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玄関の二重扉で防寒・防犯・防音の効果と対策を解説!メリット・デメリットとリフォームの費用相場完全ガイド

玄関の二重扉で防寒・防犯・防音の効果と対策を解説!メリット・デメリットとリフォームの費用相場完全ガイド

冬の玄関から流れ込む、足元から這い上がるような冷たい空気に、お悩みではありませんか?

「玄関の二重扉で防寒」と検索されたあなたは、家全体の室温を下げてしまう玄関の寒さ対策として、二重扉の効果に高い関心をお持ちのことでしょう。

玄関の二重扉とは具体的にどのようなものか、また玄関を二重にする理由は何ですか?と、その仕組みやメリットについて疑問に思うかもしれません。

二重扉は、玄関の断熱性能による優れた防寒効果だけでなく、防犯・防音といった面でも、住まいの快適性を格段に向上させる多くのメリットが期待できます。

この記事では、玄関の二重扉リフォームの具体的な方法や費用相場、さらには玄関の二重扉をDIYで対処するの可能性と限界について詳しく解説します。

それだけでなく、おしゃれな玄関の二重扉の選び方、利便性の高い二重扉の引き戸タイプの特徴、大切なペットを守る二重扉の猫の脱走防止策としての活用法、そしてマンションの玄関に二重扉を設置時に必ず確認すべき注意点まで、あらゆる疑問に答える情報を網羅しました。

また、すぐに試せる「玄関ドアからの冷気を防ぐには?」という喫緊の課題に応える100均でできる防寒対策・防寒アイテムや、効果実証済みの古い家の寒さ対策5選もあわせてご紹介します。

この記事で、あなたの家の玄関の寒さ問題を根本から解決する道筋が見つかるはずです。

この記事のポイント

  • 玄関二重扉の基本的な定義とメリット
  • 防寒・防音・防犯といった具体的な性能
  • リフォームやDIY、マンション設置時の注意点
  • 100均アイテムを使った手軽な寒さ対策

玄関の二重扉とは?防寒の基本とメリット

玄関の二重扉とは?防寒の基本とメリット

  • 玄関の二重扉とは?その基本を解説
  • 玄関を二重にする理由は何ですか?メリットや効果
  • 玄関の二重扉の防犯・防音・断熱性能や効果
  • 玄関の二重扉に引き戸を選ぶメリット
  • おしゃれな二重扉の選び方
  • 猫と暮らす家の玄関の二重扉の活用

玄関の二重扉とは?その基本を解説

「玄関二重扉」と聞くと、どのようなものを想像されるでしょうか。この言葉には、実は大きく分けて2つのタイプが存在します。それぞれの特徴を理解することが、ご自宅に最適な防寒対策を選ぶ第一歩となります。

一つは、ホテルや寒冷地の公共施設、あるいは欧米の豪邸に見られるような、家の外観の一部として設計された「ダブルエントランス」です。

これは、外側の門や扉と、建物本体の玄関ドアの間に「風除室(ふうじょしつ)」や「玄関ポーチ」と呼ばれる小部屋のような空間がある構造を指します。外気や風雨が直接玄関ドアに当たるのを防ぎ、高級感を演出する役割がありますが、既存の住宅に防寒対策として後から設置するには、大規模な増築工事が必要となり、現実的ではありません。

そしてもう一つが、この記事で中心的に解説する「既存の玄関ドアの内側にもう一つ扉を設置する」タイプです。

これは、窓の断熱リフォームでよく知られる「内窓(二重窓)」の玄関ドア版と考えると非常に分かりやすいでしょう。リフォーム商品としては、LIXILの「インプラス テラスドア」やYKK APの「かんたん マドリモ 内窓プラマードU テラスドアタイプ」のように、既存の玄関枠の内側に取り付ける専用のドア製品が各メーカーから販売されています。

また、必ずしも密閉性の高い「扉」でなくとも、玄関ホールと廊下の間に新しく「引き戸」や「アコーディオンカーテン」、「パネルドア」といった間仕切りを設置することも、広い意味での二重扉と言えます。このように、既存の玄関の内側に後付けでもう一つの扉や間仕切りを設けることが、現実的かつ効果的な防寒対策として注目されています。

