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給湯器をつけっぱなしの電気代は損?都度消しとの比較と節約術を解説

2025年10月4日

給湯器のスイッチを入れっぱなしにしていると、給湯器のつけっぱなしで発生する電気代が気になりますよね。

待機電力とは何か、そして給湯器の待機電力でかかる電気代は一体いくらなのでしょうか。給湯器の電源は切ったほうがいいですかという疑問から、給湯器の電源つけっぱなしと都度消しだと、どちらがお得なのか、具体的な節約の考え方まで解説します。

また、給湯器のつけっぱなしで壊れる可能性や、電源つけっぱなしが危ないケースについても触れ、消費される電気の量やよくある質問にもお答えします。

ポイント

  • 給湯器をつけっぱなしにした場合の待機電力と年間の電気代
  • 電源を「都度消し」する場合のメリットと注意点
  • 電源つけっぱなしによる故障や危険性の有無
  • 電気代を根本から節約するための最適な考え方

給湯器つけっぱなしの電気代は?仕組みや待機電力など解説

給湯器つけっぱなしの電気代は?仕組みや待機電力など解説

  • 待機電力とは?
  • 給湯器の電源「つけっぱなし」で消費される電気の量
  • 給湯器の待機電力と電気代
  • 給湯器の電源つけっぱなしと都度消しだと、どちらがお得?
  • 給湯器の電源は切ったほうがいいですか?

待機電力とは?

待機電力とは、家電製品がコンセントに接続されているだけで、使用していない状態(待機状態)でも消費される電力のことです。多くの家電は、電源がオフの状態でもリモコンからの信号を待ったり、内部の時計や設定を維持したりするために、常に少量の電力を消費しています。

給湯器も例外ではなく、いつでもお湯を作れるように準備しているため、待機電力がかかっています。この電力は一つ一つは微量ですが、家庭全体の待機電力を合計すると、電力消費量のかなりの部分を占めることもあります。そのため、待機電力への理解は、電気代を節約する上で大切な第一歩となります。

給湯器の電源「つけっぱなし」で消費される電気の量

ガス給湯器はガスを燃焼させてお湯を作りますが、その過程の様々な部分で電力を必要とします。電源がつけっぱなしの状態では、これらの部品がいつでも作動できるように待機しています。

具体的には、以下のような箇所で電力が消費されます。

  • リモコン: 温度設定や自動湯張りなど、操作パネルの表示や機能維持に電力が必要です。
  • 水量センサー・温度センサー: 水の流れや温度を検知し、点火の準備をするためのセンサー類が待機しています。
  • 制御基板: 給湯器全体の動作をコントロールする電子基板が、常に通電している状態です。
  • 凍結防止機能: 冬場に外気温が一定以下になると、配管の凍結を防ぐためにヒーターが作動したり、ポンプが自動で運転したりします。これは安全上、非常に重要な機能です。

お湯を出していない時でも、これらの部品が待機状態を維持するために、常に電力が消費され続けています。

給湯器の待機電力と電気代

給湯器の待機電力は、機種や年式によって異なりますが、一般的な家庭用ガス給湯器の場合、リモコンの電源がオンの状態で約7W程度と言われています。これを基に、年間の電気代を計算してみましょう。

計算式は以下の通りです。

消費電力(W) ÷ 1000 × 1日の使用時間(h) × 365日 × 電力料金単価(円/kWh)

電力料金の目安単価を31円/kWhとして計算すると、年間の待機電力にかかる電気代が分かります。

状態 平均的な待機電力 年間電気代(つけっぱなし)
旧式の給湯器 (電源ON) 約7.97W 約2,155円
旧式の給湯器 (電源OFF) 約6.03W 約1,630円
新しい給湯器 (電源ON) 約3.98W 約1,076円
新しい給湯器 (電源OFF) 約2.52W 約681円
エコジョーズ (例) 約0.9W 約243円

※平成24年度の省エネルギーセンターのデータを基に計算

この表から分かるように、電源をオフにしても待機電力はゼロにはなりませんが、オンの状態に比べて電気代を抑えることが可能です。また、最新の省エネモデルであるエコジョーズなどは、待機電力が非常に低く設計されているため、つけっぱなしでも電気代はかなり安くなります。

給湯器の電源つけっぱなしと都度消しだと、どちらがお得?

