マンションでの快適な暮らしを求め、断熱性や防音性を高める二重窓リフォームを検討しているものの、「マンションで二重窓を設置して後悔しないか」と不安に感じていませんか。
確かに、費用をかけて設置したにもかかわらず、期待した効果が得られないケースは存在します。
二重窓にして後悔する理由とは、一体何なのでしょうか。その原因は、サッシの選び方や防音性能の期待値、一部屋だけの設置など、よくある後悔例3選として挙げられるポイントに隠されています。また、マンション特有の問題として、管理組合への確認や二重窓の設置許可も無視できません。
しかし、適切な知識を持てば、これらの問題はクリアできます。この記事では、二重窓の設置で後悔しないためのポイントを徹底解説。さらに、国や東京都のマンションで利用できる二重窓の補助金を活用する方法や、実際に二重窓のリフォームをしてよかったこと4選といった成功事例も紹介し、あなたの疑問や不安を解消します。
目次
マンションで二重窓にして後悔する主な理由
- 二重窓(内窓)にして後悔する理由とは?
- よくある後悔例3選
- 費用面で後悔するケース
- サッシ選びと防音効果の後悔
- 二重窓リフォームの失敗パターン
二重窓(内窓)にして後悔する理由とは?
二重窓(内窓)の設置で後悔する理由は、大きく分けて「効果」「手間」「見た目」の3つの要素に集約されます。
まず「効果」に関する後悔です。これは、せっかく費用をかけたにもかかわらず、期待していた断熱性や防音性が感じられないというケースです。原因としては、家全体の窓の一部にしか設置しなかったために他の窓から熱や音が侵入してしまう、あるいは費用を抑えるために性能の低い単板ガラスを選んでしまった、といった点が挙げられます。窓以外の壁や床の断熱性が低い場合も、効果を実感しにくい原因となり得ます。
次に「手間」に関する後悔です。窓が二重になるため、換気やベランダへの出入りの際に毎回2つの窓を開閉する必要があり、これを面倒に感じる方は少なくありません。また、既存の窓と内窓の間にホコリが溜まりやすく、掃除の手間が増えるというデメリットもあります。
最後に「見た目」に関する後悔です。内窓は既存の窓枠の内側に取り付けるため、その分だけ室内側に窓が出っ張ることになります。これにより、部屋が少し狭くなったように感じたり、圧迫感を覚えたりすることがあります。特に、取り付けスペースが不足している場合に「ふかし枠」という部材を追加すると、出っ張りが大きくなり、見た目の変化に不満を感じる方もいるようです。
よくある後悔例3選
二重窓のリフォームで特に耳にすることが多い、典型的な後悔の例を3つご紹介します。
一部の窓にしか設置しなかった
リビングの大きな掃き出し窓だけなど、特に気になる箇所にのみ二重窓を設置するケースは少なくありません。しかし、熱や音は窓がある場所すべてから出入りします。対策をしていない他の窓からは、これまで通り夏の熱気や冬の冷気が侵入し、騒音も聞こえてきます。結果として、設置した窓の効果が他の窓によって相殺され、「思ったほど快適にならなかった」と効果の半減を招き、後悔につながりやすい典型的なパターンです。
窓の開け閉めや掃除が面倒になった
二重窓は、その構造上、必ず2回の開閉動作が必要になります。特に洗濯物を干すために頻繁に出入りするベランダの窓などでは、この一手間が日々のストレスに感じられることがあります。また、既存窓と内窓の間の空間はホコリが溜まりやすい一方、手が届きにくく掃除がしにくいという声も多く聞かれます。この日々の「手間」の増加が、満足度を下げてしまう一因です。
DIYで設置して失敗した
リフォーム費用を節約しようとDIYで二重窓を取り付ける方もいますが、これは後悔につながるリスクが非常に高い選択です。窓枠は経年劣化でわずかに歪んでいることが多く、専門家でなければ正確な採寸や設置は困難です。わずかな隙間ができてしまうと、そこからすきま風や音漏れが発生し、二重窓が本来持つ断熱・防音性能を全く発揮できません。結局、専門業者にやり直しを依頼することになり、かえって費用と手間がかかる結果になりがちです。
費用面で後悔するケース
二重窓のリフォームにおける費用面での後悔は、主に二つのパターンに分けられます。
