エコキュートの追い焚きができないと、お風呂に入れず困ってしまいますよね。リモコンにエコキュートの追い焚きできませんという表示が出たり、お湯は出るのに追い焚きできないといった症状に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
追い焚きがぬるい、またはすぐ止まる場合の対処法も知りたいところです。
この記事では、エコキュートで追い焚きができないさまざまな原因や理由を徹底的に解説します。主な原因であるお湯切れから、追い焚きの仕組み、たし湯や高温たし湯との違いまで詳しく説明します。
三菱や日立のエコキュートで追い焚きできないといった個別のケースや、ダイキン、パナソニック、東芝など各メーカーに共通する確認事項も網羅しています。追いだきができないときに確認すること・注意点や、よくある質問にもお答えし、あなたの悩みを解決します。
目次
エコキュートが追い焚きできない原因と様々な症状
- 追い焚きとたし湯・高温たし湯との違い
- 追い焚きできない主な原因や理由はお湯切れ
- お湯は出るのに追い焚きできない症状
- 追い焚きがぬるい、またはすぐ止まる対処法
- エコキュートの追い焚きできません表示
追い焚きとたし湯・高温たし湯との違い
エコキュートの追い焚き機能が使えない問題を考える前に、まずは「追い焚き」がどのような仕組みか、そして「たし湯」や「高温たし湯」とどう違うのかを理解しておくことが大切です。これらの機能を正しく理解することで、トラブルの原因特定に役立ちます。
追い焚きの仕組み
追い焚きは、浴槽内のお湯の量を増やさずに、ぬるくなったお湯を温め直す機能です。具体的には、浴槽の循環口からぬるくなったお湯を吸い込み、エコキュートの配管を通して貯湯タンクの熱交換器へ送ります。そこで、タンク内の熱いお湯の「熱」だけを利用してお風呂のお湯を温め、再び浴槽に戻します。このため、タンクのお湯と浴槽のお湯が混ざることはありません。水道代を節約できるのが大きなメリットです。
たし湯・高温たし湯との違い
一方で「たし湯」は、設定された温度の熱いお湯を貯湯タンクから浴槽へ直接追加する機能です。お湯の量は増えますが、浴槽全体の温度を素早く上げたい場合に有効です。「高温たし湯」は、さらに熱いお湯(約60℃)を供給する機能で、よりスピーディーに温度を上げたい時や、お湯の量が減ってしまった時に便利です。
これらの違いをまとめたのが以下の表です。
機能 | 仕組み | メリット | デメリット |
追い焚き | 浴槽のお湯を循環させて温め直す | 水道代がかからない | 温まるまでに時間がかかることがある |
たし湯 | タンクからお湯を直接追加する | 素早くお湯を足して温められる | 水道代と電気代がかかる |
高温たし湯 | タンクから高温のお湯を追加する | より素早く温度を上げられる | 水道代と電気代がかかる、お湯が熱くなりすぎることがある |
追い焚きできない主な原因や理由はお湯切れ
エコキュートで追い焚きができない最も一般的な原因は、貯湯タンクの「お湯切れ」です。故障を疑う前に、まずタンクの残湯量を確認することが不可欠です。
前述の通り、追い焚き機能は貯湯タンクに貯められたお湯の熱を利用して浴槽のお湯を温めます。つまり、タンク内にお湯が残っていても、そのお湯の温度が低い、あるいは追い焚きに必要な熱量を確保できるだけの湯量がない場合、システムは追い焚きを実行できません。お風呂のお湯を温める過程でタンクのお湯の熱が奪われるため、追い焚きを行うとタンクの残湯量は実質的に減少します。
多くのエコキュートでは、タンクの湯量が少なくなるとリモコンに残湯量メモリの点滅や「タンクのお湯がなくなりました」といった表示でお知らせしてくれます。この状態では、安全のため追い焚き機能はロックされます。
