エネファームの撤去費用は一体いくらかかるのか、気になっていませんか。そもそもエネファームとは何か、そしてエネファームを10年後どうするべきか、多くの方が悩む問題です。エネファームの撤去方法はどのような流れや手順で進むのか、また撤去にあたって補助金は利用できるのでしょうか。
信頼できる撤去業者の選び方やチェックすべきポイントも知っておきたいところです。
さらに、撤去後の選択肢として、エネファームからエコキュートに交換することは可能なのか、その場合のメリット・デメリットも気になります。
エコキュートとエネファームの違いを理解し、エコジョーズを含めた比較検討をした上で、エネファームとエコキュート、どちらがお得ですか?という疑問に答えを見つけ、オール電化への移行も視野に入れたいと考えるのは自然なことです。この記事では、エネファームの寿命を伸ばすメンテナンス方法から撤去、交換に至るまでの全ての情報を網羅し、あなたの疑問を解消します。
目次
エネファームの撤去費用と基礎知識や10年後の寿命とメンテナンス
- そもそもエネファームとはどんな給湯器?
- エネファームの撤去方法は?流れや手順
- エネファーム撤去に補助金は使える?
- エネファーム撤去業者の選び方とポイント
- エネファーム10年後どうする?寿命とメンテナンス
そもそもエネファームとはどんな給湯器?
エネファームとは、「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」という正式名称を持つエネルギー供給システムです。都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることで発電します。そして、この発電時に発生する熱を有効活用して同時にお湯を作り、給湯に利用するのが大きな特徴です。
つまり、電気とお湯を一つのシステムで同時に作り出すことができる、非常に効率的な設備といえます。発電した電気は家庭内で使用し、電力会社から購入する電気量を削減。沸かしたお湯は貯湯タンクに貯められ、いつでも使えるようになっています。
万が一タンクのお湯を使い切っても、バックアップ用のガス給湯器が作動するため、湯切れの心配がありません。また、発電時にCO2の排出量が少ないため環境に優しく、停電時でも発電を継続できるモデルもあるため、災害時の備えとしても注目されています。このように、エネファームは単なる給湯器ではなく、家庭のエネルギーを総合的にマネジメントする先進的なシステムです。
エネファームの撤去方法は?流れや手順
エネファームの撤去は、専門的な知識と技術を要するため、利用者自身で解体・処分することは絶対にできません。撤去作業は、資格を持った専門業者が行う必要があり、安全かつ法規に則った適切な手順で進められます。
一般的な撤去の流れは以下の通りです。
- 業者への連絡と見積もり依頼: まず、エネファームを購入した販売店やガス会社、または専門の設備業者に連絡し、撤去の相談と見積もりを依頼します。この際、撤去のみか、新しい給湯器への交換も含むかによって費用や工事内容が変わります。
- 現地調査: 業者が実際に設置場所を訪れ、エネファームの型番、設置状況、配管や配線の状態、搬出経路などを確認します。この調査を基に、正確な見積もりが作成されます。
- 契約と工事日の調整: 見積もり内容に納得できれば契約を結び、具体的な工事日を決定します。
- 撤去工事の実施: 当日は、まずガス管や水道管、電気配線を安全に切り離す作業から始まります。その後、「燃料電池ユニット」と「貯湯タンクユニット」という2つの主要な機器を慎重に搬出します。機器は重量があるため、専門の機材を用いて運び出されます。
- 配管・配線の処理: 機器が撤去された後、不要になった配管や配線の末端処理が行われます。新しい給湯器を設置する場合は、それに合わせた接続準備が進められます。
- 廃棄物処理: 撤去されたエネファーム本体は、法律に基づき、業者が責任を持って適正に処分します。
これらの工程は、通常半日から1日程度で完了しますが、設置状況によっては変動することがあります。
エネファーム撤去に補助金は使える?