一つ目は、「安さだけを追求して失敗した」というケースです。初期費用を抑えるため、最も安価な「単板ガラス」の内窓を選んでしまうと、期待していたほどの断熱効果が得られないことがあります。複層ガラスや高断熱なLow-E複層ガラスに比べて性能が劣るため、「お金をかけたのに部屋が暖かくならない」と感じ、性能面で後悔することになります。これでは、本来の目的である光熱費の削減にもつながりにくく、長期的に見ると賢明な選択とは言えないかもしれません。
二つ目は、「リフォーム費用が想定より高額になった」というケースです。特に、複数の窓を一度にリフォームする場合、1箇所あたりの費用は数万円から十数万円でも、合計すると大きな金額になります。事前の見積もりが甘かったり、補助金制度の利用を想定していなかったりすると、「思ったよりずっと高くついた」という資金計画の後悔につながります。リフォームで後悔しないためには、製品の性能と価格のバランスをしっかり見極め、補助金の活用も視野に入れた上で、信頼できる業者から正確な見積もりを取ることが不可欠です。
サッシ選びと防音効果の後悔
二重窓の性能を大きく左右するのが「サッシ(窓枠)」と「ガラス」の組み合わせです。ここの選択を誤ると、特に防音効果において後悔する可能性があります。
防音性能を高めるためには、気密性が大切です。サッシの素材にはアルミや樹脂などがありますが、最も気密性が高く、防音性に優れているのは「樹脂製」のサッシです。アルミ製サッシは比較的安価ですが、樹脂製に比べて隙間ができやすく、音を通しやすい性質があります。サッシの素材まで考慮せずに選んでしまうと、「二重窓にしたのに、外の音がまだ気になる」という結果になりかねません。
また、ガラスの種類も防音効果に直結します。一般的な複層ガラスは断熱性能は高いものの、防音性能は単板ガラスと大差ない場合があります。これは「共鳴現象」と呼ばれ、2枚のガラスが特定の周波数の音に共振して、かえって音を増幅させてしまうことがあるためです。高い防音効果を求めるのであれば、2枚のガラスの厚みが異なる複層ガラスや、特殊な中間膜を挟んだ「防音合わせガラス」を選ぶ必要があります。
断熱目的で設置したものの、防音効果も期待していたのに実感できなかった、という声は少なくありません。どのような目的を最優先するのかを明確にし、それに適したサッシとガラスの組み合わせを選ぶことが、後悔を避けるための鍵となります。
二重窓リフォームの失敗パターン
二重窓リフォームで陥りがちな失敗は、単に製品選びだけでなく、マンションという住環境の特性を見落とすことからも生じます。
典型的な失敗パターンとして、「窓以外の断熱性能が原因で効果を感じられない」というものがあります。例えば、窓は最新の二重窓にしたものの、壁や床、天井の断熱材が不十分な古いマンションの場合、窓以外から熱が出入りし続けるため、期待したほどの効果が得られません。「足元の冷えが解消されない」「夏場の2階が依然として暑い」といった不満は、これが原因である可能性があります。
また、「圧迫感や見た目の変化」も失敗と感じやすいポイントです。内窓は室内側に設置するため、窓枠の分だけ数センチ出っ張ります。これにより部屋が狭く感じられたり、既存のインテリアと色合いが合わずに窓だけが浮いて見えたりすることがあります。特に、窓際に小物を飾っていた場合、そのスペースがなくなることへの不満も聞かれます。
さらに、マンションならではの失敗として、「管理組合とのトラブル」が挙げられます。共用部である窓サッシの工事には、管理規約による制限があるのが一般的です。事前の確認や許可申請を怠ったために、工事の中止や原状回復を求められるという最悪のケースも考えられます。これらの失敗を避けるためには、建物の構造や規約を理解し、総合的な視点でリフォーム計画を立てることが不可欠です。
マンションの二重窓で後悔しないための対策やポイント
- 二重窓の設置で後悔しないためのポイント
- 二重窓(内窓)のリフォームをしてよかったこと4選
- マンション管理組合への許可は必要か
- 活用できる二重窓の補助金
- 東京都マンションの二重窓補助金
二重窓の設置で後悔しないためのポイント
マンションで二重窓を設置して後悔しないためには、計画段階でいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
部屋単位ですべての窓を対策する
前述の通り、一部の窓だけを対策しても効果は半減します。断熱や防音の効果を最大限に引き出すためには、少なくともリビングや寝室など、「一つの空間にあるすべての窓」を同時にリフォームするのが大原則です。
