タカラスタンダード換気扇の交換費用は？工事費の内訳と安く抑える方法を解説

こんにちは、e-MADOリフォーム代表の鈴木 優樹です。 普段は「窓断熱の専門家」として、数多くの現場で省エネ・断熱リフォームの提案や施工を行っています。

現場のプロだから分かる、損しないためのポイントをお伝えします。

築年数が10年、15年と経過してくると、キッチンのレンジフードから「ブォー」という変な音が響くようになったり、煙の吸い込みが悪くなったりして悩んでいませんか？

毎日の料理で蓄積された頑固な油汚れを見るたびに、「いっそ新しいものに替えたいけれど、高額な出費は避けたい」と考えるのは当然のことです。

いざ交換を検討し始めても、タカラスタンダードの換気扇の交換費用が工事費込みの総額でいくらになるのか、あるいは修理や異音の原因は何なのか、掃除や外し方が簡単なモデルはどれなのかなど、気になることが山積みだと思います。

また、本体交換まではせずに部品やフィルターだけ交換できるのか、DIYで取り付けて安く済ませられないかと画策する方も多いはずです。

この記事では、そんな皆様の疑問や不安を、リフォーム現場の最前線にいるプロの視点で徹底的に解消していきます。単なる価格表だけでなく、長期間使う設備だからこそ知っておくべき「清掃性」や「耐久性」の価値についても深く掘り下げて解説します。

タカラスタンダード換気扇の交換費用の相場と内訳

工事費込みの交換費用の総額目安

結論から申し上げますと、タカラスタンダードの換気扇（レンジフード）を交換する場合、工事費を含めた総額の目安は8万円〜20万円（税込）と幅があります。この金額の開きは、主に選ぶ機種の「グレード（機能性）」と、現在の設置状況による「追加工事の有無」によって生じます。

私の経験上、多くのお客様が選ばれている中心価格帯は10万円〜15万円です。この金額を予算として確保しておけば、タカラスタンダードの強みである「ホーロー整流板」などを備えた、機能と価格のバランスが良い満足度の高いモデルを導入することが可能です。

以下に、費用の詳細な内訳をまとめました。見積書を見る際の参考にしてください。

異音などの故障は修理より交換か

換気扇を回すと「ブォー」という低い唸り音や、「キュルキュル」「キーキー」という金属が擦れるような甲高い音がし始めると、故障かなと不安になりますよね。

「まだ動いているし、修理で安く直せないかな？」と考えるのが人情ですが、プロとしては設置から10年以上経過しているなら、修理ではなく交換を強くおすすめします。

その最大の理由は、換気扇の「設計上の標準使用期間」が約10年と定められているからです。10年を超えると、モーターのベアリング摩耗や油汚れによる固着だけでなく、スイッチ基盤や配線の経年劣化による発火リスクも高まってきます。

【修理をおすすめしない3つの理由】

1. 部品がない可能性が高い：メーカーの補修用性能部品の保有期間は、製造打ち切り後6年〜10年程度が一般的です。10年以上前のモデルだと、そもそも直すための部品が手に入らないケースが大半です。
2. 修理費用が高額になりがち：仮に部品があったとしても、モーター交換だけで「部品代＋出張費＋技術料」を合わせて2万円〜4万円かかることが一般的です。数万円かけて修理しても、数ヶ月後に今度はスイッチが壊れる…という「修理のいたちごっこ」になるリスクが高いです。
3. 機能の進化による恩恵：10年前の機種と最新機種では、掃除のしやすさや省エネ性能が段違いです。修理に数万円払うくらいなら、その分を最新機種への交換費用に充てた方が、長い目で見た時のコストパフォーマンスと満足度は圧倒的に高くなります。

自分でDIY交換する際のリスク

最近はYouTubeなどでDIY動画が人気のため、「ネットで本体だけ安く買って、自分で取り付ければ工事費の3〜5万円が浮くのでは？」と考える方もいらっしゃいます。

しかし、現場を知るプロとしては、レンジフードの素人によるDIY交換は絶対に推奨しません。

「たかが換気扇の交換」と思われるかもしれませんが、そこにはプロでも慎重になる危険なポイントがいくつも潜んでいるからです。

【DIY交換に潜む重大なリスク】

• 落下事故の危険性：最新のスリム型レンジフードでも、本体重量は15kg〜20kg近くあります。これを不安定な足場で、頭上の高さまで持ち上げて固定するのは非常に危険です。油で汚れた既存の換気扇を外す際に手が滑り、落下させてキッチンの天板（人造大理石など）を割ってしまったり、大怪我をしたりする事故が後を絶ちません。
• 排気漏れと火災リスク：最も重要なのが排気ダクトの接続です。ここが不十分だと、油を含んだ排気が天井裏に漏れ出し、カビの原因になったり、最悪の場合は天井裏で火災が発生したりする恐れがあります。プロはアルミテープで隙間なく密閉し、防火ダンパーの作動確認なども行います。
• 法的制約（電気工事士法）：換気扇の電源プラグをコンセントに挿すタイプなら資格は不要ですが、壁の中の配線と換気扇の配線を直接繋ぐ「直結（直付け）」タイプの場合、その作業には「第二種電気工事士」の国家資格が必要です。無資格での工事は法律で禁止されており、漏電や火災の原因となります。