エネファームの「撤去そのもの」を対象とした補助金制度は、国やほとんどの自治体において、残念ながら存在しないのが現状です。補助金は基本的に、新しい省エネ設備を「導入」することを促進するために設けられています。
しかし、エネファームを撤去した後に、高効率な新しい給湯器(例えばエコキュート)を設置する場合には、その新しい機器の導入に対して補助金が適用される可能性があります。
2025年現在の国の補助金制度
現在、国の主要な支援事業として「給湯省エネ2025事業」が実施されています。これは、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野の省エネ化を強力に後押しする制度です。
この事業では、補助金の対象として登録されている高効率なエコキュートを導入する場合、機種の性能に応じて定額の補助が受けられます。
したがって、「エネファームの撤去費用」を直接補助するものではありませんが、撤去と同時にエコキュートへの交換工事を行うことで、新しい給湯器の設置費用負担を大幅に軽減できるのです。補助金の申請手続きは、通常、工事を請け負う業者が代行してくれるため、利用者側の手間は少ないです。撤去を検討する際は、その後の設備交換まで含めて、補助金が活用できるかを業者に確認することが非常に大切です。
エネファーム撤去業者の選び方と5つのポイント
エネファームの撤去は、専門性が高く、ガスや電気、水道といった複数のインフラを扱う複雑な作業です。そのため、業者選びは非常に重要で、安全性や費用、今後の設備利用に大きく影響します。信頼できる業者を選ぶために、以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 必要な資格を保有しているか: エネファームの撤去には、ガスや電気工事に関連する専門資格が不可欠です。例えば、「ガス機器設置スペシャリスト」や「第二種電気工事士」などの有資格者が在籍しているか必ず確認してください。資格の有無は、安全で確実な工事を行うための最低条件です。
- 見積もりが明確で詳細か: 事前に複数の業者から相見積もりを取ることをお勧めします。その際、単に総額が安いかどうかだけでなく、「撤去作業費」「機器の処分費」「配管処理費」など、費用の内訳が詳細に記載されているかを確認しましょう。不明瞭な項目がないか、追加料金が発生する可能性についても事前に質問しておくことが大切です。
- エネファームの取り扱い実績が豊富か: エネファームは一般的な給湯器と構造が異なるため、撤去や交換の経験が豊富な業者に依頼するのが安心です。過去の施工事例をウェブサイトで公開しているか、具体的な実績について尋ねてみると良いでしょう。
- 撤去後のプランにも対応できるか: 撤去後にエコキュートやエコジョーズなど、別の給湯器への交換を考えている場合、その設置工事まで一貫して対応できる業者を選ぶとスムーズです。撤去と設置を別々の業者に依頼すると、手間やコストが増える可能性があります。オール電化への変更など、総合的な相談に乗ってくれるかも判断基準になります。
- 損害賠償保険に加入しているか: 万が一、工事中に家屋の破損や事故が発生した場合に備え、業者が損害賠償保険に加入しているかを確認しておくと、より安心して任せることができます。
これらのポイントを踏まえ、価格だけでなく、技術力や信頼性も考慮して慎重に業者を選びましょう。
エネファーム10年後どうする?寿命とメンテナンス
エネファームを設置してから10年が経過すると、多くの利用者が「この先どうするか」という選択に直面します。これは、エネファームの寿命とメンテナンスの仕組みが大きく関係しています。
エネファームの寿命とメンテナンスサイクル
エネファームの心臓部である「燃料電池ユニット」は、設計上、使用開始から約20年で自動的に発電を停止するようになっています。しかし、それ以前に重要な節目が訪れます。
設置から10年が経過する頃に、多くの場合、最初の有償メンテナンス(総点検)が必要になります。この点検を受けないと、安全上の理由から発電機能が停止されてしまうことがあります。
この10年目以降のメンテナンス費用は決して安くなく、点検だけで約10万円、部品交換が必要になればさらに高額な費用が発生することも珍しくありません。その後も数年ごとに有料の点検が必要となり、維持コストが大きな負担となる可能性があります。
寿命を伸ばすためのメンテナンス
基本的にエネファームの専門的なメンテナンスは業者に任せることになりますが、利用者が日常的にできることもあります。それは、貯湯タンクの「水抜き」です。長期間使用するとタンクの底に不純物が溜まることがあるため、半年に一度程度、取扱説明書に従って排水栓から水を抜くことで、タンク内を清潔に保ち、より長くきれいなお湯を使い続ける助けになります。
しかし、こうした手入れで燃料電池自体の寿命が大きく伸びるわけではありません。そのため、10年という節目で高額な維持費を払い続けて使用を継続するか、あるいは撤去してエコキュートなど他の給湯システムに交換するかを、経済的な観点から慎重に検討する必要が出てくるのです。
エネファーム撤去費用とエコキュートへの交換のメリット
- エコキュートとエネファームの違いを解説
- エネファームからエコキュートへの交換とメリット
- エコキュート交換でオール電化にするには
- エコジョーズ・エコキュート・エネファーム比較
- エネファームとエコキュート、どちらがお得?
