乾燥する季節、快適な湿度を保つために加湿器は欠かせません。
しかし、良かれと思って加湿器を床に置くと、気づけば床がびしょびしょになり、困っている方も多いのではないでしょうか。特に、人気のフランフランやダイソー、アイリスオーヤマの加湿器を含め、その種類や使い方によっては床が濡れるトラブルが発生しがちです。
加湿器がびしょびしょになる原因や理由を知り、適切な床びしょびしょ対策を講じることが重要です。
例えば、加湿器の下に敷くものを100均で探したり、そもそも床置きがだめと言われる理由を理解したり、加湿器でびしょびしょにならない方法を模索する必要があります。また、加湿器 床が濡れる 対策として、加湿器の選び方と注意点を押さえ、床が濡れないタイプはあるのかを知ることも大切です。
さらに、この問題は加湿器と結露の関係にも深く関わっています。根本的な解決策として、結露を防ぐ窓断熱リフォームも視野に入れる必要があります。
この記事では、加湿器のびしょびしょ対策を徹底解説し、快適な湿度環境を手に入れるための具体的な方法をご紹介します。
目次
加湿器がびしょびしょの対策と理由
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- 加湿器がびしょびしょになる原因や理由
- 加湿器を床に置く、床置きはだめ?
- 加湿器で床が濡れる床びしょびしょ対策
- 下に敷くものや100均のおすすめアイテム
- 加湿器でびしょびしょにならない方法とは
加湿器がびしょびしょになる原因や理由
加湿器の周りがびしょびしょになる主な原因は、「室温が低い」「湿度が高すぎる」「濡れやすい種類の加湿器を使っている」という3つのポイントに集約されます。
第一に、室温が低い場合です。空気は温度が低いほど、含むことができる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が少なくなります。
例えば、室温25℃の空気は1立方メートルあたり約23gの水蒸気を含むことができますが、室温10℃では約9.4gしか含むことができません。
室温が約20℃未満の寒い部屋で加湿器を使うと、放出された水蒸気やミストがすぐに飽和状態に達し、空気中に溶け込めず、冷やされて水滴に戻り、床に落ちてしまうのです。
特にスチーム式加湿器は高温の水蒸気を出すため、冷たい空気と触れると温度差で急激に結露しやすい傾向があります。
第二に、湿度が高すぎる(過加湿)状態です。厚生労働省は、健康的な生活を送るための室内湿度の目安を40%~60%として推奨しています。(出典:厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動)
これを超えて加湿し続けると、空気は水蒸気を抱えきれなくなり、溢れた水分が水滴となって床や窓、壁に現れます。
湿度センサーが付いていない安価な卓上加湿器などは、室内の湿度に関係なく水分を放出し続けるため、無意識のうちに過加湿状態を引き起こしやすいので注意が必要です。
第三に、濡れやすい種類の加湿器、特に「超音波式」を使用している場合です。超音波式は水を振動させて微細なミスト(水の粒子)を放出します。
このミストは気体(水蒸気)ではなく、目に見える「液体の粒子」です。
粒子が大きいため空気より重く、放出されたミストが蒸発して空気中に広がる前に重力で床に落ちやすい性質があります。これが床が濡れる直接的な原因となります。
超音波式と卓上型は特に注意
デザイン性の高いモデルに多い「超音波式」や、手軽な「卓上加湿器」は、ミストが床に落ちやすかったり、湿度センサーがなく過加湿になりやすかったりするため、床濡れのリスクが比較的高い方式と言えます。購入時はこの特性を理解しておく必要があります。
加湿器を床に置く、床置きはだめ?
