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東京電力の深夜電力廃止後どうすればいい?節電対策をプロが解説

2025年9月25日

「東京電力の深夜電力プランが廃止されるって本当?エコキュートを使っているけど、どうすればいいの?」という不安を抱えていませんか。これまで電気代を抑えるための切り札だった深夜電力ですが、新規受付の停止や料金の値上げが続いています。

この記事では、東京電力の深夜電力廃止に関して、いつから変更があったのか、そして深夜電力の廃止理由とエコキュートを取り巻く状況を詳しく解説します。深夜電力の料金や時間帯、時間帯別料金の仕組みといった基本から、深夜電力が値上がりする2つの理由まで掘り下げていきます。

その上で、エコキュートを深夜電力なしで活用する方法5選や、電気代を節約する具体的な対策・対処法5選を提案し、よくある質問にもお答えすることで、あなたの「どうすればいい」という疑問を解消します。

ポイント

  • 東京電力が深夜電力プランの新規受付を停止した理由
  • エコキュート利用者が今選ぶべき新しい電気料金プラン
  • 太陽光発電などを活用して電気代を節約する具体的な方法
  • 今後の電気料金プラン選びで失敗しないためのポイント

東京電力の深夜電力廃止後はどうすればいい?

東京電力の深夜電力廃止後はどうすればいい?

  • 深夜電力の時間帯と時間帯別料金
  • 東京電力の深夜電力とエコキュート
  • 深夜電力の廃止理由とエコキュート
  • 深夜電力が値上がりする2つの理由
  • 新規受付はいつから停止された?
  • これまでの深夜電力の料金

深夜電力の時間帯と時間帯別料金

深夜電力プランとは、電力の需要が少ない深夜帯(例えば午後11時〜翌朝7時など)の電気料金単価を割安に設定し、その代わりに日中の料金単価を割高に設定した料金体系のことです。

この仕組みは、夜間にお湯を沸かすエコキュートや電気温水器といった夜間蓄熱機器の利用者に大きなメリットがありました。電力会社にとっても、1日を通して電力需要を平準化できるという利点があったのです。

しかし、ライフスタイルの変化や電力事情の変動により、この時間帯別料金の考え方そのものが見直されつつあります。

東京電力の深夜電力とエコキュート

東京電力の深夜電力プランとエコキュートは、非常に相性の良い組み合わせでした。エコキュートは、電気料金が安い深夜の時間帯に、ヒートポンプ技術を使って効率よく1日分のお湯をまとめて沸き上げて貯湯タンクに蓄えておく仕組みです。

利用者は、電気料金が割高な日中にお湯を使っても、実際に電気を消費するのは料金が安い深夜帯であるため、給湯にかかる電気代を大幅に節約することができました。このため、オール電化住宅の普及とともに、深夜電力プランはエコキュート利用者にとって必須の契約とされてきました。

深夜電力の廃止理由とエコキュートの関係性

深夜電力プランの新規受付が停止された背景には、主に二つの大きな理由があります。

一つ目は、エコキュートをはじめとする夜間蓄熱機器の普及です。深夜電力の利用者が増えた結果、かつては余っていた深夜帯の電力需要が増加しました。これにより、電力会社が想定していた「需要の少ない時間帯」という前提が崩れ、安い料金のままでは採算が合わなくなってきたのです。

二つ目は、太陽光発電の普及です。家庭で太陽光発電を設置する家が増えたことで、日中の電力需要が減少し、むしろ昼間に電力が余る状況が生まれるようになりました。電力需給のピークが変化したため、電力会社は「夜間の電気を安くする」という従来の料金体系を見直す必要に迫られたわけです。

深夜電力が値上がりする2つの理由

前述の通り、深夜電力プランが値上がり、あるいは魅力が薄れている理由は、電力需要の変化にあります。

一つ目の理由は、深夜帯の電力需要の増加です。かつて深夜電力は「余った電気の有効活用」だったため安価に提供できましたが、多くの家庭がエコキュートなどで一斉に電気を使い始めると、それはもはや「余剰電力」ではなくなります。需要が増えれば価格が上がるのは、電気も他の商品と同じです。

二つ目の理由は、再生可能エネルギー、特に太陽光発電の普及です。これにより、電力供給が最も多くなるのが日中となり、電力市場の価格も昼間に安くなる傾向が強まりました。このため、夜間に電気を使うメリットが相対的に低下し、料金体系の見直しにつながっています。

新規受付はいつから停止された?

