こんにちは、e-MADOリフォーム代表の鈴木 優樹です。普段は窓断熱の専門家として、数多くの現場で省エネ・断熱リフォームの提案や施工を行っています。現場のプロだから分かる、損しないためのポイントをお伝えします。
冬の窓際が寒かったり、朝起きた時のひどい結露に悩まされたりすると、真っ先に思い浮かぶのが二重窓(内窓)の設置ですよね。ただ、いざ始めようとすると、マンションにお住まいの方は二重窓のマンション設置に許可が必要なのかという壁にぶつかります。
勝手に工事をして管理組合とトラブルになるのは怖いですし、何より手続きが面倒そうで二の足を踏んでしまう方も多いはずです。しかし、正しい手順さえ踏めば、マンションの断熱リフォームは決して難しいものではありません。
この記事では、管理規約の読み解き方から、2026年の最新補助金を活用したお得な進め方まで、私が現場で培ったノウハウを余すことなくお伝えします。マンション特有のルールを正しく理解して、後悔のない住まいづくりを始めましょう。
二重窓のマンション設置に許可が必要な理由と法的背景
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- 管理規約が定める窓の共用部分と専用使用権の仕組み
- 標準管理規約第22条に基づく窓リフォームの判断基準
- 内窓設置が管理組合から承認を得やすい物理的な理由
- 窓の断熱化による結露抑制がもたらす健康へのメリット
- 都市部の騒音問題を解消する二重窓の遮音効果と仕組み
管理規約が定める窓の共用部分と専用使用権の仕組み
マンションという建物は、大きく分けて「専有部分」と「共用部分」の2つに分類されます。専有部分は、壁の内側にある居住スペースのことで、所有者が自由に内装を変えられる場所です。
一方で、共用部分はエントランスや廊下、エレベーターなど、住民全員で共有する場所を指します。では、窓はどうでしょうか。実は、マンションの窓ガラスやサッシは原則として「共用部分」として扱われます。これは、窓が建物の外観デザイン(意匠)に大きな影響を与えるだけでなく、火災時の延焼防止機能や、強風に耐える構造強度など、建物全体の安全性に関わる重要なパーツだからです。
ただし、エントランスなどと違うのは、特定の住人だけが日常的に使う場所であるという点です。
これを法律や規約では「専用使用権が付与された共用部分」と呼びます。バルコニーと同じく、使う権利はあるものの、勝手に形を変えたり捨てたりすることはできないという特殊な立ち位置にあります。
したがって、窓を新しくしたり、二重窓を付けたりする行為は、厳密には「共用部分への工作物の設置」や「軽微な変更」に該当するため、所有者が独断で進めることは許されないのです。まずは、お住まいのマンションがどのようなルールを定めているか、管理規約の冊子を開いて確認することから始めましょう。
区分所有法と管理規約の関係性
マンション運営の根本となる「区分所有法」に基づき、各マンションでは独自の「管理規約」が作成されています。
多くの場合は国土交通省が作成した標準モデルをベースにしていますが、物件によっては「内窓設置は事前届出のみでOK」としているケースもあれば、「理事会の決議が必要」と厳しく定めている場合もあります。この違いが、後の手続きの煩雑さを左右することになります。
標準管理規約第22条に基づく窓リフォームの判断基準
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日本の多くの分譲マンションが指針としている「マンション標準管理規約」には、第22条(窓ガラス等の改良)という項目が存在します。ここには、窓のリフォームにおける責任の所在と、個人で行う場合のルールが明確に記されています。
具体的には、窓の断熱性能や防音性能を高めるための改良工事は、本来であれば管理組合が計画的に(修繕積立金を使って)全戸一括で行うべきものとされています。しかし、マンション全体でのサッシ交換は数千万から数億円という膨大な費用がかかるため、実施まで何十年も待たされるのが一般的です。
そこで第22条の第2項では、「管理組合による工事が当面見込めない場合、区分所有者は理事会の承認を得て、自費で窓の改良ができる」という救済措置を設けています。これが、私たちがマンションで二重窓を設置する際の最大の根拠となります。ここで重要なのは、あくまで「承認(許可)」を得ることが条件であるという点です。無断で工事を強行することは、規約違反として資産価値を損なう行為とみなされる恐れがあります。
承認を得るためには、設置する内窓が建物の安全性を損なわないことや、外観を大きく変えないこと、そして工事中の騒音対策がなされていることなどを証明する必要があります。申請には製品のカタログや図面、工程表などが必要になるため、私たち施工業者と連携して書類を整えるのがスムーズな進め方です。
