ふと窓を見ると、ゴムパッキンが黒い点々でカビだらけになっていて愕然とした経験はありませんか。
窓のゴムパッキンのカビは見た目が悪いだけでなく、放置すると健康へのリスクや住まいの劣化にもつながりかねません。
この記事では、窓のゴムパッキンがカビだらけになる理由と原因を解説します。
さらに、カビ取りにおすすめの掃除法5選や、片栗粉、ハイター、カビキラーの活用法、100均アイテムを使った手軽な方法まで、カビの落とし方と取り方を詳しくご紹介します。
窓のゴムパッキンのカビは重曹で取れるのか、カビが取れない場合の対処法、カビ取り剤の種類や注意点についてもお伝えします。
あわせて、窓のゴムパッキンの劣化や交換の価格や費用相場、カビを放置するリスクと危険性、そしてカビ発生を防ぐ方法・予防策3選、カビ取り最強アイテムは何かについても触れていきます。
目次
窓のゴムパッキンがカビだらけになる原因と放置リスク
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- 窓のゴムパッキンがカビだらけになる理由と原因
- カビを放置するリスクと危険性
- 窓ゴムパッキンの劣化とカビの関係性
窓のゴムパッキンがカビだらけになる理由と原因
窓のゴムパッキンがカビだらけになる最大の理由は、「結露」によってカビの発生条件が揃ってしまうためです。
カビが繁殖するには「温度」「湿度」「栄養」の3つの要素が必要とされています。特にカビは、湿度が70%を超えると活発に増殖し始めると言われています。
冬場や梅雨時期の窓辺は、まさにこの条件が揃いやすい場所です。冬に暖房で暖められた室内の空気は、多くの水蒸気を含んでいます。この空気が、外気で冷やされた窓ガラスやサッシに触れると、空気中に含みきれなくなった水蒸気が水滴となって現れます。これが「結露」です。
この結露による水分がゴムパッキン周辺の湿度を常に高い状態に保ち、さらにサッシの溝やパッキンに溜まったホコリ、髪の毛、皮脂汚れ、ダニの死骸などを「栄養源」にして、カビが爆発的に繁殖してしまうのです。
特にカーテンを閉めっぱなしにしていると、窓とカーテンの間に空気が滞留し、結露が乾きにくくなります。これにより、カビにとって絶好の高温多湿環境が維持されてしまうことになります。
カビの発生条件とは?
カビは私たちの身の回りのどこにでも胞子として存在しています。公的機関の資料によれば、カビの発生条件は主に以下の4つとされています。
- 湿度: 湿度が70%を超えると発生しやすくなり、80%以上で活発に増殖します。
- 温度: 20℃~30℃程度が最も発育しやすい温度帯です。
- 栄養分: ホコリ、汚れ、食品カス、皮脂など、ほとんどの有機物が栄養源となります。
- 酸素: 人間と同じく、発育・増殖に酸素を必要とします。
窓辺の結露は、このうち「湿度」と「栄養(ホコリが水分で付着)」の条件を完璧に満たしてしまうため、カビだらけになりやすいのです。(参考:文部科学省「カビ対策マニュアル」)
カビを放置するリスクと危険性
ゴムパッキンのカビを「ただの黒い汚れ」と侮って放置すると、健康被害や住まいの深刻な劣化につながる可能性があります。
カビは成長する過程で、目に見えないほどの小さな胞子を空気中に大量に飛散させます。これを日常的に吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や気管支喘息、皮膚炎(アトピー性皮膚炎の悪化など)を引き起こす原因になると考えられています。
特に、窓のゴムパッキンに発生しやすい黒カビ(クラドスポリウムなど)は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)として知られています。免疫力が低下している方、小さなお子様や高齢者がいるご家庭では、カビの放置はより深刻な健康リスクとなり得ます。
また、健康面だけでなく、建物自体へのダメージも甚大です。カビはゴムパッキンに深く根を張るため、放置すればするほど除去が困難になります。やがてカビが素材の奥深くまで侵食すると、ゴムパッキン自体の劣化を早めるだけでなく、窓枠(特に木枠)や周辺の壁紙、さらには壁の内部にまで広がることもあります。こうなると、単純な掃除では対応できず、高額な修繕費用やリフォームが必要になる危険性も高まります。
