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磨りガラスとは?型ガラスや曇りガラスとの違いや掃除方法と値段解説

2025年10月12日

磨りガラスとは何か、その特徴や種類について詳しく知りたいと思っていませんか。住宅やインテリアで使われるガラスには様々なものがあり、特にすりガラスと曇りガラスの違いや、見た目が似ている型ガラスとはどのような点が異なるのか、正確に理解するのは難しいかもしれません。

この記事では、磨りガラスの基本的な知識から、その歴史、そして曇りガラス(すりガラス)が持つメリットやデメリットについて詳しく解説します。さらに、日常のお手入れに欠かせない掃除の方法、磨りガラスが紫外線をどの程度カットするのか、また、すりガラスは割れやすいガラスですか?といった強度に関する疑問にもお答えします。

加えて、美しいすりガラス模様の種類や、その特性を活かせる適した場所や用途も紹介します。最終的には、磨りガラスの値段の目安や、手軽に雰囲気を変えられる磨りガラスシートやフィルムについても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

ポイント

  • 磨りガラスの基本的な特徴と他のガラスとの違い
  • 磨りガラスを使用する上でのメリットとデメリット
  • 正しいお手入れ方法や設置に適した場所
  • 費用やDIYに関する具体的な情報

磨りガラスとは?基礎知識と曇りガラス・型ガラスなど種類の違いを解説

このセクションでは、磨りガラスの基本的な定義から、混同されがちな他のガラスとの違い、歴史的背景や利点・欠点について掘り下げていきます。

  • 磨りガラスとはどんな特徴や種類があるか
  • すりガラスと曇りガラスの違いを解説
  • 比較されることが多い型ガラスとは
  • 日本家屋における磨りガラスの歴史
  • 曇りガラス(すりガラス)のメリット
  • 曇りガラス(すりガラス)のデメリット

磨りガラスとはどんな特徴や種類があるか

磨りガラス(すりガラス)とは、透明な板ガラスの片面に砂などの研磨剤を吹き付ける「サンドブラスト加工」を施し、表面に微細な凹凸を作ることで不透明にしたガラスのことです。

この凹凸が光を乱反射させるため、視線を遮るプライバシー保護の効果がありながら、光を柔らかく室内に取り込むことができます。障子紙のような優しい光の拡散が、その大きな特徴と言えるでしょう。

磨りガラスと似た外見を持つ不透明なガラスには、いくつかの種類が存在します。

フロストガラス

フロストガラスは、すりガラスと同様にサンドブラスト加工を施した後、フッ酸という薬品で表面を滑らかに処理したガラスです。すりガラスよりもきめ細やかで上品な質感があり、表面が滑らかなため汚れが付きにくく、手入れがしやすいという利点があります。

装飾合わせガラス

ガラスの間に和紙調のフィルムなどを挟み込んで作られるのが装飾合わせガラスです。デザイン性が非常に高いだけでなく、間にフィルムが挟まっているため、万が一割れた際に破片が飛び散りにくいという安全性も兼ね備えています。

これらのガラスは、いずれも「曇りガラス」と総称されることがありますが、それぞれ製造方法や特性が異なります。

すりガラスと曇りガラスの違いを解説

「すりガラス」と「曇りガラス」という言葉は、しばしば同じ意味で使われがちですが、厳密には少し意味合いが異なります。

結論から言うと、「曇りガラス」は不透明なガラス全般を指す総称です。一方で、「すりガラス」はサンドブラスト加工によって作られた特定の種類のガラスを指します。

もともと、すりガラスが不透明ガラスの代表格であった時代には、「曇りガラス」という言葉がすりガラスそのものを指して使われていました。しかし、時代と共にフロストガラスや型ガラスといった新しい種類の不透明ガラスが登場したため、現在ではこれら全てを含めて「曇りガラス」と呼ぶのが一般的になっています。

したがって、「すりガラスは曇りガラスの一種である」と理解すると分かりやすいでしょう。会話の中ではあまり区別されないことも多いですが、ガラスを注文したり仕様を正確に伝えたりする必要がある場面では、この違いを認識しておくことが大切です。