部品やフィルターのみ購入する方法

「本体はまだ元気に動いているけれど、フィルターの塗装が剥げてきた」「油受け（オイルキャッチ）を洗っていたら割ってしまった」という場合、本体ごと交換するのはもったいないですよね。

タカラスタンダードの製品であれば、消耗品や交換部品だけを購入することが可能です。

タカラスタンダードには公式のオンラインショップ「タカラスタンダードパーツショップ」があり、一般の方でもフィルター1枚から注文することができます。ホームセンターなどでは汎用品しか置いていないことが多いですが、公式ショップならサイズ間違いの心配もありません。

【部品購入のステップ】

1. 型番（品番）を調べる：まずは現在お使いのレンジフードの型番を確認しましょう。通常、フードの内側、整流板の裏側、またはスイッチ付近に「VDS-602」「VCS-75」といった型番が記載されたシールが貼ってあります。
2. 公式サイトで検索：パーツショップの検索窓に型番を入力します。
3. 廃盤時の対応：古い機種（VDSシリーズやVCSシリーズなど）ですでに生産終了している場合でも、サイズが同じ「後継品フィルター」や「代替品」が案内されていることが多いです。

ただし、モーターやスイッチ基盤などの内部部品は、安全上の理由から一般向けには販売されていないことがほとんどです。内部の故障の場合は、メーカー修理受付窓口へ相談しましょう。

掃除や外し方が簡単なホーローの魅力

数ある換気扇メーカーの中で、なぜタカラスタンダードが多くの主婦やリフォーム検討者に選ばれ続けているのか。その最大の理由、それは何と言ってもタカラ独自の素材「高品位ホーロー」の存在に尽きます。

ホーローとは、鉄などの金属の表面に、ガラス質を高温（約850℃）で焼き付けた素材です。「鉄の強さ」と「ガラスの美しさ・清潔さ」を兼ね備えており、キッチン周りの設備には最強の素材と言えます。

【ホーローが換気扇掃除に最適な理由】

• 油汚れが染み込まない：一般的な塗装鋼板や樹脂製のパーツには目に見えない微細な凹凸があり、そこに油が入り込むことで時間が経つとベトベトの落ちにくい汚れになります。一方、ガラス質のホーローは表面がツルツルで穴がないため、油汚れが染み込まず、表面に乗っているだけの状態になります。そのため、洗剤を使わなくても水拭きだけでサッと汚れが落ちるのです。
• 傷に圧倒的に強い：ゴシゴシ擦っても傷がつかないほどの硬度（モース硬度5〜6程度）を持っています。金たわしで擦っても大丈夫なほどです。樹脂製パーツのように「擦りすぎて塗装が剥げた」「傷に汚れが入り込んで黒ずんだ」という心配がありません。
• 熱に強い：コンロの上にある換気扇は熱を受けやすい場所ですが、ホーローは製造過程で高温焼成されているため、熱による変色や変形の心配がほとんどありません。

（出典：タカラスタンダード公式サイト『レンジフード（換気扇）の交換・リフォーム』

掃除不要？タカラのレンジフード特徴

最近のタカラスタンダードのレンジフードは、「掃除不要」とまでは言いませんが、これまで「年末の大掃除で一番嫌な場所No.1」だった換気扇掃除の常識を覆すほど、お手入れの手間を減らす工夫が凝縮されています。

特に注目すべきは、主要なパーツにホーローが採用されている点と、工具なしで分解できる「ワンタッチ」構造です。

ホーロー整流板とパーツ

吸い込み口を覆う「整流板」は最も油汚れが付着する場所ですが、タカラのミドルグレード以上ではこれがホーロー製です。

油性マジックで落書きしても水拭きで消えるほど汚れ落ちが良いため、普段の拭き掃除が苦になりません。さらに、上位モデルでは内部の案内板やフィルターまでホーロー製のモデルもあります。

親水性ファンでお手入れ簡単

内部の回転する羽根（シロッコファン）には、水に馴染みやすい「親水性塗装」が施されているモデルが多いです。

これにより、ファンをぬるま湯に浸けるだけで、水が塗装と油汚れの間に入り込み、汚れを浮かして落とすことができます。タワシでゴシゴシ擦る重労働から解放されます。

食洗機で洗える

ホーロー製のパーツ（整流板やオイル受けなど）の一部は、なんと家庭用の食洗機に入れて洗うことが可能です。

高温のお湯と強力な水流で洗えるため、手洗いよりもきれいに油汚れを落とせます。※機種やパーツの大きさによりますので、必ず取扱説明書をご確認ください。

タカラスタンダード換気扇の交換費用を抑える選び方

おすすめの機種とグレード別の価格

タカラスタンダードのレンジフードには、大きく分けて「松・竹・梅」の3つのグレードが存在します。ご自身の予算と、「どこまで掃除を楽にしたいか」というニーズに合わせて選ぶのがポイントです。

