高性能な断熱窓として注目されるトリプルサッシですが、「設置したのに家が寒い」という声を聞くと、導入をためらってしまいますよね。
トリプルサッシとペアガラスの違いや、ペアガラスとトリプルガラスの価格差はどのくらいなのでしょうか。
中にはトリプルガラスはいらないという意見もあり、トリプルガラスと内窓を比較して悩む方もいるかもしれません。
この記事では、トリプルサッシで後悔しないために、トリプルサッシのデメリットや気になる耐用年数を徹底解説します。おすすめのトリプルサッシメーカーであるリクシルやYKKの製品比較から、価格を抑えるためのトリプルガラスの補助金や国の補助金制度まで、網羅的にご紹介します。
目次
トリプルサッシは寒いと感じる理由や原因
- トリプルサッシとペアガラスの違い
- ペアガラスとトリプルガラスの価格差
- トリプルサッシの価格相場
- トリプルガラスは本当にいらないのか
- トリプルガラスと内窓の比較
トリプルサッシとペアガラスの違い
トリプルサッシとペアガラスの最も大きな違いは、その構造にあります。ペアガラスが2枚のガラスで構成されているのに対し、トリプルサッシは3枚のガラスで構成されています。これにより、ガラスの間に作られる「中空層」が1層から2層に増える点が最大の特徴です。
この中空層には、乾燥した空気や、空気よりも熱を伝えにくいアルゴンガス、クリプトンガスなどが封入されています。中空層が2つになることで、断熱性能が飛躍的に向上し、外の熱や冷気が室内に伝わりにくくなります。
窓の断熱性能を示す熱貫流率(U値)という指標があり、この数値が小さいほど断熱性が高くなります。一般的な製品で比較すると、その性能差は明らかです。
ガラスの種類 | 構造 | 熱貫流率(U値)の目安 | 特徴 |
ペアガラス | ガラス2枚+中空層1層 | 1.2~2.9W/㎡・K | 近年の標準的な断熱窓。単板ガラスに比べ大幅に性能が向上。 |
トリプルサッシ | ガラス3枚+中空層2層 | 0.78~0.99W/㎡・K | 非常に高い断熱性能を持つ。結露防止や遮音効果も高い。 |
このように、トリプルサッシはペアガラスよりも格段に高い断熱性能を持っています。また、ガラスの枚数が増えることで、遮音性能が向上するという副次的なメリットも期待できます。
ペアガラスとトリプルガラスの価格差
性能が高い分、ペアガラスとトリプルガラスには顕著な価格差が存在します。一般的に、同じサイズや条件で比較した場合、トリプルガラスはペアガラスの約1.5倍から2倍程度の価格になることが多いです。
例えば、標準的な掃き出し窓(幅180cm×高さ200cm)の場合、ペアガラス仕様のものが20万円程度であるのに対し、トリプルガラス仕様にすると30万円から40万円程度になる、といったイメージです。
この価格差は、単にガラスが1枚増えるだけでなく、3枚のガラスを支えるための頑丈なサッシ(窓枠)が必要になることや、中空層に封入されるガスのコスト、そして製造工程の複雑さなどが影響しています。家全体の窓をトリプルサッシにすると、総額で数十万円から百万円以上の追加費用が発生する可能性も考えられます。
トリプルサッシの価格相場
トリプルサッシの具体的な価格は、窓のサイズ、開閉方式、選択するガラスの種類(Low-E膜の有無など)、そしてメーカーによって大きく変動します。あくまで目安ですが、一般的な住宅でよく使われるサイズの価格相場は以下のようになります。
窓の種類 | サイズの目安(幅×高さ) | 価格相場の目安(工事費別途) |
引き違い窓 | 165cm × 110cm | 約150,000円 ~ 250,000円 |
縦すべり出し窓 | 60cm × 110cm | 約100,000円 ~ 180,000円 |
FIX窓(はめ殺し) | 60cm × 110cm | 約80,000円 ~ 150,000円 |
これらの価格に加えて、専門業者による取り付け工事費が必要です。既存の窓を交換するリフォームの場合は、古い窓の撤去費用なども発生します。正確な費用を知るためには、必ず複数のリフォーム会社から見積もりを取得し、詳細な内訳を確認することが大切です。
トリプルガラスは本当にいらないのか?