ガラスの種類 定義
すりガラス サンドブラスト加工で表面に凹凸をつけたガラス
曇りガラス すりガラス、型ガラス、フロストガラスなど、不透明なガラス全般の総称

比較されることが多い型ガラスとは

型ガラスとは、ガラスがまだ柔らかい状態で製造される過程において、模様が彫られたローラーを押し当てることで、片面に凹凸のある模様をつけたガラスです。

磨りガラスが加工によって後から表面を削るのに対し、型ガラスは製造時に模様が一体となって作られる点が根本的に異なります。片面は模様で凹凸がありますが、もう片面はつるつるとした平滑な面になっています。

最も大きな違いは、水に濡れた際の挙動です。磨りガラスは表面の凹凸に水が入ることで透明度が増してしまいますが、型ガラスは凹凸の形状が大きいため、水に濡れても透けて見えることはありません。このため、浴室やトイレ、キッチンの窓など、結露や水濡れが想定される場所には型ガラスが広く採用されています。

デザイン面では、ローラーの模様を変えることで様々な柄を生み出せますが、現在、日本の大手ガラスメーカーで製造されている型ガラスの模様は「霞(かすみ)」と呼ばれるタイプが主流です。

日本家屋における磨りガラスの歴史

磨りガラスが日本の家屋で広く使われるようになったのは、ガラスそのものの普及と深い関係があります。

日本で板ガラスが普及し始めたのは明治時代以降のことです。それまでの日本家屋では、室内に光を取り込むために障子が用いられてきました。障子はやわらかな光を室内に届けつつ、視線を適度に遮るという役割を担っていましたが、破れやすいという欠点もありました。

そこに登場したのが磨りガラスです。透明なガラスでは視線が気になり、従来の生活様式に馴染まなかったため、障子紙のような効果を持つ磨りガラスが代替品として急速に普及していきました。特に、大正から昭和初期にかけて、多くの住宅のガラス障子に磨りガラスが採用されるようになります。

このように、磨りガラスは日本の伝統的な建築文化と、近代的な素材であるガラスが出会う中で生まれた、日本人の感性に合った建材だったのです。

曇りガラス(すりガラス)のメリット

曇りガラス、特にすりガラスを使用することには、主に二つの大きなメリットがあります。

第一に、優れた目隠し効果です。ガラスの表面にある無数の微細な凹凸が光を複雑に反射させることで、向こう側をはっきりと見えなくします。これにより、外部からの視線を効果的に遮り、室内のプライバシーを確保することが可能です。道路に面した窓や、隣家との距離が近い場所、室内の間仕切りなどに適しています。

第二に、光を柔らかく拡散させる効果が挙げられます。直射日光のような強い光も、すりガラスを通過することによって均一で優しい光に変わります。そのため、室内を眩しすぎず、かつ自然な明るさで満たすことができます。この特性は、かつて障子が担っていた役割と共通しており、和室の障子ガラスや照明器具のカバーなどにも活用されています。

曇りガラス(すりガラス)のデメリット

多くの利点がある一方で、曇りガラス(すりガラス)にはいくつかのデメリットや注意すべき点が存在します。

最も注意が必要なのは、水に濡れると透明度が増してしまう点です。表面の微細な凹凸に水分が付着すると、光の乱反射が抑えられ、向こう側が透けて見えるようになります。そのため、浴室やキッチンのような湿気が多く、結露が発生しやすい場所での使用には向きません。冬場に室内側の窓が結露した場合も同様の現象が起こるため、プライバシー確保を目的とする場合は設置場所に注意が必要です。

また、汚れが付きやすく、一度付くと落としにくいという点もデメリットです。凹凸のある表面に手垢や油、ホコリが入り込むと、簡単には拭き取れません。特に油汚れなどが付着したまま放置されると、汚れが固着してしまい、完全に取り除くのが困難になることがあります。このため、こまめな手入れが求められます。

