窓のお悩み

ペアガラスの内部結露はドライヤーで直る?放置の危険性を解説

2025年8月9日

「ペアガラスの窓の内側がなぜか曇っている…拭いても取れないし、もしかして内部結露?」

「このひどい結露、ドライヤーで乾かせば直るだろうか?」

このように、ペアガラスの内部結露にお悩みで、ドライヤーを使った対処法を考えている方もいらっしゃるかもしれません。

ペアガラスの内部結露とは何か、その原因と、もし結露を放置するとどんなリスクがあるのか気になりますよね。

自分で掃除や水抜き、あるいはDIYでの修理は可能なのか、費用を抑えるために火災保険やメーカーの保証が使えないか、という点も知りたいところです。

この記事では、ペアガラスの内部結露について、その原因から正しい対処法、修理費用の相場、さらにはペアガラスリフォームで利用できる2025年度の補助金制度まで、詳しく解説していきます。

  • ペアガラスの内部結露にドライヤーが絶対NGな理由
  • 内部結露を放置した場合の具体的なリスク
  • 修理や交換にかかる費用の相場と安く抑えるコツ
  • メーカー保証や火災保険、補助金の適用条件

ペアガラスの内部結露にドライヤーは絶対NG?その原因と放置リスクについて

ペアガラスの内部結露にドライヤーは絶対NG?その原因と放置リスクについて

  • ペアガラスの内部結露とは?その原因
  • ペアガラスの結露がひどい状態は劣化のサイン
  • 結露を放置するとどんなリスクがある?
  • ペアガラス内部結露の掃除はできるのか
  • 内部結露の修理はDIYでは不可能です
  • 保証期間内かまず確認しよう

ペアガラスの内部結露とは?その原因

ペアガラス(複層ガラス)の内部結露とは、2枚のガラスの間に設けられた中空層の内部で水滴が発生する現象を指します。通常の窓ガラス表面にできる結露とは違い、内側で発生するため、布で拭き取ることができません。

では、なぜ本来は乾燥しているはずの中空層で結露が起こるのでしょうか。

その主な原因は、ガラスの周囲を密閉している「シール材」の経年劣化です。ペアガラスは、2枚のガラスとスペーサーと呼ばれる部材で構成され、その隙間をシール材で完全に密封することで、乾燥した空気や断熱性の高いガスを封じ込めています。

しかし、長年にわたって紫外線や風雨、温度変化にさらされることで、このシール材が少しずつ劣化して硬化し、ひび割れなどを起こします。すると、そのわずかな隙間から湿気を含んだ外気が中空層に侵入し始めてしまうのです。

中空層に侵入した湿気は、内部に封入されている乾燥剤の吸湿能力を超えた時点で飽和状態となります。そして、室内外の温度差によってガラスが冷やされると、空気中の水分が水滴となり、ガラスの内側に結露として現れる、というのが内部結露のメカニズムです。

ペアガラスの結露がひどい状態は劣化のサイン

もしご自宅のペアガラスの結露がひどいと感じる場合、それは単なる湿度の問題ではなく、ガラス自体の劣化が進んでいる重要なサインかもしれません。特に、拭いても取れない曇りや水滴がガラスの内部に見えるのであれば、内部結露が発生している可能性が非常に高いと考えられます。

内部結露は、一度発生すると自然に消えることはありません。むしろ、時間が経つにつれてシール材の劣化がさらに進行し、より多くの湿気が内部に侵入するため、曇りの範囲が広がったり、水滴が溜まってしまったりと、症状は悪化の一途をたどります。

「最近、冬場の窓の結露が以前よりひどくなった」「窓の一部だけが常に白く曇っている」といった症状は、ペアガラスが持つ本来の断熱性能が失われ始めている証拠です。これは、ガラスの寿命が近づいていることを示しており、早めの対策が求められます。

放置するとどんなリスクがある?

ペアガラスの内部結露を「見た目が悪いだけ」と考えて放置してしまうと、いくつかの重大なリスクを引き起こす可能性があります。

第一に、断熱性能が著しく低下します。ペアガラスの優れた断熱性は、密閉された乾燥空気層によって保たれています。しかし、内部が湿気で満たされると、この断熱層が機能しなくなり、外の冷気や熱気が室内に伝わりやすくなります。結果として、冬は暖房が効きにくく、夏は冷房効率が落ちるため、光熱費が余計にかかってしまう事態につながります。

第二に、カビの発生です。中空層に溜まった水分は、カビにとって絶好の繁殖環境となります。ガラス内部で発生したカビは除去することができず、見た目を損なうだけでなく、胞子が室内に漏れ出すことでアレルギーや喘息といった健康被害を引き起こす恐れも否定できません。