用語の整理:「風除室」と「内扉」

  • 風除室(ふうじょしつ):主に建物の「外側」に増設する小部屋。外気を遮断する効果は高いが、増築扱いになることが多い。
  • 内扉(うちとびら):主に建物の「内側」(玄関ホール)に設置する扉や間仕切り。リフォームで手軽に設置可能。

玄関を二重にする理由は何ですか?メリットや効果

玄関を二重扉にする最大の理由は、シンプルに「住環境の快適性を劇的に高めるため」です。

日本の多くの住宅において、玄関は「開口部」と呼ばれ、家の中で最も外気の影響を受けやすく、熱が逃げやすいウィークポイントとされています。特に冬場は、熱伝導率の高いアルミ製の玄関ドアを通じて冷気が侵入し、玄関ホール全体が外気温と変わらないほど冷え込みます。

その結果、廊下や隣接するリビングの室温まで下げてしまい、暖房効率を著しく低下させる大きな原因となっています。

玄関を二重扉にする主な理由は、以下の多岐にわたる悩みをまとめて解決できる点にあります。

  1. 防寒・断熱性能の向上(省エネ)最も多くの人が期待する効果です。既存のドアとの間に生まれる「空気の層」が、魔法瓶の真空層のように熱の移動を強力に遮断します。これにより、冬の冷気侵入や夏の熱気侵入を大幅に軽減し、エアコンの効きを良くするため、光熱費の節約(省エネ)にも直結します。
  2. 防音・遮音性能の向上幹線道路沿いの家や、集合住宅で廊下の足音・話し声が気になる場合に非常に有効です。二重の扉が音の振動を減衰させ、静かな室内環境の実現に貢献します。
  3. 防犯性能の向上侵入犯罪において、犯人は「時間」と「手間」を極端に嫌います。ドアが二重になることで、ピッキングやこじ開けに要する時間が単純に2倍以上になり、「侵入が困難な家」と認識させる強力な心理的抑止効果が期待できます。
  4. ペット(特に猫)の脱走防止玄関ドアを開けた瞬間に、大切な猫や小型犬が飛び出してしまう事故を防ぐ「第二の関門」として、極めて有効です。
  5. その他のメリット空気の層(エアロック)ができることで、花粉やPM2.5、ホコリなどが室内へ一気に流入するのを軽減する効果も期待できます。

二重扉が解決する「玄関の悩み」

玄関の「寒い」「うるさい」「(侵入が)危ない」「(ペットが)危ない」といった、生活の質を低下させる様々な問題を、一度に解決できるのが二重扉の最大の魅力です。

玄関の二重扉の防犯・防音・断熱性能や効果

玄関二重扉がもたらす「断熱」「防音」「防犯」の3つの主要な性能について、なぜそのような効果が生まれるのか、そのメカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。

断熱性能(防寒)

二重扉の防寒性能の秘密は、既存の玄関ドアと新設する内側のドアとの間に生まれる「空気層」にあります。空気は、それ自体が非常に優れた断熱材です。

熱の伝わり方には「伝導」「対流」「放射」の3種類がありますが、二重扉はこのうち「伝導」と「対流」を強力にブロックします。

  • 対流の抑制:空気層が密閉されることで、冷たい空気が室内に入り込み、暖かい空気が外へ逃げる「空気の移動(対流)」が起こりにくくなります。
  • 伝導の抑制:外側のドアが冷えても、その冷たさが空気層を介して内側のドアに伝わる(伝導する)のを遅らせることができます。

例えば、冬に外気温が0℃まで下がっても、二重扉の空気層でワンクッション置くため、内側のドアの表面温度は外気ほど下がりません。これにより、玄関ホールの冷え込みを劇的に改善できます。

この効果は窓リフォームでも実証されており、例えばYKK APの公式サイトでは、内窓(二重窓)の設置によって熱の流出を大幅に抑え、断熱性が向上するデータが示されています。玄関ドアでも同様の原理が働きます。

また、室内外の急激な温度差が小さくなることで、冬の厄介な結露の発生を大幅に抑える効果も期待できます。

防音性能

音は空気の振動によって伝わりますが、物質を通過するたびにそのエネルギーは減衰します。二重扉は、外の騒音が「既存のドア」と「空気層」、そして「内側のドア」という複数の異なる層を通過しなければならないため、音のエネルギーを効果的に弱めることができます。