窓ゴムパッキンの劣化とカビの関係性
窓のゴムパッキンは、主に塩化ビニル樹脂やシリコンゴムなどでできていますが、これらも永久にもつわけではありません。紫外線や結露による水分、寒暖差などに長期間さらされることで、時間とともに確実に劣化していきます。
劣化したゴムパッキンは、カビの格好の住処(すみか)となりやすいため注意が必要です。
新品のゴムパッキンは表面が滑らかで弾力があり、汚れが付着しにくい状態です。しかし、劣化が進むとプラスチックのように硬くなったり、弾力を失って縮んだり、表面に目に見えない細かなひび割れ(マイクロクラック)が生じたりします。
このような細かな亀裂や傷にカビの胞子が入り込むと、内部にしっかりと根を張りやすくなります。表面のカビは掃除で一時的に落とせたように見えても、ひび割れの奥に潜んだ菌糸が生き残っていると、そこからすぐに再発してしまいます。
強力なカビ取り剤を試してもすぐにカビが生えてくる場合や、パッキン自体が硬化してポロポロと欠けるような状態の場合は、すでに劣化がかなり進んでいるサインかもしれません。
窓のゴムパッキンがカビだらけの対処法と予防策
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- カビ取り剤の種類や注意点
- カビ取りのおすすめ掃除法5選(落とし方・取り方)
- 窓のゴムパッキンのカビは重曹で取れる?
- 片栗粉・ハイター・カビキラーの活用法
- 100均アイテムとカビ取り最強アイテムはどれ?
- 窓のゴムパッキンのカビが取れない場合の対処法
- 窓のゴムパッキン交換の価格や費用相場
- 窓のゴムパッキンのカビ発生を防ぐ方法・予防策3選
カビ取り剤の種類や注意点
窓のゴムパッキンのカビ取りに使用される薬剤は、主に「塩素系」と「酸素系」の2種類に分けられます。
それぞれの特徴を理解し、カビの状態やご家庭の状況に合わせて正しく使い分けることが重要です。
カビ取り剤の種類と特徴
| 種類 | 主な成分 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 塩素系 (カビキラー、ハイターなど) | 次亜塩素酸ナトリウム | 強力な殺菌力と漂白効果 | ・ゴムパッキンに根を張った黒カビの色素まで分解し、白くする。 ・殺菌力が非常に強い。 | ・ツンとした刺激臭がある。 ・「まぜるな危険」(酸性タイプと混ざると有毒ガス発生)。 ・色柄物や木材には使えない。 |
| 酸素系 (オキシクリーンなど) | 過炭酸ナトリウム | 発泡力で汚れを剥がす | ・刺激臭がほとんどない。 ・環境への負荷が少ない。 ・色柄物の掃除にも使える。 | ・黒カビの漂白力は塩素系より劣る。 ・殺菌力も比較的マイルド。 ・お湯で溶かす手間がかかる。 |
塩素系カビ取り剤
「カビキラー」や「ハイター」などに代表される製品で、主成分は「次亜塩素酸ナトリウム」です。
ゴムパッキンに深く根を張った頑固な黒カビの色素まで強力に分解し、漂白する効果が期待できます。ゴムパッキンのカビ取りにおいては、この漂白効果が非常に重要です。
スプレータイプと、パッキンに密着しやすいジェルタイプがあります。スプレータイプは液だれしやすいため、後述する「湿布法」が必要ですが、ジェルタイプは垂直面でも垂れにくく、カビに成分が長時間留まるため、ゴムパッキンの掃除に最も適しています。
酸素系漂白剤
「オキシクリーン」などの粉末タイプ(過炭酸ナトリウム)が知られています。お湯に溶かすと酸素の泡が発生し、その力で汚れを浮かして剥がします。塩素系のようなツンとした刺激臭がなく、比較的マイルドな作用が特徴です。
漂白効果もありますが、塩素系に比べると黒カビを真っ白にする力は弱いとされています。環境への負荷が少なく、小さなお子様やペットがいるご家庭でも使いやすい点がメリットですが、頑固な黒カビには効果が薄い場合があります。
【最重要】カビ取り剤使用時の注意事項
カビ取り剤の使用、特に塩素系漂白剤の使用には重大な危険が伴います。取り扱いを誤ると命に関わる事故につながるため、以下の点を絶対に守ってください。