さらに、溜まった水分がサッシや周辺の壁材にまで染み出し、建物の構造体を腐食させてしまうケースもあります。このように、内部結露の放置は、快適性、経済性、健康、そして住まいの寿命そのものにまで悪影響を及ぼすリスクをはらんでいるのです。

内部結露の掃除はできるのか

「ガラスの内側の曇りや汚れ、どうにかして掃除できないものか」と考えるのは自然なことです。しかし、残念ながらペアガラスの内部結露を掃除によって取り除くことは物理的に不可能です。

前述の通り、内部結露はガラスとガラスの間の密閉された空間で発生しています。この中空層は製造工場で特殊な工程を経て組み立てられており、一度製品として完成したものを分解して内部を清掃し、再び元通りに密閉することは一般の家庭ではもちろん、専門の業者であってもできません。

無理にガラスを分解しようとすれば、ガラスが割れて大怪我につながる危険性が極めて高いです。また、仮に分解できたとしても、再度密閉する際に工場レベルでの乾燥状態を再現することはできず、すぐにまた結露が発生してしまいます。

したがって、内部結露による汚れや曇りは「掃除」というアプローチでは解決できない問題であり、根本的な解決にはガラスユニット自体の交換が必要となるのが実情です。

内部結露の修理はDIYでは不可能です

掃除ができないのと同様に、ペアガラスの内部結露をDIYで修理することも不可能です。インターネット上では様々な修理方法が紹介されていることがありますが、これらを試みるのは極めて危険であり、状況をさらに悪化させる可能性が高いでしょう。

例えば、ガラスに穴を開けて湿気を抜こうとする行為は、ガラス全体の強度を著しく低下させます。わずかな温度変化や衝撃でガラスが突然割れる「熱割れ」や破損のリスクを増大させるだけで、根本的な解決にはなりません。また、開けた穴からさらに多くの湿気が侵入し、結露がよりひどくなることも考えられます。

ペアガラスの交換作業には、正確な採寸、重量のあるガラスの取り扱い、そしてサッシに正しく設置する専門的な知識と技術が求められます。不適切な作業は、ガラスの落下や破損、サッシの損傷、さらには隙間風や雨漏りの原因ともなりかねません。

安全面と機能面の両方から、内部結露が発生したペアガラスの対処は、DIYで行うのではなく、必ずプロのガラス専門業者に依頼することが不可欠です。

保証期間内かまず確認しよう

ペアガラスの内部結露に気づいたら、諦めてすぐに交換を依頼する前に、まず製品の保証書を確認することが大切です。多くの国内ガラスメーカーでは、ペアガラスの内部結露に対して、製造から10年間の品質保証を付けているのが一般的です。

この保証は、製品の製造上の不具合によってシール材が早期に劣化し、内部結露が発生した場合に適用されるものです。もしご自宅のペアガラスが設置から10年以内で、保証の対象となる場合、メーカーが無償で同等の新品と交換してくれる可能性があります。

ただし、いくつか注意点があります。まず、保証の対象はあくまで「内部結露」のみであり、ガラス表面の結露や、飛来物による破損などは対象外です。また、天窓のように垂直以外に取り付けられたガラスは保証期間が短縮される(例:6年間)場合もあります。

保証書が見当たらない場合でも、施工した工務店やリフォーム会社、あるいはサッシに記載されているメーカー名や製品の刻印を手がかりに問い合わせてみましょう。交換費用をかけずに問題を解決できるかもしれないので、最初に確認すべき重要なポイントです。

ペアガラス内部結露はドライヤーより交換!費用と対策

ペアガラス内部結露はドライヤーより交換!費用と対策

  • 内部結露の交換にかかる修理費用相場
  • 修理に火災保険が適用されるケース
  • ペアガラス補助金2025の活用法
  • なぜペアガラス内部結露にドライヤーがダメなのか

内部結露の交換にかかる修理費用相場

DIYでの修理が不可能な内部結露は、ガラスを交換することでしか解決できません。その際に気になるのが交換費用ですが、これは窓のサイズやガラスの種類によって大きく変動します。

あくまで一般的な目安ですが、以下にサイズと種類別の費用相場をまとめました。実際の費用は、業者への出張費や作業費などが加わるため、必ず見積もりで確認してください。

窓のサイズ(一例) ガラスの種類 ガラス本体価格の目安
腰高窓(約90cm × 90cm) 標準的なペアガラス 約15,000円~
腰高窓(約90cm × 90cm) Low-Eペアガラス(高断熱) 約20,000円~
掃き出し窓(約90cm × 180cm) 標準的なペアガラス 約30,000円~
掃き出し窓(約90cm × 180cm) Low-Eペアガラス(高断熱) 約40,000円~

これに加えて、出張費が3,000円~8,000円、作業費が8,000円~15,000円程度かかるのが一般的です。したがって、例えば腰高窓の標準的なペアガラスを1枚交換する場合、合計で26,000円~58,000円程度が費用の総額目安となります。

