夜のリラックスタイム、ふと見上げたLEDシーリングライトが一瞬ついて消える、あるいは読書中にLED電球が突然消えるといった不可解な経験はありませんか。
また、スマートフォンのカメラ越しに部屋を写すと、画面に黒い縞模様が走ることに気づき、不安を感じている方もいるかもしれません。
こうしたLEDのちらつきに関する不具合は、単なる電球の寿命だけでなく、使用している調光器との相性や、家庭内の配線環境、さらには電圧変動が原因で起こることも少なくありません。
そのまま放置していると、目の疲れや体調不良を引き起こす可能性もあるため、早めの対策が肝心です。
では、LEDのちらつきを解消するにはどうしたらいいですか?と疑問に思う方も多いでしょう。
また、正常だと思っていたLEDが時々点滅するのはなぜですか?という声もよく聞かれます。フリッカー現象を直すには?とお急ぎの方のために、本記事ではプロの視点からLEDのちらつきの直し方を徹底解説します。
目次
LEDのちらつきの直し方を知る前の原因特定
![]()
- LEDが時々点滅するのはなぜですか?
- 主なLEDのちらつき原因とメカニズム
- 調光器の不適合によるトラブル
- 電圧変動が及ぼす照明への影響
- LEDのちらつきと寿命のサイン
- 深刻な健康被害とPSEマークの基準
LEDが時々点滅するのはなぜですか?
LED照明を使っていると、チカチカと小刻みに明滅したり、波打つように明るさが変わったりすることがあります。これが一般的に「ちらつき(フリッカー)」と呼ばれる現象です。従来の白熱電球や蛍光灯でも起こる現象ですが、LEDの場合はその発生頻度や感じ方が少し異なります。
「新品に交換したばかりなのにLEDが時々点滅するのはなぜですか?」という疑問を持つ方も多いですが、実はLED電球自体が故障しているとは限りません。
LEDは、フィラメントを熱して光る白熱電球とは異なり、半導体に電気を流して発光させる仕組みを持っています。そのため、電気の応答速度が非常に速く、供給される電気の質や環境要因に敏感に反応してしまうのです。
白熱電球は熱を持っているため、一瞬電気が途切れても「残像」のように光が残りますが、LEDは電気が遮断されると瞬時に消灯します。この「応答の良さ」が、逆に電源の不安定さを目に見える形で露呈させてしまう原因となっています。
著者より:
一見すると「ただの故障かな?」「不良品を掴まされたかな?」と思いがちですが、実は家の配線やスイッチの種類、他の家電製品の使用状況が複雑に関係していることも多いんですよ。
主なLEDのちらつき原因とメカニズム
LEDがちらつくメカニズムには、主に電源供給の不安定さが関係しています。
私たちの家庭用コンセントにきている電気は「交流(AC)」ですが、LEDチップ自体は「直流(DC)」でしか光りません。そのため、照明器具や電球の内部には、交流を直流に変換するための電子回路(LEDドライバ)が組み込まれています。
この変換プロセスや回路の設計品質によって、ちらつきやすさが大きく変わります。主な原因とメカニズムを整理しました。
| 原因の分類 | 具体的な現象 | 特徴とメカニズム |
|---|---|---|
| 電源回路の品質 | 整流不足(リップル) | 交流の波形を完全に平らな直流にできず、波が残ることで、商用電源周波数の2倍(100Hzや120Hz)で高速点滅を繰り返す。安価な製品に多い。 |
| 調光器との相性 | 動作不安定 | 調光器が波形をカットする際、LED側の回路が電力をうまく受け取れず、チカチカしたり、特定の明るさで消えたりする。 |
| 電圧の変動 | 供給不安定 | ドライヤーや電子レンジなどを使用した瞬間に電圧が下がり、明かりが揺れる。定電流回路がない安価なLEDで顕著。 |
| 部品の劣化 | コンデンサ容量抜け | 平滑回路に使われる電解コンデンサが経年劣化し、電気を蓄える力が低下。購入当初は問題なかったが、数年後にちらつき始める。 |
特に安価な製品では、コストダウンのために電源回路が簡略化されています。
交流の波を完全にならせずに光の強弱として出力してしまう「ダイナミック点灯方式」などを採用している場合、人間の目には見えない速さであっても、脳が「ちらつき」として感知し、不快感の元となるのです。
調光器の不適合によるトラブル
![]()
壁に明るさを調整できるダイヤル式やスライド式のスイッチ(調光器)が付いている場合、ここが原因である可能性が非常に高いと言えます。
注意:調光器非対応のLEDを使っていませんか?