(出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)
内窓設置が管理組合から承認を得やすい物理的な理由
二重窓(内窓)の設置は、他の窓リフォーム手法(例えばサッシ自体の交換やカバー工法)と比較して、格段に管理組合の承認が得やすいという特徴があります。
その最大の理由は、「既存の共用部分(外窓)には一切手を加えない」という施工方法にあります。内窓は、今ある窓の内側の木枠部分(額縁)に、新しい樹脂製の枠とガラスを取り付けるものです。外から見ても既存の窓がそのまま残っているため、建物の美観を損なう心配がほとんどありません。
また、建物の構造体であるコンクリート部分(躯体)に穴を開けることもありません。枠を固定するビスは、あくまで室内の木枠に向かって打つため、建物へのダメージが極めて少ないのです。
理事会が最も懸念するのは「建物の強度が落ちないか」「外観がバラバラにならないか」「雨漏りの原因にならないか」という点ですが、内窓であればこれらの懸念をすべてクリアできます。
私たちが過去に担当した多くの現場でも、「内窓ならどうぞ」と二つ返事で許可が出るケースがほとんどでした。工事自体も1窓あたり1時間程度、家全体でも1日で完了するため、近隣住民への音の迷惑も最小限で済みます。こうした物理的な手軽さと安全性が、マンションリフォームにおいて二重窓が第一選択肢となっている理由なのです。
内窓が許可されやすい3つのポイント
- 既存の窓を撤去せず、そのままで施工ができる
- 外壁やコンクリート躯体に傷をつけない
- 工事時間が短く、近隣への騒音被害が非常に少ない
窓の断熱化による結露抑制がもたらす健康へのメリット
マンションにお住まいの方を悩ませる最大の敵は、冬場の「窓の結露」ではないでしょうか。毎朝、びしょ濡れになった窓を拭き取る作業は、精神的にも肉体的にも大きな負担です。
しかし、本当に恐ろしいのは掃除の手間だけではありません。結露によって濡れたカーテンや窓枠に発生するカビや、それを餌にするダニは、アレルギー性鼻炎や小児喘息などの健康被害を引き起こす原因となります。二重窓を設置して断熱性能を高めることは、単に部屋を暖かくするだけでなく、家族の健康を守るための「予防医学」のような側面もあるのです。
二重窓を設置すると、外の冷たい空気と室内の暖かい空気の間に、熱を伝えにくい空気の層が作られます。これにより、室内側のガラス表面温度が下がりにくくなり、結露の発生を物理的に抑え込むことができるのです。
実際に施工したお客様からは、「冬場に加湿器を使っても結露しなくなった」「子供の咳が止まった」といった嬉しい報告を多数いただきます。また、窓際の冷え込み(コールドドラフト現象)がなくなることで、足元の冷えも改善されます。
健康で快適な生活を手に入れるための投資として、窓の断熱化は非常に費用対効果が高いと言えるでしょう。具体的な結露対策の仕組みについては、こちらの結露を防ぐための窓選びガイドも併せてご覧ください。最適なガラスの選び方をプロの視点で詳しく解説しています。
都市部の騒音問題を解消する二重窓の遮音効果と仕組み
「マンションの立地は良いけれど、外の騒音が気になってリラックスできない」という悩みも、二重窓が劇的に解決してくれます。特に幹線道路沿いや線路近くの物件、あるいは公園が近いマンションでは、外部からの騒音が大きなストレスになりますよね。窓は建物の中で最も壁が薄い部分であり、音が最も侵入しやすい場所です。二重窓を設置することで、既存の窓との間に密閉された空気層が生まれ、これがクッションのような役割を果たして音のエネルギーを減衰させます。
遮音性能をさらに高めるためのテクニックとして、私が現場でよく提案するのが「ガラスの厚さを変える」ことです。例えば、外側のガラスが3mmであれば、内側のガラスを5mmや6mm、あるいは遮音性に優れた合わせガラスにします。これには科学的な理由があります。
同じ厚さのガラス同士だと、特定の周波数の音が共鳴して通り抜けてしまう「コインシデンス効果」が発生しますが、厚さを変えることでその隙をなくすことができるのです。施工後は、「まるで図書館のような静けさになった」と驚かれる方も多く、夜の安眠やテレワークの集中力アップにも直結します。静かな住環境は、資産価値の一部と言っても過言ではありません。音に敏感な方は、ぜひこの遮音効果を視野に入れて製品を選んでみてください。
二重窓をマンションで許可を得てお得に設置する方法
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- 先進的窓リノベ2025事業の補助金を最大限活用する
- 設置費用の相場と光熱費削減による投資回収の目安
- 掃除の手間や室内への圧迫感などデメリットの解消法
- 賃貸物件やDIYで内窓を検討する際の法的リスク
- 消防法の代替進入口に関わる高層階ならではの注意点
先進的窓リノベ2025事業の補助金を最大限活用する