エコキュートとエネファームの違いを解説
エネファームから他の給湯器への交換を検討する際、最も比較対象となるのがエコキュートです。この二つは、エネルギーの作り方とお湯の沸かし方に根本的な違いがあります。
比較項目 | エネファーム | エコキュート |
主なエネルギー源 | ガス(都市ガス・LPガス) | 電気 |
仕組み | ガスから水素を取り出し発電。その排熱でお湯を作る。 | 大気の熱をヒートポンプで集め、その熱でお湯を沸かす。 |
発電機能 | あり | なし |
光熱費 | ガス代+電気代(発電分は削減) | 電気代のみ(オール電化プランで夜間が割安) |
CO2排出量 | 少ない | さらに少ない(大気の熱を利用するため) |
湯切れ | バックアップ給湯器があるため、ほぼ心配なし | タンクのお湯を使い切ると発生する可能性あり |
設置スペース | 燃料電池と貯湯タンクで比較的大きい | 貯湯タンクとヒートポンプで比較的大きい |
災害時の強み | 停電時でも発電・給湯が可能(モデルによる) | 断水時にタンクの水を生活用水として利用可能 |
最も大きな違いは、エネファームが「発電する給湯器」であるのに対し、エコキュートは「省エネに特化した給湯器」である点です。エネファームはガスを使って自家発電することで電気代を削減しますが、エコキュートは電気だけを使い、特に料金の安い深夜電力で効率よくお湯を作ることで光熱費を削減します。このエネルギー源と仕組みの違いが、ランニングコストや導入のメリット・デメリットに直結してくるのです。
エネファームからエコキュートへの交換とメリット
現在エネファームを使用している家庭でも、エコキュートへの交換は技術的に全く問題なく可能です。専門業者による撤去・設置工事が必要ですが、多くのメリットがあるため、交換を選択する家庭が増えています。
エネファームからエコキュートに変更するメリット
- ランニングコストの大幅な削減: エコキュートは、電気料金が割安な深夜電力を使ってお湯を沸かすため、日中のガスと電気を使用するエネファームに比べて、月々の光熱費を大幅に削減できる可能性があります。特にオール電化プランと組み合わせることで、その効果は最大化します。
- メンテナンス費用の軽減: 前述の通り、エネファームは10年目以降、高額な有償メンテナンスが定期的に必要です。一方、エコキュートは構造が比較的シンプルで、エネファームのような必須の高額点検はありません。長期的に見た場合、維持管理にかかるコストを大きく抑えることができます。
- 環境負荷の低減: エコキュートは、消費する電気エネルギーの何倍もの熱エネルギーを大気中から集めて利用するヒートポンプ技術を採用しています。そのため、ガスを燃焼させるエネファームよりもCO2排出量が少なく、より環境に優しい選択といえます。
デメリットと注意点
一方で、デメリットも存在します。エコキュートの導入には、エネファームの撤去費用に加えて、エコキュート本体と設置工事費で数十万円の初期費用がかかります。また、大きな貯湯タンクを設置するスペースが必要になる点や、寒冷地では性能が若干低下する可能性がある点も考慮が必要です。これらのメリット・デメリットを総合的に比較し、自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
エコキュート交換でオール電化にするには
エネファームを撤去してエコキュートを設置することは、多くの場合、「オール電化」への移行を意味します。オール電化とは、家庭内で使用するエネルギーをすべて電気でまかなうライフスタイルです。これには、給湯器の交換だけでなく、いくつかのステップと注意点があります。
オール電化への移行プロセス
- ガスコンロからIHクッキングヒーターへの交換: 給湯を電気(エコキュート)に切り替えるだけでなく、キッチンのコンロもガスからIHクッキングヒーターに変更する必要があります。これにより、ガス契約そのものを解約でき、基本料金を一本化できます。
- 電力契約プランの変更: オール電化住宅向けに提供されている、夜間の電気料金が割安になる専用プラン(例えば、東京電力の「スマートライフプラン」など)に契約を変更します。この手続きは、通常、エコキュートの設置業者が代行してくれます。このプラン変更により、エコキュートの経済的なメリットを最大限に引き出せます。
- ガス契約の解約: 全てのガス機器(エネファーム、ガスコンロ、ガスファンヒーター等)の撤去が完了したら、契約しているガス会社に連絡し、ガス契約を解約します。
床暖房がある場合の注意点
エネファームが床暖房の熱源も兼ねている住宅の場合、注意が必要です。エネファームを撤去すると、床暖房が使えなくなってしまいます。しかし、オール電化を諦める必要はありません。
「エコヌクール」のような、電気を熱源とするヒートポンプ式の床暖房システムをエコキュートと同時に設置することで、快適な床暖房を維持したままオール電化を実現できます。この場合、追加の設備費用がかかりますが、10年以上の長期スパンで見れば、ガスを使い続けるよりも経済的になるケースが多いです。
エコジョーズ・エコキュート・エネファーム比較
給湯器の選択肢はエネファームとエコキュートだけではありません。ガス給湯器の中でも高効率な「エコジョーズ」も有力な候補です。ここで、それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | エコジョーズ | エコキュート | エネファーム |
エネルギー源 | ガス | 電気 | ガス+電気(自家発電) |
初期費用 | 安い (20~40万円) | 中程度 (40~70万円) | 高い (150万円~) |
ランニングコスト | 中程度 | 安い | やや高い |
仕組み | 排熱を再利用し効率UP | 大気の熱を利用 | 発電時の排熱を利用 |
メリット | ・本体がコンパクト ・湯切れの心配なし ・初期費用が安い | ・光熱費が安い ・環境性能が高い ・災害時に水が使える | ・自家発電できる ・停電時も安心 ・環境性能が高い |
デメリット | ・ガス代の影響を受ける ・設置場所の制約 | ・初期費用が高い ・湯切れの可能性 ・設置スペースが必要 | ・初期費用が非常に高い ・10年後の維持費が高額 ・設置スペースが大きい |
どんな人におすすめ?
