エコキュート・給湯器

エコキュートの排水垂れ流しは正常?故障?水漏れとの違いや見分け方

2025年10月5日

エコキュートの周りが濡れていると、「エコキュートから水が垂れるのは故障ですか?」と不安になりますよね。特に、エコキュートの排水が垂れ流し状態になっていたり、排水が止まらない状況を目にすると心配になるのは当然です。

この記事では、エコキュートの排水と水漏れの見分け方から、排水垂れ流しや室外機のドレン排水が止まらない原因まで詳しく解説します。エコキュートのドレン排水は垂れ流して大丈夫なのか、またエコキュートの排水は正しい処理が必要なのかという疑問にもお答えします。

さらに、適切な排水方法や排水配管、エコキュートのドレン排水の下水道への接続に関する注意点、排水ホースや排水栓、排水トラップの確認点、基本的な排水栓の回し方まで網羅しています。万が一、エコキュートの排水で異常が見つかった場合には業者に相談をすべきタイミングも明確になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

ポイント

  • エコキュートの正常な排水と水漏れとの違い
  • 排水を垂れ流しにすることの問題点と正しい処理方法
  • 排水が止まらないときに考えられる原因
  • 自分でできる確認手順と専門業者に相談すべきケース

エコキュートの排水垂れ流しは正常?故障?水漏れの見分け方

エコキュートの排水垂れ流しは正常?故障?水漏れの見分け方

  • エコキュートから水が垂れるのは故障ですか?
  • エコキュートの排水と水漏れの見分け方
  • エコキュートのドレン排水は垂れ流して大丈夫なのか
  • エコキュートの排水は正しい処理が必要
  • 正しい排水方法と排水配管のポイント

エコキュートから水が垂れるのは故障ですか?

エコキュートの貯湯タンクやヒートポンプユニット(室外機)から水が排出されるのを見て、故障ではないかと心配される方が多くいらっしゃいます。しかし、多くの場合、この水は故障によるものではなく、正常な動作の過程で生じるものです。

主な原因は二つあります。一つは、貯湯タンクユニットから排出される「膨張水」です。エコキュートは、深夜など電気料金が安い時間帯に水を温めてお湯にし、タンクに貯めておきます。水は温められると体積が増える(膨張する)ため、タンク内で増えた分の水が排水として外に排出される仕組みになっています。

もう一つは、ヒートポンプユニットから出る「結露水」です。ヒートポンプユニットは、空気中の熱を集めてお湯を作る際に、熱交換器が非常に冷たくなります。この冷えた部分が外気に触れることで結露が発生し、水となって排出されます。これは、冷たい飲み物を入れたコップの周りに水滴がつくのと同じ原理です。

これらの排水はエコキュートが正常に機能している証拠であり、水自体も無害なものですので、基本的には心配する必要はありません。

エコキュートの排水と水漏れの見分け方

正常な排水か、それとも故障による水漏れかを見分けることは非常に大切です。間違った判断をしてしまうと、修理が必要な状態を放置することになりかねません。見分けるためのポイントを以下の表にまとめました。

比較項目 正常な排水(膨張水・結露水) 水漏れの可能性が高いケース
排水の時間帯 主に夜間から早朝にかけて(沸き上げ中) 一日中、時間を問わず常に濡れている
排水の量 多い日でもバケツ1杯(約10L)程度 大量の水が流れ続け、水道メーターが回っている
地面の状態 朝方は濡れているが、晴れた日なら昼頃には乾く 昼過ぎになっても地面が乾かず、常に水浸し
水の出所 排水用のドレン配管の出口から出ている 本体や配管の接続部、亀裂などから漏れている
水道料金 目立った変化はない 急に水道料金が上がった

最も分かりやすい判断基準は「時間」です。エコキュートは主に夜間にお湯を沸かすため、正常な排水は朝方には止まります。もし、日中もずっと水が出続けていたり、お昼を過ぎても地面が水浸しになっていたりする場合は、水漏れの可能性を疑うべきでしょう。また、水道メーターのパイロットがゆっくりとでも回り続けている場合も、どこかで漏水しているサインです。

エコキュートのドレン排水は垂れ流して大丈夫なのか

エコキュートから排出される水は、前述の通り無害な膨張水や結露水です。そのため、衛生上の問題はなく、少量であれば地面に垂れ流しても直ちに大きな問題が発生するわけではありません。

ただし、いくつかの注意点があります。まず、排水量が多い日はバケツ1杯分にもなるため、常に同じ場所が濡れていると、苔が生えたり、地面がぬかるんだりする可能性があります。また、冬場に気温が氷点下になる地域では、垂れ流した水が凍結し、滑って転倒する危険も考えられます。