年間の電気代だけを比較すると、給湯器の電源を都度消しする方が、つけっぱなしにするよりも数十円から数百円程度お得になる計算です。しかし、節約効果はそれほど大きくないとも考えられます。

一方で、節約を考える際には、電気代以外の側面も考慮に入れる必要があります。

つけっぱなしの「隠れた無駄」

シングルレバー混合水栓のハンドルがお湯側に向いていることに気づかず水を出した場合、給湯器はそれを「お湯を使おうとしている」と判断し、点火動作を始めます。短時間でもガスと電気を消費するため、これが頻繁に起こると、意図しない光熱費の増加につながる可能性があります。

都度消しの「隠れた無駄」

逆に、電源をこまめに消していると、お湯を使いたいときに電源がオフであることに気づかず、水だけを流し続けてしまうことがあります。お湯が出てくるのを待つ間の「捨て水」が増え、結果的に水道代の無駄につながることも考えられます。

これらの点を踏まえると、電気代のわずかな差額だけでどちらがお得かを一概に判断するのは難しいかもしれません。ご家庭の生活スタイルや水栓の使い方によって、最適な方法は異なってきます。

給湯器の電源は切ったほうがいいですか?

電気代の節約という観点からは、長時間お湯を使わない時間帯(就寝中や日中の不在時など)に電源を切ることは有効です。しかし、電源の操作にはいくつか注意すべき点があります。

コンセントは絶対に抜かない

最も大切な注意点は、給湯器本体の電源コンセントは抜かないことです。前述の通り、給湯器には凍結防止機能が備わっています。特に冬場にコンセントを抜いてしまうと、この機能が働かずに配管内の水が凍結し、給湯器の破損や水漏れといった重大な故障につながる恐れがあります。節電のためであっても、コンセントは常に接続したままにしておく必要があります。

頻繁すぎるオンオフは避ける

節約を意識するあまり、1日に何度も電源のオンとオフを繰り返すと、リモコンの電源ボタンに負荷がかかり、接触不良や故障の原因となる可能性があります。あくまで「長時間使わないとき」に消す程度に留め、過度な操作は控えるのが賢明です。

給湯器つけっぱなしの電気代や修理や交換が必要なケースの注意点

給湯器つけっぱなしの電気代や修理や交換が必要なケースの注意点

  • 給湯器のスイッチを入れっぱなしにする
  • 給湯器をつけっぱなしにすると壊れる?
  • 給湯器の電源つけっぱなしが危ないケース
  • 給湯器の電源と節約の考え方
  • よくある質問

給湯器のスイッチを入れっぱなしにする

給湯器のリモコンのスイッチを入れっぱなしにしておくこと自体は、現在の一般的な給湯器であれば、ただちに問題が発生するわけではありません。給湯器は、お湯の蛇口が開かれたことを検知して初めて点火・燃焼する仕組みになっています。

そのため、リモコンの電源が入っているだけでガスが消費され続けることはありません。また、多くの給湯器にはガス漏れや不完全燃焼を検知する安全装置が搭載されており、異常があれば自動でガスを遮断するため、安全性は高く確保されています。日常的な使用において、過度に神経質になる必要はないと考えられます。

給湯器をつけっぱなしにすると壊れる?

「電源をつけっぱなしにしていると、給湯器の寿命が縮んで壊れるのではないか」と心配される方もいるかもしれません。しかし、現在の給湯器は常時電源が入っていることを前提に設計されています。待機状態が続くことで機器に大きな負荷がかかり、故障に直結するという可能性は低いでしょう。

むしろ、前述の通り、頻繁に電源をオン・オフすることの方が、リモコンの物理的なスイッチ部分に負担をかける可能性があります。給湯器本体の寿命は一般的に10年程度と言われていますが、その主な原因は内部部品の経年劣化であり、電源のつけっぱなしが直接的な原因となることは考えにくいです。

