エコキュート・給湯器

追い焚きと足し湯はどっちが安い?エコキュートの節約術をプロが解説

2025年9月29日

お風呂の光熱費を少しでも抑えたいと考えたとき、「追い焚きと足し湯はどっちが安いの?」と疑問に思ったことはありませんか。特にエコキュートをお使いの家庭では、この選択が日々の電気代に大きく影響します。

追い焚きと足し湯のコストやメリット・デメリットを正しく理解しないまま何となく使っていると、知らないうちに損をしているかもしれません。この記事では、追い焚きと足し湯の電気代の違いを明確にし、追い焚きや高温足し湯の注意点についても詳しく解説します。

エコキュートの追い焚きとは何か、そしてエコキュートの足し湯とはどういう仕組みなのか、という基本から、具体的なお風呂の節約効果がわかる早見表、さらには多くの人が抱くよくある質問まで、網羅的にご紹介します。

追い焚きと足し湯、どっちが安いかエコキュートでの正解を知り、今日から賢い節約を始めましょう。

ポイント

  • 追い焚きと足し湯の基本的な仕組みとコストの違い
  • エコキュートで追い焚きと足し湯のどちらが経済的か
  • 状況に応じた効果的な節約方法と使用上の注意点
  • 光熱費を抑えるための具体的な使い方やポイント

追い焚きと足し湯どっちが安い?基本を比較

追い焚きと足し湯どっちが安い?基本を比較

  • エコキュートの追い焚きとは
  • エコキュートの足し湯とは
  • 追い焚きのコストとメリット・デメリット
  • 足し湯のコストとメリット・デメリット
  • 追い焚きでかかる電気代
  • 足し湯でかかる電気代

エコキュートの追い焚きとは

エコキュートの追い焚き機能は、浴槽内のぬるくなったお湯を、新しくお湯を足すことなく温め直す仕組みです。

具体的には、浴槽の循環口から冷めたお湯を吸い込み、配管を通じてエコキュートの貯湯タンクユニットへ送ります。そこで、貯湯タンク内にある熱いお湯の熱を熱交換器を介して受け取り、温められたお湯が再び浴槽へ戻されます。

このプロセスの大きな特徴は、浴槽のお湯と貯湯タンクのお湯が直接混ざらない点です。衛生面を心配される方もいますが、それぞれ独立した配管を使っているため、タンク内の清潔なお湯が汚れることはありません。追い焚きは浴槽内のお湯を再利用するため、水道代はかかりませんが、お湯を循環させるポンプや熱交換の過程で電力を消費します。

エコキュートの足し湯とは

エコキュートの足し湯、特に「高温足し湯」と呼ばれる機能は、ぬるくなった浴槽に貯湯タンクから直接熱いお湯を加えて、全体の温度を上げるシンプルな方法です。

追い焚きがお湯を循環させて温めるのに対し、足し湯はタンク内に蓄えられている高温のお湯をそのまま浴槽に供給します。このため、浴槽のお湯は増えますが、新しく清潔なお湯が追加されることになります。

この方法では、お湯を足すという動作自体には大きな電力は使いません。コストの大部分は、あらかじめ夜間の安い電力を使って沸かしておいたお湯そのものということになります。手軽にお湯を温められる一方で、貯湯タンクのお湯を直接消費するため、使いすぎると湯切れの原因になる可能性も考慮する必要があります。

追い焚きのコストとメリット・デメリット

追い焚き機能は便利ですが、そのコストと特性を理解して使うことが大切です。

追い焚きのコスト

追い焚きの一番のコストは、お湯を温める際に消費する電気代です。エコキュートは電気料金が安い深夜にお湯を沸かすことで節約を実現していますが、追い焚きは電気料金が高い日中に行うことが多いため、割高な電気を使うことになります。また、貯湯タンクの熱を利用するため、タンク内のお湯の温度が下がり、それを再び沸かすための電力も間接的に必要です。

メリット

  • 水道代がかからない:浴槽のお湯を循環させるため、新たな水道代は発生しません。
  • 浴槽の湯量が変わらない:お湯を足さないので、湯量が増えて溢れる心配がありません。
  • ボタン一つで手軽:リモコン操作だけで簡単にお湯を温め直せます。

デメリット

  • 電気代が割高になる:電気料金が高い昼間に電力を使うため、コストがかさみます。
  • 衛生面への配慮が必要:同じお湯を循環させるため、汚れや雑菌が気になる場合があります。
  • 入浴剤に制限がある:配管の詰まりや腐食を避けるため、メーカーが推奨していないにごり湯タイプや硫黄成分を含む入浴剤は使えません。