加湿器を床に直接置くことは、多くの場合「だめ」と言えます。床がびしょびしょになるのを防ぐためには、設置場所の高さが非常に重要です。
なぜなら、加湿器から放出された水蒸気やミストは、ある程度の高さから拡散することで、床に到達する前に部屋の空気と混ざり合い、効率よく室内全体の湿度を上げることができるからです。
もし床に直接置いてしまうと、放出された水分が十分に広がる前に重力で床付近に落ちてしまい、その結果、床だけが濡れてしまうのです。
また、空気の性質として、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降します。このため、床付近は室内の空気の中でも特に温度が低くなりやすい場所です。
前述の通り、冷たい空気は水蒸気を多く含めないため、床置きするとミストが蒸発しきれずに結露しやすくなるという悪循環にも陥ります。特に窓際から発生する冷たい下降気流(コールドドラフト)が流れる場所に加湿器を置くと、床濡れはさらに悪化します。
理想の高さは70cm~100cm
加湿器の理想的な設置場所は、床から70cm~100cm程度の高さがある場所とされています。
具体的には、安定したテーブルや棚の上、専用のスタンドなどが該当します。この高さは、人が主に生活する(呼吸する)高さに近く、加湿された空気が部屋全体に対流しやすくなるため、床濡れを防ぎつつ効率的な加湿が可能になります。
加湿器で床が濡れる床びしょびしょ対策
加湿器で床が濡れてしまう場合、床びしょびしょ対策として今すぐ実践できる対処法がいくつかあります。加湿器の買い替えを検討する前に、まずはこれらの方法を試してみてください。
最も効果的な対策の一つが、部屋の温度を20℃以上にすることです。
室温が低いと空気中に含むことができる水分量(飽和水蒸気量)が減り、ミストが蒸発しきれずに床に落ちてしまいます。
暖房器具を併用し、部屋全体を暖かく保つことで、水蒸気が空気中に溶け込みやすくなり、床濡れを大幅に軽減できます。エアコン暖房使用時は、設定温度を少し上げるか、風量を強めて室温を均一に保ちましょう。
次に、サーキュレーターやエアコンの送風機能を使うことも有効です。加湿器から出た湿気は、空気の動きがないと部屋の一部に溜まりがちです。
サーキュレーターなどで室内の空気を強制的に循環させることで、湿った空気を部屋全体に均一に拡散できます。サーキュレーターは加湿器の近くから部屋の対角線上や天井に向けて風を送ると、効率よく空気が混ざります。
これにより、加湿器周辺の湿度だけが極端に高くなるのを防ぎ、床濡れや結露の発生を抑える効果が期待できます。
加湿器の置き場所を見直すことも重要です。前述の通り、床への直置きは避け、テーブルや棚の上など70cm~100cmの高さに設置してください。
また、壁際や窓際、家具のすぐそばに置くと、放出された湿気が冷たい壁や窓に直接当たって結露し、それが床に伝わって濡れる原因になります。壁や家具からは少なくとも30cm以上、できれば50cm程度は離し、部屋の中央に近い場所に置くのが理想です。
設置場所のNG例
- 窓際:外気で冷やされ結露の最大原因になります。
- 壁際:壁紙にカビが発生するリスクがあります。
- 家電製品の近く:テレビやPCなどの精密機器は湿気に弱く、故障の原因になります。
- エアコンの真下:エアコンのセンサーが湿度を誤検知し、冷房運転などを誤作動させる可能性があります。
加湿器の下に敷くもの100均でのおすすめアイテム
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加湿器を高い場所に置くことが難しい場合や、対策をしても多少の水濡れが心配な場合は、加湿器の下に何か敷くものを検討しましょう。専用品でなくても、100円ショップで手に入るアイテムで効果的に対策が可能です。
おすすめは、珪藻土マットや速乾吸水シートです。キッチンコーナーやバスマットコーナーにあるこれらのアイテムは吸水性と速乾性に優れており、加湿器から落ちる水滴を素早く吸収してくれます。
ただし、吸水力には限界があるため、シート自体が常に湿った状態にならないよう、定期的に乾燥させる必要があります。
ダイソーなどの100均では、シリカゲル入りの除湿シート(クローゼット用など)が販売されていることがあります。これを加湿器の下に敷くことで、万が一の水滴を吸収し、カビの発生を抑える助けになります。