さらに、隣家との距離が近い場合、排水が隣の敷地に流れ込んでしまったり、湿気が原因でトラブルになったりするケースも考えられます。このような近隣トラブルを避けるためにも、排水は適切に処理することが推奨されています。

なお、一部の寒冷地仕様の機種では、ドレン配管の凍結を防ぐために、あえて配管を接続せず垂れ流しにすることがメーカーによって指示されている場合があります。しかし、これも無計画に流すのではなく、排水場所を考慮する必要があります。

エコキュートの排水は正しい処理が必要

エコキュートの排水を適切に処理することは、長期的に安心して機器を使用し、ご近所との良好な関係を保つ上で大切です。垂れ流しによる湿気や凍結、見た目の問題を避けるため、設置工事の際には排水処理をきちんと行う必要があります。

理想的な処理方法は、エコキュート本体から出る排水を、専用の排水ホース(ドレン配管)を使って、宅内の雨水ますや汚水ますに導くことです。これにより、排水が地面に広がることなく、スムーズに下水設備へ流れていきます。

ただし、どちらの系統(雨水か汚水か)に接続するかは、お住まいの自治体の条例によって定められている場合があります。誤った系統に接続すると、後で問題になる可能性もあるため、自己判断で接続するのは避けるべきです。

エコキュートの設置を依頼する際は、経験豊富な専門業者に依頼し、排水処理の方法についてもしっかりと確認・相談することが、後々のトラブルを防ぐ鍵となります。

正しい排水方法と排水配管のポイント

エコキュートの排水を正しく処理するための配管工事には、いくつかのポイントがあります。

まず、排水ホースは、水がスムーズに流れるように適切な勾配をつけて設置する必要があります。勾配が逆になっていたり、途中でたるんでいたりすると、水がうまく流れずにホース内に溜まり、詰まりや冬場の凍結の原因になります。

また、ヒートポンプユニットから出るドレン排水の配管は、細くて外れやすいことがあります。庭の手入れや物の移動などでうっかり衝撃を与えてしまい、配管が外れて意図せず垂れ流し状態になるケースは少なくありません。設置後は、ユニットの周りに物を置かない、配管に衝撃を与えないといった配慮も大切です。

排水ホースを汚水ますに直接接続する場合、ますから上がってくる臭気やガスがホースを伝ってエコキュート本体を傷めるのを防ぐため、排水トラップを設けるなどの対策が必要になることがあります。

これらの専門的な施工は、知識と技術を持ったプロの業者でなければ適切に行うことは困難です。設置後の安心のためにも、排水工事は必ず信頼できる業者に任せるようにしましょう。

エコキュートの排水垂れ流しが止まらない原因と対処方法や点検のやり方

エコキュートの排水垂れ流しが止まらない原因と対処方法や点検のやり方

  • 排水が止まらない主な原因
  • ドレン排水が止まらない時の確認点
  • 排水ホース・排水栓・排水トラップの点検
  • 排水栓の回し方とドレン排水の下水道接続
  • 異常が見つかったら専門業者に相談を

排水が止まらない主な原因

沸き上げ時間が終わっているはずの日中にもかかわらず、エコキュートからの排水が止まらない場合、正常な排水ではなく何らかの異常が発生している可能性があります。考えられる主な原因は以下の通りです。

配管の接続部の不備や詰まり

ヒートポンプユニットのドレン配管の接続部分(ドレンニップル)に、ホコリやゴミ、錆などが詰まることで排水が滞り、予期せぬ場所から溢れ出すことがあります。また、配管の接続が緩んでいたり、外れていたりすることも原因の一つです。

排水ホースの凍結や破損

特に冬場に多いのが、排水ホースの内部で水が凍結し、排水の流れを妨げてしまうケースです。凍結によってホースが膨張し、亀裂や破損につながることもあります。ホースにひび割れが起きると、常にそこから水が漏れ続ける状態になります。

排水ホース内への異物の侵入

排水ホースの出口から虫が侵入し、内部に巣を作るなどしてホースを詰まらせてしまうことがあります。これにより排水が逆流し、ユニット本体の下から漏れ出してくることがあります。

本体機器の故障

上記のような外部要因ではなく、エコキュート本体の部品が故障している可能性も考えられます。例えば、ヒートポンプユニット内部の熱交換器に小さな穴(ピンホール)が開いて水が漏れ出すケースや、貯湯タンク本体や内部の配管が経年劣化で破損しているケースなどです。これらは専門家による修理が不可欠です。

ドレン排水が止まらない時の確認点

ドレン排水が止まらないと感じた場合、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。専門業者に連絡する前に、以下の点をご自身でチェックしてみてください。

一つ目は、前述の通り「時間帯」です。本当に沸き上げを行っていない時間帯かを確認しましょう。機種によっては、お湯の使用量が多いと日中に自動で沸き増しを行う設定になっている場合があります。リモコンで現在の運転状況を確認するのが確実です。