現在、国が強力に推進している「先進的窓リノベ2025事業」は、マンションの窓リフォームを検討中の方にとって最強の味方です。この事業は、既存住宅の断熱性能を向上させるために、高性能な断熱窓への改修に対して工事費の約半分(最大200万円)を補助してくれるものです。2024年度も大きな話題となりましたが、2025年度も引き続き実施が予定されており、制度の理解が節約の鍵を握ります。補助額は、設置する窓の面積と、ガラスの断熱性能(熱貫流率)のグレードによって細かく設定されています。
ここで重要なのは、「ただ安い製品を選ぶ」のが正解ではないという点です。補助金のグレードには、A・S・SS(P)といった区分があり、性能が高いSグレードやSSグレードを選ぶほど補助額が跳ね上がります。結果として、安い製品を選んで少ない補助金をもらうよりも、高性能なLow-E複層ガラスの製品を選んで多額の補助金をもらう方が、手出しの金額がほぼ変わらない、あるいは逆転することさえあります。
ただし、この補助金を受け取るには「補助金登録事業者」であるプロに依頼し、着工前の写真を正しく撮影するなど厳格なルールを守る必要があります。
私たちのような専門業者に早めに相談し、予算を最大限に引き出すシミュレーションを行うことが成功への近道です。制度の詳細は、こちらの先進的窓リノベ2025事業の完全攻略法で詳しくまとめています。
設置費用の相場と光熱費削減による投資回収の目安
二重窓の設置には、製品代と工事代、そして配送費などがかかります。マンションの一般的なサイズで言えば、掃き出し窓(ベランダへの出入り口)で1箇所あたり15万〜20万円、腰高窓で8万〜12万円程度がボリュームゾーンです。これに補助金を適用すると、実質的な負担額は大幅に軽減され、掃き出し窓1箇所につき8万〜10万円程度で済むケースも多く見られます。一見すると大きな出費に感じられますが、長い目で見るとこれは「貯金」に近い投資だと言えます。
窓の断熱性が上がれば、エアコンの効きが格段に良くなります。冬は暖房の熱が逃げず、夏は冷房の涼しさが維持されるため、年間で数万円の電気代削減が見込めるからです。昨今のエネルギー価格高騰を考えると、その削減効果はさらに大きくなっています。
概ね10年前後で工事費の元が取れる計算になりますし、その間の「快適さ」と「健康」はプライスレスです。また、中古マンションとして将来売却する際も、「二重窓設置済み」という項目は非常に強いアピールポイントになり、リセールバリュー(再販価値)の向上にも寄与します。
| 窓の種類 | サイズ(目安) | 施工費込定価(目安) | 2025補助金額(予想) | 実質負担額 |
|---|---|---|---|---|
| 掃き出し窓(大) | W1800×H2000 | 約180,000円 | 約76,000円 | 約104,000円 |
| 腰高窓(中) | W1600×H1200 | 約100,000円 | 約46,000円 | 約54,000円 |
| 小窓(小) | W800×H800 | 約60,000円 | 約29,000円 | 約31,000円 |
※上記の数値はあくまで一般的な目安であり、現場の状況や製品仕様によって変動します。正式な金額は必ず個別のお見積もりにてご確認ください。
掃除の手間や室内への圧迫感などデメリットの解消法
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二重窓を検討する際、メリットだけでなくデメリットもしっかり理解しておくことが、施工後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ秘訣です。最もよく聞かれるのは、「窓を開ける際の手間」と「掃除の面倒さ」です。窓が2枚になるということは、ベランダに出る際の手順が2倍になり、掃除すべきガラス面も4面、レールも2列になります。特に、頻繁に洗濯物を干しに出る窓では、この動作が毎日のストレスにならないか検討が必要です。
また、設置スペースの問題もあります。内窓の枠を設置するには、窓枠(額縁)に約7cmの奥行きが必要になります。
これが足りない場合は「ふかし枠」という部材を使って、窓枠を室内側に延長させる必要があります。これにより、室内側に窓が数センチ飛び出してくるため、お部屋に若干の圧迫感が出たり、カーテンレールを付け替えたりする必要が生じることがあります。
これらのデメリットを解消するには、例えば「よく使う窓には開閉しやすい大型把手(ハンドル)を付ける」「掃除がしやすいフラットなレール構造の製品を選ぶ」といった工夫が有効です。また、ふかし枠の色を壁紙の色に合わせることで、視覚的な圧迫感を抑えることもできます。プロの視点から言えば、デメリットを上回る快適性が確実に手に入りますが、事前のシミュレーションは丁寧に行うべきでしょう。
導入前にチェックすべきデメリット