目的と性能を明確にして製品を選ぶ
「断熱」「防音」「結露防止」など、何を一番改善したいのかを明確にしましょう。その目的に合わせて、ガラスの種類(複層ガラス、Low-E複層ガラス、防音合わせガラスなど)やサッシの素材(樹脂製がおすすめ)を選ぶことが大切です。価格だけで選ばず、性能とのバランスを考えることが失敗しないための鍵です。
専門業者に依頼する
DIYでの設置は、性能を十分に発揮できないリスクが非常に高いです。正確な採寸と確実な施工が二重窓の効果を決定づけるため、必ず実績豊富な専門業者に相談・依頼しましょう。複数の業者から見積もりを取り、提案内容や対応を比較検討することもおすすめします。
補助金制度を積極的に活用する
二重窓の設置は、国や自治体の補助金対象となる場合がほとんどです。費用負担を大幅に軽減できるため、利用できる制度がないか事前にしっかり調べましょう。補助金の申請は業者が代行してくれることも多いので、相談時に確認してみてください。
メリット・デメリットを理解する
断熱性向上や防音効果といった大きなメリットがある一方で、開閉や掃除の手間が増える、少し部屋が狭く感じるといったデメリットも存在します。これらを事前に理解し、ご自身のライフスタイルと照らし合わせて納得した上で設置を決定することが、長期的な満足につながります。
二重窓(内窓)のリフォームをしてよかったこと4選
後悔する例がある一方で、適切にリフォームを行えば、二重窓は生活の質を大きく向上させます。実際に設置した方々から多く聞かれる、満足度の高いポイントを4つ紹介します。
部屋の暑さ・寒さが劇的に改善された
最も多くの人が実感するのが、断熱性能の向上です。「冬の窓際から来る冷気がなくなり、暖房の効きが格段に良くなった」「夏は外の熱気が入ってこなくなり、冷房を少しつけるだけで涼しさが続く」といった声が多数寄せられます。これにより、一年を通して快適な室温を保ちやすくなります。
光熱費が安くなった
断熱性が高まることで、冷暖房の効率が飛躍的にアップします。その結果、エアコンの設定温度を緩やかにできたり、稼働時間を短くできたりするため、毎月の電気代を大幅に節約できたという喜びの声は非常に多いです。初期費用はかかりますが、長期的に見れば経済的なメリットは大きいと言えます。
外の騒音が気にならなくなり静かになった
気密性が高まることで、外の騒音の侵入を大幅にブロックできます。「交通量の多い道路沿いでも、車の音がほとんど気にならなくなった」「近隣の生活音が聞こえなくなり、夜ぐっすり眠れるようになった」など、静かな住環境が手に入ったことに満足する方は少なくありません。
結露がほとんど発生しなくなった
冬場の悩みの種である窓の結露も、二重窓の設置で大幅に軽減できます。外窓と内窓の間に空気層ができることで、室内側の窓が冷えにくくなるためです。「毎朝の窓拭きから解放された」「結露によるカビの心配がなくなり衛生的になった」など、日々の手間が減ったことを喜ぶ声も多く聞かれます。
マンション管理組合への許可は必要か
結論から言うと、マンションで二重窓(内窓)を設置する場合、多くの場合で管理組合への事前の確認や許可申請が必要です。
マンションの住戸は、個人の所有物である「専有部分」と、住民全員の共有財産である「共用部分」に分かれています。このうち、既存の窓ガラスやサッシは「共用部分」と見なされるのが一般的です。そのため、既存の窓自体を交換するようなリフォームは、原則として個人で勝手に行うことはできません。
しかし、二重窓(内窓)の設置は、既存の窓の内側、つまり「専有部分」に新たな窓を追加する工事です。このため、「専有部分のリフォームなので許可は不要」と考える方もいるかもしれません。
ところが、管理規約によっては、たとえ専有部分の工事であっても、建物の外観や構造に影響を与える可能性があるものとして、事前の届け出や申請を義務付けているケースが非常に多いのが実情です。また、工事の際には資材の搬入などで共用廊下を使用したり、騒音が発生したりするため、近隣住民への配慮の観点からも、管理組合への連絡は必須と考えるべきでしょう。
トラブルを避けるためにも、リフォームを計画する最初の段階で必ず「管理規約」を確認し、定められた手続きに従って管理組合に相談・申請を行うようにしてください。無断で工事を進めてしまうと、最悪の場合、原状回復を求められる可能性もあります。