対処法としては、リモコンの「沸き増し」や「満タン」ボタンを押して、タンク内にお湯を沸き上げる必要があります。必要な湯量が沸き上がれば、再び追い焚き機能が使えるようになります。
お湯は出るのに追い焚きできない症状
キッチンやシャワーからは問題なくお湯が出るのに、お風呂の追い焚きだけができない、というケースもよくあります。この症状の場合、考えられる原因はいくつかあります。
一つ目は、前述の通り、追い焚きに必要な熱量がタンクにないパターンです。給湯はできても、浴槽全体のお湯を温め直すほどの熱エネルギーが残っていない場合にこの症状が起こります。まずはリモコンでタンクの残湯量を確認し、少なければ「沸き増し」を行ってください。
二つ目は、浴槽の循環アダプター(循環口)のフィルター詰まりです。髪の毛や湯垢、入浴剤の成分などがフィルターに付着して目詰まりを起こすと、お湯の循環がうまくいかず、追い焚きができなくなります。フィルターは簡単に取り外せるので、定期的に歯ブラシなどで掃除する習慣をつけることが大切です。
三つ目は、浴槽内の水位不足です。循環アダプターがお湯に完全に浸かっていないと、空気を吸い込んでしまい、追い焚きが正常に作動しません。特に前日の残り湯を温め直す際など、水位がアダプターより低くなっていないか確認しましょう。もし水位が低い場合は、お湯を足すか、一度お湯を抜いてから「ふろ自動」で新たにお湯はりを試してみてください。
追い焚きがぬるい、またはすぐ止まる対処法
追い焚きボタンを押してもお湯が十分に温まらない、あるいはすぐに運転が止まってしまう場合、いくつかの原因が考えられます。
まず、リモコンの「ふろ温度」設定が低すぎないか確認しましょう。エコキュートの追い焚きは、設定された温度までお湯を温めると自動的に停止します。夏場に低い温度で設定したまま忘れていると、冬場に「ぬるい」と感じる温度ですぐに運転が止まってしまいます。適切な温度に再設定してみてください。
次に、追い焚き配管の汚れが原因である可能性です。長年使用していると、配管内部に湯垢などの汚れが蓄積し、お湯の循環効率を低下させます。これにより、熱がうまく伝わらずに追い焚きがぬるくなったり、汚れがセンサーに影響して運転が止まったりすることがあります。この場合は、市販の風呂釜洗浄剤(1つ穴用)を使用して配管洗浄を試みるのが有効です。各メーカーが推奨する洗浄方法に従って、定期的にメンテナンスを行いましょう。
これらの対処法を試しても改善しない場合は、温度を検知するセンサーや、お湯を循環させるポンプの不具合といった機器本体の問題も考えられます。
エコキュートの追い焚きできません表示
リモコンに「追い焚きできません」というエラーメッセージが表示された場合、パニックになる必要はありません。多くの場合、単純な原因によるもので、ご自身で解決できる可能性があります。
この表示が出る最も一般的な理由は、やはりタンクのお湯切れ、またはお湯の温度低下です。システムが「追い焚きに必要な熱量がありません」と判断している状態なので、まずはタンクの残湯量を確認し、必要であれば「沸き増し」を行ってください。
次に考えられるのは、浴槽の水位不足です。循環アダプターがお湯から出てしまっていると、空焚きを防ぐための安全装置が作動し、このメッセージが表示されることがあります。アダプターが完全に浸かるまでお湯を足すことで解決します。
また、入浴剤の種類によっては、追い焚き機能に影響を与えるものがあります。特に、固形物が多く含まれるタイプや、硫黄成分、塩分、酸などが含まれる入浴剤は、配管やセンサーを傷める原因となるため、使用を避けるべきです。もし、特定の入浴剤を使った時だけこの表示が出るのであれば、入浴剤の使用を中止してみてください。
エコキュートが追い焚きできない時の対処法や確認すべき事
- 追いだきができないときに確認すること
- 三菱や日立でエコキュートが追い焚きできない
- 追い焚きできません表示が出た際の対処法