- 開閉動作が2回になる(特に重いガラスを選ぶと負担増)
- ガラスの拭き掃除、レールのゴミ取り面積が増える
- 室内側に窓枠がせり出すことによる家具配置への影響
賃貸物件やDIYで内窓を検討する際の法的リスク
分譲ではなく賃貸マンションにお住まいの方、あるいは少しでも安く済ませようとDIYを検討している方には、注意すべきリスクがあります。
まず賃貸の場合、退去時の「原状回復義務」が最大のネックになります。勝手に木枠にネジを打って内窓を付けると、退去時に高額な補修費用を請求される可能性があるからです。最近では、突っ張り棒の仕組みや強力な両面テープで固定する「簡易内窓」も市販されていますが、これらは断熱・防音性能がプロの施工に比べて極めて限定的です。
もし本気で断熱したいなら、オーナーさんに「補助金を使って物件の価値を上げませんか?」と交渉するのも賢い手です。オーナー負担で工事ができれば、住人は快適に過ごせ、オーナーは将来の入居率アップに繋がるため、Win-Winの関係になれる可能性があります。
また、DIYについても慎重になるべきです。
二重窓の設置はミリ単位の採寸精度が求められ、既存の窓枠の歪みに合わせて微調整する「プロの技」が必要です。隙間がわずかでもあれば、そこから熱が逃げ、音も入り込んでくるため、せっかくの投資が無駄になりかねません。さらに、前述の通りDIYでの工事は「先進的窓リノベ事業」などの補助金対象外です。
プロに頼めば補助金で安くなり、かつ完璧な性能が保証されることを考えると、あえてDIYを選ぶメリットは非常に少ないと言えます。法的なリスクと性能の担保を天秤にかけて、最善の選択をしてください。
消防法の代替進入口に関わる高層階ならではの注意点
マンションならではの特殊な規制として、消防法や建築基準法に関わる「代替進入口」の問題があります。マンションの外壁を見上げると、時折ガラスに「赤い逆正三角形のシール」が貼られている窓があることに気づくはずです。
これは、火災などの緊急時に、消防隊が外から窓を割って室内に救助・消火に突入するための目印です。この窓に内窓を設置する場合、法的な制限がかかることがあります。具体的には、外部から進入する際に内窓が邪魔になり、救助活動を著しく困難にさせてはいけないという決まりです。
特に、内窓に「防犯合わせガラス」のような、ハンマーで叩いてもなかなか割れない頑丈なガラスを採用しようとする場合は注意が必要です。消防隊が入るべき窓に、破壊不可能な二重窓が立ちはだかっていると、万が一の際の命に関わります。
そのため、一部の自治体や管理組合では、赤いマークの窓への内窓設置を制限したり、特定の仕様(割れやすいガラスなど)を指定したりすることがあります。高層マンションや大規模マンションにお住まいの方は、理事会への申請時にこの点を確認されることが多いため、あらかじめ所轄の消防署への確認や、知識のある施工業者への相談を徹底してください。安全を確保した上でのリフォームこそが、本当の意味での安心に繋がります。
鈴木のプロ目線メモ:赤い三角マークへの対応
「赤いマークがあるから絶対にダメ」というわけではありません。ガラスの種類を工夫したり、消防署に事前相談をして「進入の妨げにならない」と判断されれば設置可能なケースも多いです。
無断で設置して、後から消防点検で指摘されるのが一番困ります。まずはプロに現地を見てもらい、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
二重窓をマンションで許可を得て快適に暮らす:まとめ
いかがでしたでしょうか。二重窓のマンション設置に許可が必要な理由から、2025年の補助金を活用した賢い設置方法まで、重要ポイントを網羅してお伝えしました。
マンションの窓が「共用部分」である以上、手続きは避けて通れません。しかし、それは決して「やってはいけない」ということではなく、ルールに従って正しく進めれば、確実に住まいのグレードを引き上げることができるということを知っておいてください。冬の寒さや結露の悩みは、我慢して解決するものではありません。二重窓という確かな対策を講じることで、健康で静か、そして家計にも優しい生活が手に入ります。
最後になりますが、リフォームを成功させる秘訣は、信頼できるパートナー(施工業者)を見つけることです。2025年の補助金制度は非常に魅力的ですが、予算がなくなり次第終了となる早い者勝ちの側面もあります。正確な最新情報は必ず自治体や管理組合の公式サイト、あるいは事務局のホームページで確認し、早めに動き出すことを強くおすすめします。最終的な判断は専門家に相談しながら、納得のいくリフォームを実現させてください。あなたのマンションライフが、より暖かく、穏やかなものになることを心から願っています!
もし製品選びや申請の手順で迷うことがあれば、いつでも「e-MADOリフォーム」の鈴木までご相談くださいね。
現場の知識をフル活用してお答えします。