また、視点を変えて「台」を設置するのも良い方法です。100均で販売されている小型のスツール(折りたたみ椅子など)やワイヤーラック、ジョイントラックを組み立てて簡易的なスタンドとして使用すれば、費用を抑えながら理想的な高さ(70cm以上は難しくても、床から数十cm離すだけでも)を確保できます。
園芸コーナーにある「鉢スタンド(フラワースタンド)」も、デザイン性が高く安定感のある台として流用できます。
その際、ラックの上に防水性のあるプラスチックトレイ(書類整理用やキッチン用など)を置くと、万が一の水漏れ時にも床を守ることができ、より安心です。
タオルを敷くのは非推奨
手軽さからタオルを敷くケースも見られますが、おすすめできません。タオルは一度濡れると乾きにくく、常に湿った状態が続くためです。
この湿気が原因で、かえって床材(フローリングやカーペット)のカビや雑菌の繁殖、変色を引き起こす可能性があります。
加湿器でびしょびしょにならない方法とは
加湿器をびしょびしょにしない方法は、これまで解説してきた「原因」を取り除くこと、そして「対策」を組み合わせることに尽きます。この問題を解決するための総まとめです。
まず、加湿器の種類(方式)と設置場所が適切かを再点検しましょう。特に超音波式や卓上型を使っている場合は、床濡れのリスクが高いことを認識する必要があります。
設置場所は床置きを絶対に避け、70cm~100cmの高さを確保することが大前提です。
次に、室内の環境を整えることが重要です。暖房を使って室温を20℃以上に保ち、空気が水蒸気を含みやすい状態を作ってください。
同時に、信頼できる湿度計を別途設置し、室内の湿度が60%を超えないように加湿器の運転を調整(加湿量を弱める、または一時停止する)することが不可欠です。加湿器本体のセンサーは周辺の湿度しか測れない場合があるため、部屋の中央など離れた場所の湿度を把握することが大切です。
さらに、サーキュレーターを併用して空気を循環させ、湿気が一箇所に溜まらないように工夫します。これらの対策を講じても濡れてしまう場合は、加湿器の下に珪藻土マットや除湿シートを敷くといった物理的な防御策を追加します。
これらの対策をすべて行っても改善しない場合、加湿器の能力が部屋の広さに対して過剰(オーバースペック)である可能性も考えられます。
その場合は、根本的な解決策として、次のセクションで解説する「床が濡れないタイプの加湿器」への買い替えや、結露がひどい場合は「窓断熱」に進む必要があります。
加湿器びしょびしょ対策と結露の関係性
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- 加湿器で床が濡れないタイプはあるのか?
- 加湿器の選び方と注意点
- フランフランやダイソーの加湿器紹介
- 加湿器と結露の関係
- 結露対策には窓断熱リフォームが有効
加湿器で床が濡れないタイプはあるのか?
はい、加湿器の方式によっては、床がびしょびしょになりにくいタイプが存在します。床濡れに悩んでいる場合、加湿器の買い替えを検討するのも根本的な対策の一つです。
床が濡れにくい加湿器の代表格は、「気化式」と「ハイブリッド式(温風気化式)」です。
気化式は、水を含んだフィルターにファンで風を当て、水分を気化(蒸発)させて加湿します。
放出されるのは目に見えない微細な水蒸気(気体)であり、ミスト(液体)ではないため、床に落ちて濡れることがほとんどありません。また、湿度が上がると自然と蒸発しにくくなるため、過加湿になりにくいのもメリットです。
ただし、ファンを使うため送風音がすることや、加湿スピードが比較的遅い点がデメリットとして挙げられます。
ハイブリッド式(温風気化式)は、基本的には気化式と同じ仕組みですが、フィルターに温風を当てることで加湿能力を高めています。
気化式よりもスピーディーに加湿でき、かつ放出されるのは水蒸気なので床は濡れにくい、バランスの取れた方式です。ただし、本体価格が比較的高価になりがちで、ヒーター使用時は気化式のみの場合より消費電力が増加します。
意外かもしれませんが、「スチーム式(加熱式)」も床が濡れにくいタイプとされています。スチーム式はヒーターで水を沸騰させ、高温の蒸気(湯気)で加湿します。