「トリプルガラスはオーバースペックで、いらないのでは?」という意見も聞かれます。これは、住んでいる地域や住宅全体の性能とのバランスを考慮する必要があるためです。
例えば、比較的温暖な地域では、冬でも極端に気温が下がらないため、ペアガラスでも十分快適な室温を保てる場合があります。このようなケースで高価なトリプルガラスを導入しても、費用対効果が見合わないと感じるかもしれません。
しかし、北海道や東北などの寒冷地においては、トリプルガラスの高い断熱性能は光熱費の削減や快適性の向上に大きく貢献します。また、住宅全体の断熱性・気密性を非常に高く設計した「高性能住宅」では、窓が熱の弱点とならないように、トリプルガラスの採用が不可欠な場合もあります。
重要なのは、窓単体の性能だけを見るのではなく、壁や天井の断熱材、換気システムなど、家全体の性能と調和が取れているかという視点です。設計士や工務店と相談し、ご自身の住む地域の気候や目指す住宅性能に合わせて、最適な窓を選択することが求められます。
トリプルガラスと内窓の比較
断熱性を高めるリフォームとして、トリプルガラスへの交換の他に「内窓(二重窓)の設置」という選択肢もあります。両者は目的が似ていますが、特徴や費用、メリット・デメリットが異なります。
項目 | トリプルガラスへの交換 | 内窓の設置 |
工事内容 | 既存の窓を撤去し、新しい窓を設置 | 既存の窓の内側にもう一つ窓を追加 |
断熱性能 | 非常に高い | 高い(既存窓との組み合わせによる) |
遮音性能 | 高い | 非常に高い(特に交通騒音などに有効) |
費用 | 高額 | 比較的安価 |
使い勝手 | 窓の開閉は1回 | 窓の開閉が2回になり、手間が増える |
工期 | 1日~数日(窓数による) | 1窓あたり1時間程度と短い |
トリプルガラスは窓そのものを高性能なものに入れ替えるため、すっきりとした見た目を保ちつつ、高い断熱性能を得られます。
一方、内窓は既存の窓はそのままに、比較的低コストで断熱性と、特に高い遮音性を得られるのが魅力です。ただし、窓の開閉が二度手間になったり、掃除が少し大変になったりする点は考慮が必要です。どちらが良いかは、予算や求める性能、使い勝手の優先順位によって変わってきます。
トリプルサッシで寒くて後悔しないための対策
- トリプルサッシのデメリットとは?
- トリプルサッシで後悔する理由
- トリプルサッシの耐用年数は?
- リクシルやYKKなどメーカー比較
- トリプルガラスで使える補助金
トリプルサッシのデメリットとは?
トリプルサッシは多くのメリットを持つ一方で、導入前に知っておくべきデメリットも存在します。これらを理解しておくことが、後悔しないための第一歩となります。
導入コストが高い
前述の通り、最大のデメリットは価格の高さです。ペアガラスと比較して1.5倍から2倍の費用がかかるため、家全体の窓に採用すると大きな予算が必要になります。
サッシ(窓)が重い
ガラスが3枚になるため、窓全体の重量がかなり増します。これにより、特に大きな掃き出し窓などでは、開閉が重く感じられることがあります。力の弱いお子様や高齢の方にとっては、操作が負担になる可能性も考えられます。ショールームなどで実際の操作感を確かめておくことをお勧めします。
ガラスが割れた際の交換費用が高額
万が一、石が飛んできたなどでガラスが破損した場合、特殊な構造のため交換費用がペアガラスよりも高額になります。
これらのデメリットを理解した上で、本当にトリプルサッシが必要なのか、費用対効果が見合うのかを慎重に検討することが大切です。
トリプルサッシで後悔する理由3選
「高性能なトリプルサッシにしたのに寒い」と感じて後悔するケースには、製品自体の問題ではなく、家全体の設計や環境に原因がある場合がほとんどです。
家全体の断熱・気密性能が低い
最も多いのがこのケースです。いくら窓の性能を高めても、壁や天井の断熱材が不十分であったり、家のあちこちに隙間があって気密性(C値)が低かったりすると、そこから熱が逃げてしまいます。窓はあくまで家の一部であり、断熱と気密はセットで考えなければ、期待した効果は得られません。
窓の数が多すぎる、または大きすぎる
トリプルサッシといえども、その断熱性能は断熱材の入った壁には及びません。そのため、開放感を重視して過度に大きな窓を設置したり、窓の数を増やしすぎたりすると、結果として熱が逃げやすい家になってしまいます。特に日当たりの悪い北側や西側に大きな窓を設けると、冬場に熱が奪われる一方になる可能性があります。
コールドドラフト現象
室内の暖かい空気が、冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、下降気流となって床に広がる現象です。トリプルサッシはこの現象を大幅に抑制しますが、完全にゼロにすることは難しく、窓際にいると足元にひんやりとした空気の流れを感じることがあります。これが「寒い」と感じる一因になることがあります。
トリプルサッシの耐用年数は?