- 「まぜるな危険」の厳守:主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、酸性の製品(クエン酸、お酢、酸性洗剤など)と混ざると、有毒な塩素ガスが発生します。これは非常に危険なガスです。絶対に混ぜないでください。(参照:花王株式会社「まぜるな危険!塩素系と酸性タイプ」)
- 徹底した換気:作業中は必ず窓を2箇所以上開ける、換気扇を最強にするなど、空気の通り道を確保してください。刺激臭で気分が悪くなることがあります。
- 保護具の着用:薬剤が皮膚や目に入るのを防ぐため、ゴム手袋、マスク、保護メガネ(ゴーグル)を必ず着用してください。皮膚に付着すると炎症を起こし、目に入ると失明の危険もあります。
- 単独で使用する:他の洗剤と混ぜることはもちろん、前後して使用するのも避けてください。洗剤成分が残っていると、そこで反応する可能性があります。
カビ取りのおすすめ掃除法5選(落とし方・取り方)
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ゴムパッキンのカビの状態に合わせて、効果的な掃除方法を選びましょう。
掃除を始める前に、まずカビ取り剤が薄まらないよう、ゴムパッキン周辺の水分を乾いた布でしっかり拭き取っておくことが最大のポイントです。
【ごく初期のカビ】中性洗剤での拭き取り
発生したばかりの表面的なカビであれば、キッチンにある食器用の中性洗剤で落とせる場合があります。
- 使い古しの歯ブラシや布に、中性洗剤を少量つけます。
- カビの部分を優しくこすり、汚れを浮かせます。
- 固く絞ったぞうきん(水拭き用)で、洗剤分を何度も拭き取ります。
- 最後に乾いたぞうきんで水分を完全に取り除いて終了です。
【垂直面・頑固なカビ】ジェルタイプカビ取り剤
ゴムパッキンに最適なのが、垂れにくい高粘度のジェルタイプ塩素系カビ取り剤です。
- カビ以外のホコリや汚れをあらかじめ拭き取り、パッキンを乾燥させます。
- ゴム手袋、マスク、保護メガネを着用します。
- カビの部分を完全に覆うように、ジェルを隙間なく塗布します。
- 製品の指定時間(多くは30分~数時間)放置します。長時間放置しすぎるとパッキンを傷める可能性があるので注意します。
- 時間が来たら、ジェルをぞうきんやキッチンペーパーで大まかに拭き取ります。
- 水拭きと乾拭きを繰り返し、洗剤成分と水分が残らないよう仕上げます。
【広範囲のカビ】スプレータイプカビ取り剤(湿布法)
スプレータイプの塩素系カビ取り剤は、そのまま吹きかけると垂れてしまい、パッキンに留まりません。そこで「湿布法(パック法)」が有効です。
- カビの部分にキッチンペーパーを細長く当てます。
- ペーパーの上からカビ取り剤をスプレーし、薬剤をしっかり染み込ませます。
- 薬剤の蒸発と乾燥を防ぐため、さらに上からラップフィルムで覆い、密閉パックします。
- 製品の指定時間(15~30分程度)放置します。
- ラップとペーパーを慎重に外し、水拭きと乾拭きで仕上げます。
【安全志向】酸素系漂白剤でのペーストパック
塩素系の臭いが苦手な場合や、軽度のカビには酸素系漂白剤(粉末)を使います。ただし、黒カビの漂白効果は塩素系より劣る場合があります。
- 酸素系漂白剤(粉末)と少量のお湯(40~50℃が効果的)を混ぜて、垂れない程度のペースト状にします。
- カビの部分にペーストを塗り、乾燥しないようラップでパックして30分~1時間ほど放置します。
- 時間が来たらペーストを取り除き、水拭き・乾拭きします。
【仕上げ・予防】消毒用エタノール
カビ取り後や、目に見えるカビがない場合の「予防」として非常に有効です。
カビの菌はアルコールに弱いとされています。掃除の仕上げや、結露を拭き取った後に、消毒用エタノール(濃度70~80%)を布に含ませてゴムパッキンを拭いておくと、除菌とカビ予防の効果が期待できます。
濃度が高すぎるエタノール(無水エタノールなど)はすぐに蒸発してしまい、殺菌効果が落ちるため、70~80%の濃度が最適とされています。ただし、引火性があるため火の近くでは絶対に使用しないでください。
窓のゴムパッキンのカビは重曹で取れる?