特に、車の走行音や近所の話し声といった中高音域の騒音に対して効果を発揮しやすいです。

さらに高い防音性能を求める場合は、内側のドアに採用するガラスを「防音合わせガラス(ラミネートガラス)」など、防音に特化したオプションに変更することで、低音域の騒音にも対応力を高めることが可能です。

補足:気密性の向上も重要

音は空気の振動であるため、ドアの「隙間」からも侵入します。高性能な内扉を設置することで玄関全体の「気密性」が高まることも、防音性能の向上に大きく寄与します。

防犯性能

侵入窃盗犯(空き巣)が最も嫌うのは「時間」と「音」、「光」であると言われています。警察庁の「住まいる防犯110番」によれば、侵入に5分以上かかると侵入者の約7割はあきらめるというデータがあります。

物理的にドアが二重になることで、ピッキングやこじ開け、ガラス破りといったあらゆる侵入手段に対して、単純に2倍以上の手間と時間をかけさせることになります。1枚目のドアを突破しても、さらに2枚目のドアが待ち構えている状況は、侵入者にとって非常にリスクが高く、「この家は面倒だ」とターゲットから外させる高い心理的抑止効果が期待できます。

注意:過信は禁物

二重扉にしたからといって、防犯が完璧になるわけではありません。

日頃から既存の玄関ドアの鍵(できれば2ロック以上)を確実に施錠することが、防犯の基本であることに変わりはありません。

玄関の二重扉に引き戸を選ぶメリット

内側にもう一つ扉(間仕切り)を設置する場合、ドアの開閉方法として「開き戸(一般的なドア)」だけでなく、「引き戸(スライドドア)」も有力な選択肢になります。

特に玄関ホールが狭い日本の住宅において、内側に引き戸を設けることには、開き戸にはない多くのメリットがあります。

1. 省スペースで設置・利用できる

開き戸は、ドアが弧を描いて開閉するため、その半径分のスペース(デッドスペース)が必ず必要になります。玄関ホールに靴箱や収納が置いてある場合、開き戸の設置は困難なことが多いです。一方、引き戸は壁に沿って左右にスライドするだけなので、前後のスペースを全く必要としません。これにより、狭い玄関ホールでも圧迫感なく設置できます。

2. バリアフリーに対応しやすい

引き戸は、開閉時に自分自身が前後に移動する必要がなく、最小限の体の動きで操作できます。車椅子やベビーカーを押しながらでも開閉動作がしやすく、高齢者の方にも優しい設計と言えます。また、開き戸のように開けたドアが風などで急に戻ってきて体にぶつかるといった心配もありません。

3. 開けたままの状態で固定できる

大きな荷物を運び込む際や、玄関の掃除・換気をしたい場合、引き戸なら開けた状態で簡単に固定できます。開き戸のように、重いドアストッパーを設置したり、ドアが勝手に閉まらないよう何かを挟んだりする必要がありません。

4. 開閉による事故リスクの低減

開き戸の蝶番(ちょうつがい)側に指を挟むといった、思わぬ事故のリスクが低減します。小さなお子様がいるご家庭でも安心です。

5. 多様なデザインと機能性

「上吊り式」を選べば床にレールが不要になり、掃除がしやすく完全なバリアフリーが実現します。「3枚連動引き戸」などを選べば、開口部を広く取ることも可能です。

内扉としての「開き戸」と「引き戸」の比較
比較項目開き戸 (Hinged Door)引き戸 (Sliding Door)
設置スペース前後に開閉スペースが必要左右のスライドスペースのみでOK
気密性・防音性比較的高い(枠とドアが密着)やや劣る(構造上、隙間ができやすい)
バリアフリー性体の移動が必要優れている(車椅子でも操作容易)
利便性開け放しにストッパーが必要開け放しが容易(換気・荷物搬入時)