トリプルサッシの耐用年数は、一般的に15年から20年程度が目安とされています。ただし、これは性能が著しく低下するまでの期間であり、製品自体が使えなくなるわけではありません。
注意が必要なのは、ガラスとガラスの間にある「中空層」の状態です。この層の気密性を保っているのがスペーサーやシール材ですが、これらが経年劣化すると、封入されていたガスが抜けたり、湿気が侵入したりすることがあります。ガスが抜けると断熱性能は低下し、湿気が入るとガラスの内部で結露が発生する「内部結露」という現象が起きます。
内部結露が発生した場合、掃除で取り除くことはできず、ガラス自体の交換が必要となります。多くのメーカーでは製品に対して10年程度の保証を設けていますが、耐用年数と保証期間は異なることを理解しておく必要があります。
リクシルやYKKなどメーカー比較
国内のサッシメーカーでは、LIXIL(リクシル)とYKK APが二大巨頭であり、それぞれ高性能なトリプルサッシをラインナップしています。
項目 | LIXIL 「EW」 (旧サーモスX) | YKK AP 「APW 430」 |
サッシ素材 | アルミと樹脂の複合サッシ | オール樹脂サッシ |
熱貫流率(U値) | 0.93 W/㎡・K (一部仕様) | 0.90 W/㎡・K (一部仕様) |
特徴 | フレームを極限までスリム化し、ガラス面積を最大化。すっきりとしたデザインが魅力。 | 枠も全て樹脂製で、国内最高クラスの断熱性能を誇る。結露に非常に強い。 |
デザイン | スタイリッシュでモダンな印象 | 重厚感があり、しっかりとした印象 |
LIXILの「EW」は、室外側が耐久性の高いアルミ、室内側が断熱性に優れる樹脂の複合サッシで、フレームを細くすることでデザイン性を高めているのが特徴です。一方、YKK APの「APW 430」は、サッシの内外すべてが樹脂でできており、熱伝導率が非常に低く、最高レベルの断熱性能を追求しています。
どちらの製品も国内トップクラスの性能を誇りますが、デザインの好みや、アルミの耐久性を重視するか、徹底的な断熱性能を求めるかによって選択が分かれるでしょう。
トリプルガラスで使える補助金や助成金
トリプルガラスへの交換リフォームは、省エネ効果が高いことから、国や自治体の補助金制度の対象となる場合があります。これらの制度をうまく活用することで、高額な初期費用を大幅に軽減することが可能です。
代表的な国の制度として「先進的窓リノベ事業」があります。これは、断熱性能の高い窓へのリフォームに対して、工事費用の最大50%相当、一戸あたり最大200万円という非常に手厚い補助が受けられる制度です。トリプルサッシの多くは、この制度で最も高い補助額が設定されている最高ランクの性能基準を満たします。
他にも、「子育てエコホーム支援事業」など、他のリフォームと組み合わせることで利用できる制度もあります。
これらの補助金は、年度ごとに予算や条件が変更されるため、リフォームを検討する際には、必ず最新の情報を国土交通省のウェブサイトやリフォーム会社の担当者に確認することが不可欠です。
トリプルサッシが寒いと感じる原因:総括
これまで解説してきた、トリプルサッシを導入しても寒いと感じる原因と、後悔しないための対策について、重要なポイントを以下にまとめます。
- トリプルサッシはペアガラスより断熱性が格段に高い
- 寒い原因は窓だけでなく家全体の断熱・気密性にあることが多い
- 壁の断熱性能に比べれば窓は熱の弱点になりうる
- 日当たりの悪い方角の大きな窓は熱が逃げる原因になる
- デメリットは高価格、窓の重さ、高額な修理費
- 耐用年数の目安は15年~20年で内部結露に注意が必要
- LIXILはデザイン性、YKK APは断熱性能に強みを持つ
- 温暖な地域ではオーバースペックになる可能性も考慮する
- 断熱リフォームは内窓設置という選択肢もある
- 「先進的窓リノベ事業」などの補助金を活用すれば費用を抑えられる
- 補助金制度は年度で変わるため最新情報の確認が必須
- 窓の性能を活かすには家全体のバランスを考えることが最も大切
- 開閉の重さはショールームで実際に体感しておくべき
- 費用対効果を考え、設計士や専門家とよく相談して決める
- 信頼できる施工業者を選ぶことが成功の鍵となる