活用できる二重窓の補助金
二重窓の設置リフォームは、省エネ効果が高いことから、国が主導する複数の補助金制度の対象となっています。費用負担を大きく軽減できるため、活用しない手はありません。2024年度から2025年度にかけて利用できる主な国の制度には、以下のようなものがあります。
補助金制度の名称 | 概要と特徴 |
先進的窓リノベ2024事業 | 断熱性能の高い窓へのリフォームに特化した、補助額が非常に大きい制度。性能の高い製品ほど補助額も高くなり、工事費用の半額相当が補助されることもあります。一戸あたりの上限は200万円です。 |
子育てエコホーム支援事業 | 子育て世帯・若者夫婦世帯を主な対象としつつ、その他の世帯も利用可能な制度。窓の断熱改修のほか、エコ住宅設備の設置など幅広いリフォームが対象です。窓の改修に対する補助額は先進的窓リノベ事業より低いですが、他の工事と組み合わせられるのがメリットです。 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 住宅の寿命を延ばすための性能向上リフォームを支援する制度。耐震改修や劣化対策などと併せて行う省エネ改修(窓の断熱化を含む)が対象となります。 |
これらの制度は、原則として併用はできませんが、「先進的窓リノベ事業」と「子育てエコホーム支援事業」は、対象となる工事箇所が重複しなければ、同一の住宅で同時に申請することが可能です。
注意点として、補助金の申請は個人で行うのではなく、登録されたリフォーム業者が手続きを代行する仕組みとなっています。また、予算がなくなり次第終了となるため、リフォームを検討している場合は早めに業者へ相談することが大切です。
東京都マンションの二重窓補助金
国の制度に加えて、東京都にお住まいの方は、都独自の補助金制度を併用できる可能性があります。代表的なのが「既存住宅における省エネ改修促進事業」です。
この制度は、都内の既存住宅において、省エネ効果の高い断熱改修を行う場合に、その費用の一部を補助するものです。高断熱窓(二重窓の設置や外窓交換)のリフォームが主な対象となっており、大きな特徴は補助率と上限額です。
制度のポイント
- 補助対象経費: 補助対象となる工事費用の3分の1以内
- 補助上限額: 高断熱窓への改修で最大100万円/戸
- 対象者: 都内に住宅を所有する個人、法人、管理組合(マンションも対象)
- 主な条件: 1つ以上の居室において、すべての窓を高断熱な仕様に改修すること
この制度の大きなメリットは、国の補助金と財源が異なるため、併用が可能である点です。例えば、国の「先進的窓リノベ事業」と東京都のこの制度を組み合わせることで、リフォーム費用の大半を補助金で賄えるケースも出てきます。
ただし、申請には「工事の契約前に事前申請を行う」必要があるなど、手続きの順序が定められています。また、年度ごとに予算や要件が変更される可能性があるため、利用を検討する際は、必ず最新の情報を東京都の公式ホームページや、制度に詳しいリフォーム業者に確認することが不可欠です。
総括:マンションの二重窓で後悔しないために
この記事で解説した、マンションの二重窓リフォームで後悔しないための重要なポイントを最後にまとめます。
- 後悔の主な原因は「効果」「手間」「見た目」の3要素
- 断熱・防音効果を最大化するには部屋単位ですべての窓を対策する
- 費用だけで選ばず目的に合った性能のガラスとサッシを選ぶ
- ガラスは複層ガラス以上、サッシは気密性の高い樹脂製が推奨される
- DIYでの設置は失敗のリスクが高いため専門業者に依頼する
- 開閉や掃除の手間が増えるデメリットも理解しておく
- マンションでは管理規約の確認と管理組合への事前申請が必須
- 窓は共用部分とみなされるため無許可の工事は厳禁
- 国の「先進的窓リノベ事業」などは補助額が大きく活用すべき
- 東京都独自の補助金もあり、国の制度との併用も可能
- 補助金の申請は登録事業者が行うため、対応可能な業者を選ぶ
- 複数の業者から見積もりを取り、提案内容と費用を比較検討する
- 正しく設置すれば断熱性、防音性、結露防止に絶大な効果を発揮する
- 光熱費の削減にもつながり長期的に経済的メリットがある
- 最終的にはメリットとデメリットを総合的に判断し、納得して決めることが大切