- エコジョーズ: 初期費用をとにかく抑えたい方、設置スペースが限られている方。
- エコキュート: 月々の光熱費を削減したい方、オール電化にしたい方、長期的なコストパフォーマンスを重視する方。
- エネファーム: 自家発電や災害時の備えに魅力を感じる方、初期投資や維持費を許容できる方。
エネファームからの撤去を考える場合、多くはランニングコストや維持費が理由です。その観点からは、エコキュートが最も有力な乗り換え先となりますが、初期費用や設置スペースの制約がある場合は、エコジョーズも現実的な選択肢として検討の価値があります。
エネファームとエコキュートはどちらがお得ですか?
「エネファームとエコキュート、結局どちらがお得か」という問いに対する答えは、初期費用と10年以上の長期的な視点を含めた「トータルコスト」で判断する必要があります。
初期費用
初期費用については、エコキュートに軍配が上がります。エネファームの新規設置には150万円以上かかるのが一般的ですが、エコキュートは撤去・設置費用を含めても、多くの場合70万円以内に収まります。国の補助金制度を活用すれば、さらに負担を軽減できます。
ランニングコスト
月々の光熱費(ランニングコスト)も、エコキュートの方が安くなる傾向にあります。エコキュートは割安な深夜電力を主に利用するため、ガスと電気を併用するエネファームよりも光熱費を抑えやすいのが特徴です。
10年目以降の維持費
この点が最も大きな差となります。エネファームは10年目以降、高額な有償メンテナンスが必須となり、大きな出費が続きます。一方、エコキュートにはそのような義務的な高額メンテナンスはありません。もちろん故障すれば修理費用はかかりますが、計画外の必須出費がない点は大きなメリットです。
総合的な判断
これらの点を総合すると、日本の多くの地域(特に温暖地)においては、初期費用、ランニングコスト、維持費の全ての面で「エコキュート」の方が経済的なメリットは大きいと言えます。エネファームの自家発電や災害時の強みに特別な価値を見出す場合を除き、コストパフォーマンスを最優先するならば、エネファームを撤去しエコキュートへ交換する方がお得な選択となる可能性が高いです。
エネファームの撤去費用や交換の目安:総括
この記事で解説したエネファームの撤去費用や交換に関する重要なポイントを、以下に箇条書きでまとめます。
- エネファームはガスで発電し、その熱でお湯も作るシステム
- 撤去は専門業者への依頼が必須で、自分では絶対に行わない
- 撤去費用の相場は数万円から10万円程度が目安
- 撤去作業のみを対象とした補助金は基本的にない
- 撤去後にエコキュートなどを設置する場合、その導入に対して国の補助金が使える
- 信頼できる撤去業者は資格・実績・詳細な見積もりで選ぶ
- エネファームは設置10年後に高額な有償メンテナンスが必要になる
- 維持費の観点から10年を機に撤去や交換を検討する家庭が多い
- エネファームからエコキュートへの交換は技術的に可能
- エコキュートへの交換メリットは光熱費と維持費の大幅な削減
- 交換によりオール電化へ移行すれば、ガス基本料金も不要になる
- 床暖房がある場合も、電気式の熱源機を追加すればオール電化は可能
- エコジョーズは初期費用が安いが、ランニングコストはエコキュートが有利
- トータルコストで比較すると、多くの場合エコキュートの方がお得
- 最終的な選択は、初期費用、光熱費、ライフスタイルを総合的に判断して決める