東京電力では、深夜電力プランの代表格であった「電化上手」や「おトクなナイト8・10」といったプランの新規申し込み受付を2016年3月31日をもって終了しました。

その後も、オール電化住宅向けの「スマートライフプラン」などが提供されていましたが、これらのプランも燃料費調整額の上限撤廃や料金単価の見直しが行われ、かつてのような「深夜だけが突出して安い」という構造ではなくなってきています。すでにこれらのプランを契約中の方は継続して利用できますが、一度他のプランに変更すると元に戻すことはできないため注意が必要です。

これまでの深夜電力の料金

参考として、かつての代表的な深夜電力プランがどのような料金体系だったかを見てみましょう。例えば「おトクなナイト10」は、夜10時から翌朝8時までの10時間が割安な夜間料金に設定されていました。

時間帯 料金単価(1kWhあたり・参考)
昼間時間(午前8時~午後10時) 約30円~40円
夜間時間(午後10時~翌午前8時) 約12円

このように、昼間と夜間で料金に3倍近い差があったため、夜間に電気の利用をシフトさせる効果が非常に大きかったのです。現在のプランでは、ここまで極端な価格差は設けられていません。

東京電力の深夜電力廃止後どうすればいい?

東京電力の深夜電力廃止後どうすればいい?

  • エコキュートを深夜電力なしで活用する方法5選
  • 電気代を節約する具体的な対策・対処法5選
  • よくある質問

エコキュートを深夜電力なしで活用する方法5選

深夜電力のお得感が薄れた今、エコキュートを賢く使うためには新しい工夫が求められます。ここでは5つの具体的な方法を紹介します。

 新しい料金プランへ見直す

現在、東京電力がエコキュート利用者向けに推奨しているのは「スマートライフプランS/L」などです。これらのプランは、深夜1時〜朝6時といった特定の時間帯の料金が割安に設定されています。以前のプランほどではありませんが、この時間帯にエコキュートの沸き上げ時間を設定することで、引き続き電気代を抑えることが可能です。ご自身の生活スタイルに合ったプランを再検討しましょう。

太陽光発電システムと連携させる

太陽光発電を導入し、発電した電気で日中にお湯を沸かすという考え方にシフトする方法です。日中の余剰電力を売電するよりも、自家消費した方が経済的に有利になるケースが増えています。エコキュートの設定を「昼間シフト」などに変更し、太陽光の電気を有効活用することで、電力会社から買う電気を大幅に削減できます。

蓄電池を導入する

太陽光発電システムと合わせて蓄電池を導入すれば、さらに効率的なエネルギー利用が可能です。日中に発電して余った電気を蓄電池に貯めておき、夜間にその電気を使ってエコキュートを動かしたり、他の家電製品に使用したりできます。これにより、電気の自給自足率が格段に向上します。

「おひさまエコキュート」を導入する

「おひさまエコキュート」は、太陽光発電の余剰電力を活用して昼間にお湯を沸かすことを前提に設計された新しいタイプのエコキュートです。天気予報と連携して、翌日が晴れなら夜間の沸き上げを控え、昼間の発電電力で沸かすといった賢い運転を自動で行います。これにより、買電量を最小限に抑えることが可能です。

エコキュートの省エネ設定を徹底活用する

お使いのエコキュートに搭載されている省エネ機能を最大限に活用することも大切です。例えば、お湯をあまり使わない季節には「湯量少なめ」に設定する、旅行などで数日間家を空ける際には「沸き上げ休止設定」にする、といった細かい設定を見直すだけで、無駄な沸き上げをなくし、電気代の節約につながります。

電気代を節約する具体的な対策・対処法5選

エコキュート以外の面でも、家庭全体の電気の使い方を見直すことで、電気代を効果的に節約できます。

電力会社の切り替えを検討する

2016年の電力自由化以降、私たちは東京電力以外の電力会社も選べるようになりました。新電力会社の中には、独自のユニークな料金プランを提供しているところもあります。ご家庭の電気使用パターンを分析し、よりマッチしたプランを提供している会社に切り替えるのも有効な手段です。

