こんにちは、e-MADOリフォーム代表の鈴木 優樹です。 普段は窓断熱の専門家として、数多くの現場で省エネ・断熱リフォームの提案や施工を行っています。現場のプロだから分かる、損しないためのポイントをお伝えします。
冬の朝、布団から出るのが辛いほどの冷え込みや、窓一面にびっしりと付いた結露に悩まされていませんか。
そうした悩みを解決するために窓のリフォームを調べ始めると、必ずと言っていいほど「内窓(二重サッシ)」と「ペアガラス(複層ガラス)への交換」という二つの選択肢に突き当たります。
内窓とペアガラスのどっちが良いのか、その比較をインターネットで検索しても、専門的な数値ばかりで結局どちらが自分に合っているのか判断するのは難しいものです。実は、これらは「似て非なるもの」であり、目的を間違えると「せっかくお金をかけたのに効果が薄かった」という事態になりかねません。
この記事では、私が1万件以上の現場を見てきた経験をもとに、断熱・防音性能の違いから費用、さらにはDIYやマンション特有の注意点まで、徹底的に深掘りして解説します。
最後まで読んでいただければ、ご自宅の環境に最適なリフォーム方法を迷わず選べるようになりますよ。
目次
内窓とペアガラスのどっちが良いか性能を比較
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- 窓を二重にする内窓とガラス交換の構造の違い
- 冬の寒さを解消する断熱効果と光熱費への影響
- 結露対策にはアルミサッシも覆う内窓が有効
- 外からの騒音を遮断する防音性能のメリット
- 日々の使い勝手を変えないペアガラスの利点
窓を二重にする内窓とガラス交換の構造の違い
内窓とペアガラスへの交換では、物理的な構造が全く異なります。内窓(二重窓)とは、既存の窓の内側にある木枠(額縁)に、もう一組の新しいサッシとガラスを取り付ける方法です。
これにより、既存の窓と内窓の間に「巨大な空気の層」が生まれます。この空気層は約7cmから8cmほどになるのが一般的で、これが魔法瓶のような役割を果たし、外の熱や音を強力に遮断します。内窓のサッシ自体は、熱を伝えにくい樹脂製であることがほとんどで、既存のアルミサッシを室内側からまるごとカバーする形になります。
一方でペアガラスへの交換は、今あるサッシはそのままに、単板ガラス(1枚ガラス)を2枚組のペアガラスに入れ替える作業を指します。最近では、既存のサッシにそのままはまる「アタッチメント付きペアガラス」や、厚みを抑えた真空ガラスなどが主流です。しかし、この方法では「窓は1枚(一重)」のままです。2枚のガラスの間の空気層はわずか数ミリから12ミリ程度であり、内窓が作る空気層に比べれば非常に薄いものです。また、既存のアルミサッシが室内側に露出したままになるため、サッシ部分の熱伝導を止めることができないという構造上の限界があります。
この構造の差は、断熱性能だけでなく「気密性」にも影響します。内窓は新しく気密性の高いサッシを追加するため、既存の窓の隙間から入り込む冷気(すきま風)を物理的に封じ込めることができます。
対してガラス交換は、サッシとレールの間の隙間までは解消できないため、古いサッシで隙間風がひどい場合には、ガラスだけをペアガラスにしても寒さが残ってしまうケースがあるのです。
冬の寒さを解消する断熱効果と光熱費への影響
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冬の室内の暖かさを守る「断熱性能」を比較すると、内窓に軍配が上がります。住宅の熱の約58%は窓などの開口部から逃げていくと言われており、ここをいかにガードするかが重要です。内窓に使用される樹脂サッシは、アルミに比べて熱伝導率が約1,000分の1と非常に低く、外の冷たさを室内に伝えません。これにLow-E複層ガラス(金属膜をコーティングした高断熱ガラス)を組み合わせれば、窓辺の温度低下をほぼ完璧に防ぐことができます。
ペアガラス交換でも、もちろん1枚ガラスの頃に比べれば断熱性は向上します。特に真空ガラス「スペーシア」のような高性能なものを選べば、ガラス部分の断熱性能は内窓に匹敵することもあります。
しかし、前述の通りアルミサッシが冷え切ってしまうため、窓全体の断熱バランスが悪くなり、足元に冷気が流れる「コールドドラフト現象」を完全に止めるのは難しいのが現実です。私のお客様でも、最初はペアガラス交換を検討されていた方が、内窓設置後の部屋の暖かさを体感して「こんなに違うのか」と驚かれる場面に何度も立ち会ってきました。
