自宅のエコキュートの配管がむき出しになっているのを見て、このままで大丈夫だろうかと不安に感じていませんか。そもそも、エコキュートの配管カバーは付けるべきなのか、そして配管がむき出しなのが良くない理由は何なのか、はっきりしない方も多いでしょう。
実は、この状態を放置すると腐食によるリスクが高まり、最悪の場合、騒音や水漏れといった深刻なトラブルにつながる可能性があります。特に、配管図を無視したような悪い施工例と工事例では、配管カバーや配管化粧カバーの劣化が早く進みがちです。
この記事では、エコキュートの配管がむき出しである問題のあらゆる側面を掘り下げます。具体的な対処法として、配管カバーを自分で自作・DIYする方法から、保温材の役割、断熱カバーと配管テープの違いまで詳しく解説します。
また、三菱製品などで推奨される配管洗浄の重要性や、エコキュートの配管交換にかかる料金、そして交換するなら補助金制度を利用する賢い選択肢まで、網羅的に情報を提供します。
目次
エコキュートの配管がむき出しなのはなぜ?良くない理由は?
- 配管がむき出しなのが良くない理由
- 腐食によるリスクと騒音や水漏れの発生
- 配管カバーや配管化粧カバーの劣化
- 図で見る悪い施工例と良い配管の施工例
- エコキュートの配管カバーは付けるべきか
配管がむき出しなのが良くない理由
エコキュートの配管がむき出しの状態は、機器の寿命や性能に悪影響を及ぼすため、決して良い状態とは言えません。その理由は、主に5つのリスクに集約されます。
第一に、配管自体の劣化が早まることです。配管は紫外線や風雨に常に晒されることで、硬化したりひび割れたりしやすくなります。第二に、冬場の配管凍結のリスクが高まります。保温材が露出していると断熱効果が著しく低下し、配管内の水が凍結し、最悪の場合は破裂してお湯が使えなくなる事態を招きます。
第三に、いたずらの対象になる可能性があります。特に小さなお子様が触れてしまったり、動物がかじってしまったりすることで、思わぬ故障につながることも考えられます。第四に、安全上の問題です。配管内には高温のお湯が流れているため、万が一破損した場合に熱湯が噴き出し、火傷などの怪我につながる危険性があります。
最後に、見た目の問題です。複数の配管が整理されずに露出していると、どうしても乱雑な印象を与えてしまいます。これらの理由から、配管は適切に保護することが推奨されます。
腐食によるリスクと騒音や水漏れの発生
配管がむき出しの状態で放置されると、腐食による深刻なリスクが生じます。特に金属製の配管部品は、雨水や空気中の湿気に長期間触れることで錆が発生し、徐々に腐食が進行します。塩害のある沿岸地域の住宅では、この進行がさらに早まる傾向にあります。
腐食が進行すると、配管の強度が低下し、最終的には小さな穴(ピンホール)が開いたり、亀裂が入ったりすることがあります。これが水漏れの直接的な原因です。最初はポタポタと滴る程度のわずかな漏れでも、放置すれば漏水量は増え、エコキュートの稼働効率を著しく低下させます。
また、水漏れは騒音の原因にもなります。水滴が地面や本体に落ちる音はもちろんのこと、配管内の圧力が不安定になることで、ポンプが異常な音を立てて作動することもあります。水漏れによってエコキュートの基盤部分が濡れてしまうと、ショートや漏電を引き起こし、修理不可能な故障に至る危険性もはらんでいます。
配管カバーや配管化粧カバーの劣化
エコキュート設置時に配管カバー(配管化粧カバー)を取り付けていたとしても、安心はできません。配管カバー自体も、配管と同様に紫外線や風雨の影響を受けて時間と共に劣化していく消耗品です。
一般的に樹脂製の配管カバーは、長期間直射日光に当たることで硬化し、弾力性を失います。その結果、少しの衝撃でひび割れや破損が生じやすくなります。カバーが破損してしまうと、そこから雨水が浸入し、内部の配管や保温材を濡らしてしまいます。これでは、カバーがないむき出しの状態と変わりません。
また、保温材を保護している配管テープも、粘着力が弱まって剥がれたり、紫外線でボロボロに風化したりします。テープが剥がれて保温材が露出すると、断熱性能が低下し、エネルギー効率の悪化や凍結のリスクを高めます。定期的に配管周りを目視で点検し、カバーやテープに劣化が見られないか確認することが大切です。
悪い施工例と良い配管の施工例
