカバーが付いていない、またはカバーを外しても調整用のネジが見当たらない。
- 構造が非常にシンプルで、ドアを開閉させるための軸(ピン)だけで構成されている。
- ネジが見える場合でも、それは蝶番自体を木枠やドアに固定するための「木ネジ」のみである。
特に、これらのタイプは上下調整ができないものがほとんどです。ドア全体が下がって床に擦れる場合、調整ネジでの対処は不可能です。
応急処置として、ドアを一度持ち上げて外し、蝶番の軸に専用のワッシャー(座金)を挟み込んで物理的に高さを稼ぐ方法もありますが、これはあくまで一時しのぎです。ドアが持ち上がることで、今度はドアの上部が枠に当たる可能性もあり、根本的な解決とは言えません。
調整機能がない蝶番で不具合(傾きや下がり)が出た場合は、蝶番自体の交換が基本的な修理方針となります。
調整できない時の対処
「調整ネジを回しても擦れが直らない」「そもそも調整機能がない」など、ドア 床 に 擦れる 調整 できない状況に直面した際は、無理に作業を続けるのは禁物です。状況を悪化させるだけかもしれません。
まずは、調整で直らない理由を冷静に分析してみましょう。
調整できない・直らない理由のチェックリスト
- 調整範囲の限界: 蝶番の調整ネジを(左右または上下に)最後まで回しきっても、傾きや下がり幅が大きすぎて補正しきれない。これは、家の歪みが蝶番の調整可能範囲を超えている可能性を示唆します。
- 蝶番の破損: 調整機能以前に、蝶番自体が摩耗や破損でガタガタになっている。この場合、いくら調整しても固定されません。
- 調整以外の原因: 前述の通り、梅雨時などで湿気によるドアや床の「膨張」が原因の場合、蝶番の調整では直りません。この場合、乾燥する季節(秋・冬)になれば自然と直ることもあります。
- 固定ネジ穴の破損(バカ穴): 調整ネジではなく、蝶番を壁やドアに固定している「木ネジ」が緩んでいるだけの場合もあります。しかし、締め直そうとしても手応えがなく空回りする場合、ネジ穴が広がって「バカ穴」になっています。(※この場合、一度ネジを抜き、ネジ穴に木工用ボンドと爪楊枝や割り箸の削りカスなどを詰めて乾燥させ、再度ネジを締め直すという補修方法もありますが、DIYに慣れていない方には推奨しません。)
これらの原因を特定できないまま無理に調整ネジを回し続けると、ネジ山が潰れて(いわゆる「ナメる」状態)、二度と調整できなくなる可能性もあり、かえって修理費用が高くつくことになります。
調整で直らない・調整できないタイプの場合
蝶番の調整機能がない、または調整範囲を超えても擦れが改善しない場合、対処法はより専門的な作業になります。DIYでの難易度は格段に上がります。
対処法1:蝶番の交換
蝶番自体が劣化・破損している場合や、調整機能のない蝶番から調整機能付きのものに変更したい場合は、蝶番の交換を行います。DIYでも不可能ではありませんが、ドアを一度完全に取り外す必要があります。
ドアは非常に重いため、作業は危険を伴います。また、新しい蝶番を取り付ける際、元のネジ穴が使えない場合は、正確に垂直・水平を出しながら新しい取り付け位置を決める(「墨出し」や「下穴開け」)必要があり、少しでもずれると、かえって開閉できなくなるリスクもあります。
対処法2:ドアや床を削る
湿気による膨張などで物理的に隙間がなく、調整ではどうにもならない場合、最終手段として擦れている部分(主にドアの底面)をカンナや紙ヤスリ、専用の工具で削る方法もあります。
削る作業の重大な注意点
この方法は、一度削ると二度と元に戻すことができません。
削りすぎると隙間が大きくなりすぎて不格好になるほか、ドアの表面塗装が剥がれて見栄えが悪くなり、そこからさらに湿気を吸い込みやすくなる悪循環に陥ることもあります。
賃貸物件では絶対に許可なく行ってはいけません。(原状回復義務違反となります)
DIYでの作業としてはリスクが非常に高いため、自信がない場合は避けるべきです。
対処法3:専門業者への依頼
最も安全かつ確実な方法は、プロに相談することです。リフォーム会社、工務店、または「建具屋(たてぐや)」と呼ばれるドア専門の業者に相談しましょう。費用はかかりますが、原因を正確に診断し、最適な方法(調整、交換、削り加工など)で確実に修理してもらえます。
業者依頼時の費用目安(参考)
| 作業内容 | 費用相場(部品代・工賃込) | 備考 |
|---|---|---|
| 蝶番の調整のみ | 約5,000円 ~ 15,000円 | 出張費・作業費が主。短時間で終わることが多い。 |