- 三菱・ダイキン・パナソニックなどメーカー別
- 追い焚き関連のよくある質問
追いだきができないときに確認すること
エコキュートの追い焚きができない場合、専門業者に連絡する前にご自身で確認できることがいくつかあります。以下のチェックリストを上から順に試してみてください。
- 貯湯タンクの残湯量を確認するリモコンを見て、タンクのお湯が極端に減っていないか、または「お湯切れ」の表示が出ていないかを確認します。もし湯量が不足しているなら、「沸き増し」ボタンを押して湯量を確保してください。
- 浴槽の水位を確認する浴槽の循環アダプター(循環口)の中心から10cm以上、お湯が張られているか確認します。水位が低い場合は、アダプターが完全に隠れるまでお湯を足してください。
- 循環アダプターのフィルターを掃除する循環アダプターのフィルターカバーを左に回して取り外し、フィルターに付着した髪の毛やゴミを歯ブラシなどで取り除きます。清掃後、しっかりと元に戻してください。
- リモコンの設定温度を確認する「ふろ温度」の設定が、現在の浴槽の湯温より極端に低くなっていないか確認します。適切な温度に設定し直してから、再度追い焚きを試みてください。
- エコキュートの電源をリセットする一時的なシステムの不具合である可能性も考えられます。貯湯タンク本体にある漏電遮断器を一度OFFにし、1分ほど待ってからONに戻してみてください。ただし、リセットすると時刻などの再設定が必要になる場合があります。
これらの項目を確認しても症状が改善しない場合は、機器本体の故障の可能性が高まります。
三菱や日立でエコキュートが追い焚きできない
三菱や日立製のエコキュートで追い焚きができない場合も、基本的な確認事項は他のメーカーと共通しています。しかし、メーカーごとの機能名や特徴を知っておくと、よりスムーズに対処できます。
三菱のエコキュート
三菱製エコキュートで追い焚きができない場合、多くは「お湯切れ」が原因です。リモコンで残湯量を確認し、「沸き増し」を行うのが最初のステップです。また、三菱独自の機能である「バブルおそうじ」が正常に作動しない場合、配管の汚れが追い焚きにも影響している可能性があります。取扱説明書に従って、配管の洗浄を試みることも有効です。リモコンにエラーコードが表示されている場合は、そのコードを記録し、公式サイトや説明書で内容を確認しましょう。
日立のエコキュート
日立製エコキュートで追い焚きができない場合も、まずはタンクの残湯量と循環フィルターの確認が基本です。日立の製品は、お湯の温度が低くなっていると追い焚きができない場合があるため、残湯表示があっても「タンク沸き増し」が必要になるケースがあります。また、日立は井戸水に対応した「ナイアガラタフネス」モデルなどを提供しており、水質が原因で配管が詰まりやすいケースも考えられます。定期的な配管洗浄がより一層大切になります。
追い焚きできません表示が出た際の対処法
前述の通り、「追い焚きできません」という表示が出た場合、多くはタンクの湯量不足や水位不足が原因です。しかし、これらの基本的な確認事項をクリアしても表示が消えない場合は、他の原因を考える必要があります。
一つの可能性として、追い焚き配管内に空気が混入しているケースが挙げられます。これは、お湯はりをする際に蛇口からお湯を足したり、残り湯の水位が低かったりした場合に起こりやすい現象です。この空気が循環を妨げ、エラー表示の原因となります。対処法としては、一度浴槽のお湯をすべて抜き、改めて「ふろ自動」運転でお湯はりをすることで、配管内の空気が押し出されて解消されることがあります。
それでも改善しない場合、温度センサーの異常や循環ポンプの故障など、専門的な診断が必要な不具合の可能性が高まります。無理に操作を続けると状態が悪化することもあるため、速やかに専門業者に点検を依頼するのが賢明です。
三菱・ダイキン・パナソニックなどメーカー別