光熱費への影響についても、内窓の方が高い節約効果を発揮します。暖房の設定温度を2度下げても以前より暖かく感じられるようになり、冬場の電気代やガス代を大幅に抑制できます。
初期費用はかかりますが、10年、20年というスパンで考えれば、内窓による省エネ効果は十分に投資を回収できるレベルにあります。高性能な内窓による具体的な省エネ効果や快適性の向上については、環境省の資料でも詳しく裏付けられています。(出典:環境省『集合住宅の断熱改修による快適性向上・省エネ効果』)
結露対策にはアルミサッシも覆う内窓が有効
冬の結露掃除は、単に面倒なだけでなく、カビやダニの発生を招き、住む人の健康(アレルギーなど)にも悪影響を及ぼします。結露は「温度差」によって発生するため、室内側の表面温度を下げないことが最大の対策です。ペアガラスへの交換を行うと、ガラス面は冷えにくくなるため、ガラス中央部の結露は劇的に減少します。しかし、ガラスの縁(ゴムパッキン周辺)や、アルミサッシ部分には依然として激しい結露が発生し続けることがよくあります。サッシがアルミのままである以上、そこが「冷たい通り道」になってしまうからです。
一方、内窓を設置すると、既存の冷え切ったアルミサッシと室内の暖かい空気の間に、樹脂サッシと空気層が介在することになります。
室内側に見えるのは断熱性の高い樹脂サッシと新しいガラスだけなので、表面温度が下がりにくく、結露の発生をほぼゼロに抑えることが可能です。実際、ひどい結露に悩まされていた現場で内窓を施工した後、お客様から「翌朝から窓が全く濡れていなくて魔法のようだ」という感想をいただくことは珍しくありません。
結露対策で後悔しないためのポイント
もしペアガラス交換を選ぶのであれば、サッシ部分に貼る断熱テープなどを併用することになりますが、見た目が損なわれる上に効果も限定的です。完璧な結露ゼロを目指すのであれば、迷わず内窓を選択すべきです。結露でお悩みの方は、当サイトの窓の結露対策に関する詳細記事も参考にしてみてください。現場での対策例を豊富に掲載しています。
外からの騒音を遮断する防音性能のメリット
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「静かな生活環境を手に入れたい」という目的がある場合、内窓の防音効果は極めて高い満足度をもたらします。音は空気を振動させて伝わりますが、内窓によって作られる厚い空気層が、その振動を大きく減衰させます。特に、交通量の多い道路沿いの騒音、電車の走行音、近隣の犬の鳴き声などは、高い周波数から低い周波数までバランスよくカットされます。また、内窓は気密性が非常に高いため、音の漏れ道となる「サッシの隙間」をしっかり塞いでくれるのも大きなポイントです。
対してペアガラス交換は、防音に関しては少し注意が必要です。一般的なペアガラスは、2枚のガラスが共振を起こす「低音域共鳴透過現象」によって、特定の周波数の音が1枚ガラスの時よりも伝わりやすくなってしまうことがあります。
防音を目的にペアガラスへ交換する場合は、異厚複層ガラス(厚みの違うガラスを組み合わせる)や、防音合わせガラスを選択する必要があります。しかし、それでもサッシの隙間から入ってくる音は防げないため、内窓ほどの静かさを手に入れることは難しいでしょう。
私の経験上、防音対策で内窓を設置された方は、その「静寂」に最も感動されます。「外で雨が降っていることに気づかなかった」「エアコンの音が以前より大きく聞こえるほど静かになった」といった声もよく伺います。家の中をリラックスできる空間にしたいなら、内窓の防音性能は最高の付加価値になるはずです。
日々の使い勝手を変えないペアガラスの利点
これまでの比較では内窓の性能の高さが際立っていますが、実際の生活において「ペアガラス交換の方が良かった」と感じるケースも存在します。その最たる理由は「操作性」です。内窓を付けるということは、窓を開ける動作が常に2回になることを意味します。例えば、1日に何度も洗濯物を干しに出るベランダの大きな窓や、頻繁に換気を行うキッチンの小窓などでは、この「2回開閉する」という手間が、積もり積もって大きなストレスになることがあります。
ペアガラス交換であれば、これまでの生活習慣を変える必要はありません。窓の見た目もスッキリしたままで、カーテンやブラインドが内窓と干渉して取り付けられなくなるといった心配も無用です。また、内窓を設置するための「木枠の幅(有効寸法)」が足りない場合、ふかし枠という部材を使って内側に窓を飛び出させる必要がありますが、これによって部屋がわずかに狭く感じたり、家具の配置に影響が出たりすることもあります。ペアガラスへの交換なら、こうしたスペースの問題は一切発生しません。