防寒・防音の「密閉性」を最優先するなら開き戸タイプ、玄関ホールの「スペース」や「使い勝手」を優先するなら引き戸タイプ、という視点で選ぶと良いでしょう。

おしゃれな二重扉の選び方

おしゃれな二重扉の選び方

「防寒性能は欲しいけれど、後付け感が出てインテリアが台無しになるのは避けたい」と考えるのは当然のことです。二重扉は機能性だけでなく、デザイン性も非常に重要です。

幸い、近年の内窓ドアや室内用間仕切りは非常にデザインが洗練されており、選び方次第でむしろ玄関ホールをおしゃれにアップグレードすることも可能です。

おしゃれに見せる最大のポイントは、「既存の空間との調和(トータルコーディネート)」です。

枠(フレーム)の色で選ぶ

最も重要なのが枠の色です。空間に統一感を出すためには、以下のいずれかの色に合わせるのがセオリーです。

  • 床(フローリング)の色:ナチュラルな木目調など。
  • 既存の玄関ドア枠(内側)の色
  • 玄関ホールに面する他の部屋のドア枠の色

白(ホワイト系)を選べば清潔感があり空間が広く見え、ダークブラウン系を選べばシックで落ち着いた印象になります。あえて既存の色と変えて、空間を引き締める「アクセントカラー」として使う上級テクニックもありますが、まずは調和を優先するのが失敗しないコツです。

ガラス・パネルのデザインで選ぶ

扉にはめ込む素材も、印象を大きく左右します。

  • 透明ガラス:最も圧迫感がなく、玄関ホールに光を採り入れられます。ただし、玄関の「たたき」が散らかっていると丸見えになります。
  • 型ガラス(かすみガラス):最もスタンダードな選択肢です。光を通しつつも視線を適度に遮るため、プライバシー保護と明るさを両立できます。
  • 和紙調ガラス(和紙調合わせガラス):和室につながる玄関ホールや、モダンな和風のデザインに最適です。柔らかい光を演出します。
  • チェッカーガラス・モールガラス:カフェ風やレトロモダンなインテリアにしたい場合に、おしゃれなアクセントとなります。
  • パネル(非ガラス):完全に視線を遮断したい場合や、より高い断熱性を求める場合に選びます。

内扉を設けることは、玄関の「生活感」を隠すスクリーンとしての役割も果たします。

型ガラスやパネルタイプを選べば、急な来客時に靴が散らかっていても、内扉を一枚閉めるだけでリビングから見えなくなり、心理的な余裕が生まれますよ。

猫と暮らす家の玄関の二重扉の活用

猫と暮らす多くの方が、日常的に「ヒヤリ」とする瞬間。

それが「玄関からの脱走」です。宅配便の受け取り、家族の帰宅、ゴミ出しの際など、ほんの一瞬の隙を突いて、驚くべき速さで外へ飛び出してしまうことがあります。一度脱走してしまうと、パニックになって遠くへ行ってしまったり、交通事故に遭ったりするリスクもあり、飼い主にとって最大の悩みの一つです。

このような万が一の事故を防ぐために、玄関二重扉は極めて有効な「脱走防止フェンス(ゲート)」として機能します。

市販の突っ張り式ペットゲートを設置するご家庭も多いですが、賢い猫はジャンプで飛び越えたり、器用に扉を開けたり、ゲートと壁の隙間をすり抜けたりすることがあります。

その点、床から天井(あるいは十分な高さ)までを物理的に仕切る「扉」は、はるかに高い安全性を確保できます。

既存の玄関ドアと、玄関ホールの間に「第二の関門」を設けることで、万が一、猫が玄関ホールまで出てきてしまっても、内側の扉が確実にブロックしてくれます。これにより、飼い主は安心して荷物を受け取ったり、靴を履いたりする余裕が生まれます。

猫の脱走防止に最適な内扉の条件

  • 高さ:猫がジャンプで飛び越えられない、天井までの高さがある(または2m程度の高さがある)こと。
  • 形状:格子(ラティス)状のデザインであれば、猫の姿を確認しつつ風通しも確保できます。
  • 鍵(ロック):ここが最重要です。賢い猫は自分でレバーを下げたり引き戸を開けたりすることがあります。簡易的なラッチ(カチャッと閉まる機構)だけでなく、人間が操作しないと開かない「ロック機能(鍵付きやサムターン式)」が付いているタイプを選ぶと、より確実で安心です。