二つ目は、「地面の濡れている範囲と乾き具合」です。常に同じ場所が広範囲にわたって濡れているか、一日中乾く気配がないかを確認します。一時的な排水であれば、天気が良ければ徐々に乾いていくはずです。

三つ目は、「排水ホース(ドレン配管)の状態」です。ヒートポンプユニットに接続されている排水ホースが、所定の位置から外れていないか、途中で折れ曲がったり潰れたりしていないかを目で見て確認しましょう。

これらの簡単なチェックで原因が特定できる場合もあります。

排水ホース・排水栓・排水トラップの点検

ご自身でさらに詳しく点検する場合、排水ホース、排水栓、排水トラップの状態を確認します。

まず排水ホースについては、接続部がしっかりと固定されているか、ホースの途中に亀裂や穴がないかを確認します。もし可能であれば、ホースの出口側から懐中電灯などで中を照らし、ゴミや虫の巣などで詰まっていないかを見てみましょう。ただし、無理に棒などを突っ込むと内部を傷つける可能性があるため注意が必要です。

次に排水栓です。貯湯タンクの下部には、メンテナンス時にタンク内の水を抜くための「非常用取水栓」や「排水栓」があります。この栓が何らかの理由で完全に閉まっておらず、少しだけ開いているために水が漏れ続けている可能性があります。カバーを外して確認し、もし開いているようであれば、しっかりと閉めてみてください。

排水トラップは、主に汚水ますへ接続している場合に設置されます。この部分にゴミが溜まって詰まりの原因になることがありますので、点検口があれば確認してみましょう。

排水栓の回し方とドレン排水の下水道接続

貯湯タンクの排水栓は、通常、年に1〜2回推奨されているタンク内の水抜き(メンテナンス)の際に操作するものです。このメンテナンスは、タンクの底に溜まった不純物や沈殿物を排出するために行います。

排水栓の回し方(操作方法)はメーカーや機種によって異なりますが、一般的にはカバーを外し、ハンドルやレバーを90度回すことで開閉できます。操作する際は、必ず取扱説明書で正しい手順を確認してください。誤った操作は部品の破損につながる恐れがあります。メンテナンス時以外は、この排水栓は固く閉まっているのが正常な状態です。

また、ドレン排水の下水道接続についてですが、前述の通り、これは専門的な知識を要する工事です。安易にDIYで汚水ますや雨水ますにホースを接続するのは避けるべきです。特に汚水ますに直接接続すると、下水からの腐食性ガスがエコキュート本体に逆流し、機器の寿命を縮める重大な故障を引き起こす危険があります。必ず専門の設置業者に相談してください。

異常が見つかったら専門業者に相談を

ご自身で確認できる範囲をチェックしても排水が止まらない、あるいは原因が特定できない場合は、無理に解決しようとせず、速やかに専門の業者に連絡することをおすすめします。

特に、以下のような状況では早急な対応が求められます。

  • 本体の内部や配管の接続部から明らかに水が漏れている
  • エラーコードがリモコンに表示されている
  • 排水栓を閉めても水漏れが止まらない
  • 水道メーターが常に回っている

これらの症状は、機器本体の故障の可能性が高く、放置すると被害が拡大したり、電気系統のトラブルにつながったりする危険性もあります。専門家による正確な診断と適切な修理を受けることが、最も安全で確実な解決策です。連絡する際は、いつからどのような症状が出ているのかを具体的に伝えると、スムーズに対応してもらえます。

エコキュートの排水垂れ流しは故障ではない:総括

  • エコキュートからの排水は正常な現象であることが多い
  • 主な排水は沸き上げ時の「膨張水」と「結露水」
  • 水漏れとの見分け方は「時間帯」と「地面の乾き具合」が鍵
  • 昼過ぎても濡れている場合は水漏れの可能性を疑う
  • 排水の垂れ流しは無害だが近隣トラブルを避けるため処理が推奨される
  • 正しい排水処理は専門業者による配管工事が必要
  • 排水が止まらない原因は配管の不備や本体故障など様々
  • 冬場は排水ホースの凍結に注意が必要
  • 自分でできるのは排水ホースや排水栓の簡単な目視点検
  • 排水栓はメンテナンス時以外は固く閉まっているのが正常
  • ドレン排水をDIYで下水道に接続するのは危険
  • エラー表示や本体からの水漏れはすぐに業者へ連絡
  • 原因がわからない場合も無理せず専門家に相談することが大切
  • 定期的なタンクの水抜きメンテナンスも不具合防止に繋がる
  • 異常を放置するとより大きな故障やトラブルに発展する可能性がある
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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