窓のリフォームで人気のカバー工法ですが、「窓のカバー工法で後悔した」という声も耳にします。
費用を抑えつつ短期間で施工できるメリットがある一方で、知っておくべき注意点も少なくありません。例えば、窓を小さくするカバー工法の特性や、掃き出し窓のカバー工法で発生しうる段差、結露やカビのリスクなどが挙げられます。
また、内窓とカバー工法はどっちが良いのか、費用目安や値段相場などを比較し、LIXIL製品の価格も気になる点でしょう。カバー工法ができない窓の条件や、掃き出し窓のカバー工法にかかる費用も事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、窓のカバー工法にはどんなデメリットがあるのかを解説し、後悔や失敗しないための注意点3選や、窓のカバー工法で後悔しないためのコツと対策は5選として詳しくご紹介します。
さらに、先進的窓リノベ事業を活用できるリフォーム方法として、補助金や助成金の活用法にも触れ、よくある質問にもお答えします。内窓とカバー工法の比較や、カバー工法と内窓の費用についても解説するので、最適なリフォーム選びの参考にしてください。
目次
窓のカバー工法で後悔や失敗しないためにデメリットと注意点をチェック
- 窓のカバー工法にはどんなデメリットがありますか?
- 窓を小さくするカバー工法と掃き出し窓の段差
- 結露やカビとカバー工法ができない窓の条件
- 内窓とカバー工法どっちが良い?費用で比較
- 後悔や失敗しないための注意点3選
窓のカバー工法にはどんなデメリットがありますか?
カバー工法は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解しないまま進めると、後悔の原因になりかねません。
主なデメリットは以下の通りです。
- 既存の窓枠に新しい枠を被せるため、窓のガラス面積が小さくなる
- 掃き出し窓の場合、床面に段差が生じることがある
- 家の一部の窓だけをリフォームすると、他の窓で結露が悪化する可能性がある
- 窓の構造や状態によっては、カバー工法自体が施工できないケースがある
これらのデメリットは、事前の確認や対策によって影響を最小限に抑えることが可能です。リフォームを検討する際は、メリットだけでなく、これらの注意点もしっかりと把握し、ご自身の住まいに最適な方法かを見極めることが大切になります。
窓を小さくするカバー工法と掃き出し窓の段差
カバー工法で最もよく聞かれる後悔の一つが、窓が以前より小さくなる点です。この工法は、既存のサッシ枠の上に新しい枠を設置するため、どうしてもガラス部分の面積が狭くなります。製品によって差はありますが、一般的に上下に約7cm、左右に約5cmほど小さくなる傾向があります。特に採光を重視するリビングの窓や、もともと小さい窓の場合は、圧迫感を感じる可能性があるため注意が必要です。
また、人が出入りする掃き出し窓にカバー工法を適用すると、床との境目に数センチの段差が生じることがあります。このわずかな段差が、つまずきの原因になることも考えられ、特に小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では慎重な検討が求められます。
対策としては、リフォーム前に業者に依頼し、施工後の窓の大きさがどの程度になるか具体的な寸法で示してもらうことが有効です。掃き出し窓の段差については、段差を緩やかにするスロープ状の部材を追加で設置する方法もありますので、併せて相談してみると良いでしょう。
結露やカビとカバー工法ができない窓の条件
窓の断熱性を高める目的でカバー工法を選んだにもかかわらず、結露の問題に悩まされるケースがあります。これは、複数の窓がある部屋で、一部の窓だけを高性能なものに交換した場合に起こりがちです。リフォームしなかった断熱性の低い窓に室内の湿気が集中し、以前よりも結露やカビが悪化してしまうのです。結露対策を考えるのであれば、一部屋単位ですべての窓を同時にリフォームすることが理想的です。
また、カバー工法を希望しても、全ての窓で施工できるわけではありません。以下のようなケースでは、カバー工法の適用が難しい場合があります。
- 雨戸が窓サッシと一体になっている構造の窓
- 特殊な形状やデザインの窓
- 既存の窓枠の劣化や歪みが激しい場合
特にマンションの場合は、窓が「共用部分」と見なされ、管理規約によってリフォームが制限されていることもあります。工事を計画する前に、必ず管理組合に確認を取ることが不可欠です。
内窓とカバー工法どっちが良い?費用で比較
窓の断熱リフォームを検討する際、カバー工法とよく比較されるのが「内窓(二重窓)設置」です。どちらの方法にもメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは目的や予算によって異なります。
以下の表で両者の違いを比較してみましょう。
比較項目 | カバー工法 | 内窓設置 |
断熱性 | 高い | 非常に高い |
工期 | 短い(1箇所あたり半日~) | 非常に短い(1箇所あたり1時間~) |