掃除の手間についても同様です。内窓はガラスの面が2倍(既存窓の表裏、内窓の表裏)になるため、大掃除の際の負担が増えます。
利便性と性能のどっちを優先するかは、その窓を「1日に何回開けるか」という視点で考えると失敗が少なくなります。頻繁に開け閉めする窓はペアガラス交換、寝室や北側のあまり開けない窓は内窓、というように場所によって使い分けるのが、プロが提案する最も賢い選択です。
内窓やペアガラスのどっちが最適か費用面で比較
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- マンションの規約でも可能な断熱リフォーム
- 施工時間の短さと一箇所あたりの費用の目安
- 費用を抑えるために内窓をDIYする際の注意点
- 単板ガラスで十分なケースと後悔しない選び方
- 補助金を活用して窓の断熱改修をお得に行う方法
マンションの規約でも可能な断熱リフォーム
マンションにお住まいの方にとって、窓のリフォームは戸建て以上に慎重な検討が必要です。マンションの窓サッシやガラスは、基本的に「共用部分」とされており、個人の判断で勝手に交換(外窓交換)することは禁じられています。しかし、多くの管理規約では「専有部分」である室内側に窓を追加する「内窓の設置」は認められています。
また、ガラスの交換についても、サッシの見た目を変えなければ認められるケースが増えていますが、それでも事前に管理組合への申請と承認が必要になることがほとんどです。
内窓のメリットは、マンションの厳しい規約に触れることなく、実質的に窓全体の性能を最高レベルまで引き上げられる点にあります。また、工事も室内だけで完結するため、足場を組む必要もなく、ご近所への影響も最小限に抑えられます。マンションの断熱リフォームは、上下左右の住戸に囲まれているため、窓さえしっかり対策すれば「魔法瓶のような家」になりやすいという特徴があります。マンションでの施工事例や規約の確認方法については、当サイトのマンション断熱リフォーム施工事例集でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
施工時間の短さと一箇所あたりの費用の目安
「リフォームは大がかりで時間がかかる」というイメージをお持ちかもしれませんが、窓のリフォームは驚くほどスピーディーです。内窓の場合、事前採寸に15分、工事当日は1箇所につき約30分から1時間程度で完了します。ネジで枠を止めて、新しいサッシをはめ込むだけなので、立ち会いも短時間で済みます。ペアガラス交換も同様に、既存のガラスを外して入れ替えるだけなので、1箇所あたり1時間程度が目安です。
費用面での比較ですが、一般的な腰高窓(160cm×100cm程度)の場合、内窓(Low-E複層ガラス仕様)の工事費込み価格は5万円〜8万円前後、ペアガラス交換(アタッチメント付き)は4万円〜7万円前後がボリュームゾーンです。
実は、材料費と施工費を合わせると、内窓とペアガラス交換でそれほど劇的な価格差はありません。むしろ、断熱・防音といった「得られる効果」を天秤にかけると、内窓の方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いと言えるのです。
| 比較項目 | 内窓(樹脂サッシ+Low-E) | ペアガラス交換(アタッチメント付) |
|---|---|---|
| 費用目安(腰高窓1箇所) | 5.5万円 〜 9万円 | 4.5万円 〜 8万円 |
| 工事時間 | 約30分 〜 1時間 | 約1時間 〜 1.5時間 |
| 断熱性能(体感) | ★★★★★(非常に高い) | ★★★☆☆(普通) |
| 防音性能(体感) | ★★★★★(劇的な変化) | ★★☆☆☆(限定的) |
※価格は製品のグレードやサイズ、現場の状況により変動します。正確な金額は現地調査後の見積もりをご確認ください。
費用を抑えるために内窓をDIYする際の注意点
最近はYouTubeなどで内窓のDIY動画が増えており、「自分でやればもっと安くなるのでは?」と考える方も多いでしょう。確かに、大手メーカー品でもネット通販で安く購入でき、取付説明書通りに進めれば日曜大工が得意な方なら設置自体は可能です。工賃分(1箇所あたり1.5万〜2万円程度)を浮かせられるのは大きな魅力です。