多くの家庭用調光器は、従来の白熱電球向けに設計された「位相制御方式(トライアック)」を採用しています。ここに「調光器非対応」のLED電球を取り付けると、回路が誤作動を起こします。その結果、激しい点滅や不点灯、「ジー」という異音が発生し、最悪の場合はLED内部の回路が焼損して故障する原因になります。
さらに注意が必要なのは、「調光器対応」と書かれたLED電球であっても、調光器側の方式(位相制御やPWM制御など)との相性が悪いケースがあることです。
特に古い調光器の場合、LEDの微小な電力に対応できず、スムーズに調光できずにちらつくことがあります。
電圧変動が及ぼす照明への影響
家庭内の配線状況もLEDの点灯に大きく影響します。例えば、ドライヤー、電子レンジ、エアコン、掃除機といった消費電力の大きな家電製品を使用した瞬間に、LEDが一瞬暗くなったりちらついたりすることはありませんか?
これは「電圧降下」と呼ばれる現象です。同じブレーカー系統に大きな負荷がかかると、一時的に電圧が下がります。高品質なLEDの電源回路(ドライバ)であれば、多少の電圧変動があっても一定の明るさを保つ「定電流回路」が働きますが、簡易的な回路の製品では入力電圧の変化がそのまま明るさの変化として現れてしまいます。
また、工場やエレベーターのあるマンションなどでは、外部からの電圧変動(ノイズ)が原因でちらつくこともあります。この場合、個別の電球交換では直らないことが多く、安定化電源の導入など大掛かりな対策が必要になることもあります。
LEDのちらつきと寿命のサイン
長期間使用しているLED照明がちらつき始めた場合、それは寿命のサインかもしれません。「LEDは長寿命」というイメージがありますが、それはあくまで発光素子(LEDチップ)の話です。
LEDチップ自体の寿命は約40,000時間と非常に長いですが、内部の電子部品、特に電気を安定させる「電解コンデンサ」という部品は熱に弱く、チップより先に寿命を迎えることが一般的です。コンデンサ内の電解液が蒸発して容量が抜ける「ドライアップ」という現象が起きると、電気を安定供給できなくなり、ちらつきや不点灯が発生します。
豆知識:40,000時間の誤解
パッケージに書かれている40,000時間は「LEDチップが点灯しなくなるまでの時間」ではなく、「明るさが初期の70%に落ちるまでの時間(光束維持率)」を指すことが多いです。
しかし、基板上のコンデンサが劣化・故障すれば、40,000時間を待たずに点滅や不点灯などの寿命を迎えます。
深刻な健康被害とPSEマークの基準
![]()
「たかがちらつき、気にならなければ大丈夫」と軽く見てはいけません。目に見える低周波のちらつきはもちろん、認識できない高速なちらつき(不可視フリッカー)であっても、視覚中枢を刺激し続けます。
これにより、眼精疲労、頭痛、吐き気、肩こりなどの原因になると言われています。海外や過去の事例では、光過敏性発作(てんかん)の誘発リスクも指摘されており、照明の質は健康に直結する重要な要素です。
日本では現在、電気用品安全法(PSE)により、LED照明のちらつきに関する基準が設けられています。
PSEにおけるちらつき基準(概要)
- 光の繰り返し周波数が100Hz以上で、かつ光出力に欠落がないこと
- または、繰り返し周波数が500Hz以上であること
国内で正規に販売されているPSEマーク付きの製品であれば、法律上の最低限の基準はクリアしています。しかし、基準ギリギリの製品も存在するため、ちらつきに敏感な方や長時間のデスクワークを行う方は、より厳しい基準で作られた「フリッカーレス」を謳う製品を選ぶことが推奨されます。(出典:経済産業省「電気用品安全法 LEDランプ等の規制導入について」)
LEDのちらつきの直し方・LED電球が突然消える・点滅の対処法
![]()
- LEDのちらつきを解消するにはどうしたらいいですか?
- フリッカー現象を直すには?
- LEDシーリングライトが一瞬ついて消える時
- LED電球が突然消える問題の解決策
- 安全なLEDのちらつき直し方まとめ
LEDのちらつきを解消するにはどうしたらいいですか?
ちらつきを解消するための最初の一歩は、やみくもに交換するのではなく、「環境の確認」と「製品の選定」を正しく行うことです。まず、発生しているちらつきが「常に起きている」のか、「特定の時間やタイミングで起きている」のかを確認して原因を切り分けましょう。
- 常にちらつく場合:製品自体の不良、寿命、または調光器との完全な不適合、照明器具本体の故障が疑われます。
- 特定のタイミングでちらつく場合:他の家電製品の影響(電圧変動)や、スイッチの接触不良、配線の緩みが考えられます。
最も確実で根本的な解決方法は、「フリッカーレス(ちらつき防止)」対策が施された高品質なLED製品に交換することです。
特に毎日長時間家族が過ごすリビングや、集中力が必要な子供部屋・書斎の照明は、少しコストがかかってもパナソニックや東芝、三菱電機といった信頼できる国内大手メーカーの製品を選ぶことが、目の健康を守る投資になります。
フリッカー現象を直すには?