| 蝶番の交換(2~3箇所) | 約15,000円 ~ 40,000円 | 新しい蝶番の部品代と、取り付け工賃。 |
| ドア本体の削り加工 | 約10,000円 ~ 30,000円 | ドアを一度取り外し、工場で削って再塗装する場合などは高額になることも。 |
※上記はあくまで目安です。ドアの種類(無垢材、防音など)や状態、業者によって費用は大きく変動します。必ず事前に見積もりを取得してください。
賃貸物件の対応とFAQ
賃貸マンションやアパートにお住まいの方にとって、ドア 床 に 擦れるトラブルは特に慎重な対応が求められます。なぜなら、絶対に自己判断で修理や加工を行ってはならないからです。
最優先すべき行動は、ただ一つ。「大家さん」または「管理会社」に速やかに連絡することです。
建物や室内の設備はすべて大家さんの所有物です。入居者には「原状回復義務」がありますが、同時に「善良な管理者の注意をもって(善管注意義務)」使用する義務もあります。不具合を放置した結果、床やドアに深刻な傷がついた場合、その責任を問われる可能性すらあります。
経年劣化 vs 故意・過失
賃貸物件のトラブルでは、「経年劣化(普通に使っていて発生した不具合)」か「入居者の故意・過失」かが焦点になります。
- 経年劣化: ネジの自然な緩み、蝶番の摩耗、建物の自然な歪みなど。これは基本的に貸主(大家さん)の負担で修理されます。
- 故意・過失: ドアにぶら下がる、物を強くぶつけて壊した、ペットが傷つけた、DIYで修理しようとして壊したなど。この場合は入居者の負担で修理となります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」においても、建具の不具合(ネジの緩みなど)や、地震で発生した歪みなどは、経年劣化または不可抗力として扱われるのが一般的です。
| よくある質問(FAQ) | 回答 |
|---|---|
| Q. 蝶番の簡単な調整(ネジ締め)もダメ? | A. 軽微な調整(緩んだネジを締める程度)であれば許容されることもありますが、万が一にも部品を破損させたり、状況を悪化させたりした場合、「入居者の過失」と判断されるリスクがゼロではありません。トラブル回避のためには、まず管理会社に「ドアが擦れるので調整してもらえないか」と連絡するのが最も安全です。 |
| Q. 費用負担はどうなりますか? | A. 前述の通り、普通に使っていて発生した経年劣化(ネジの緩み、蝶番の老朽化など)であれば、大家さん(貸主)負担で修理されるのが原則です。入居者が費用を負担する必要はありません。 |
| Q. 調整できない蝶番だった場合は? | A. 蝶番の交換やドアの削り加工が必要になる可能性が高いため、これは間違いなく専門業者の作業範囲です。必ず管理会社経由で業者を手配してもらい、修理に立ち会ってください。DIYでの対応は厳禁です。 |
まとめ:ドアが床に擦れる調整のポイント
ドアが床に擦れる問題は、早期発見・早期対処が鍵となります。
放置すればするほど、床やドア本体へのダメージが深刻化し、修理も大掛かりになります。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- ドアが床に擦れる主な原因は蝶番のネジの緩み
- 放置すると床やドア本体を傷つけ、最悪の場合ドアが脱落する危険性がある
- 調整機能付きの蝶番(三次元調整蝶番)なら自分で調整できる可能性がある
- 調整の基本は「左右」「前後」「上下」の3方向のネジを見つけること
- ドアノブ側が下がっている場合は「左右調整」を試みる
- ドア全体が下がっている場合は「上下調整」を行う
- 調整ネジは一気に回さず、少しずつ動かして開閉を確認する
- 安全のため、作業は必ず2人以上でドアを支えながら行う
- 固定ネジを緩めすぎるとドアが外れる危険があるため細心の注意を払う
- トステム(LIXIL)やパナソニックなどメーカーによって蝶番の仕様が大きく異なる
- 作業前には必ずメーカーの取扱説明書や公式サイトで正しい調整方法を確認する
- 古いタイプの蝶番(平蝶番など)には調整機能がない場合がある
- 調整機能がない、または調整しても直らない場合は無理をせず専門家に相談する
- 調整できない原因として、蝶番の破損や湿気による膨張、家の歪みも考えられる
- 賃貸物件の場合は、絶対に自分で修理・加工せず、まず管理会社や大家に連絡する
- 賃貸物件の経年劣化による不具合は、原則として貸主負担で修理される
- DIYでの修理が難しいと感じたら、リフォーム会社や建具屋などの専門業者に依頼するのが最も安全で確実