エコキュート・給湯器

エコキュートの水抜きをしないとどうなる?水抜き後お湯が出ない時の対処法

「エコキュートの水抜きをしないとどうなるのだろう?」と疑問に思っていませんか。エコキュートを設置してから一度も水抜きをしたことがない、という方も少なくないかもしれません。そもそもエコキュートの水抜きとは何か、その必要性について正しく理解している方は意外と少ないものです。

この記事では、エコキュートのメンテナンスとしての水抜きの重要性から、三菱・パナソニック・ダイキン・コロナといった主要メーカーごとのエコキュート水抜きのやり方と方法、その正しい手順はコレ、という形で具体的に解説します。

また、水抜きにかかる時間や適切な頻度、タイミングと効果についても触れていきます。

さらに、水抜き後にお湯が出ない、水抜き後にゴボゴボと音がするといったトラブルの原因と対処法、そして注意すべき水抜き業者の訪問やアポなしの訪問への対応策まで網羅しました。オール電化だから水抜きは不要、という誤解もこの記事で解消します。

ポイント

  • 水抜きをしない場合のリスクと必要性
  • メーカー別の正しい水抜きのやり方と手順
  • 水抜きにかかる時間や最適な頻度の目安
  • トラブル時の対処法と信頼できる業者の見分け方

エコキュートの水抜きしないとどうなる?放置リスクと必要性

エコキュートの水抜きしないとどうなる?放置リスクと必要性

  • そもそも水抜きとは?エコキュートでの必要性
  • 水抜きしたことがない場合に起こる不具合
  • メンテナンスとしての水抜きの頻度とタイミング
  • 水抜きによる具体的な効果とは?
  • オール電化は水抜き不要という噂は本当?
  • 三菱・パナソニック・ダイキン・コロナの推奨頻度

そもそも水抜きとは?エコキュートでの必要性

エコキュートの「水抜き」とは、貯湯タンクの底に溜まった沈殿物や不純物を、お湯と一緒に排出するための大切なメンテナンス作業を指します。毎日使う水道水には、カルシウムやナトリウムといったミネラル分がごく微量に含まれています。これらが長期間タンク内に留まることで、少しずつ底に溜まってしまうのです。

このメンテナンスを定期的に行うことで、エコキュート内部を清潔に保ち、機器の性能を維持する目的があります。タンクや配管の内部は直接目で見て確認することができないため、汚れが深刻化する前に、計画的に不純物を外に出してあげることが、エコキュートを長く快適に使い続けるための鍵となります。

水抜きしたことがない場合に起こる不具合

もしエコキュートの水抜きを一度もしたことがない場合、いくつかの不具合が発生する可能性があります。

第一に、お湯が汚れてしまうことが考えられます。タンクの底に溜まった沈殿物が、お湯を沸き上げたり使用したりする際に舞い上がり、浴槽にお湯を張ったときに、白い湯垢や黒いゴミのような汚れとして浮いてくることがあります。衛生的でないばかりか、快適なバスタイムを損なう原因にもなりかねません。

第二に、配管やフィルターが詰まりやすくなります。排出されなかった不純物が配管内を流れ、追い焚き用のフィルターやシャワーヘッドなどを詰まらせることがあります。これにより、お湯の出が悪くなったり、追い焚き機能の効率が低下したりする場合があります。

そして最も避けたいのが、エコキュート本体への負担増加です。配管の詰まりは、お湯をスムーズに循環させるためのポンプに余計な負荷をかけ、故障のリスクを高めます。結果として、製品の寿命を縮めてしまうことにもつながるため、定期的な水抜きが推奨されているのです。

メンテナンスとしての水抜きの頻度とタイミング

エコキュートのメンテナンスとして行う水抜きの頻度は、各メーカーともに年に2〜3回、つまり半年に一度程度を目安として推奨しています。水道水の水質はお住まいの地域によって異なりますが、このペースで実施していれば、タンク内の汚れが深刻になるのを防ぐことができます。

水抜きを行うタイミングに特別な決まりはありませんが、忘れずに行うために「年末の大掃除の時に実施する」「ゴールデンウィークや夏休みの期間に行う」など、ご家庭での年間スケジュールに組み込んでしまうのがおすすめです。

ただし、一つ注意点があります。それは、気温が氷点下になるような寒い日を避けることです。水抜き作業中に配管が凍結してしまうと、排水がうまくいかないだけでなく、その後の運転にも支障をきたす恐れがあります。特に寒冷地にお住まいの場合は、本格的な冬が来る前の秋頃までに済ませておくと安心でしょう。

水抜きによる具体的な効果とは?