超音波式のミストと違い、高温の水蒸気は空気と混ざりやすく、床に落ちる前に拡散します。水を煮沸するため衛生的な点もメリットです。ただし、室温が極端に低いと、冷たい窓などで結露しやすい点には注意が必要です。また、消費電力が大きく、吹出口が熱くなるため火傷の危険性もあります。
逆に、床が濡れやすいのは「超音波式」です。デザイン性が高く安価なモデルも多いのですが、水の粒子(ミスト)をそのまま放出するため、蒸発しきれないミストが床に落ちやすいという構造的な弱点があります。こまめな清掃を怠ると、タンク内の雑菌をミストと一緒に撒き散らすリスクも指摘されています。
| 加湿方式 | 床の濡れにくさ | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 気化式 | ◎ 濡れにくい | ・床が濡れない ・過加湿になりにくい ・消費電力が少ない | ・加湿スピードが遅め ・フィルター清掃が必須 ・ファンの音がする場合がある |
| ハイブリッド式 (温風気化式) | ◎ 濡れにくい | ・床が濡れない ・加湿スピードが速い ・気化式よりパワフル | ・本体価格が高め ・ヒーター使用時は消費電力が上がる ・フィルター清掃が必須 |
| スチーム式 (加熱式) | ○ 濡れにくい | ・加湿スピードが速い ・雑菌が繁殖しにくい(衛生的) ・床は濡れにくい | ・消費電力が大きい(電気代が高い) ・吹出口が熱くなる ・室温が低いと結露しやすい |
| 超音波式 | △ 濡れやすい | ・本体価格が安い ・デザイン豊富 ・消費電力が少ない ・静音性が高い | ・床や周囲が濡れやすい ・こまめな清掃が必要(カビ・雑菌注意) |
加湿器の選び方と注意点
加湿器を選ぶ際は、床が濡れない方式(気化式、ハイブリッド式、スチーム式)を選ぶことに加え、いくつかの重要な注意点があります。
最も重要な機能の一つが、「湿度センサー」と「自動調整機能」の有無です。これらの機能が搭載されていれば、部屋の湿度を常に監視し、自動で運転を調整してくれます。設定した湿度(例:50%)に達すると自動で加湿を弱めたり停止したりするため、過加湿による床濡れや結露を防ぐことができます。湿度計を別途用意して手動で調整する手間も省け、無駄な電力消費も抑えられます。
次に、「適用床面積(畳数)」を確認することも大切です。これは「室温20℃、湿度30%の時に、設定湿度(一般的に60%)に到達するまでの時間」を基準に定められています。
部屋の広さに対して加湿能力が大きすぎる(オーバースペックな)加湿器を選ぶと、すぐに湿度が上がりすぎてしまい、結果として床が濡れやすくなります。逆に能力が小さすぎると、いくら運転しても快適な湿度になりません。
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)では、木造和室とプレハブ洋室での目安を定めていますので、使用する部屋の構造に合わせて適切なモデルを選びましょう。
お手入れのしやすさも、長く清潔に使うための重要なポイントです。
加湿器は水を扱うため、清掃を怠るとタンクやフィルターにカビや雑菌が繁殖し、悪臭や健康被害の原因となります。特に気化式やハイブリッド式はフィルターの定期的な清掃や交換が必要です。
スチーム式はカルキ(水垢)が付きやすいため、クエン酸洗浄などが求められます。タンクの給水方法(上部給水か、タンクを取り外すか)や、パーツが細かく分解して洗いやすいかどうかも確認し、メンテナンスを続けられるモデルを選ぶことが大切です。
フランフランやダイソーの加湿器紹介
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デザイン性や価格の手頃さから、フランフラン(Francfranc)やダイソー(DAISO)、また機能性でアイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)の加湿器は人気があります。それぞれの特徴を知っておきましょう。
フランフランの加湿器は、デザイン性が非常に高く、インテリアアイテムとして人気です。2025年モデルでは「ルナ 超音波式アロマディフューザー&加湿器」や「シレーヌ 上部給水型 超音波式2WAY加湿器」など、アロマ対応やライト機能付きの製品が注目されています。
ただし、その多くは「超音波式」です。デザインは魅力的ですが、床濡れ対策(高い位置に置く、湿度管理を徹底する)が必須となります。あくまでデザイン重視、あるいはパーソナルスペースでのアロマ利用と割り切るのが良いかもしれません。