費用 | やや高い | 比較的安い |
窓の開閉 | 1回 | 2回(手間が増える) |
掃除 | 1枚分 | 2枚分(手間が増える) |
窓の大きさ | 一回り小さくなる | 変わらない |
気密性 | 向上する | 向上する |
費用面では内窓設置の方が安価な傾向にありますが、窓の開閉や掃除の手間が2倍になるというデメリットがあります。一方、カバー工法は費用がやや高くなりますが、窓の使い勝手は変わりません。
断熱性を最優先し、コストを抑えたい場合は内窓設置が適しています。一方で、窓の開閉の手間を増やしたくない、サッシ自体の古さや歪みも解消したいという場合には、カバー工法が向いていると考えられます。
後悔や失敗しないための注意点3選
窓のカバー工法で後悔や失敗を避けるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に注意したい3つの点を紹介します。
1. 窓が小さくなることを具体的にイメージする
前述の通り、カバー工法では窓の開口部が必ず一回り小さくなります。この変化を「少しだけ」と軽視せず、リフォーム前に業者と打ち合わせを行い、実際の寸法でどのくらい小さくなるのかを確認しましょう。可能であれば、メジャーなどを使って自宅の窓でシミュレーションし、採光や部屋からの眺めにどの程度影響が出るかを具体的にイメージすることが後悔を防ぎます。
2. 部屋単位でのリフォームを検討する
断熱や結露防止を主な目的とする場合、家全体、あるいは少なくとも部屋単位ですべての窓を同時にリフォームすることが効果的です。一つの部屋で一つの窓だけを高性能にすると、熱の出入りが他の古い窓に集中してしまい、かえって結露を悪化させる原因になりかねません。予算の都合もあるかとは思いますが、費用対効果を最大化するためには、まとめて工事を行うことをお勧めします。
3. 複数の業者から見積もりを取る
リフォームの品質は業者によって大きく左右されます。一つの業者だけでなく、必ず複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。価格の安さだけで選ぶのではなく、見積もりの内訳が明確か、施工実績は豊富か、アフターサービスは充実しているかなどを総合的に判断することが、信頼できる業者選びの鍵となります。
窓のカバー工法で後悔しないための費用と対策
- lixil製品の価格など費用目安や値段相場
- 掃き出し窓のカバー工法費用について
- 先進的窓リノベ事業など補助金や助成金の活用
- 窓のカバー工法で後悔しないためのコツと対策5選
- カバー工法に関するよくある質問
LIXIL製品の価格など費用目安や値段相場
窓のカバー工法の費用は、窓のサイズや種類、選択するガラスの性能によって変動します。LIXILをはじめとする大手メーカーからも様々な製品が提供されていますが、まずは一般的な費用相場を把握することが大切です。
以下に、窓のサイズ別の費用目安をまとめました。
窓のサイズ | 費用目安(1箇所あたり) |
小窓 | 15万円 ~ 22万円程度 |
腰高窓 | 17万円 ~ 27万円程度 |
掃き出し窓 | 34万円 ~ 41万円程度 |
この価格には、製品代と工事費が含まれています。ただし、これはあくまで目安であり、選ぶサッシの材質(アルミ樹脂複合や樹脂など)やガラスの種類(複層ガラス、Low-E複層ガラスなど)によって価格は大きく変わってきます。
例えば、国内で高いシェアを誇るLIXILの「リプラス」のような製品を選ぶ場合でも、グレードによって価格帯は様々です。正確な費用を知るためには、必ずリフォーム業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを取るようにしましょう。その際、複数の業者から見積もりを取り、価格と提案内容を比較検討することが賢明です。
掃き出し窓のカバー工法費用について
前述の通り、掃き出し窓はサイズが大きいため、リフォーム費用も他の窓に比べて高額になる傾向があります。一般的な掃き出し窓(幅1.6m × 高さ1.8m程度)の場合、カバー工法の費用相場は34万円~41万円程度が目安です。
この費用を左右する大きな要因は、サッシとガラスの性能です。断熱性を高めるために樹脂サッシや、遮熱・断熱効果の高いLow-E複層ガラスを選ぶと、費用は高くなります。しかし、冷暖房効率の向上による光熱費の削減や、後述する補助金の活用を考えれば、長期的な視点では高性能な製品を選ぶメリットは大きいと言えます。
また、掃き出し窓のリフォームでは、段差解消のための追加部材が必要になる場合もあります。見積もりを確認する際には、製品代や基本工事費だけでなく、そうした付帯工事の費用も含まれているかをしっかりと確認することが大切です。
先進的窓リノベ事業など補助金や助成金の活用
窓のカバー工法にかかる費用は決して安くありませんが、国や自治体が実施する補助金や助成金を活用することで、負担を大幅に軽減できる可能性があります。特に注目したいのが、経済産業省と環境省が連携して行う「先進的窓リノベ2025事業」です。