しかし、DIYには「自己責任」という重いリスクが伴います。内窓リフォームで最も難しいのは、取り付け作業ではなく「採寸」です。窓枠は一見真っ直ぐに見えても、家全体の重みで数ミリ単位の歪みが生じていることがほとんどです。プロはこの歪みを読み取り、スペーサーなどで微調整しながら取り付けますが、素人採寸でぴったりのサイズを発注してしまうと、いざ届いた窓が入らなかったり、逆に大きな隙間ができて断熱・防音効果がゼロになったりすることがあります。
また、近年非常に高額な補助金が出ていますが、これは「登録事業者による施工」が条件であることが多く、DIYでは補助金が受け取れず、結局プロに頼んだ方が安かった、というケースも少なくありません。
単板ガラスで十分なケースと後悔しない選び方
「最新の窓はすべてペアガラスや内窓にするべきだ」という風潮がありますが、現場を数多く見てきた私からすると、必ずしもそうとは言い切れません。例えば、南向きで日当たりが抜群に良く、冬場も日中は暖房いらずの部屋であれば、無理に高価な真空ガラスや内窓を入れなくても、既存の単板ガラスのままで十分快適な場合があります。また、築年数が非常に経過しており、近いうちに建て替えや解体を検討している家であれば、高額な投資をするのは得策ではありません。
一方で、北側の寝室、子供部屋、浴室、トイレなどは、家の中でも特に温度差が激しく「ヒートショック」のリスクが高い場所です。
こうした場所は、予算を削らずに内窓を設置することを強くおすすめします。また、西日が強烈で夏場にサウナ状態になる部屋には、断熱だけでなく「遮熱」機能を持ったLow-Eガラスを選ぶ必要があります。まずは家全体の「どこが一番不満か」を洗い出し、優先順位をつけて対策を練ることが、後悔しないリフォームのコツです。当サイトのLow-Eガラスの種類と選び方ガイドもあわせてチェックしてみてください。
補助金を活用して窓の断熱改修をお得に行う方法
今、窓のリフォームを検討している方にとって、最大の追い風となっているのが過去最大級の補助金制度です。2024年および2025年にかけて実施されている「先進的窓リノベ事業」などは、その名の通り「窓の断熱化」に特化した非常に手厚い支援策です。内窓の設置やペアガラスへの交換、外窓交換など、工事内容や製品の性能グレードに応じて、1戸あたり最大200万円までの補助が受けられます。
この補助金のポイントは、性能が高い製品ほど還元率も高くなる点です。例えば、普通の内窓よりも高断熱なLow-E仕様の内窓を選んだ方が、補助金額が跳ね上がり、実質的な自己負担額がほとんど変わらなくなる、あるいは逆転することさえあります。
ペアガラスへの交換も対象になりますが、内窓の方が「窓全体の断熱性能を上げやすい」ため、補助金の対象となりやすく、結果的に多くの還元を受けられる可能性が高いです。補助金は予算上限に達し次第終了となるため、早めの検討と、信頼できる登録事業者への相談が不可欠です。※正確な最新情報は、事務局の公式サイトをご確認ください。
補助金を活用する3つのステップ
- 1. 住宅省エネキャンペーンの登録事業者(私たちのような専門業者)に相談する
- 2. 補助金対象となる性能ランク(SランクやAランク)の製品を選定する
- 3. 予算がなくなる前に、早めに現地調査と契約、申請の準備を進める
まとめ|内窓とペアガラスのどっちが良いか比較
内窓とペアガラスのどっちが良いか、性能、使い勝手、費用、そして補助金の面から多角的に比較してきましたが、あなたの理想のリフォーム像は見えてきたでしょうか。もう一度結論を整理すると、断熱性能、結露防止、防音効果のすべてにおいて最高の結果を求めるなら「内窓(二重サッシ)」が正解です。
一方で、日々の開閉のしやすさやスッキリとした見た目、スペースの制約を重視するなら「ペアガラス交換」が適しています。
リフォームは、ただ製品を付けることではなく、その後の暮らしをどう変えたいかを叶える手段です。「朝までぐっすり眠れる静かな寝室にしたい」「冬でも裸足で歩けるリビングにしたい」そんな皆さんの願いに最適なのはどちらか、この記事の内容を一つの判断基準にしていただければ幸いです。
もし、ご自身で判断するのが難しい場合は、ぜひ私たちプロの目にお任せください。現場の状況を丁寧に診断し、ご予算とご要望にぴったりのプランをご提案いたします。
まずは一歩踏み出して、快適な住環境への扉を開いてみませんか。今回の内容は以上となります。次はどのようなお手伝いをいたしましょうか。