足し湯のコストとメリット・デメリット

足し湯は追い焚きとは異なる特徴を持っており、特にエコキュートではコスト面で有利な場合が多いです。

足し湯のコスト

高温足し湯の主なコストは、消費する「お湯」そのものです。このお湯は、電気料金が安い深夜電力で効率よく沸かされた貯湯タンクのお湯です。したがって、お湯を足す行為自体にかかる日中の電気代はごくわずかです。ただし、新たにお湯を追加するため、その分の水道代はかかります。

メリット

  • 電気代が安い:割高な日中の電力をほとんど使わず、安価な深夜電力で沸かしたお湯を使うため経済的です。
  • 衛生的:貯湯タンクから新しく清潔なお湯が供給されるため、気持ちよく入浴できます。
  • お湯が早く温まる:高温のお湯を直接加えるため、比較的短時間で浴槽全体が温まります。

デメリット

  • 湯切れのリスク:貯湯タンクのお湯を直接消費するため、使いすぎるとお湯がなくなってしまう「湯切れ」の可能性があります。
  • 湯量が増える:お湯を足す分、浴槽の水位が上がるため、人が入るとお湯が溢れてしまうことがあります。
  • やけどの注意:循環口から高温のお湯が出てくるため、小さなお子さんがいる場合は注意が必要です。

追い焚きでかかる電気代

追い焚きでかかる電気代は、いくつかの要因によって決まります。まず、お風呂のお湯がどれだけ冷めているかという「温度差」が大きな要素です。温度差が大きいほど、温め直すのにより多くのエネルギー、つまり電力が必要となります。

最も重要なポイントは、エコキュート向けの電気料金プランの多くが「昼間の電気代は高く、夜間は安い」という設定になっていることです。家族の入浴時間が空いてしまい、日中に追い焚き機能を使うと、この割高な電気料金が適用されてしまいます。

追い焚き1回あたりの具体的な電気代は一概には言えませんが、お湯を循環させるポンプの電力と、貯湯タンクの熱を利用したことで下がった温度を補うための沸き増しにかかる電力を合わせると、足し湯よりもコストは高くなる傾向にあります。節約を考えるなら、日中の追い焚きはなるべく避けるのが賢明です。

足し湯でかかる電気代

「足し湯」でかかる電気代は、追い焚きとは考え方が異なります。高温足し湯の操作自体は、お湯を送り出すためのポンプをわずかに動かすだけなので、その瞬間に消費する電力は非常に小さいものです。

足し湯の本当のコストは、使用する「お湯」にあります。エコキュートは、電気代の安い深夜にまとめてお湯を沸かし、タンクに貯めています。つまり、足し湯で使うお湯は「深夜の安い電気で作られたストック」なのです。

したがって、日中に足し湯をしても、割高な昼間の電気を使ってお湯を沸かしているわけではありません。コストとしては、深夜電力で沸かした分のお湯代と、追加した分の水道代ということになります。この仕組みが、エコキュートにおいて足し湯の方が追い焚きよりも電気代の観点から安くなる大きな理由です。ただし、タンクのお湯という限りある資源を使う点は忘れてはなりません。

追い焚きと足し湯どっちが安い?エコキュート編

追い焚きと足し湯どっちが安い?エコキュート編

  • 追い焚きと足し湯どっちが安いかエコキュート比較
  • お風呂の節約効果【早見表】
  • 追い焚き・高温足し湯の注意点
  • 追い焚きと足し湯に関するよくある質問
  • 総括:追い焚きと足し湯どっちが安いか

追い焚きと足し湯どっちが安いか比較

エコキュートを使用している家庭において、「追い焚きと足し湯のどっちが安いか」という問いに対する答えは、明確です。多くの場合、「高温足し湯」の方が経済的です。

その理由は、エコキュートの運用における電気料金の仕組みにあります。エコキュートは、電気代が安価な深夜電力を使って効率的にお湯を沸かし、魔法瓶のような構造の貯湯タンクに一日分のお湯を蓄えています。

「高温足し湯」は、この安価に作られたお湯を直接浴槽に加えるため、日中の高い電気代はほとんどかかりません。かかる費用は、深夜に沸かしたお湯のコストと追加した分の水道代のみです。

一方、「追い焚き」は、電気代が高い日中に行われることが多く、お湯を循環させ温め直す過程で割高な電力を消費します。また、貯湯タンクの熱を利用するため、間接的にタンクの湯温を下げ、追加の沸き上げが必要になることもあります。