 VUS/VTシリーズ（スタンダード・梅）

総額目安：8万円〜10万円

従来型の深型フード（ブーツ型）と呼ばれるタイプです。価格は最も安いですが、フィルター掃除の手間や、ファンの取り外しにくさは従来品とあまり変わりません。

「賃貸物件なので安く済ませたい」「普段あまり料理をしないので機能は最低限でいい」という方向けです。

ホームセンターやリフォーム店に依頼

カインズ、コーナン、ビバホームなどの大手ホームセンターや、地元のリフォーム店（工務店）に依頼する場合の特徴を見てみましょう。

【メリット】

• 対面での安心感： 店員さんと直接話して相談できるため、細かい要望を伝えやすいです。
• 実物確認： 店舗によっては実機が展示されており、ホーローの質感やスイッチの操作感を触って確認できます。
• 周辺リフォームの提案： 「ついでにガスコンロも替えたい」「キッチンパネルも貼りたい」といった要望にも柔軟に対応してくれます。

【デメリット】

• タカラ製品の取り扱い： ホームセンターの主力商品はLIXILやパナソニックなどが多く、タカラスタンダード製品は「取り寄せ」対応になることがあり、割引率が低い（価格が高くなる）傾向があります。
• 施工日の調整： 繁忙期などは工事日がなかなか決まらないことがあります。

ネットの交換専門店を活用するメリット

「交換できるくん」や「楽天のリフォームショップ」など、ネット完結型の交換専門店を利用する方が急増しています。その最大の魅力は、やはり価格の安さと手軽さです。

【メリット】

• 圧倒的な低価格： 店舗維持費や営業経費がかからない分、ホームセンター等よりも数万円安くなるケースが多いです。
• 比較が容易： 複数のサイトで価格を見比べやすく、相場観がすぐに掴めます。
• 見積もりが早い： 既存の換気扇の写真をスマホで撮って送るだけで、早ければ当日中に見積もりが届きます。

【注意点・デメリット】

• 写真見積もりの限界： 現地調査に来ないため、写真では見えなかった部分（下地の腐食や特殊な配線など）が当日発覚し、追加費用が発生するトラブルのリスクがゼロではありません。
• 業者による品質差： 施工に来る職人さんの腕にばらつきがある場合があります。「工事保証」や「アフターサービス」がしっかり付帯している店舗を選ぶことが極めて重要です。

他メーカーからタカラ製へ交換できるか

「今使っているキッチンはサンウェーブ（現LIXIL）やナショナル（パナソニック）、クリナップなんだけど、換気扇だけタカラスタンダードに交換できるの？」という質問をよく頂きますが、答えは「基本的にどのメーカーからでも交換可能」です。

家庭用のレンジフードは、日本産業規格（JIS）などによって規格サイズが統一されています。一般的な横幅は60cm、75cm、90cmの3種類です。

現在お使いの換気扇の幅と同じ幅の製品を選べば、メーカーの垣根を超えて問題なく取り付けることができます。

プロペラファンからの交換と工事内容

築年数が古い住宅では、壁に四角い穴が開いていて、そこにプロペラ換気扇が埋め込まれているタイプもまだ多く見られます。このタイプから、最新のスリム型（シロッコファン）へ交換することも可能ですが、通常の交換工事とは異なる手順が必要になります。

【プロペラファンからの交換手順】

1. 既存プロペラの撤去： プロペラ換気扇本体と枠を取り外します。
2. リニューアル部材の設置： 壁に開いた四角い開口部を塞ぐための「リニューアルキット（塞ぎ板）」という専用部材を取り付けます。この板にはダクトを通すための丸い穴が開いています。
3. ダクト接続と本体設置： 塞ぎ板の穴にジャバラダクトを通し、新しいレンジフード本体と接続します。

この工事の場合、通常のリフォーム部材に加えて「リニューアルキット」や追加の木工事が必要になるため、標準工事費に加えて1万円〜2万円ほどの追加費用がかかるのが一般的です。見積もり依頼の際は必ず「現在はプロペラファン（換気扇）が付いています」と伝えるようにしましょう。

タカラスタンダード換気扇の交換費用：まとめ

今回は「タカラスタンダード 換気扇 交換費用」をテーマに、費用相場から選び方のポイントまで徹底解説してきました。

総額としては10万円〜15万円ほどの出費となりますが、その金額でこれから10年間、毎日のお料理が快適になり、年末の大掃除のストレスから解放されるなら、決して高い買い物ではないと私は確信しています。特に、タカラスタンダード独自の「ホーロー素材」による清掃性の高さは、他メーカーにはない唯一無二の価値です。

「そろそろ交換かな？」と思ったら、まずは信頼できる業者に見積もりを依頼し、ご自宅に最適なプランを提案してもらいましょう。この記事が、あなたの快適なキッチンリフォームの一助となれば幸いです。