壁に穴を開けずに本格的な扉を設置できるリフォーム商品を選ぶことは、大切な家族である猫の命を守るための、最も確実でスマートな投資の一つと言えるでしょう。

玄関の二重扉で防寒対策するの具体例と導入例

玄関の二重扉の導入と防寒対策の具体例

  • 玄関二重扉のリフォームとDIY
  • マンションでの玄関二重扉の注意点
  • 玄関ドアからの冷気を防ぐには?
  • 100均でできる防寒対策と古い家の寒さ対策
  • 玄関二重扉で最適な防寒対策を

玄関の二重扉のリフォームとDIYの選択肢

玄関二重扉の導入を具体的に考えた場合、その実現方法として「専門業者によるリフォーム」と「自分で行うDIY」の二つの選択肢があります。

それぞれのメリット、デメリット、そして現実的な方法を比較検討します。

リフォームで設置する場合(推奨)

最も確実で、防寒・防音・防犯といった性能を最大限に引き出す方法が、専門業者によるリフォームです。前述したLIXILの「インプラス テラスドア」やYKK APの「内窓プラマードU テラスドアタイプ」のような、断熱・気密性に優れた内窓ドアを設置するのが一般的です。

  • 費用相場:設置するドアのサイズやグレード、選ぶガラスの種類(単板ガラス、複層ガラス、高断熱なLow-E複層ガラスなど)によって変動しますが、おおよそ15万円〜30万円程度が目安となります。
  • 工期:専門業者が採寸などの現地調査を行った後、製品が工場で製作されます。製品が納品された後の施工(取り付け)自体は、わずか半日〜1日程度で完了することがほとんどです。壁を壊すような大掛かりな工事にはなりません。
  • 補助金の活用:このような断熱リフォームは、国の省エネ施策の対象となることが多く、補助金を利用できる可能性があります。例えば、「子育てエコホーム支援事業」(2024年度の例)などでは、「開口部の断熱改修」が補助対象に含まれています。こうした制度をうまく活用すれば、費用負担を軽減できる場合があります。

気密性や断熱性、防音性を確実に高めたい場合、そして長期的に見て光熱費の節約や快適性を手に入れたい場合は、プロによるリフォームを強くおすすめします。

DIYで設置する場合

結論から言うと、リフォーム製品のような本格的な「扉」をDIYで設置するのは、非常に難易度が高いです。その理由は以下の通りです。

  • 精度の問題:防寒・防音効果は「気密性(隙間のなさ)」に依存します。ミリ単位での正確な採寸と、垂直・水平を完璧に出して枠を設置する技術が必要です。
  • 重量と工具の問題:ガラス入りのドアは非常に重く、一人での作業は危険です。また、壁の材質に合わせた適切な固定金具や専門工具も必要になります。

DIYに失敗すると、隙間だらけで防寒効果が全く得られないばかりか、ドアが傾いてスムーズに開閉できなくなるリスクさえあります。

もしDIYで「間仕切り」を設置する場合は、以下のような簡易的な方法が現実的です。

  • アコーディオンカーテンやパネルドア:ホームセンターで手に入り、取り付けも比較的容易です。ただし、構造上隙間が多いため、防寒・防音性能は本格的な扉に比べて大きく劣ります。
  • 厚手の防寒カーテン:最も手軽な方法。突っ張り棒やカーテンレールを取り付け、床に引きずるくらいの長さのカーテンを吊るします。冷気の「流れ」を遮断する効果は期待できます。

リフォーム vs DIY まとめ

  • リフォーム:高コストだが、高機能(防寒・防音・防犯)。施工が早く確実。補助金対象の可能性あり。
  • DIY(簡易間仕切り):低コストで手軽。ただし、性能は限定的。「冷気の流れを止める」程度の効果と割り切る必要あり。

マンションでの玄関二重扉の注意点

マンションでの玄関二重扉の注意点

一戸建てと異なり、マンションで玄関二重扉のリフォームを検討する場合、最も重要かつ厳格な注意点があります。それは「管理規約の確認」です。

分譲マンションであっても、区分所有者が自由にリフォームできるのは「専有部分」(自分の部屋の内部)だけです。そして、マンションの玄関ドアは、たとえ自分の部屋のドアであっても「共用部分」として扱われるのが一般的です。