この事業は、住宅の断熱性能を向上させるためのリフォームを支援するもので、高い断熱性能を持つ窓への交換工事が補助の対象となります。カバー工法も対象工事に含まれており、製品の性能グレードに応じて補助金額が設定されています。
窓のグレード | 補助金額(上限) |
SS | 最大26.6万円/ヶ所 |
S | 最大18万円/ヶ所 |
A | 最大14.8万円/ヶ所 |
このように、性能の高い製品を選ぶほど、より多くの補助金を受け取ることができます。初期費用は高くなりますが、補助金を活用すれば、高性能な窓を実質的にお得に設置することが可能です。
ただし、補助金制度には予算の上限があり、申請手続きも必要です。利用を検討する場合は、制度に詳しいリフォーム業者に相談し、早めに計画を進めることをお勧めします。
窓のカバー工法で後悔しないためのコツと対策5選
これまで解説してきたデメリットや費用を踏まえ、窓のカバー工法で後悔しないための具体的なコツと対策を5つにまとめました。
- 窓の縮小サイズと段差を実物で確認する契約前に、リフォーム後の窓の有効開口寸法が何センチになるのか、掃き出し窓の段差は何ミリになるのかを必ず確認しましょう。可能であれば、ショールームで実物を見たり、業者にサンプルを見せてもらったりして、実際の変化を体感することが重要です。
- 目的を明確にし、最適なサッシ・ガラスを選ぶ「断熱」「結露防止」「防音」など、リフォームの目的をはっきりさせましょう。目的によって最適なサッシの材質(樹脂、アルミ樹脂複合)やガラスの種類(Low-E複層、防音合わせガラスなど)は異なります。業者に目的を伝え、最適な製品を提案してもらうことが成功の鍵です。
- 補助金制度に詳しい業者を選ぶ先進的窓リノベ事業などの補助金を活用できるかどうかで、最終的な自己負担額は大きく変わります。制度の利用を前提とするなら、補助金の申請実績が豊富で、手続きをスムーズにサポートしてくれる業者を選びましょう。
- 内窓設置など他の工法とも比較検討するカバー工法ありきで考えず、内窓設置やガラス交換といった他の選択肢とも、費用や性能、メリット・デメリットを比較しましょう。ご自身のライフスタイルや予算に最も合った方法を選ぶことが、満足度の高いリフォームにつながります。
- 保証やアフターサービスの内容を確認するリフォーム工事には、万が一の不具合が発生する可能性もゼロではありません。施工後の保証期間や、定期的な点検などのアフターサービスが充実しているかどうかも、業者選びの重要な判断基準となります。契約前に書面で内容を確認しておくと安心です。
カバー工法に関するよくある質問
ここでは、窓のカバー工法を検討している方から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。
Q. マンションでもカバー工法は可能ですか?
A. 技術的には可能ですが、多くのマンションでは窓サッシは「共用部分」と定められています。そのため、個人で勝手にリフォームすることはできず、必ず管理組合の許可が必要です。事前に管理規約を確認し、定められた手続きに従ってください。規約によっては、使用できる製品の色や種類に制限がある場合もあります。
Q. カバー工法で結露は完全になくなりますか?
A. 断熱性の高い樹脂サッシやLow-E複層ガラスを使用することで、窓ガラスやサッシ枠の結露は大幅に抑制できます。しかし、結露は室内の湿度や換気状況にも大きく影響されるため、リフォームだけで完全になくなるとは限りません。適度な換気を心がけるなど、住まい方と併せて対策することが効果的です。
Q. 工事中の騒音や生活への影響はありますか?
A. カバー工法は、壁を壊す「はつり工法」に比べて騒音や粉塵の発生が非常に少ないのが特徴です。工事は基本的に室内側から行われ、1箇所あたり3時間から半日程度で完了します。そのため、住みながらのリフォームが可能で、日常生活への影響は最小限に抑えられます。
まとめ:窓のカバー工法で後悔を避けるために
- カバー工法は既存の窓枠に新しい枠を被せるリフォーム方法
- 窓のガラス面積が上下左右で数センチ小さくなる点に注意
- 掃き出し窓では床面に数センチの段差ができる可能性がある
- 一部の窓だけをリフォームすると他の窓の結露が悪化することがある
- 雨戸一体型サッシやマンションでは施工に制限がある場合も
- 費用は内窓設置より高く、はつり工法よりは安い傾向にある
- 内窓は開閉の手間が増えるが、断熱性は非常に高い
- 費用相場は小窓で15万円前後から、掃き出し窓で34万円前後から
- LIXILなどのメーカー品でもグレードにより価格は変動する
- 「先進的窓リノベ事業」などの補助金活用で費用負担を軽減できる
- 補助金を利用するには性能など一定の要件を満たす必要がある
- 後悔しないためには複数の業者から相見積もりを取ることが大切
- リフォームの目的を明確にし、最適なサッシやガラスを選ぶ
- 契約前に保証やアフターサービスの内容を確認する