これらの理由から、光熱費の節約を最優先するならば、エコキュートでは追い焚きよりも高温足し湯を選択するのが賢明な方法と言えます。

お風呂の節約効果【早見表】

追い焚き、高温足し湯、そしてお湯をすべて入れ替える場合の経済性や特徴を分かりやすく表にまとめました。ご自身のライフスタイルに合わせて最適な方法を選ぶ際の参考にしてください。

機能 節約度 メリット デメリット
追い焚き 節水効果が高い、浴槽の湯量が変わらない 日中の電気代が割高、衛生面での配慮が必要、入浴剤に制限あり
高温足し湯 日中の電気代が安い、衛生的、お湯が早く温まる 湯切れのリスク、湯量が増えて溢れる可能性、やけどに注意
入れ替え × 最も衛生的で清潔 水道代と(湯はり時の)電気代の両方が最も高くなる

この表からわかるように、エコキュートで最も節約効果が高いのは「高温足し湯」です。ただし、それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分けることが大切です。

追い焚き・高温足し湯の注意点

追い焚きと高温足し湯は便利な機能ですが、効果的に使うためにはいくつかの注意点があります。

追い焚きの注意点

追い焚きで最も注意すべきは、前述の通り、日中の割高な電気代です。節約のためには、できるだけ使用を避けるのが望ましいです。また、衛生面を保つために、定期的な配管洗浄が欠かせません。市販の配管洗浄剤を使い、数ヶ月に一度はメンテナンスを行いましょう。さらに、使用できる入浴剤には制限があります。にごり湯タイプや硫黄、塩分、酸、アルカリを含むものは、配管や機器の腐食・詰まりの原因となるため、使用前に必ず取扱説明書を確認してください。

高温足し湯の注意点

高温足し湯の最大の注意点は「湯切れ」のリスクです。貯湯タンクのお湯を直接使うため、家族が続けて使用する場合など、残湯量を意識しないと、いざという時にお湯がなくなってしまう可能性があります。リモコンで残湯量を確認する習慣をつけましょう。また、浴槽の循環口から約60℃の高温のお湯が直接出てくるため、小さなお子さんがいるご家庭ではやけどに十分注意が必要です。

追い焚きと足し湯に関するよくある質問

追い焚きと足し湯について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

Q1. 追い焚きをすると、貯湯タンクのきれいなお湯が汚れませんか?

A1. 心配ありません。エコキュートの追い焚きは、浴槽のお湯と貯湯タンクのお湯が直接混ざらないように設計されています。浴槽のお湯は専用の配管を通り、熱交換器で間接的に温められるだけなので、タンク内のお湯は清潔なまま保たれます。

Q2. 家族の入浴時間がバラバラで、お湯が冷めてしまいます。どうすれば節約できますか?

A2. 自動保温機能は便利ですが、誰も入っていない時間も追い焚きを繰り返すため電気代がかかります。この機能はオフにして、次の人が入る直前に手動で「高温足し湯」をするのが最も経済的です。お湯の量をあまり増やしたくない場合は、短時間だけ追い焚きを使いましょう。

Q3. 結局、どのように使い分けるのが一番賢いのですか?

A3. 基本的には「高温足し湯」を優先して使うのが最も節約につながります。ただし、浴槽のお湯がすでに満杯に近いなど、これ以上湯量を増やしたくない場合に限り、「追い焚き」を短時間だけ利用するといった使い分けが理想的です。

総括:追い焚きと足し湯どっちが安いか

この記事で解説した、エコキュートにおける追い焚きと足し湯の比較と節約のポイントを最後にまとめます。

  • エコキュートの場合、追い焚きより高温足し湯の方が安い
  • 理由は、足し湯が深夜の安い電気で沸かしたお湯を使うから
  • 追い焚きは日中の割高な電気を使うためコストがかさむ
  • 追い焚きのメリットは節水でき、湯量が変わらないこと
  • 追い焚きのデメリットは電気代と衛生面、入浴剤の制限
  • 足し湯のメリットは電気代が安く、衛生的であること
  • 足し湯のデメリットは湯切れのリスクと湯量が増える点
  • 節約を最優先するなら、基本は高温足し湯を選択する
  • 湯量を増やしたくない時だけ、追い焚きを短時間使うのが賢明
  • 自動保温機能は電気代がかかるため、必要な時だけ使う
  • 追い焚き機能を使う場合は定期的な配管洗浄が不可欠
  • 高温足し湯を使う際はタンクの残湯量を常に意識する
  • 追い焚きではタンクのお湯と浴槽のお湯は混ざらない
  • 家族の入浴間隔を空けない工夫も節約につながる
  • ライフスタイルに合わせて両機能を賢く使い分けることが大切
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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