「ナチュラルクリーニング」の代表格として人気の重曹ですが、残念ながらゴムパッキンに根を張った黒カビを落とす力はほとんどありません。
重曹(炭酸水素ナトリウム)は弱アルカリ性で、油汚れや皮脂汚れを中和して落とす効果や、クレンザーのような研磨効果はあります。しかし、カビの菌糸を殺すほどの殺菌力や、黒カビの色素を分解する漂白力は持っていないためです。
クエン酸(酸性)と混ぜて発泡させる方法もありますが、これは主に中和反応による泡の物理的な作用で汚れを浮かせるものであり、カビの菌糸まで除去するのは困難です。
泡の力で表面の汚れが落ち、一時的にキレイになったように見えることもありますが、カビの根は残っています。
発生して間もないごく初期の表面的なカビや、カビの栄養源となる皮脂汚れの予防的な掃除には使えますが、すでに黒くなってしまった頑固なカビには、塩素系カビ取り剤など専用の薬剤を使用するのが最も確実な方法です。
片栗粉・ハイター・カビキラーの活用法
ご家庭にあるアイテムを組み合わせて、カビ取り剤の密着度を高める「裏ワザ」があります。
これが「片栗粉」を活用したペースト法です。
スプレータイプの「カビキラー」や液体の「ハイター」(どちらも塩素系漂白剤)は、そのままではゴムパッキンに塗ってもすぐに垂れてしまいます。そこで片栗粉を混ぜて粘度をつけ、即席の「カビ取りジェル」を作ります。
【DIY】片栗粉カビ取りペーストの作り方
- 換気を最大にし、保護具(ゴム手袋・マスク・メガネ)を装着します。
- 耐熱性のある小さな容器(ガラスや陶器など)に、片栗粉と塩素系漂白剤(ハイターやカビキラー)を「1:1」程度の割合で入れます。(例:片栗粉大さじ1、漂白剤大さじ1)
- すぐに割り箸などで素早く混ぜ合わせ、ダマのないペースト状(マヨネーズ程度の硬さ)にします。
- ゴム手袋を着用した手やハケ、割り箸などを使って、カビの部分にペーストを厚めに塗ります。
- ペーストが乾燥しないよう、上からラップで覆い、30分~1時間程度放置します。
- 時間が来たら、ペーストをキッチンペーパーなどで丁寧に取り除きます。
- 最後に、水拭きと乾拭きを繰り返し、洗剤成分と水分が残らないようしっかり仕上げます。
注意:この作業も塩素系漂白剤を扱うため、換気と保護具の着用は必須です。
また、混ぜる際に有毒ガスが発生しないよう、漂白剤に他の洗剤(特に酸性タイプ)が絶対に混入しないよう細心の注意を払ってください。これはメーカー推奨の使用法ではありません。
100均アイテムとカビ取り最強アイテムはどれ?
カビ取りは専用のアイテムが効果的ですが、100円ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)のアイテムも掃除の補助や予防に大いに役立ちます。
100均で揃うカビ取り補助・予防アイテム
- カビ取りジェル: 最近ではダイソーなどで、浴室用やパッキン用として、少量ながらジェルタイプのカビ取り剤が販売されていることがあります。ピンポイントで試したい場合に便利です。
- 掃除用ブラシ・歯ブラシ・隙間ブラシ: サッシのレールやパッキンの溝など、細かい部分のホコリ除去やこすり洗いに必須です。
- キッチンペーパー、ラップ: 前述の「湿布法」や「片栗粉ペースト法」で活躍します。
- ゴム手袋、スプレーボトル: 掃除の必需品も安価に揃えられます。
- マスキングテープ:掃除後、カビ予防として非常に有効なアイテムです。パッキンとサッシの境目や、サッシの溝など、ホコリや水分が溜まりやすい部分にあらかじめ貼っておきます。汚れたらテープを貼り替えるだけで掃除が完了するため、カビの栄養源を断つことができます。「防カビ剤入り」のマスキングテープも市販されています。
カビ取り最強アイテムは?