追い焚きができない際の基本的なチェックポイントは、三菱、ダイキン、パナソニック、日立、東芝といった主要メーカーで大きな違いはありません。しかし、リモコンの操作方法や表示、推奨されるメンテナンス方法に若干の違いがあります。
メーカー | 主な確認事項・特徴 |
三菱 | 残湯量、フィルター掃除、エラーコードの確認。「バブルおそうじ」機能の状態もチェック。 |
ダイキン | 残湯量、フィルター掃除。「沸き増し」の操作を確認。残り湯を沸かす際の手順に注意。 |
パナソニック | 残湯量、フィルター掃除。公式サイトに動画での対処法ガイドがあり、初心者にも分かりやすい。 |
日立 | 残湯量があっても湯温が低い場合があるため「タンク沸き増し」を試す。配管洗浄が特に有効。 |
東芝 | 基本的な確認事項は共通。取扱説明書でエラーコードと対処法を正確に確認することが大切。 |
いずれのメーカーを使用している場合でも、最も確実な情報はご自宅のエコキュートに付属している取扱説明書です。エラーコードが表示された場合は、そのコードをメモし、説明書で意味と対処法を確認する習慣をつけましょう。
追い焚き関連のよくある質問
ここでは、エコキュートの追い焚きに関して、利用者から多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 賃貸マンションで追い焚きが故障した場合、修理費用は誰が負担しますか?
通常、設備の一部である給湯器の故障は、経年劣化によるものであれば大家さんや管理会社の負担で修理するのが一般的です。ただし、入居者の故意や過失(例えば、禁止されている入浴剤を使用して配管を詰まらせたなど)が原因の場合は、入居者負担となるケースもあります。まずは管理会社や大家さんに連絡して状況を説明し、指示を仰いでください。
Q. エコキュートの追い焚きが遅いのは故障ですか?
一概に故障とは言えません。追い焚きは、外気温が低い冬場や、浴槽のお湯の温度がかなり下がっている場合には、温まるまでに時間がかかることがあります。また、循環アダプターのフィルターや配管内部が汚れていると、お湯の循環効率が落ちて時間がかかる原因になります。まずはフィルターと配管の掃除を試してみてください。それでも改善しない場合は、経年劣化による性能低下の可能性も考えられます。
Q. 追い焚き機能がないエコキュートはありますか?
はい、あります。エコキュートには機能が充実した「フルオート」タイプの他に、お湯はりは自動ですが追い焚き機能がなく、たし湯で温度調整を行う「セミオート(オート)」タイプ、蛇口からお湯を出すだけのシンプルな「給湯専用」タイプがあります。ご自宅の機種がどのタイプか、取扱説明書で確認してみてください。
エコキュートが追い焚きできない時の対処法:総括
この記事で解説した、エコキュートの追い焚きができない際の重要なポイントを最後に箇条書きでまとめます。
- 追い焚きできない最大の原因はタンクのお湯切れ
- まずリモコンで残湯量を確認し必要なら沸き増しを行う
- 浴槽の循環口フィルターの詰まりも一般的な原因
- フィルターは定期的に歯ブラシなどで掃除する
- 循環口がお湯に浸かっていないと安全装置が作動する
- リモコンの設定温度が低いとすぐに運転が止まる
- 配管の汚れは追い焚き効率を低下させる
- 市販の洗浄剤で年に2〜3回は配管洗浄を行う
- 「追い焚きできません」表示は湯量や水位不足のサイン
- キッチンなどでお湯が出る場合は本体より周辺の問題を疑う
- メーカーによって操作方法が異なるため取扱説明書の確認が不可欠
- 一時的なエラーは本体の漏電遮断器リセットで直ることがある
- 基本的な項目を確認しても直らない場合は専門業者に相談する
- 禁止されている入浴剤の使用は故障の原因になる
- 設置から10年以上経過している場合は寿命の可能性も考慮する