磨りガラスとは?実用性と注意点のまとめ

ここでは、磨りガラスの具体的な手入れの方法から、デザイン性、耐久性や費用といった実用的な側面に焦点を当てて解説します。

  • 磨りガラスの正しい掃除方法
  • すりガラス模様の種類と適した場所や用途
  • 磨りガラスは紫外線カット可能か
  • すりガラスは割れやすいガラスですか?
  • 磨りガラスの値段とシートやフィルム

磨りガラスの正しい掃除方法

前述の通り、磨りガラスは表面の凹凸に汚れがたまりやすいため、適切なお手入れが必要です。間違った方法で掃除をすると、かえって汚れを広げたり、ガラスを傷つけたりする可能性があります。

基本的な掃除方法

日常的な軽いホコリや汚れは、乾いた柔らかい布やマイクロファイバークロスで優しく拭き取るのが基本です。水分を使うと汚れが凹凸に入り込みやすくなるため、まずは乾拭きを試みてください。

落ちにくい汚れの場合

手垢や軽い油汚れが付いてしまった場合は、固く絞った布で水拭きします。この際、ゴシゴシと強くこするのではなく、叩くようにして汚れを浮かせるのがコツです。水拭きの後は、水分が残らないようにすぐに乾いた布で拭き取りましょう。

汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた液に布を浸し、固く絞ってから同様に拭きます。洗剤を使った後も、必ずきれいな水で固く絞った布で洗剤成分を拭き取り、最後に乾拭きで仕上げることが大切です。

掃除での注意点

クレンザーなどの研磨剤入りの洗剤や、硬いブラシ、タワシの使用は絶対に避けてください。ガラスの表面を傷つけ、凹凸が削れて透明になってしまう恐れがあります。

すりガラス模様の種類と適した場所や用途

磨りガラスは、単に不透明なだけでなく、サンドブラスト加工の際にマスキングを施すことで、様々な美しい模様を描き出すことができます。

すりガラスの模様

代表的な模様付きの磨りガラスとして「ぼかし山水」と呼ばれるものがあります。これは、山や川、植物といった風景画のような絵柄が描かれたもので、和室の雪見障子などに用いられると、まるで水墨画のような風情を醸し出します。現在でも数十種類の伝統的な絵柄が製造されており、根強い人気を誇ります。

幾何学模様や花柄など、モダンなデザインの模様付きすりガラスもあり、洋風のインテリアにも合わせることが可能です。

適した場所と用途

磨りガラスの特性を活かせる場所は多岐にわたります。

  • 和室の建具: 障子ガラスや欄間など、和の空間には最適です。柔らかな光が落ち着いた雰囲気を演出します。
  • 室内の間仕切り(パーテーション): リビングとダイニングの間や、オフィスの会議スペースなど、空間を緩やかに仕切りつつ、圧迫感を軽減したい場所に有効です。
  • 家具の扉: 食器棚やキャビネットの扉に使用すると、中身を適度に隠しながら、軽やかな印象を与えます。
  • 照明器具のカバー: 光を和らげる効果があるため、ランプシェードなどに使用すると、眩しさを抑えた心地よい明かりを作り出します。

水濡れの心配がない場所で、プライバシー確保とデザイン性の両立を求める場合に、磨りガラスは優れた選択肢となります。

磨りガラスは紫外線カット可能か

窓ガラスを選ぶ際に、紫外線(UV)カット性能を気にする方は多いですが、一般的な磨りガラスの紫外線カット効果はあまり期待できません。

磨りガラスの主目的は、視線を遮ることと光を拡散させることであり、紫外線を大幅にカットする機能は基本的に備わっていません。加工されていない透明なフロートガラスと比較して、紫外線の透過率に大きな差はないと考えてよいでしょう。

もちろん、全く効果がないわけではなく、ガラス自体の厚みによってある程度は紫外線を減衰させますが、日焼けや家具の色褪せを防ぐほどの高い性能はありません。

もし、磨りガラスのデザイン性を保ちつつ、高い紫外線カット効果を求めるのであれば、UVカット機能を持つフィルムを貼るか、特殊な中間膜を挟んだ合わせガラスタイプの磨りガラスを選択する必要があります。これらの製品であれば、99%以上の紫外線をカットすることも可能です。

すりガラスは割れやすいガラスですか?