エコキュートの水抜きを定期的に行うことで、主に3つの具体的な効果が期待できます。

まず、毎日使用するお湯を清潔に保つことができます。タンク内の沈殿物を排出することで、浴槽にお湯を張った際に汚れが浮いてくるのを防ぎ、いつでもきれいなお湯で気持ちよく入浴することが可能になります。

次に、エコキュートの性能を維持し、長持ちさせる効果があります。前述の通り、不純物による配管やフィルターの詰まりは、機器に余計な負荷をかけます。水抜きによってこれらのリスクを低減させることは、エコキュートの熱効率の低下を防ぎ、結果的に製品寿命を延ばすことにつながるのです。

最後に、間接的ではありますが、無駄なエネルギー消費を抑える効果も考えられます。配管の詰まりなどによって熱効率が悪化すると、お湯を温めるためや循環させるために余計な電力が必要になる可能性があります。定期的なメンテナンスは、エコキュートが持つ本来の省エネ性能を最大限に引き出すためにも大切です。

オール電化は水抜き不要という噂は本当?

時折、「オール電化の住宅だからエコキュートの水抜きは不要だ」という話を聞くことがありますが、これは明確な誤解です。

オール電化であるかどうかと、エコキュートのメンテナンスが必要かどうかは、全く別の問題です。エコキュートは、電気を使ってお湯を沸かす給湯システムであり、その仕組み上、必ず貯湯タンクが存在します。そして、水道水を利用する以上、タンクの底に不純物が溜まる可能性はどの製品でも同じです。

したがって、お住まいがオール電化住宅であっても、エコキュートを使用している限り、定期的な水抜きは必要不可欠なメンテナンスとなります。この点を誤解して長期間放置してしまうと、前述したような不具合のリスクを高めてしまうため、注意が必要です。

三菱・パナソニック・ダイキン・コロナの推奨頻度

主要なエコキュートメーカーである三菱、パナソニック、ダイキン、コロナの各社も、年に2〜3回の定期的な水抜きを推奨しています。基本的なメンテナンスの考え方はどのメーカーも共通です。

ただし、操作パネルの表示や、止水栓・排水栓の形状や位置がメーカーや機種によって若干異なります。実際に作業を行う際は、必ずご自宅のエコキュートの取扱説明書を確認しながら進めるようにしてください。

以下に、各メーカーの公式サイトで水抜きの手順が確認できるページのリンクをまとめましたので、作業の際にご活用ください。

メーカー名 水抜きの詳細(公式サイトへのリンク)
パナソニック 【エコキュート】タンクの水を抜きたいのですが?(動画説明あり)
三菱電機 三菱エコキュート 取扱説明書
ダイキン 知っておきたいエコキュートのお手入れ
コロナ 給湯設備 エコキュート(コロナ)
日立 日立エコキュート家庭用ヒートポンプ給湯器取扱説明書
東芝 東芝ヒートポンプ給湯器(家庭用)取扱説明書

※取扱説明書のページにリンクしている場合は、お使いの製品の型番をご確認の上、該当する説明書をご参照ください。

エコキュートの水抜きしないとどうなる?正しい手順と注意点

エコキュートの水抜きしないとどうなる?正しい手順と注意点

  • エコキュート水抜きのやり方と方法!正しい手順
  • 水抜きにかかる時間の目安はどれくらい?
  • 水抜き後にお湯が出ない・ゴボゴボ音がする原因
  • 業者の訪問営業に注意!アポなし訪問は危険

水抜きのやり方・方法と正しい手順

エコキュートの水抜きは、取扱説明書を確認すればご自身で行うことが可能です。一見難しそうに感じますが、手順を守れば安全に作業できます。ここでは、一般的な作業の流れを解説します。

1. 準備と安全確保

まず、貯湯タンクユニットの漏電遮断器を「切(オフ)」にします。感電防止のため、濡れた手で操作しないようにしてください。次に、タンクにつながる配管の途中にある「給水止水栓」を閉じ、タンクへの給水を止めます。

2. タンク上部の操作

タンク上部にある「逃し弁」のカバーを開け、レバーを上げます。これによりタンク内に空気が入り、水がスムーズに抜けるようになります。

3. 排水作業

タンク下部の脚部カバーなどを開け、「排水栓」を操作して開きます。栓を開けると、タンクの底からお湯または水が排出されます。熱いお湯が出てくることがあるため、火傷しないよう十分に注意してください。排水時間は後述しますが、メンテナンス目的ならば1〜2分程度で十分です。

4. 復旧作業

排水が終わったら、開けた時と逆の手順で元に戻します。まず「排水栓」をしっかりと閉めます。次に「給水止水栓」を開けて、タンクに水を供給します。排水口から水(お湯)が連続して流れ出てきたら、タンクが満水になった合図です。その後、「逃し弁」のレバーを元に戻し、最後に漏電遮- 断器を「入(オン)」にして完了です。

水抜きにかかる時間の目安はどれくらい?