待機電力を削減する

使用していない家電製品のコンセントを抜いたり、主電源を切ったりすることで、待機電力の消費を抑えることができます。節電タップを活用すると、スイッチ一つで複数の家電の電源をまとめてオフにできるため便利です。

家電製品を省エネモデルに買い替える

古い家電製品は、最新のモデルに比べて消費電力が大きい傾向にあります。特に冷蔵庫やエアコンなど、24時間稼働しているものや長時間使用するものを最新の省エネモデルに買い替えることで、家庭全体の消費電力を大きく削減する効果が期待できます。

住宅の断熱性能を高める

窓を二重窓にする、断熱材を追加するといったリフォームで家の断熱性能を高めると、冷暖房の効率が格段に向上します。エアコンの使用時間を減らすことができるため、結果的に電気代の節約につながります。

家族で電気の使い方を意識する

照明をこまめに消す、お風呂は間隔をあけずに入る(追い焚きを減らす)、テレビのつけっぱなしをやめるなど、家族一人ひとりが省エネを意識して行動することも、積み重なれば大きな節約効果を生み出します。

よくある質問

ここでは、東京電力の深夜電力プランに関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 今、廃止された深夜電力プランを契約中ですが、使い続けられますか?

はい、現在「電化上手」などの新規受付を終了したプランを契約している方は、ご自身でプラン変更をしない限り、そのまま継続して利用することができます。ただし、一度別のプランに変更したり、引っ越しをしたりすると、元のプランに戻ることはできませんので、プラン変更は慎重に検討する必要があります。

Q2. 深夜電力プランがなくなると、オール電化のメリットはなくなりますか?

いいえ、そんなことはありません。深夜電力のお得感は薄れましたが、オール電化はガス基本料金が不要になる、火を使わないため安全性が高いといったメリットは依然として存在します。また、太陽光発電システムとの連携など、新しい時代に合った形で光熱費を最適化する方法が登場しており、オール電化の価値が失われたわけではありません。

東京電力の深夜電力廃止後どうすればいいのか:総括

この記事で解説してきた、東京電力の深夜電力プランをめぐる状況と、私たちが取るべき対策について、重要なポイントを最後にまとめます。

  • 東京電力は2016年に「電化上手」など主要な深夜電力プランの新規受付を停止した
  • 廃止の理由はエコキュート普及による夜間需要増と太陽光発電普及による昼間電力の余剰
  • 既存の契約者はプランを継続できるが、一度変更すると元には戻せない
  • かつてほど深夜帯の電気料金の割安感は薄れている
  • エコキュート利用者は「スマートライフプラン」など現行のプランへの見直しを検討する
  • これからの時代は太陽光発電システムとの連携が電気代節約の鍵となる
  • 太陽光で発電した電気を使い、昼間にお湯を沸かすのが新しい賢い使い方
  • 蓄電池を併用すれば、電気の自給自足率をさらに高めることが可能
  • 「おひさまエコキュート」は太陽光発電との連携に特化した新しい選択肢
  • エコキュート本体の省エネ設定(湯量調整や休止設定)もこまめに見直す
  • 東京電力以外の新電力会社への切り替えも有効な選択肢の一つ
  • 家電の買い替えや住宅の断熱化など、家全体の省エネ意識を高めることが大切
  • オール電化のメリットが完全になくなったわけではない
  • ご家庭のライフスタイルに合わせてエネルギーの使い方を最適化することが求められる
  • まずは電力会社のウェブサイトで検針票をもとに料金シミュレーションをしてみるのがおすすめ
  • この記事を書いた人

鈴木 優樹

13年間で累計1万台以上のエアコン設置に携わってきた空調工事の専門家です。数多くの現場を経験する中で、快適な住まいにはエアコンだけでなく「窓の断熱性」が欠かせないと実感しました。地元・千葉で培った知識と経験を活かし、快適な暮らしに役立つ断熱の本質をわかりやすく発信しています。

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