「最強」の定義は難しいですが、一般的にゴムパッキンの頑固な黒カビに対して最も効果が高いとされるのは、粘度の高い「ジェルタイプ」の塩素系カビ取り剤です。
最強と呼ばれる理由は、以下の3点です。
- 密着性: 粘度が高いため、垂直なゴムパッキンにも垂れずにしっかりと留まります。
- 浸透性: 薬剤がその場に留まり続けるため、カビの根が張るパッキンの奥まで成分が浸透しやすくなります。
- 持続性: スプレータイプのようにすぐに乾燥せず、長時間にわたってカビに作用し続けます。
市販されている製品では、「カビトルデスPRO」や「強力カビハイター(ジェルタイプ)」、「カビキラーPRO 最強ジェル」などが、カビへの密着性と強力な漂白力で高い評価を得ている情報があります。これらは諦めていた頑固なカビにも効果が期待できます。
どの製品を選ぶにしても、ゴムパッキンやサッシの素材(特にアルミや木材)を傷める可能性がないか、必ず目立たない場所で試してから本使用することをおすすめします。使用時間も守りましょう。
窓のゴムパッキンのカビが取れない場合の対処法
強力なジェルタイプの塩素系カビ取り剤を使用し、適切な時間放置しても黒いシミが取れない場合、考えられる原因は主に2つあります。
1つ目の原因は、カビによる「色素沈着」です。
これは、カビ取り剤によってカビの菌自体は死滅しているものの、カビが長期間にわたって作り出した色素が、ゴムパッキンの素材自体を染めてしまっている状態です。洋服に付いたインクのシミが落ちないのと同じで、素材が変質してしまっているため、これ以上漂白剤を使っても色は完全に戻らないことがあります。この場合、菌は死滅しているため、衛生上の問題や健康リスクは軽減されていますが、見た目が気になる場合は交換しかありません。
2つ目の原因は、カビの根が素材の奥深くまで侵食しているケースです。
表面の菌は死んでも、ゴムパッキンの内部や、パッキンとサッシの隙間の奥深くに菌糸が残っていると、そこから再びカビが発生します。これは掃除では限界があります。
いずれの場合も、掃除でこれ以上の改善が見込めない場合は、ゴムパッキン自体の交換を検討する必要があります。
窓のゴムパッキン交換の価格や費用相場
ゴムパッキン(専門用語でグレージングチャンネル、通称グレチャン)の交換は、DIYで行う方法と専門業者に依頼する方法があります。
DIYで交換する場合
交換用のゴムパッキンは、ホームセンターやインターネット通販で「グレチャン」として購入可能です。ガラスの厚みやサッシの溝の幅に合う正しいサイズ(種類が非常に多い)を選ぶ必要があります。
費用は材料費(1mあたり数百円程度)と専用工具代(数千円)で済みますが、作業には窓ガラスを一度サッシから取り外す必要があり、非常に難易度が高いです。
ガラスは予想以上に重く、作業中に割ってしまうリスクが常につきまといます。また、正しく取り付けないと気密性や水密性が損なわれ、かえって結露や隙間風を悪化させる危険があるため、自信がない場合はおすすめできません。
専門業者に依頼する場合
ガラス修理業者やサッシ専門業者、リフォーム会社に依頼するのが最も安全で確実です。専門の知識と技術で、適切なパッキンを選定し、確実に交換してもらえます。
費用相場は、窓のサイズや種類(引き違い窓、FIX窓など)、現場の状況によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
ゴムパッキン交換の費用相場(業者依頼)
| 窓の種類 | 費用目安(1箇所あたり) | 備考 |
|---|---|---|
| 小さな窓(浴室、トイレなど) | 8,000円 ~ 15,000円 | 作業スペースや窓の構造による |
| 一般的な掃き出し窓(腰高窓) | 10,000円 ~ 20,000円 | ガラスの脱着が必要な場合 |
| 特殊な窓(内倒し窓、天窓など) | 12,000円 ~ 23,000円 | 作業難易度が高い場合 |
※上記はあくまで目安です。これに出張費や諸経費が別途5,000円~10,000円程度かかるのが一般的です。正確な費用は必ず複数の業者に見積もりを依頼してください。