給湯器の電源つけっぱなしが危ないケース

基本的には安全な給湯器ですが、一部のケースでは電源のつけっぱなしに注意が必要です。ご自宅の給湯器が以下に該当する場合は、使用しないときには電源を切る習慣をつけた方が安全です。

バランス釜タイプの給湯器

浴槽の横に設置されている「バランス釜」と呼ばれる古いタイプの風呂釜は、常に「種火」が灯っているモデルがあります。この場合、電源が入っている状態は種火がついている状態と同じであり、不測の事態を避けるためにも、使用後は電源を切ることが推奨されます。

設置から10年以上経過している古い給湯器

給湯器の寿命の目安は約10年です。10年以上使用している給湯器は、経年劣化により内部の部品が消耗している可能性があります。最新の機種に比べて安全装置が十分でない場合もあり、万が一の不具合が発生した際に火災などのリスクが全くないとは言い切れません。古い給湯器を使用している場合は、こまめに電源を切るとともに、専門業者による点検や、早めの交換を検討することが賢明です。

給湯器の電源と節約の考え方

これまで見てきたように、給湯器のリモコン電源を操作することによる電気代の節約効果は、年間で数百円程度と限定的です。もし、ご家庭の光熱費を本格的に削減したいのであれば、電源のオン・オフよりも給湯器本体の性能に着目する方がはるかに効果的です。

家庭におけるエネルギー消費のうち、給湯が占める割合は約3割とも言われ、非常に大きな部分を占めています。そのため、給湯効率を改善することが、光熱費削減の最大の鍵となります。

例えば、従来のガス給湯器を、排気熱を再利用して効率を高めた「エコジョーズ」に交換するだけで、ガス使用量を10%~15%程度削減できるとされています。これにより、年間のガス代を大きく節約することが期待できます。根本的な節約を目指すのであれば、日々の電源操作に気を配るよりも、長期的な視点で高効率な給湯器への交換を検討する方が、結果的に大きなメリットにつながります。

よくある質問

ここでは、給湯器の電源に関するよくある質問にお答えします。

旅行などで長期間家を空けるときはどうすればいい?

数日から数週間にわたって家を留守にする場合は、給湯器のリモコンの電源はオフにしておくことをお勧めします。待機電力を確実に節約できるほか、落雷などによる予期せぬトラブルから基盤を保護する効果も期待できます。ただし、冬場に長期間不在にする場合でも、前述の通り凍結防止機能を作動させる必要があるため、電源コンセントは絶対に抜かないでください。

電源をオフにすると設定はリセットされる?

最近の給湯器は、電源をオフにしても温度設定や時刻などの情報は内部メモリに記憶されるため、再度電源を入れても設定がリセットされてしまうことはほとんどありません。ただし、非常に古い機種や、長期間コンセントを抜いていた場合などは、再設定が必要になることもあります。

給湯器のつけっぱなしと電気代の関連ポイント:総括

この記事で解説した、給湯器のつけっぱなしと電気代に関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • 給湯器は使っていなくても待機電力を消費している
  • つけっぱなしの場合、待機電力で年間1,000円から2,000円程度の電気代がかかる
  • 電源を都度消しにすると年間数百円程度の節約になる
  • 節約効果は限定的で、水道代の無駄につながる可能性もある
  • 節電のためでも給湯器の電源コンセントを抜くのは厳禁
  • 冬場にコンセントを抜くと凍結で故障するリスクがある
  • 頻繁すぎる電源のオンオフはリモコンの故障原因になりうる
  • 現在の一般的な給湯器はつけっぱなしでも危険性は低い
  • 安全装置が作動するためガスが燃え続けることはない
  • つけっぱなしが原因で給湯器本体が壊れる可能性は低い
  • バランス釜や10年以上前の古い給湯器は注意が必要
  • 長期不在時はリモコンの電源をオフにするのがおすすめ
  • 根本的な節約には電源操作より本体の性能が重要
  • 高効率給湯器エコジョーズへの交換が最も効果的な節約策となる
  • ご家庭の生活スタイルに合わせて最適な使い方を判断することが大切
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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