エコキュートの配管がむき出しになってしまう背景には、設置時の施工不良が隠れているケースが少なくありません。どのような工事が「悪い施工例」にあたるのかを理解することで、ご自宅の状態を正しく判断できます。
悪い施工例
- 保温材のテープ処理がされていない:保温材を巻いただけで、保護テープが巻かれていない状態です。これでは保温材がすぐに劣化し、数年でボロボロになってしまいます。
- 配管が長すぎる:浴槽とエコキュート本体の距離が15mを超えているなど、推奨距離を無視して配管を延長しているケースです。放熱ロスが大きくなり、お湯張りに時間がかかったり、光熱費が無駄になったりします。
- 配管が整理されていない:複数の配管が雑然と立ち上げられ、見た目が悪いだけでなく、どの配管が何なのか分かりにくくなっています。メンテナンス性も著しく低い状態です。
良い配管の施工例
- 配管ルートが最短である:床下などを利用して、可能な限り最短ルートで配管が接続されています。
- 配管が適切に保護されている:すべての配管に保温材が巻かれ、その上から保護テープが隙間なく丁寧に巻かれています。屋外の露出部分には、さらに配管カバーが設置されています。
- 見た目がすっきりしている:配管が綺麗にまとめられ、カバー内にすっきりと収まっています。
エコキュートの配管カバーは付けるべきか
ここまでの解説を踏まえると、エコキュートの配管カバーは「原則として付けるべき」と考えられます。特に、エコキュートが屋外に設置されている場合には、そのメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
配管カバーを設置する最大の目的は、配管と保温材を紫外線や風雨から保護し、劣化を防ぐことです。これにより、給湯効率の低下を防ぎ、冬場の凍結リスクを大幅に軽減できます。結果として、エコキュート本体の寿命を延ばすことにもつながります。
また、配管を物理的に保護することで、お子様やペットによるいたずら、不意の衝撃による破損といったトラブルを防ぐ安全対策としての役割も果たします。さらに、複雑な配管をすっきりと隠すことで、住宅の外観を損なわないという美観上のメリットも見逃せません。
ただし、例外もあります。エコキュートが屋内や、風雨にさらされないパイプスペース内に設置されている場合は、すでに配管が保護されている状態のため、追加でカバーを設置する必要性は低いと言えます。
エコキュートの配管がむき出しの場合の対処法
- 配管カバーを自分で自作・DIYする
- 保温材と配管テープの対処法と違い
- 三菱などメーカー推奨の配管洗浄
- エコキュートの配管交換にかかる料金
- 交換するなら補助金制度の利用も検討
配管カバーを自分で自作・DIYする
エコキュートの配管カバーは、専門業者に依頼せずとも自分で設置することが可能です。費用を抑えたい場合や、DIYに慣れている方であれば、挑戦してみる価値はあります。
配管カバーの部材は、ホームセンターやインターネット通販などで購入できます。直管部分のカバーや、曲がり角に使うエルボ、壁からの取り出し口に使うパーツなどを、ご自宅の配管レイアウトに合わせて揃える必要があります。
作業手順の基本は、まず配管の長さを正確に採寸し、それに合わせてカバーをカットします。その後、ベースとなる部分を壁に固定し、配管を覆うようにカバーをはめ込んでいきます。作業の際は、既存の配管やケーブルを傷つけないよう、細心の注意が必要です。また、高所での作業になる場合は、足場を確保し安全対策を万全に行ってください。
ただし、配管のレイアウトが複雑な場合や、仕上がりの美しさを重視する場合は、無理をせず専門業者に依頼するのが賢明です。
保温材と配管テープの対処法と違い
配管がむき出しになっている、あるいは既存の保温材が劣化している場合の対処法として、「保温材」と「配管テープ」の巻き直しがあります。この二つは役割が異なるため、正しく理解して使い分けることが大切です。
名称 | 主な役割 | 特徴 |
保温材(断熱材) | 配管の断熱・保温 | お湯の温度低下を防ぎ、冬場の凍結を防止する。筒状のものやテープ状のものがある。 |
配管テープ(保護テープ) | 保温材の保護 | 保温材を紫外線や風雨から守り、劣化を防ぐ。非粘着性のものが一般的。 |