費用を少しでも抑えるためには、複数の業者から相見積もりを取り、料金体系やサービス内容を比較検討することが鍵となります。

修理に火災保険が適用されるケース

ペアガラスの交換に火災保険が使えないかと考える方もいらっしゃるでしょう。結論から言うと、内部結露の原因が「経年劣化」である場合は、残念ながら火災保険の適用対象外となるのが一般的です。火災保険は、あくまで「突発的かつ偶然な外来の事故」による損害を補償するものです。

一方で、火災保険が適用される可能性もゼロではありません。それは、内部結露の原因が経年劣化ではなく、台風や竜巻、強風による飛来物でガラスに目に見えないほどの小さな傷(クラック)が入り、そこから湿気が侵入した、といったケースです。

このような「風災」や「飛来物・落下物による破損」が原因であると認められれば、保険金が支払われることがあります。ただし、その原因が自然災害によるものであることを証明する必要があり、手続きは簡単ではありません。

もし災害の後に内部結露が始まったなど、原因に心当たりがある場合は、諦めずに保険会社やガラス業者に相談してみる価値はあるでしょう。

補助金2025年最新情報や活用法

ペアガラスの交換は費用がかかりますが、国が実施している補助金制度をうまく活用することで、負担を大幅に軽減できる可能性があります。特に注目したいのが、断熱性能の高い窓へのリフォームを支援する補助金です。

2025年度も、前年度に引き続き「先進的窓リノベ事業」などの後継事業が実施される可能性が高いと考えられています。これらの制度は、エネルギー価格の高騰対策やCO2排出量削減を目的としており、断熱性能の高いガラス(例:Low-Eペアガラス)への交換が補助の対象となります。

補助金額は、交換するガラスの性能やサイズによって決まり、窓1か所あたり数万円単位の補助が受けられることも少なくありません。これを活用すれば、標準的なペアガラスに少し費用を上乗せするだけで、より高性能なLow-Eペアガラスへアップグレードすることも可能です。

注意点として、補助金を利用するには、国の事務局に登録された事業者に工事を依頼し、期間内に申請を完了させる必要があります。制度の詳細は経済産業省や環境省のウェブサイトで公表されるため、リフォームを検討する際は最新情報を必ずチェックし、対象事業者へ相談することをおすすめします。

なぜペアガラスの内部結露にドライヤーがダメなのか

記事の冒頭で触れた「ドライヤーで乾かす」という行為は、絶対に避けるべきです。内部結露をドライヤーで乾かそうとすることは、問題を解決できないばかりか、非常に危険な事態を引き起こす可能性があります。

その最大の理由は、「熱割れ」という現象です。ガラスは、急激な温度変化に非常に弱い性質を持っています。ドライヤーの熱風をガラスの一部分に集中的に当てると、熱せられた部分が膨張する一方で、周囲の冷たい部分はそのままの状態を保とうとします。この温度差による歪みにガラスが耐えきれなくなり、「ピシッ」という音とともに亀裂が入ってしまうのです。これが熱割れです。

特に冬場は外気でガラス全体が冷え切っているため、少し熱を当てるだけでも大きな温度差が生じやすく、熱割れのリスクは格段に高まります。

一度熱割れが起きると、そのガラスはもう使えません。結局は交換が必要となり、本来はかからなかったはずの余計な出費につながってしまいます。安全のためにも、そして無駄な費用を発生させないためにも、ペアガラスの内部結露に対してドライヤーを使用するのは絶対にやめてください。

まとめ:ペアガラス内部結露はドライヤーより専門家へ

この記事で解説してきたように、ペアガラスの内部結露はご自身で解決できる問題ではありません。

最後に、重要なポイントを改めてまとめます。

  • ペアガラスの内部結露はシール材の経年劣化が主な原因
  • 内部で発生するため掃除や水抜きは構造的に不可能
  • 放置すると断熱性が低下し光熱費が上がる
  • 内部にカビが発生して健康被害を招くリスクもある
  • ドライヤーを当てるのは熱割れの危険性が高く絶対NG
  • DIYでの修理や交換はガラス破損や怪我の元で不可能
  • 根本的な解決策はガラスユニット自体の交換のみ
  • 交換費用は窓のサイズやガラスの種類によって変動する
  • まずは設置から10年以内か保証書を確認する
  • メーカーの品質保証が適用され無償交換できる場合がある
  • 台風など災害が原因なら火災保険が使える可能性も
  • 経年劣化による内部結露は火災保険の対象外
  • 国の補助金制度を使えば交換費用を抑えられる
  • 「先進的窓リノベ事業」などの活用を検討する
  • 交換を依頼する際は複数の専門業者から見積もりを取る
  • 内部結露に気づいたらまずはプロのガラス業者に相談する

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