管理規約にもよりますが、多くのマンションでは「玄関扉の錠(鍵)と、ドアの内部の塗装部分のみが専有部分」と定められています。これは、玄関ドアがマンション全体の景観の統一性や、防火区画としての重要な役割を担っているためです。

マンションリフォームの注意点

  • 既存の玄関ドア本体やドア枠に穴を開ける、色を塗り替える(外側)、取り替えるといった工事は、原則として絶対に認められません。
  • もちろん、共用廊下側(外側)に風除室などを増設することもできません。

では、マンションでは二重扉が一切不可能なのかというと、そうではありません。

すべての鍵は「専有部分」である玄関の「内側」に設置する、という点にあります。

既存の玄関ドアや共用部分の壁(コンクリート)に一切手を加えず、室内の壁(専有部分)の範囲内で完結する工事であれば、リフォームが許可される可能性は非常に高いです。例えば、以下のような方法です。

  • 玄関ホールの室内壁の間に、内窓ドアの枠を新設する。
  • 突っ張り式の柱などを利用して、間仕切り壁や引き戸を設置する。

ただし、この場合でも「内装工事」として、事前に管理組合(理事会)への届け出や承認が必要なケースがほとんどです。

自己判断で工事を強行すると、管理規約違反として他の居住者との深刻なトラブルに発展し、最悪の場合、原状回復(撤去)を求められることにもなりかねません。

必ず「①管理規約の熟読」→「②管理会社への相談」→「③管理組合(理事会)への正式な申請・承認」という手順を厳格に踏んでください。

玄関ドアからの冷気を防ぐには?

二重扉のようなリフォームや大掛かりなDIYの前に、まずは今ある玄関ドアの性能を少しでも上げたい、という方も多いでしょう。玄関ドアから侵入する冷気の主な原因は、大きく分けて2つです。

  1. ドア本体の素材(特にアルミ)からの「放射冷却」
  2. ドア枠やドア下部からの「隙間風」

これらに対応する、いますぐできる対策としては、以下のような方法が挙げられます。

1. 隙間テープで「隙間風」を徹底的に塞ぐ

冷気の侵入を最も感じるのが「隙間風」です。ドアとドア枠が当たる部分(戸当たり部分)や、郵便受けの周り、そして特に冷気が入りやすいドア下部に、市販の隙間テープを貼り巡らせます。これにより、冷たい空気の通り道を物理的にシャットアウトします。起毛(モヘア)タイプやスポンジタイプなど、隙間の幅に合ったものを選ぶのがコツです。これは最もコストパフォーマンスの高い方法です。

2. 断熱シート(パネル)で「放射冷却」を防ぐ

古いアルミ製のドアなどは、外気でキンキンに冷やされ、ドア本体が保冷剤のように室内の熱を奪い続けます(放射冷却)。これを防ぐため、ドアの室内側に市販の断熱シート(窓用の気泡緩衝材=プチプチや、銀色のアルミシートなど)や、より厚手で効果の高い発泡スチロール製の断熱パネルを貼り付けます。これにより、ドア表面からのヒヤッとする冷放射を大幅に軽減できます。

3. 断熱カーテン(ビニールカーテン)で「コールドドラフト」を防ぐ

ドアやドアのガラス部分で冷やされた空気が重くなって床に流れ落ち、足元に溜まる現象を「コールドドラフト」と呼びます。これを防ぐには、玄関ドアの内側に突っ張り棒などでカーテンレールを設置し、厚手で床に届く長さのカーテンを吊るすのが有効です。布製よりも、冷気を通しにくい厚手のビニールカーテンや、専用の断熱カーテンの方が効果的です。カーテンが床に少し「垂れる」くらいの長さにすると、隙間風も防げて一石二鳥です。

4. ドア下専用のドラフトストッパーを設置する

ドア下部の隙間は、開閉のためにある程度のクリアランスが必要なため、隙間テープだけでは防ぎきれないことがあります。その場合は、ドアの開閉と連動して隙間を塞ぐ専用の「ドラフトストッパー」を設置するのも効果的です。

100均でできる防寒対策と古い家の寒さ対策

00均でできる防寒対策と古い家の寒さ対策

前項で挙げた対策に必要なアイテムの多くは、驚くことに100円ショップでも揃えることが可能です。

特に築年数が経過した古い家は、現在の高気密・高断熱住宅とは異なり、家全体に隙間が多いことが前提となっています。そのため、こうした地道な対策が体感温度の改善に大きく貢献します。