対処法としては、まず劣化した古い保温材やテープを丁寧に取り除きます。次に、新しい保温材を配管に隙間なく巻き付けます。最後に、その上から保護テープを少しずつ重ねながら、下から上へと巻き上げていくことで、雨水が浸入しにくくなります。
保温材の劣化が軽微で、保護テープだけが剥がれている場合は、テープのみを巻き直すだけでも効果があります。これらの材料もホームセンターなどで手軽に入手できますが、綺麗に仕上げるにはある程度の慣れが必要です。
三菱などメーカー推奨の配管洗浄
配管の外部保護とは別に、内部のメンテナンスとして「配管洗浄」も大切です。これは、配管の腐食リスクを内側から低減させるための重要な対処法と言えます。
長年エコキュートを使用していると、追い焚き配管などの内部に湯垢や水道水に含まれる不純物が蓄積します。これを放置すると、お湯の清潔さが損なわれるだけでなく、汚れが原因で配管内部の腐食が進んだり、給湯効率が低下したりする可能性があります。
三菱電機をはじめ、多くのメーカーは市販の風呂釜洗浄剤(1つ穴用)を使った定期的な配管洗浄を推奨しています。例えば、三菱のエコキュートには「バブルおそうじ」という自動洗浄機能が搭載されているモデルもありますが、それとは別に定期的な手動洗浄を行うことで、より配管を清潔に保つことができます。
外側の保護と内側の洗浄、この両方を行うことが、配管を長持ちさせる鍵となります。
エコキュートの配管交換にかかる料金
配管の劣化や腐食、凍結による破損が深刻で、補修では対応できない場合は、配管自体の交換が必要になります。エコキュートの配管交換にかかる料金は、工事の内容や範囲によって変動しますが、一般的な相場は1万円から3万円程度です。
この費用には、新しい配管の材料費、作業員の技術料、出張料などが含まれます。ただし、配管の長さが非常に長い場合や、壁の中を通すなど複雑な作業が必要な場合は、追加料金が発生することもあります。
なお、エコキュート本体を交換する際には、既存の配管を再利用できる場合もあります。しかし、配管の状態が悪い場合や、ヒートポンプと貯湯タンクをつなぐ重要な配管(三層管など)は、メーカーが交換を必須としているケースがほとんどです。
正確な料金を知るためには、必ず複数の専門業者に見積もりを依頼し、工事内容と費用を比較検討することをおすすめします。
交換するなら補助金制度の利用も検討
もし配管の劣化が激しく、エコキュート本体も設置から10年以上経過している場合は、配管だけを修理するよりも、エコキュート全体を最新の省エネモデルに交換する方が長期的には経済的かもしれません。
最新のエコキュートは省エネ性能が格段に向上しており、日々の電気代を大幅に削減できる可能性があります。そして、新しいエコキュートへ交換する際には、国や自治体が実施している補助金制度を活用できる場合があります。
例えば、「給湯省エネ2025事業」のような制度では、一定の省エネ基準を満たす高効率給湯器の導入に対して、定額の補助金が支給されます。これらの補助金を活用すれば、初期費用を大きく抑えることが可能です。
補助金制度は予算の上限が決まっており、申請期間も限られているため、常に最新の情報を確認することが大切です。エコキュートの交換を検討する際は、販売店や施工業者に現在利用できる補助金について相談してみましょう。
エコキュートの配管がむき出しで気になるときの注意点:総括
この記事で解説した、エコキュートの配管がむき出しである問題に関する要点を最後にまとめます。
- 配管のむき出しは劣化や凍結のリスクを高める
- 紫外線や風雨が配管と保温材を傷める主な原因
- 腐食が進行すると水漏れや騒音につながる
- 悪い施工例では保温テープが巻かれていないことがある
- 屋外設置の場合は配管カバーの設置が推奨される
- 配管カバーはDIYでの取り付けも可能
- 保温材は断熱、配管テープは保温材の保護が役割
- 劣化した保温材やテープは自分で巻き直しもできる
- 内部の腐食防止には定期的な配管洗浄が有効
- 配管交換の費用相場は1万円から3万円程度
- 正確な費用は複数の業者から見積もりを取って確認する
- 設置から10年以上経過している場合は本体交換も視野に
- エコキュートの交換には国の補助金が使える場合がある
- 補助金情報は最新のものを確認することが不可欠
- 少しでも作業に不安があれば専門業者に相談する