ダイソーの加湿器は、500円~770円程度という圧倒的な低価格が魅力です。2025年秋冬モデルでは、砂時計型やスクエア型など、デザインも洗練されてきています。これらは主にUSB電源で動作する小型の「超音波式(卓上タイプ)」です。
デスク周りや寝室の枕元など、ごく狭いパーソナルスペースを潤すのには手軽ですが、パワーが弱いため部屋全体の加湿には全く向きません。また、卓上であってもミストの吹出口が低いと机が濡れやすいため、置き場所には工夫が必要です。
アイリスオーヤマは、多様な方式の加湿器を展開しています。床濡れ対策を重視するなら、データベースにもあったような「ハイブリッド式(温風気化式)」モデル(例:HVH-700R1-Wなど)が選択肢になります。
これらは気化式をベースにしているため床が濡れにくく、かつ湿度センサー搭載モデルも多いため、過加湿を防ぎやすいのが特徴です。また、サーキュレーターを搭載したユニークな加湿器も販売しており、加湿と空気循環を一台で行えるため、床濡れ対策として理にかなった製品と言えます。
このように、人気の加湿器でも方式によって得意・不得意があります。
フランフランやダイソーの手軽なモデルは「超音波式」が多いため床濡れのリスクがあり、アイリスオーヤマなどの家電メーカー製は「ハイブリッド式」など濡れにくいタイプを選べることが多い、と覚えておくと良いでしょう。
加湿器と結露の関係
加湿器を使うと床だけでなく窓までびしょびしょになる場合、それは「結露」が原因です。そして、加湿器の使用と結露には密接な関係があります。
結露は、室内の暖かく湿った空気が、外気で冷やされた窓ガラスや壁に触れることで発生します。空気は温度が下がると飽和水蒸気量が小さくなるため、抱えきれなくなった水分が水滴として現れるのです。
冬場に部屋を暖房し、さらに加湿器で湿度を上げると、室内は「高温・多湿」の状態になります。
この空気が、断熱性の低い(=外の冷たさがそのまま伝わる)窓に触れると、窓はまるで冷たい飲み物を入れたグラスのように、空気中の水分を集める「除湿器」のような役割を果たしてしまい、大量の結露が発生します。
この状態は、「加湿 → 結露 → 乾燥 → 加湿」という悪循環を生みます。
せっかく加湿器で放出した水分が窓で結露として奪われてしまうため、空気中は(理論上)再び乾燥します。すると、喉の渇きや肌の乾燥を感じてさらに加湿器を運転させてしまい、結露をますます助長することになるのです。加湿しているのに乾燥を感じる場合、この悪循環に陥っている可能性があります。
結露の放置は危険
結露を放置すると、窓枠やカーテン、壁紙にカビ(黒カビなど)が発生しやすくなります。カビの胞子はアレルギー性鼻炎や喘息といった健康被害の原因となることが指摘されています。また、水分は床材(フローリング)や壁の内部(断熱材)を腐食させ、住宅の劣化を早める原因にもなります。
結露対策には窓断熱リフォームが有効
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加湿器による床濡れや結露を根本的に解決するための結論は、「窓の断熱リフォーム」です。
結露の最大の原因は「室内外の温度差」によって窓が冷たくなることにあるため、窓の断熱性能を高め、窓の表面温度が下がらないようにすることが最も効果的です。
もちろん、まずは100均などで手に入る「結露防止シート(断熱シート)」や「結露吸水テープ」を窓に貼る、厚手のカーテンを閉めるといった手軽なDIY対策も一定の効果はあります。しかし、これらはあくまで対症療法に過ぎず、断熱性能の低い窓では根本的な解決には至りません。
本格的な解決策としては、以下のようなリフォームが挙げられます。
1内窓(二重窓)の設置
最も手軽で効果が高いリフォームです。今ある窓の内側にもう一つ新しい窓(樹脂サッシなど)を取り付けます。既存の窓と新しい窓の間に「空気の層」ができることで、断熱性が飛躍的に向上します。
外気の冷たさが内側の窓に伝わりにくくなるため、室内側の窓の表面温度が下がりにくくなり、結露の発生を強力に抑えます。YKK APの「プラマードU」やLIXILの「インプラス」などが代表的な製品です。
断熱ガラスへの交換