カビが取れず、パッキンの劣化(硬化やひび割れ)も進んでいる場合は、掃除に時間と労力をかけるよりも、思い切ってプロに交換を依頼するのが最善の策と言えるでしょう。
窓のゴムパッキンのカビ発生を防ぐ方法・予防策3選
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一度カビをきれいにしても、カビの発生原因である「湿度」と「栄養」がある限り、必ず再発してしまいます。カビだらけの状態にしないために、日頃からの予防が最も重要です。ここでは特に効果的な3つの予防策を紹介します。
こまめな換気と除湿
カビの最大の原因である湿気対策です。室内に湿気を溜め込まないことが鉄則です。
1時間に5分~10分程度でもよいので、2箇所以上の窓を開けて空気の通り道を作ることが理想です。対角線上にある窓を開けると最も効率的に換気できます。特に冬場は室内外の温度差で結露しやすいため、寒くても意識的に換気を行いましょう。
(参考:国土交通省「シックハウス対策について知っておこう。」)
また、料理中や入浴後は特に湿度が高まるため、キッチンの換気扇や浴室の換気扇を長時間回す、サーキュレーターで室内の空気を循環させる、除湿機を活用するのも非常に効果的です。
結露の都度拭き取り
カビの「水分」と「栄養源(ホコリ)」を断つ、基本的な対症療法です。
結露は、見つけたらすぐに乾いた布や結露取りワイパー(スクイージー)で拭き取る習慣をつけましょう。
特に水分が溜まりやすいサッシのレールやゴムパッキンの溝は、吸水クロスやタオルなどで念入りに拭き取ります。拭き取り後に、前述の消毒用エタノールで仕上げ拭きをしておくと、除菌効果がプラスされ、カビ予防の効果が格段に高まります。
結露の根本対策(窓の断熱化)
上記2つが「対症療法」であるのに対し、これは「根本原因」を絶つ最も効果的な予防策です。
結露は「外気で冷やされた窓の表面」に「室内の暖かい空気が触れる」ことで発生します。つまり、窓の表面温度が外気の影響で下がらなければ、結露は発生しにくくなります。そのために行うのが「窓の断熱化」リフォームです。
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具体的には、今ある窓の内側にもう一つ窓を設置する「内窓(二重窓)」の設置や、ガラスだけを断熱性の高い「複層ガラス(ペアガラス)」や「真空ガラス」に交換する方法があります。
初期費用はかかりますが、カビ予防だけでなく、冬の寒さ対策(断熱)、夏の暑さ対策(遮熱)、光熱費の削減、防音対策にも大きな効果が期待できるため、長期的に見れば非常にメリットの大きい投資と言えます。
窓のゴムパッキンがカビだらけなのを防ぐ対策まとめ
窓のゴムパッキンがカビだらけになるのを防ぎ、快適で健康的な住環境を保つための要点を、リストでまとめます。
- カビの主な原因は結露による「湿度」とホコリなどの「栄養」
- カビを放置するとアレルギーなどの健康被害や家の劣化につながる
- 劣化したゴムパッキンはひび割れにカビが根を張りやすくなる
- カビ取り剤は「塩素系」と「酸素系」があるが、黒カビには塩素系が有効
- 塩素系は強力だが「まぜるな危険」を厳守し、換気と保護具を徹底する
- ゴムパッキンには垂れにくい「ジェルタイプ」のカビ取り剤が最適
- スプレータイプはキッチンペーパーとラップで「湿布法」を行う
- 重曹に頑固な黒カビを除去する殺菌力・漂白力は期待できない
- 片栗粉とハイターで自作ジェルも可能だが、取り扱いには細心の注意が必要
- 100均のマスキングテープを使った「予防掃除」が効果的
- 市販の最強アイテムは、カビに密着・浸透する高粘度の塩素系ジェルタイプ
- 掃除してもカビが取れない場合は、菌は死んでも色が残る「色素沈着」が原因
- 色素沈着やパッキンの劣化がひどい場合の最終手段はゴムパッキンの交換
- パッキン交換のDIYはガラス破損リスクがあり非常に高難易度
- 業者依頼の費用は1箇所1万円~2万円程度が目安だが、見積もり必須
- 最大の予防策は「こまめな換気」と「結露の都度拭き取り」
- カビの根本対策は「内窓」や「複層ガラス」への交換による窓の断熱化