具体的にフリッカー現象を直すための手順と、簡易的なチェック方法を紹介します。以下のステップを順に試してみてください。
- 電球の締め直し:意外と多いのが、ソケットへのねじ込み不足です。熱膨張と収縮を繰り返すことで緩むこともあります。一度電源を切り、冷めてから取り外して、しっかりと付け直してください。
- 調光器の確認:調光スイッチを使っている場合、つまみを「最大(100%)」にしてみてください。これで光が安定するなら、調光回路との相性問題です。調光器対応のLEDに買い換えるか、調光器自体をLED専用のものに交換(要電気工事)する必要があります。
- スイッチの交換:壁のスイッチが古くなっていると、内部の接点が劣化・摩耗して電流が不安定になります。「ジジジ」と音がする場合は要注意です。この場合は電気工事士によるスイッチ交換が必要です。
- カメラで確認(簡易判定):スマホのカメラを照明に向けてみてください。画面に黒い横縞が流れるようなら、強いフリッカーが出ています。製品選びの際、この縞が出ないものを選ぶのが一つの基準になります。
DIYの限界と安全性
電球の交換は自分でできますが、壁のスイッチ交換や配線の修理、シーリングの引掛ローゼットの交換には「電気工事士」の国家資格が必要です。感電や火災のリスクがあるため、絶対に無資格で工事を行わないでください。
LEDシーリングライトが一瞬ついて消える時
天井付けのLEDシーリングライトで、「スイッチを入れると一瞬だけ点灯してすぐに消える」あるいは「常夜灯だけついて消える」という症状が出ることがあります。これは故障の場合もありますが、照明器具に搭載された保護回路や誤動作の可能性もあります。
電源のリセット(再起動)
シーリングライトはマイコン制御されているため、一時的なエラーでフリーズしている可能性があります。壁のスイッチを切り(リモコンではなく壁スイッチ)、1分〜5分ほど待ってから再度オンにしてみてください。これで復旧することがあります。
コネクタの確認
本体とアダプタ(天井の引掛シーリングに付いている部品)をつなぐコネクタが、地震の揺れや掃除の際の接触で外れかかっていないか確認してください。
ほたるスイッチの影響
スイッチオフ時に小さなランプが光る「ほたるスイッチ(パイロットスイッチ)」を使用している場合、スイッチを切っていても微弱な電流が流れ続けています。この電流にLEDが反応し、コンデンサに電気が溜まった瞬間にだけ一瞬点灯や点滅を繰り返すことがあります。この場合、ほたるスイッチ対応の照明器具かを確認するか、スイッチ側の交換が必要です。
これらを試しても直らない場合、内部基板の故障(寿命)の可能性が高いため、器具ごとの交換(買い替え)を検討してください。
LED電球が突然消える問題の解決策
LED電球が使用中に突然フッと消え、しばらく時間を置いてスイッチを入れ直すとまたつく、といった挙動をする場合、「熱暴走」による保護機能が働いている可能性が高いです。
LEDは熱に非常に弱いため、放熱がうまくいかず内部温度が危険なレベルまで上昇すると、回路を保護するために自動的に出力を落としたり、消灯したりする機能を持った製品があります。以下の環境で使用していないか確認してください。
NGな使用環境
密閉型器具
お風呂場の照明やダウンライトなど、ガラスやプラスチックのカバーで覆われた器具に「密閉型器具非対応」のLED電球を使っている。
断熱材施工器具
天井裏に断熱材が敷き詰められているダウンライト(器具にSマークが付いているもの)に、対応していないLED電球を使っている。
これらの環境では熱が逃げ場を失い、回路が高温になります。寿命を縮めるだけでなく、最悪の場合は発煙などの事故につながる恐れもあります。
必ず設置場所に合った仕様(密閉型対応・断熱材施工器具対応)のLED電球を選んでください。(出典:パナソニック「LED電球 選び方のポイント」)
LEDのちらつきの直し方まとめ
最後に、LEDのちらつき問題に対するチェックポイントをまとめました。問題を特定し、安全な照明環境を取り戻すためにご活用ください。
- LEDのちらつきは電源回路の質、調光器との相性、環境要因で発生する
- スマホのカメラ越しに見ると、不可視フリッカーを確認しやすい
- 調光器付きの場所には必ず「調光器対応」製品を使う(非対応は故障の原因)
- 古い調光器の場合、LED対応製品でもちらつくことがある
- 電球が緩んでいないか、電源を切ってからソケットを確認して締め直す
- スイッチを入れた瞬間のちらつきは、他家電による電圧降下の可能性がある
- 常に点滅する場合は製品の初期不良、故障、または寿命を疑う
- 「一瞬ついて消える」場合は保護回路やマイコンの誤動作を確認し、リセットを試す
- 密閉された器具では熱暴走で消灯することがあるため、対応器具を確認する
- ほたるスイッチの微弱電流が、ゴースト点灯や点滅の原因になることがある
- 健康被害を防ぐために、信頼できるメーカーの「フリッカーレス」製品を選ぶ
- 必ずPSEマーク付きの安全な製品を使用する
- 配線やスイッチの交換が必要な場合は、無理せず電気工事士に依頼する
- 購入時のレシートや保証書は必ず保管しておく(LEDは保証期間が長いことが多い)