今あるサッシをそのまま使い、ガラスだけを高性能な断熱ガラスに交換する方法です。例えば、日本板硝子の「真空ガラス スペーシア」は、ガラスとガラスの間をわずか0.2mmの真空層にすることで、一枚ガラスの約4倍、一般的な複層ガラスの約2倍という非常に高い断熱性能を実現します。
真空層は熱をほぼ伝えないため、魔法瓶と同じ原理で室内の熱を逃しません。内窓の設置が難しい場合や、窓の開閉の手間を増やしたくない場合でも、ガラス交換だけで結露対策が可能です。
補助金(先進的窓リノベ2025事業など)の活用が必須
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加湿器による結露を根本から解決する窓リフォームですが、現在は国の大型補助金を活用できる絶好の機会です。2025年度も「住宅省エネ2025キャンペーン」として、複数の補助金制度が実施されています。
特に窓の断熱リフォームに特化しているのが「先進的窓リノベ2025事業」です。この制度の最大の魅力は、リフォーム費用の最大50%相当、一戸あたり上限200万円という非常に手厚い補助が受けられる点にあります。
「先進的窓リノベ事業」の主な対象工事
以下の工事が対象となり、製品の断熱性能(熱貫流率 U値)に応じて補助額が設定されています。
- 内窓の設置:今ある窓の内側にもう一つ窓を追加する(例:YKK AP「プラマードU」、LIXIL「インプラス」など)
- 外窓の交換:古い窓枠ごと新しい断熱窓に交換する(カバー工法・はつり工法)
- ガラス交換:今あるサッシを使い、ガラスのみを高性能な断熱ガラス(例:日本板硝子「真空ガラス スペーシア」)に交換する
また、「子育てエコホーム支援事業」でも、窓の断熱改修は補助対象となります。
こちらは子育て世帯や若者夫婦世帯が主な対象ですが、その他の世帯でも申請可能なリフォームも含まれます。「先進的窓リノベ事業」ほどの窓に対する補助額にはなりませんが、他のリフォーム(例:エコキュートの設置、断熱材の追加など)と組み合わせて申請できるのが強みです。
補助金申請の重要ポイントと注意点
これらの補助金は、施主(あなた)が自分で申請することはできません。必ず「住宅省エネ2025キャンペーン」に登録された「登録事業者」(リフォーム会社や工務店)を通じて契約・申請・受領を行う必要があります。
さらに、これらの補助金は国の予算が上限に達し次第、申請受付が早期終了します。例年、人気の制度は秋口には予算が尽きてしまうことも多いため、検討している場合は一日も早い行動が鍵となります。
リフォーム会社に見積もりを依頼する際は、「先進的窓リノベ事業の登録事業者ですか?」「補助金を使って工事をしたい」と必ず伝え、相談することから始めてください。
(参考:住宅省エネ2024キャンペーン(前年度) / 子育てエコホーム支援事業(前年度) ※2025年度の最新情報は、キャンペーン公式サイトまたは登録事業者にご確認ください)
加湿器でのびしょびしょ対策や注意点:まとめ
加湿器による床のびしょびしょ問題への対策をまとめます。原因の特定から根本的な解決策まで、段階的に見直すことが重要です。
- 加湿器で床が濡れる主な原因は「室温が低い」「湿度が高すぎる」「濡れやすい機種」の3点
- 室温が20℃未満だとミストが蒸発しきれず床に落ちやすい
- 湿度が60%を超えると過加湿となり結露や床濡れが発生する
- 超音波式は水の粒子を放出するため床が濡れやすい方式である
- 加湿器の床置きはだめ、ミストが拡散する前に床に落ちてしまう
- 理想の設置高さは床から70cm~100cmのテーブルや棚の上である
- 床びしょびしょ対策として、まず室温を20℃以上に暖房する
- サーキュレーターで空気を循環させ湿気を部屋全体に拡散させる
- 加湿器の下に敷くものとして100均の珪藻土マットや除湿シートが有効
- 濡れたまま乾かないタオルを敷くのはカビの原因になるため非推奨
- 床が濡れないタイプは「気化式」または「ハイブリッド式(温風気化式)」
- スチーム式も高温の水蒸気で加湿するため床は濡れにくい
- 加湿器の選び方として「湿度センサー」搭載モデルが過加湿を防ぐ鍵
- フランフランやダイソーの加湿器はデザイン性が高いが超音波式が多い点に注意
- 加湿器による結露は「加湿→結露→乾燥」の悪循環が原因である
- 根本的な結露対策は「窓断熱リフォーム」が最も効果的である
- 内窓の設置や真空ガラスへの交換で窓の断熱性を高める
- 窓リフォームには国の補助金制度を活用できる場合がある