エコキュートの水抜きにかかる時間は、その目的によって大きく異なります。

メンテナンス目的の場合

年に2〜3回行う定期的なメンテナンスとしての水抜きであれば、排水時間は1〜2分程度で十分です。この短時間でも、タンクの底に溜まった沈殿物の多くを排出することができます。全体の作業時間としても、準備から後片付けまで含めて15分〜20分ほど見ておけば完了するでしょう。

タンクを空にする場合

旅行などで長期間家を空ける際や、修理のためにタンク内の水を全て抜く必要がある場合は、1時間程度の排水時間が必要になります。タンクの容量によって時間は変動しますが、完全に空にするにはかなりの時間がかかることを覚えておきましょう。

水抜き後にお湯が出ない・ゴボゴボ音がする原因

水抜き作業後に、お湯が正常に出なくなったり、蛇口から「ゴボゴボ」という音がしたりすることがあります。これらの主な原因は、作業手順の誤りや配管内に空気が混入したことによるものです。

水抜き後にお湯が出ない

この場合、最も考えられるのは、貯湯タンクがまだ満水になっていないことです。水抜き後に給水止水栓を開け忘れていたり、開け方が不十分だったりすると、タンクに水が溜まらずお湯を作ることができません。もう一度、給水止水栓が完全に開いているか、そして逃し弁から水が出てくるまで給水されたかを確認してください。

水抜き後にゴボゴボ音がする

蛇口からお湯を出す際に空気が混ざったような音がする場合、給水配管やヒートポンプユニットの配管内に空気が残っている可能性があります。これは「エア噛み」と呼ばれる現象で、少量であれば、しばらくお湯を出し続けることで自然に解消されることがほとんどです。もし音が続く場合は、ヒートポンプユニットの空気抜き作業が必要になることもあります。

業者の訪問営業に注意!アポなし訪問は危険

エコキュートのメンテナンスに関して、注意したいのがアポなしの訪問営業です。「無料で点検します」「近くで工事をしているので、ご挨拶を兼ねて水抜きをサービスします」などと親切を装って訪問してくる業者には警戒が必要です。

これらの業者の中には、点検や水抜きをすると見せかけて、「部品が劣化している」「このままでは壊れる」などと事実と異なる不安を煽り、不要な修理契約や高額な製品交換を迫る悪質なケースが存在します。特に、「今日契約すれば安くなる」といったように、その場での決断を急かす業者は信用しない方が賢明です。

メーカーや正規の販売店がメンテナンスで訪問する場合、事前にハガキや電話でアポイントを取るのが一般的です。もし突然業者が訪問してきた場合は、「いつも頼んでいる業者がいますので」などと伝え、きっぱりと断る勇気を持ちましょう。

まとめ:エコキュート水抜きしないとどうなるか?理解しよう!

この記事で解説した、エコキュートの水抜きに関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • 水抜きはタンクの底に溜まった不純物を排出するメンテナンス
  • 水抜きをしないとお湯が汚れたり配管が詰まったりする
  • エコキュート本体への負担が増え寿命を縮める一因になる
  • メーカーが推奨する頻度は年に2〜3回が目安
  • 大掃除の時期など忘れにくいタイミングで実施するのがおすすめ
  • 気温が低い冬場の作業は配管凍結のリスクがあり避けた方が良い
  • 定期的な水抜きはお湯を清潔に保ち機器を長持ちさせる
  • オール電化住宅でもエコキュートの水抜きは必要
  • 作業手順は取扱説明書で必ず確認する
  • メンテナンス目的の排水時間は1〜2分で十分
  • 水抜き後にお湯が出ないのはタンクが満水でない可能性が高い
  • ゴボゴボ音は配管内の空気によるもので、多くは自然に解消する
  • アポなしで訪問してくる無料点検業者には注意が必要
  • その場で契約を急かす業者は悪徳業者の可能性が高い
  • 自分で作業するのが不安な場合は専門業者に依頼するのも一つの手
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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