「表面を削っているから、すりガラスは普通のガラスより割れやすいのではないか」という疑問を持つ方がいるかもしれません。

この点については、同じ厚みの透明なガラスと比較して、磨りガラスの強度が著しく劣るということはありません。ガラスの基本的な強度は厚みによって決まるため、サンドブラスト加工が強度に与える影響はごく僅かです。

ただし、注意点もあります。ガラスは表面についた微細な傷が起点となって割れが広がることがあります。磨りガラスの表面は無数の凹凸で覆われているため、理論上は傷の起点となりやすいと考えることもできます。しかし、通常の日常生活で想定されるような衝撃に対して、特別に脆いわけではないため、過度に心配する必要はないでしょう。

より高い安全性を求める場合は、割れても破片が飛び散りにくい「合わせガラス」や、強度が高い「強化ガラス」をすりガラス調に加工した製品を選ぶことをお勧めします。

磨りガラスの値段とシートやフィルム

磨りガラスを導入する際の費用は、ガラスのサイズや厚み、種類によって変動します。また、DIYで手軽に実現する方法もあります。

磨りガラスの値段

一般的な厚さ(3mm〜5mm程度)の磨りガラスの価格は、専門業者に依頼する場合、1平方メートルあたり1万円から3万円程度が目安となります。これに加えて、施工費や古いガラスの処分費などが必要になる場合があります。模様付きの特殊なデザインのものや、強化ガラス仕様のものは、さらに価格が上がります。

磨りガラスシート・フィルム

より手軽で安価に磨りガラスの雰囲気を楽しみたい場合は、窓ガラスに貼る「磨りガラスシート」や「フィルム」が便利です。これらはホームセンターやオンラインストアで数千円から購入でき、DIYで施工することが可能です。

メリットは、コストを抑えられる点と、賃貸住宅などで現状復帰が必要な場合でも手軽に試せる点です。デザインも豊富で、季節や気分に合わせて貼り替えることもできます。

一方で、デメリットとしては、プロが施工した本物のガラスに比べて耐久性が劣る点や、気泡が入ったり端が剥がれたりして、きれいに仕上げるのが難しい場合がある点が挙げられます。また、製品によっては耐熱性が低く、ワイヤー入りガラスなどへの使用が推奨されないこともあるため、購入前には必ず注意書きを確認してください。

磨りガラスとは何かを理解する総まとめ

この記事で解説した、磨りガラスに関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • 磨りガラスは透明ガラスの片面にサンドブラスト加工を施した不透明ガラス
  • 表面の微細な凹凸が光を乱反射させ、視線を遮りつつ光を柔らかくする
  • 曇りガラスは不透明ガラスの総称で、すりガラスはその一種
  • 型ガラスは製造時に模様がつけられ、水に濡れても透けない点が大きな違い
  • 日本の家屋では明治時代以降、障子の代替品として普及した歴史がある
  • メリットはプライバシー保護と、光を優しく室内に取り込めること
  • デメリットは水に濡れると透ける点と、凹凸に汚れがたまりやすいこと
  • 掃除は乾拭きが基本で、しつこい汚れは中性洗剤を使用する
  • 研磨剤や硬いタワシの使用はガラスを傷つけるため避ける
  • 和室の建具や室内のパーテーション、家具の扉などに適している
  • 浴室やキッチンなど湿気が多い場所には不向き
  • 一般的な磨りガラスに高い紫外線カット効果は期待できない
  • 強度は同じ厚みの透明ガラスと大きく変わらない
  • 費用はサイズや種類によるが、シートやフィルムで手軽に代用も可能
  • DIY用のシートは安価だが、耐久性や仕上がりの面で注意が必要
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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