100均ショップで揃う主な防寒アイテム

  • 隙間テープ:(最重要)スポンジタイプ、起毛(モヘア)タイプ、ドア下用のテープなど、種類が豊富です。隙間の幅に合わせて複数購入しましょう。
  • 断熱シート:窓用の気泡緩衝材(プチプチ)やアルミシートは、玄関ドアのサイズにカットして両面テープで貼り付けるのに十分使えます。ドアのガラス部分(ランマなど)にも有効です。
  • 突っ張り棒&カーテンクリップ:これらを組み合わせれば、即席のカーテンレールが完成します。
  • シャワーカーテン:意外な活用法ですが、ビニール製で大判のため、断熱カーテンの代用品として使えます。
  • ドア下ストッパー:スポンジを布で巻いたような、ドア下に差し込むタイプの簡易ドラフトストッパーも販売されています。

古い家の場合、特に木製のドアや古いアルミドアは、経年劣化でわずかな歪(ひずみ)が生じ、設計時よりも隙間が大きくなっていることが多々あります。また、ドア本体にガラスがはめ込まれていたり、ドアの上に「欄間(らんま)」と呼ばれる採光用のガラス窓があったりする場合、そこが最大のコールドスポットになります。

まずは100均の隙間テープでドア枠や郵便受けの隙間を徹底的に塞ぎ、さらにドア本体やガラス部分に断熱シートを貼り、仕上げに突っ張り棒でカーテンを吊るす。この「多層防御」を施すだけでも、玄関の体感温度は劇的に改善されるはずです。

もちろん、これらは根本的な解決(根本解決)ではなく、あくまで症状を和らげる「対症療法」です。

しかし、「まずはできることからやってみる」という姿勢が重要です。小さな対策で「あ、少し暖かくなった」と実感できれば、次のステップとして本格的なリフォームを検討するきっかけにもなりますよ。

玄関の二重扉で防寒対策をしよう:まとめ

この記事では、冬の厳しい寒さ対策として「玄関二重扉」をキーワードに、その基本的な仕組みから、断熱・防音・防犯といった具体的なメリット、さらにはリフォームやDIYでの導入方法、マンションでの注意点まで、幅広く掘り下げてきました。

また、すぐに実践できる100均アイテムを使った簡易的な防寒対策もご紹介しました。

玄関は家の「顔」であると同時に、外気と接する最大の「開口部」でもあります。この場所の断熱性能を見直すことは、家全体の快適性を向上させ、光熱費を節約し、ひいては家族の健康を守ることにも繋がります。

ご自身の住まいの状況(戸建てかマンションか)、予算、そして「どこまでの性能を求めるか」を明確にし、簡易的なDIYから本格的なリフォームまで、最適な防寒対策を選んでいきましょう。

最後に、この記事の要点をリストとしてまとめます。ご自身の状況に合わせた対策を検討する際のチェックリストとしてご活用ください。

  • 玄関二重扉は既存のドアの内側にもう一つ扉を設け、空気層を作ること
  • 主な目的は断熱(防寒)性能の向上
  • 空気層が熱の移動を遮断し、冷気の侵入と室内の暖気の流出を防ぐ
  • 結露の軽減にも効果が期待できる
  • 副次的な効果として防音性能の向上もある
  • 侵入に手間がかかるため、防犯の抑止効果も期待できる
  • 猫などのペットの玄関からの脱走防止策として非常に有効
  • 内側の扉を引き戸にすると、省スペースでバリアフリーにも対応しやすい
  • おしゃれに見せるには枠の色やガラスのデザインを内装と調和させる
  • リフォームで本格的な内窓ドアを設置する場合、工期は1日程度
  • 費用相場は十数万円からが目安となる
  • 本格的な扉のDIYは建付け調整が難しく推奨されない
  • マンションでは玄関ドアは共用部分のため、規約の確認が必須
  • 専有部分である室内側への設置でも、管理組合への相談・申請が賢明
  • 手軽な対策として隙間テープや断熱シート、断熱カーテンも有効
  • これらの多くは100均アイテムでも代用可能

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  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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